ドラゴンボールAT 作:澄ましたガール大好きおじさん
セルゲームまで駆け抜けろぉぉぉぉ!というわけで初投稿です。
ピッコロとセルの約束から25時間が経過した頃、時間切れと手始めに街を一つ破壊しようと浮かび上がったセルの口角が吊り上がった。
これから始まる素晴らしい戦いを予感した彼は
巨大な二つの戦闘力がこちらにむかってくる。
1分と経たずに2人のサイヤ人がセルの元に現れた。
「ほう…?」
2人のサイヤ人はスーパーサイヤ人にもなっていない。
だと言うのに、その気配は間違いなくゲロの想定を遥かに凌駕する戦闘力を身につけていた。
「素晴らしい。このリングを作った甲斐があったというモノだ。」
セルの視線は交互に2人のサイヤ人へと刺さる。
どちらも素晴らしい戦闘力だ。
「どうするのかな?君たち2人同時でも私は構わないのだが?」
素晴らしい
どちらか一方を選べ、そんな選択などできるはずもない。
「退け、ラディッツ。この俺が1人でやる。」
「ベジータ、だったかな?いいのかな君一人で、この完全体の相手が務まるとは思えんが?」
「どいつもこいつもこのベジータ様をコケにしやがって…!俺はサイヤ人の王子だ!…下級戦士に…ましてやヤードラットの女に遅れをとって…たまるかぁぁぁぁ!!」
彼の全身から噴き出る怒りの黄金エネルギー。
そこにはスーパーベジータを更に超えた…スーパーサイヤ人の姿がそこにあった。
24時間で脅威の進化を遂げたベジータ。
…しかしこれでも怪物セルを倒すことはできない。
その証拠に彼は実に楽しそうな笑みを浮かべているばかりだ。
あのベジータを脅威に捉えていない。
「ベジータ、俺にもやらせろ。」
「俺一人でやると言ったはずだ!貴様は帰ってあの女の面倒でもみてるんだな。」
ラディッツの助言が通じるはずもない。
誇り高きサイヤ人の王子が下級戦士と協力して敵を倒すなどあってはならないのだ。
黄金の光の線を迸らせながら、スーパーダッシュによって上乗せされたエネルギーを拳に乗せて、セルの顔面目掛けて拳を撃ち放つ。
「……!!」
だというのに、セルは構えを取ることも防御の姿勢に移ることもなく、ただただベジータの拳をその顔面で受け止めた。
「ベジータ、お前の評価を改めることにしよう。この完全体が力を振るうにふさわしい相手だとな。」
「ふん…!今のを受けたくらいでいい気にーーーォご!?」
ノーモーションボディブロー…無造作に拳を腹目掛けて打ち込むだけでまるで腹に風穴でもあけられたのではと錯覚するほどの衝撃だ。
唇の端から泡立つ涎が噴き出てくるのを感じる。
あのベジータですら痛みに耐えかねて崩れ落ちていく。
「私のウォーミングアップに付き合ってもらうぞ?サイヤ人の王子よ。」
「ぐぅぉぉ!?」
その隙をセルは見逃さない。容赦なく拳を叩き込んだ腹目掛けて膝を一撃。小柄なベジータをくの字に折り曲げてたまま爪先で彼を天高く蹴り上げる。
一瞬で遥か上空へと投げ出されたベジータのボヤける視界に映る自信を追い抜かすセルの姿。
舞空術で受け身を取る暇もなく、彼の背中にセルの肘が叩きつけられる。
天高く打ち上げられた以上の速度で今度は地面へと真っ逆様。
真っ白な大理石のリングを粉々に吹き飛ばしながら、ベジータの体は地面に巨大なクレーターをこさえてしまう。
「…もう少し靱性のある岩石を使うべきだったか。硬いばかりではすぐに割れてしまう。」
巻き上がる砂塵に対して小さくため息をつく。
失望したのはベジータにではなく、セル佳作のバトルリングにだ。
こんなにあっさり壊れてしまってはリングは意味をなさない。
「くそったれぇぇぇぇぇぇ!」
砂塵を黄金の光で掻き消しながら加速したベジータが迫る。
肉薄しながら放たれる無数の拳、爪先、膝、肘…その全てを実に優雅な所作でセルは回避していく。
幾らパワーが上がったとはいえ、ベジータの戦闘データは彼の頭にインプットされている。
見切るまでもない…そんなことを言外に言われていることは嫌でも理解する。
それがまた、ベジータの誇りに火をつける。
更にスピードが上がっていく。
「……!」
僅かな油断、この短期間でのサイヤ人の進化にセルの瞳が揺れた。
それを見逃すほどベジータは甘くない。
「ッあァァァァァァァ!!」
「ぐ…!」
今度はベジータが渾身のボディブローを彼の鳩尾目掛けて叩き込んだ。
呼吸の最中に撃ち放たれたそれは強制的に吸い込んだ中身を排出させる。
「くたばり、やがれぇぇぇぇぇ!!」
拳を大きく下から振り上げる、右腕に高密度の気を充填させているのか、金色に輝いたその拳を怯んだセルの腹目掛けて躊躇なく叩き込んだ。
その先か放たれる夥しい金色の極光。
「ぐぅぉぉぉぉぁああああああ!?」
如何に力の差があれど急所を綺麗に撃ち込まれたところを強力な気功波をゼロ距離で上乗せされたならひとたまりもない。
金色の光がその拳から消え去るまでベジータは大きく肩で呼吸。
確かな手応えと勝利の確信。
「なんちゃって…!」
そんな彼の確信、誇りを踏み躙る怪物のおどけた口調。
気の嵐によって巻き上がった粒子の先にはノーガードでこれを受け切った怪物セルの姿がそこにあった。
「今度は私の番だ。…安心したまえ、殺さないよう手加減はしてやる。…だが気を抜かんようにな、楽しくなってついぞ力が入ってしまうやもしれん。」
「な、舐めやがって…!!」
彼らの戦いにおいて視覚情報など大したモノではない。
気や相手の動きを見極めさえすれば、目を瞑っていても戦えるのだ。
もう既にセルの動きの癖を掴みつつあったベジータにとって…これは挑発以外の何物でもないのだ。
全神経を集中させてセルの気を掴み続ける。
初動さえ掴んでしまえば防御とカウンターも思うがまま…!
そんな思考が如何に甘いのかをベジータはコンマ数秒後に思い知ることになる。
セルの拳が彼の鳩尾を捉えるまでの間、ベジータは目線一つ動かす暇もなかった。
「か…は…!?」
「おっと、速すぎたかな?君の成長のご褒美にと…スピードだけは本気になってあげたのだが。」
「なん…だ、と…!?」
セルの本気の前では超進化を遂げたベジータですら、赤子同然の存在だった。
ゆっくり、労るように拳を静かに緩めたセルに対して、もうベジータは気の大半を霧散させていた。
勝負アリ。
誰がどう見てもベジータの大敗である。
「こんな素晴らしい玩具をプレゼントしてくれたピッコロにはーーー」
ーーーサタデェェェ………クラァァァァァァッシュ!!
「!?」
突如噴き上がる気の嵐。
あの完全体のセルが同様に全身を緊張させるほどの途方もないエネルギーの塊。
見上げた先にはベジータ諸共、セルを吹き飛ばす勢いで己のエネルギー、全存在をかけた巨大な気功波を片腕に集約させたラディッツの姿がそこにあった。
「…な、に…ィ!?」
回避も防御も間に合わない。
セルごと周辺を焼き払う勢いで放たれる凶光。
大猿パワーによるサイヤパワーの更なる上乗せ。
一時的な超パワーがセルの全身を焼いていく。
「…!ち、ちく、しょぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
彼を中心に巻き起こる巨大な光のドーム。
山は愚か、大陸そのものを穿ちかねない巨大な光。
大地を揺らし雲を蒸発させる。
天高く舞い上がる禍々しい光をこの瞬間多くのものが目撃しただろう。
そしてそれは天界にいるピッコロ達にも届いていた。
「はぁ…!はァ…!…ざまぁ、みーーー!?」
金色の頭髪を黒く戻し肩で大きく息をしながら完璧に入った自身の最高の一撃。
ベジータを巻き添えに殺したかもしれないが、ドラゴンボールで生き返らせてやればいい。
最悪、そのまま地獄に落としておけばいい。
そんな事後処理に頭を回すラディッツを凍付かせたのは…未だ健在のセルの姿だった。
筋肉は大きく、固く膨れ上がっていたその姿は…かつて精神と時の部屋で見せた…ベジータのあの変身とそっくりだった。
「ば、…バカな…!」
「ふっふっ、今のは流石の私も危なかった。…この完全体の私がガムシャラに身を守ることになるとはな…!」
「ば、化け物め…!」
「そう、悲観するな。…今の一撃は素晴らしかった。…次は今のパワー常に発揮できるよう訓練することだ。」
ラディッツ渾身の一撃で焼かれた彼の肌はみるみるうちに修正されていく。
数秒と絶たぬうちに彼の体は新品同様の美しい鱗に覆われていった。
「…へ、俺たちを生かして返すつもりか?」
「もちろんだ。そこの王子を連れて帰るといい。」
「な、なんだと!?」
「ピッコロに伝えておけ、予定通りセルゲームを開催するとな。」
「せ、セルゲームだとぉ…?」
ふざけたネーミングだ。
まるで遊び場…自分専用のゲームとでも言いたげなその名前に青筋を隠せない。
「日時は10日後。場所は奴に伝えてある…では私は失礼するよ。試合に備えて調整をするのでね。」
ラディッツの言葉を待たないまま…怪物は二人にトドメを刺すことなく遥か彼方へと飛んで行ってしまう。
完全体のスピードに追いつける体力など残っていない。
仮に追いついたとして…今のラディッツではやはりセルを殺しきれないことを痛感した。
「ちくしょう…!」
己が才能の無さにラディッツは静かに歯噛みする。
ようやく回復したであろうベジータが立ち上がる。
「…ちッ、この俺様が情けをかけられるとはな!…戻るぞラディッツ!もう一度あそこで修行だ。」
「…あ、あぁ…。」
憎まれ口を叩く余裕すらなかった二人のサイヤ人はボロボロの体で天界へと戻ることになった。
戦闘力更新
セル
基本最大16億
超1-1:800億
超1-2:1200億
ちょっと遊んでやろうと思ったら思ったより楽しめるどころか命をかける試合に大変満足したのでこりゃ本番が楽しみだ!オラわくわくすっぞ!となってしまった完全体セルくん。
試合の調整とどこかへ飛び去ったようだが…?