ドラゴンボールAT 作:澄ましたガール大好きおじさん
やっとここまで辿り着きました。セル編!完!!ということで初投稿です。
「よう、目が覚めたか?」
「!?」
そこは暗闇、…だというのに自身を興味なさげに見下ろす少年の顔立ちははっきりとわかる異様な空間。
記憶を辿るまでもない。
セルに食われたのだ。
「最後の最後にしてやられたな?」
「…貴方は?」
「俺か?今は17号らしいぞ?…人造人間17号。…こいつは18号だ。」
「…人造人間。」
確かにこの2人からはスピリットを感じない。
完全なゼロ。まるで気を消しているかのようだ。
ゆっくりと立ち上がる。
動くことはできるが、力の一切を使うことができない。
まるで何かに奪われたかのようだ。
「…ふん、愚か者め…なぜしっかりとトドメを刺さなかったのだ。」
「…師匠先生!?」
かけられた言葉にノータイムで振り返る。
そこには若干引き攣った顔をした老師の姿がそこにあった。
「私ならば、自分で奴の死体を焼却したぞ?力に溺れ油断をしよって…だから貴様は未熟なのだ。」
「…返す言葉もございません。」
ウキウキとマウントを取るおじさん。
情けない姿を見せてシュンとする小娘(という年齢ではないが)。
どう見ても大人気ないアンドロイド桃白白がそこにあった。
「おい、キラーマシン。何をそんなに偉そうなんだ。アンタより弟子の方がよっぽど強いぜ?」
「あ゛…?」
ノータイム。
力を封じられているはずなのに17号は既に胸ぐらを掴み上げられていた。
「そんなに怒るなよ。俺は事実を並べたまでだ。」
「よさんかシャオ、この私まだ恥をかかせるつもりか?」
「…はい、
ギロリ、殺意マシマシの瞳を向けられて尚、17号はスカーフを直しながらニヒルに笑うばかりだ。
こわいこわい、そんな風に思ってもない言葉を羅列する程度には余裕である。
「…
「奴は取り込んだ生命体と完全に取り込むまでにかなりの時間を要する。」
「全くだ、完全体が聞いて呆れるな。」
「時間がかかっても関係ないね、ここじゃ私らゴミ同然だ。」
18号の言う通り、如何にセルの欠陥を笑ったところで彼らが消化を待つだけの存在であることは言うまでもない。
「まあどの道奴はこの星ごと消すつもりみたいだぜ?」
そう言いながら17号が外の景色が断片的に映されている箇所コツンと叩いた。
どうやらセルの見ている情景は自分達も見ることができるらしい。
そこには己が全てのパワーを解き放ち…地球を、いや太陽系を消滅させる超巨大なかめはめ波を構えているところだ。
ーーーゲームは終わりだ。貴様らには何の用もない。…このままこの星と運命を共にするがいい!!
さっさと撃てば良いものを…弱者の悪あがきを見る悪辣な宇宙の帝王の細胞が猶予を与えているのか、或いはその足掻きすら楽しみたいサイヤ人の細胞がそうしているのか、ともかく…小籠包の細胞がもたらした行動でないのは事実だろう。
ーーーふはははは!!素晴らしい!素晴らしいぞ!今の私なら太陽系を綺麗消滅させることもわけないぞ!!!…貴様らが幾ら足掻いたところで、このパーフェクトな力には敵うまい!!
セルのパワーは確かに途方もなく強大だ。
取り込まれた自分達ではどうすることもできない。
小籠包、以外は。
「
「なに…?」
「感じます、アイツの視線を…こうしてる間も私たちを見てると思うんです。…私なら内側からアイツのスピリットを掌握できます。」
「は…?」
弟子の意味不明な技に流石の老師桃白白も驚愕。*1
「
そんな超能力じみたことできるわけねーだろ。
…と言いたいところだが、一応彼も仙人のはしくれ。
思念による意志の伝達は彼の技の範疇である。
「なるほどな、奴がフルパワーを見せびらかしてる最中に、キラーマシンがちょっかいをかけるのか。」
「で、アンタはどうすんだい。」
「タイミングを見て、奴のスピリット…パワーをゼロにする。」
「…力を封じるって訳か。そうなると俺たちも仲良くあの世行きだな。」
「どうせバケモノに食われちまったんだ、折角なら道連れにしてやろーじゃないか。」
意外にも乗り気な二人の人造人間、…この空気の中で流石に命は惜しかったあの桃白白ですら「いいえ」とは言えなかった。
「…良かろう、この私が手を貸すのだ。…失敗は許さんぞ」
背筋に冷や汗だらだら、死にたくないよーと心の中で絶叫をしていたのはいうまでもない。
そんな師匠の心の声など露知らず、小籠包は愉しげに口角を歪ませた。
「任せてください。」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「今やこの私は…何者も寄せ付けない完全体セル…いや?より完璧となったこの私はパーフェクトセルを名乗るに相応しい。」
夥しい量のスパークを纏う彼の纏う気は小籠包のものと同じ禍々しい紅の焔となっていた。
そして、この場にいる誰もが理解する。
もう彼に敵うものなどどこにもいないことを。
ーーーやべえかもな。
流石の孫悟空も今回ばかりは覚悟を決めた。
セルの戦力の増強幅を見誤った。
小籠包を食らっただけならまだなんとかなっただろう。
しかし…セルはどうやったのか基本パワーここに臨むまでにアップしていた様に見える。
…完全な計算ミス。
悟空の勝算は御破算になってしまったのである。
「くくく、お前達が修行をしている間、私も準備を進めていたのだよ。」
勝ちを確信した怪物は流暢に語り出した。
ドクターゲロの元々の構想にあった通り、17号/18号を取り込んだこと。
より完璧な強さで小籠包を狩ることに固執したのである。
究極の人造人間に進化するためだ。
仮に、彼がスーパーサイヤ人に変異できるとしたら、この姿はそれを超えた存在と言える。
それでも、あきらめていない戦士が前に進み出る。
「…孫悟空と…孫悟飯、だったか?…勇ましいことだ、まさかこの私と戦うつもりかな?」
「ああ、お前ェを倒さねえと地球が消えるっていうなら、死ぬまでオラ戦うぞ。」
「…小籠包さんの、仇だ…!お前は、僕が倒す…!」
サイヤ人の細胞を持つが故に、この奮い立つ戦士達に実に心が躍ったことだろう。
しかし残念ながら、彼の体には冷徹な殺し屋の細胞も組み込まれている。
目当ての存在を取り込んだ彼にとって、もはやこの星は残す価値の無いゴミでしかないのだ。
「そうか、ならば力比べと…行こうじゃぁ、ないか。」
両手を対象に重ね、ゆっくりと…弓弦を引くかのように引き絞る。
彼らの十八番とする、かめはめ波の構えだ。
瞬間、セルの全身から人智を超えたエネルギーが迸った。
「!?」
覚悟を決めた筈の悟空の瞳が見開かれる。
自身の見立てが如何に甘かったかを思い知る。
…息子の潜在能力が今ここで目覚めたとて、この怪物には勝てないかもしれない。
それでも気後れするわけにはいかなかった。
自分がやらねば、この怪物はこの星を消すというのだ。
負けじと自らのエネルギー全てを放出させる。
「ははははは!!その程度か孫悟空!ドクターゲロが殺したいほど憎んだ男が、よもやこの程度とはな!」
小さく歯噛みする。
悔しいがセルの言う通りである。
今の自分は過去最高の仕上がりだ。
これ以上はないほど。
それでもセルの足元に僅かにくらいつける程度のパワーしか無い。
「ぁ…ぁ。」
「悟飯!しっかりしろ!」
「…!」
余りの力の差に絶望する悟飯に叱りつける彼は理不尽と詰られるだろう。
10歳の少年に何を無茶なことを言っているのかと。
しかし、少年は違った。絶望に打ち震えていた彼の顔はすぐさま戦士の顔つきに様変わりしたのだ。
「…はい、お父さん!」
今まで背中を追いかけるだけだった父の隣に立っている。
それを自覚させられただけで、孫悟飯の萎えた戦意は完全に立ち直った。
「全く、あの泣き虫がいい顔をするようになったじゃないか。」
絶望に打ち震える戦士達の中からピッコロが前に出た。
「俺もやろう、やるだけやって死ぬ。奴とは地獄で決着をつけてやる。」
「お前ェそんなに悪いことしてねぇだろ。」
「…貴様と言う奴は、こんな時くらい緊張感を持て。」
ターバンを投げ捨てながら自らも気を高める…。
神の頭脳をもってしてわかる。
この超戦士3人が集まって…やっと半分ほど…勝算は限りなくゼロに近い。
「兄弟子殿がやるというのに、俺が縮んでるわけにはいかんなぁ?」
「誰が兄弟子だ、奴の弟子になった覚えはない。」
スーパーサイヤ人に、更に大猿のパワーを上乗せし一時的な超パワーをその身に纏った悟空の兄。
悟空の隣に立った彼は片腕にその全てのパワーを集約していく。
その後ろからゆっくりベジータが並び立つ。
「ベジータ王子は背後に隠れてても構わんぞ?」
「黙れ、下級戦士が戦っているというのに黙って見ていられるか!」
その後ろから続々と戦士達が並び立つ。
例え無意味でも…最期に一矢報いてやると奮起する地球人達。
「シャオ…仇は討つぞ…!」
「俺だって…やれるだけやってやる…!」
「…いつまでも震えてるわけにはいかないよな!」
それぞれが自身の力を解放する。
全員のパワーを掛け合わせて…やっとセルに打ち勝てるか…?
そんな希望すら抱かせるほどの気の共鳴。
それでもセルは薄い笑みを壊さなかった。
「ここまで楽しめるとは、思わなかったぞ。」
「「「「「「「「!?」」」」」」」」
その体から迸るエネルギーがさらに膨れ上がる。
スーパーサイヤ人に…「気功法」を重ね合わせたのだ。
セルのパワーは更に一段階膨れ上がった。
「ば、バケモノめ…!」
誰が吐いた悪態なのか、全員が地球の終わりを覚悟する。
…太陽系消滅とはよく言った物、破壊の規模はそれをはるかに超えるのではないか?
そんなことを気にする余裕は戦士達にはなかった。
「くたばれぇ!!!」
その思考より早く、破壊神が死刑宣告を放ったからである。
「「「「かめはめ波!!」」」」
「激烈光弾!!」
「サタデークラァッシュ!!」
「ファイナル・フラァッシュ!!」
存在を懸けた、各々の最高の技が連なり、迫る極光に激突する。
力の差は歴然だった。
罷り間違っても、セルのエネルギーが彼らに負けることは決してない。
だというのに、セルは彼らをすぐに押し潰そうとはしなかった。
「はははは!!どうした!?最後の足掻きを見せてみろ!?」
徐々に徐々に圧をかけて少しずつ迫る消滅の光。
びしり…!と地面がひび割れて全員の体が下へと沈み込んだ。
「…悟飯。」
「…!?」
このあまりにも激しい音と光の中静かに響く父の声に、伏せかけた顔が上がるのを感じた。
「お前の力は、こんなもんじゃねえはずだ。」
「…すみません、今の僕には、これが精一杯です。」
「そんなことねえ、父ちゃんは信じてるぞ、お前の力を…!」
悟飯の奥歯がぎしり…!と軋む。
父からの期待に応えられない。
大好きな母も祖父も守れない。
姉の様に慕っていた小籠包も見殺しにしてしまった。
悟飯の穏やかな心にさまざまな感情がぐるぐると渦巻く。
悲しみ、悔しさ、怒り。
少しずつ、悟飯の気が大きく膨れ上がっていくのを皆が感じ取っていた。
「ご…悟飯…?」
黙って親子の会話を聞き流していたピッコロが初めて眉を揺らす。
強く大きな気だが、どこか甘さを孕んだ弟子の気配が変質していくのを感じるのだ。
「見せてくれよ悟飯!父ちゃんに、お前の本当の力を!」
「う……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
小さな小さな少年の体から途方もないエネルギーとスパークが一気に放出される。
この土壇場で、孫悟飯はモノにした。
己の中に深く深く眠る巨大な戦闘力を。
「ほう…?」
迫る極光が一気に押し返されていく。
このまま一気に押し返してセルを倒す!
そんな皆の気迫に対して現実は残酷だった。
「素晴らしい、素晴らしいぞ孫悟飯。貴様の様な奴がいたとはな?…だが残念なことに、貴様らはここで死ぬのだ。」
セルの気が更に膨れ上がった!
もう手加減などしない、そんな宣言の様に容赦のない極光が彼らを押し潰す。
…その瞬間だった…!
ーーー漸く隙を見せたな?
!?
全戦闘力をかめはめ波に乗せた瞬間、突如セルの頭の中に響いたあまりに冷たく暗い声。
ーーーこの桃白白様を出し抜いたことは褒めてやろう。…だがいかんなぁ?殺し屋を腹に抱えて油断をするとは。
くっくっくっと頭の中に響き渡る勝利を確信した含み笑い。
意識を持っていかれる度に地球の戦士達を押し潰すかめはめ波が揺らぎその隙を突いてしつこくも押し返してくる。
忌々しい…!彼らに押し潰されることなど万に一つもない。
この老人がやっていることは単なる時間稼ぎにすぎないのだ。
パーフェクトな頭脳が導き出しているこの計算結果に間違いなどあるはずもない。
「…無駄なことを…!型落ち品、風情がぁ…!!」
ーーーくく、あの馬鹿弟子にかつてこんな言葉を言ったことがある。完成とは終わりを意味する…だったかな?今の貴様には実に似合いの結末だなぁ?
自らが焼き尽くされれば死ぬと言うのに、この殺し屋は一体何がそんなに楽しいのか?
かっかっかっ!と実に耳障りな声で大笑いを始めた。
ーーー愉快愉快!!貴様はまだ自分が優位に立っていると思っておるようだ!ほれどうした完全体、あのような雑魚ども踏み潰せばよかろう?
「黙れェ…!奴らの次は…貴様ダァ…!今度こそ完全にィ…この私の中に吸収してやるゥ…!!」
ーーー負け犬の遠吠えほど聞いてて愉快なものはない。ほれ、早くせんと小僧どもの気功波が貴様を呑み込むぞ?
頭の中に声が響くたびに気功法が揺らぐ。
これは小籠包が心血を注ぎ命をかけて生み出した奥義。
借り物の技がそう簡単に扱えるはずもないのだ。
徐々に優位性は消えていき…拮抗状態から押され始めている。
今度は…セルが後一歩押し込まれれば敗北するところまで追い詰められる。
「うォォォォァァァァぁぁ!負ァけるかァァァァア!!」
完全体としてのプライドをかけて再び気功法を持ち直す。
一気に押し返した光の押し合い。
このまま殺してやるぞ…!
そんな勢いのままに彼の気がさらに膨れ上がる。
この地球は愚か…太陽系を飛び越えて全てを暗黒に終わらせるエネルギーを内包した破壊エネルギー。
一度は追い込まれたが、それもここまでだ。
やはり、やはり自分はパーフェクトな存在だ。
己が頭脳が導き出した結果すらも超える超完全体を名乗るに相応しい!
「くたばれェェェェェェェェ!!」
膨れ上がったエネルギー全てを掌に集約させてぶっ放すその瞬間、ぷつり…とエネルギーが途絶えた。
「え…?」
ーーー小童め、貴様の気など既に掌握*2しておるわ。このまま潔く死ぬのなら看取ってやったものを。
誰がやったのかなど言うまでもない。
自分は、初めからこの老獪なる殺し屋の掌の上だったのだ。
コンマ数秒…己の気のコントロールを奪われた無防備な瞬間。
小籠包の細胞を持つ彼なら次の瞬間には攻勢を取り戻せる。
しかし…そのチャンスを見極められないほど孫悟空は甘くはなかった。
「…今だ!!!」
「うァァァァァ!!!」
「!?」
唐突に膨れ上がる孫悟飯の巨大な戦闘力。
パーフェクトなセルに迫るほどのパワー。
それが一気に己のかめはめ波を飲み込み、彼を一気に光の奔流の中へと押し込んだ。
「ぎ…いぃぃぃぃぃぃ!!、そ、そん…な…ァ…ば、ばか、ば…かーーーーー」
頭の中に最期まで響く殺し屋の高笑いを魂に刻み込まれながら、セルは今度こそ…頭の中の核ごと、全身を焼き尽くされて…完全に消滅した。
二人の殺し屋と二人の人造人間と共に。
戦闘力更新
パーフェクトセル(小籠包吸収)
気功法重ねがけ:4000億
正に、おそろしい真のパワー
太陽系を破壊する極大エネルギーを迎え撃ったのは…
合体気功波
孫悟空600億
孫悟飯750億
ピッコロ300億
ラディッツ1200億
ベジータ450億
天津飯150億
ヤムチャ10万
クリリン45万
合計:3450億55万
なんとか、セルのかめはめ波を押さえ込むことに成功する。
さっさとトドメを刺せばいいのに、セルは何故か遊び始める。
…このわずかな時間に奇跡が起きた!
孫悟飯
超2:1500億
己の無力さ、不甲斐なさへの怒り、父への想い。
さまざまな想いが奇跡を生み、悟飯の真の力を引き出した。
伝説の戦士を更に超えた存在に超進化!
合体気功波:4200億
これでセルに勝てる…!と思ったのも束の間
セル
超2+気功法:4800億
全てのパワーを全乗せして戦士達に絶望を与えんとする滅びの光。
もうこれまでか?そんなところに現れた救世主!!
桃白白
基本最大:300億
老師桃白白現る!!!
実はしにたくないとガクブルしながらも…相手を煽るのは超楽しくて結構ノリノリでセルにマウント取っていた。
全部小籠包が裏でなんとかしていたのだが、セルは桃白白が自身を出し抜いたと最期まで気づかない。
うーん、これは老獪な殺し屋w
セル共々地獄に堕ちたのはいうまでもないのだが、何故か同じ行先じゃなかった弟子に対してなんでや!!!!!と叫んだのはいうまでもない。