ドラゴンボールAT 作:澄ましたガール大好きおじさん
閲覧してくださりありがとうございます。
しばらく主人公ちゃんのバトルがないので初投稿です。
天津飯と亀仙人が問答を終えた頃…悟空とクリリンの試合は白熱していた。
彼が戻ってきたその頃…悟空の凄まじい攻撃が…クリリンのダウンを取った瞬間だった。
「天兄どこ行って……いい事でもあった?」
「なぜだ…?」
ーーー私もそんな顔してたのね。
「?」
天津飯の顔には険が取れた…と言っていい。
憑き物が取れた、とでも言うべきか。
その様子に、小籠包は満足そうに笑い試合に目線を戻した。
「試合はどっちが優勢だ。」
「悟空くんかな。…でも彼も面白い。」
ダウンから復帰したクリリンは技のキレが上がったように見える。
普通、ダメージを受ければその動きは鈍るという物。
やはり彼らは逆境においてその真価を発揮する…あるいは、ダメージにも怯まないという強靭な精神こそが亀仙流の極意なのかもしれない。
激しい撃ち合いの末…その度に悟空の攻撃に終わる。
ダメージを一方的に負っているのはクリリン。
しかし試合の展開を握っているのもまたクリリンだった。
ーーー戦いを楽しむ心が悟空くんの隙…それをクリリンくんは理解してる…。
格上相手をどう攻略するのか、これは小籠包にとっても大変興味深い内容だ。
その証拠に悟空は相手の底が見たいからか、追撃を行わない。
それを逆手に取って…彼は試合の手綱をなんとか握れている。
何を狙っているのか悟空の周りを高速で動く。
…その末に掴んだのは悟空の尻尾だった。
ソレになんの意味が…そんな疑問が浮かぶ前に、彼はたちまち崩れ落ちてしまう。
彼女は知らぬことだったが…亀仙流の仲間内で悟空の弱点が尻尾にあることは周知の事実。
それをクリリンは利用した、さて…弱点を掴まれた少年はヘナヘナと崩れ落ちる。
その様子に、小籠包は違和感を感じずにはいられなかった。
ーーー私との戦いで…尾を使って反撃したはず
『あの世で彼の方に謝りなさい…死ね…!』
『ッ…小癪な…はな…せぇ!』
『ほっ…!』
あの時…仕留め損なったあの手刀を受け止めたのはあの尻尾だった。
仮に尻尾が弱点であるなら…あんな真似が果たしてできるものなのか。
ダウンのカウントが進行していく。
尻尾を握られダウンしたのならもう彼が起き上がることはない。
クリリンは勝利を確信した。念入りに尻尾を握る指先に力が入る。
が、そうは問屋が卸さなかった。
10カウントに到達しようというその時。
崩れ落ちたはずの悟空がけろりと立ち上がり、尻尾を捕まえるクリリンを持ち上げる離れ業までやってのけた。
後のクリリンに残された手段は…彼の実直さの隙をついた不意打ちしか残されていない。
「勝負、ありだな。」
「そうね…どう天兄、彼の実力は」
「おおよその力量は掴めた…奴があのままなら勝てる。」
「そう、なら
孫悟空は、戦いの中で進化する。
今も…超人的な脚力で武舞台を駆け回りクリリンの視界から完全に消えている。
これまた離れ業を披露しているところだ。
小籠包は彼の気を辿って辛うじてその位置を把握し…天津飯はその驚異的な視力で彼の動きを捉えている。
戦いの決着は…目にも止まらぬ拳の連打とトドメの一撃で…彼が場外に吹き飛ばされ…試合は終わってしまった。なにが起きたかわからない観客には…クリリンが驚いた拍子にリングアウトしたと信じて疑わない。
「シャオ、見てたか。」
「手刀が7発、蹴りが一発。瞬きしてたら見逃してたかも。」
「8発だ。…面白くなってきやがったぜ。」
「流石天兄。」
決着と共に二人は武舞台を後にする。
ーーー私にも最後の動きは見えなかった…彼の底が、見えない。
あの試合で孫悟空の底力を引き出したと思っていた。
それは力の一端に過ぎなかった。
彼はあれでもまだ
ーーー本当に、なんて子なの。
自分の力の無さを痛感する。
たかが武道会と侮っていたつもりなどなかったが、こんな感想を抱く時点でどこか慢心があったのは事実。
イチから鍛え直さなければ、孫悟空には勝てない。
そして、天津飯は
あれほどの技を見て、臆するどころかむしろ闘志を見なぎらせている。
勝てる見込みがあるということだ。
ーーー貴方の底力、見せてもらうよ、孫悟空。
自分もこのままではいられない。
己の弱点はわかった。
彼が自らの弱点を克服したのなら、自分も克服してみせる。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
明朝、目が覚めた天津飯は…寝床が一つ空になっていることに気がついた。
横で眠る餃子を起こさぬよう、静かに部屋を出る。
廊下を歩き…階段を降りていく。
ーーーずん…!
何か大きな物が…いや、これは気配か。
建物のすぐ近くにいる…!
舞空術を使う勢いで階段を飛び降りた。
ーーーあれは…!
小籠包だった。
ホテルの庭で気を昂らせている彼女の姿がそこにあった。
天下一武道会で見せた気の解放をしたその瞬間であった。
「…ふぅぅ…!」
「何をしている、シャオ。」
「おはよう、早起きだね。」
「お前の試合は終わった…何をしてるんだ。」
修行かな。
頬を恥ずかしげに掻いた彼女はそうつぶやいた。
昂らせた気を収めるでもなく、彼女はその闘気をを纏ったまま彼と会話を続ける。
「お前、まさか。」
「そう、この状態で日常生活を過ごすつもり。」
「馬鹿、そんな無茶をする奴があるか!どれだけ負担のかかる技だと思ってる!?」
「こうでもしないと、貴方達を越えられない。」
「……!」
強い目…彼はそう感じた。
これまで彼女が闘志を剥き出しにしたことなど、今までなかった。
力の差に対しての負い目、引け目など一切なかった彼女から考えられぬ対抗心。
「それに、良い目覚ましになったでしょ?」
「ふ…言いやがるぜ…その程度で俺が肝を冷やしたとでも?」
「今冷やしてたでしょ。」
確かに。
二人の笑い声が朝焼けの空に響く。
そうしてる最中も、小籠包は気の解放を維持し続けていた。
あの試合が初披露だったと言うだけでその技は念入りに調整されていたことを証明している。
ーーー俺もうかうかしてられんな。
彼は″気の集中″は出来ても、″気の解放″はできない。
技の扱いにおいて…小籠包は彼の上を行く。
鶴仙流たっての天才、麒麟児と言われてきた彼だが
小籠包もまた紛う事なき天才…今は自分が少しばかりのリードをしているにすぎない。
何より恐ろしいのが、これまで″自分″にしか興味のなかった殺し屋が、相手に対抗心を燃やす″武術家″に変わった。
これがどう進化するか、誰にも想像もできない。
″気″とは…負荷を掛ければかけるほどその最大値を高めていく。
少し先の未来で…サイヤ人達が重力トレーニングにより大きく進化を遂げたのは、まさしくそれだ。
界王星しかり、宇宙船の重力室、そして精神と時の部屋。
ただ戦闘力をあげるだけが気の本質ではない。
肉体を強固にする為に気を昂らせる。
高い気を全身に漲らせ重力に逆らうその行為は、トレーニングとして最適解だったと言っても過言ではない。
さて、話を戻そう。
彼女の″気の解放″は常に最大のパワーを全身に纏わせる…いわば擬似的な重力トレーニングに近かった。
その効果がどう現れるかは未だ先の話なのだが。
小籠包のこの選択肢は無茶ではあったが、見当外れではなかったと言える。
このことに気づかせてくれたのが…好敵手、孫悟空だ。
あの日…普段では絶対にしない″限界を超えた気の解放″を彼女は敢行した。
結果戦闘力はガタ落ちし、彼のかめはめ波の前に屈することとなった。
しかし翌日の朝…つまり今日…なんとなく気の扱いがスムーズになった感覚を覚える。
故に、この選択だ。
力の扱いをさらに上手くする事を目的とした修行だがこれには更なる効果が見込める。
有事の際に一切のラグ無しにフルパワーへの移行が可能。
更に、もしこれが常時解放に到達すれば、彼女は常に一定の防御能力を有する事となる。達人級の攻撃はともかく、生半可な攻撃では彼女に傷一つつかなくなるだろう。
これは防御が脆いという彼女の弱点も同時に克服することになるのだが…。
今の彼女にはここまで気づけてはいない。
この広場にて天津飯の朝の鍛錬…簡単な組み手に付き合った。
程よい汗を流した二人は…餃子の起きる頃には部屋に戻る。
彼女の発する気配に彼もまた寝起きにドッキリを喰らう羽目になるのだった。
第22回天下一武道会の決勝戦が、遂に始まろうとしていた。
戦闘力更新
小籠包 180
※気の解放の常駐開始
重力トレーニングについては個人の感想です。
重力を絡めたトレーニングはあの世界では特別な意味があるのは何故だろうと考えた結果こうなりました。
多分シャオランちゃんも重力トレーニング信者になると思います。
次話鋭意製作中!気長にお待ちください!完成したら投稿します!
閲覧ありがとうございました!
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