ドラゴンボールAT   作:澄ましたガール大好きおじさん

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 閲覧ありがとうございます!

 タンバリンの名前が余りに恐ろしいので初投稿です。


ピッコロ大魔王編
其之十七 魔族の恐怖、俺様の名はタンバリン!


 

 さて、シャトルバスは程なくしてレストランへとたどり着いた。

 途中から終始、無言になった彼女は最後尾…悟空と並び歩く。

 

 「小籠包、どうしたんだ。腹でもいてーんか?」

 「…うん、そうかも。」

 「そっか、あんまし無理すんなよ、オラがお前の分も食ってーーー

あぁ!?じっちゃんの形見と如意棒…会場に置いて来ちまった!」

 

 会場にとんぼ返りしようとする慌てた様子の腕を掴む。

 悟空はこの打ち上げの主役の片割れだ、行くのなら、一回戦敗退の自分あたりがちょうどいい。

 

 「私が取ってくるよ、天兄との戦いでへとへとでしょ。」

 「…じゃあ俺も行きますよ!女の子一人…行かせる訳には行きませんからね!」

 「私、クリリンくんよりも強いよ?」

 「…ちょ…ソレは言わないでくださいよ〜!」

 「ごめんごめん、頼りにしてるわ。」

 

 宴の席は、先に始めてくれと一言告げて、二人は悟空の忘れ物を取りに会場へと戻ることとなった。

 先ほどの嫌な気配…一人で動くことにためらいがあった。

 クリリン程の実力者が一緒にいれば…余程の相手が来ない限り、不覚は取らないだろう。

 

 「小籠包さんって、何歳から武道を?」

 「シャオランでいいわ。呼びにくいでしょ?6才かな、お父さんとお母さんが野盗に殺されちゃってね。」

 「…ぁ、すみません。」

 「気にしないで、クリリンくんはどうして武道を?」

 「ぁ〜え〜男なら強くなりたいっすからね!は、ハハ…!」

 

 そんな雑談をしながら、クリリンの明るさに不安を薄めていく。

 ……その考えが余りに甘かったのを痛感するのはこの僅か30分後の出来事だった。

 小籠包の予感は最悪の形で外れてしまった。

 

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 控え会場にはアナウンサーが後片付けをしていた。

 

 「おや、クリリン選手に小籠包選手、どうかされましたか?」

 「ここに…オレンジ色の玉と、赤い棒がありませんでしたか?あれ、悟空の忘れ物なんです。」

 「そうでしたか、ありますよ。こちらです。」

 

 忘れ物として一元管理されていたソレらがクリリンに手渡される。

 

 「綺麗な玉…悟空くん、意外な趣味があるのね。」

 「ドラゴンボールっていうんです。7つ集めると、どんな願いでも叶うんですよ。」

 「どんな願いでもって…御伽話じゃないんだから。」

 「本当ですって、死んだ人間を甦らせることだってできるんですよ。」

 

 一生懸命、この玉の凄さを語っている彼を聞き流す。

 そんな便利なモノがあるなら今ごろこの世は大混乱だ。

 小籠包はこの世界の人間が如何に欲深いかを知っている。

 だからこそ、そんな玉の存在を安易に信じる気にはならなかった。

 

 「いいから、行こう。みんな待ってるから。」

 

 ーーーその玉を渡して貰おうか。

 

 高圧的な声、クリリンでもアナウンサーのモノでもない。

 高い天窓から、緑色の肌をした怪物が三人を見下ろしていた。

 爬虫類を思わす大きな口と、翼、緑肌には毛の一本生えていない。

 小籠包と同じ異形の存在。

 黄色の瞳が大きく見開く。

 

 ーーーこいつだ…私の感じた…嫌な気配は!

 

 「なんだよお前、ソレがヒトに物を頼む態度か?」

 「クリリンくん!そいつに近づいちゃダメ!」

 「え…?ァ……!?」

 「!?」

 

 一瞬の出来事だった。

 窓からの影がクリリンに接近して、その顔面を蹴り飛ばす。

 同時にクリリンが発する気が消失した。

 

 即死。

 

 応急処置など間に合わない、もう既に彼は死んでいた。

 この世で10本の指に入る超達人のクリリンが、だ。

 「弱いな、弱すぎるぞ小僧…なんだもう死にやがったのか。」

 

 文字通りの化け物が、口を開き、その亡骸を足蹴にする。

 その目は怯えるアナウンサーを捉えた。

 

 「天下一武道会の名簿を出せ、そうすれば…見逃してやる。」

 「こ、これです。」

 

 差し出されたソレをひったくる彼は傲慢さが具現化したような男だった。

 

 「なんだこいつ、大会出場者だったのか。だとしたら程度が知れたな…ンン?」

 

 さて、ここで漸く彼は小籠包に目を向けた。パラパラとめくった名簿と、その顔を見比べる。

 

 ーーーこいつの目的は、なに…?

 「ほう、貴様も出場者か。大魔王様の命だ貴様もついでに殺してやる。この雑魚のようにな。」

 

 再び、彼は亡骸を蹴り飛ばした。まるで路端の石を蹴り飛ばすかのような気楽さ。

 同時に目の前の怪物に小籠包の頭の中は真っ赤に塗りつぶされていく。

 コイツは、生かしては、おけない。

 

 「死ぬのは、お前だ…!」

 「ほう?威勢が良いな。お前の様な女は好みだ。どうだ?俺の女にならないか?大魔王様に生かして貰えるよう口利きしてやろう。」

 「…トカゲに売る媚は持ち合わせていないの。」

 「バカな女だ…この場で死ーーーごァァァァ…!?」

 「相手を見て物を言いなさい。」

 

 いきなりのトップスピード。

 気の解放を維持する訓練の副次的効果、力を引き出すラグがないこと。

 怪物の腹に拳を食い込む、どうやら急所の位置は同じ様だ。

 

 「き、貴様…!何者だ。」

 「大魔王様ってのは部下の教育もできない馬鹿なのね。…人に名を尋ねるのなら、自分から名乗りなさいトカゲ野郎。」

 「…ッ…良いだろう、冥土の土産に教えてやる。俺様はタンバリン!魔族の王…!ピッコロ大魔王様ーーーおご!?」

 

 高らかに名乗りをあげる彼の頬を、容赦なく蹴り飛ばす鬼がいた。

 患部を抑えながら信じられないモノを見る、タンバリンと名乗った怪物。

 

 「戦いの最中にくっちゃべってるからよ、バーカ。」

 

 速い、この自分をもってして見切ることができなかった。

 タンバリンは今一度、名簿に書かれた名前を頭に刻む。

 この女は危険だ、一人でやるには手数が足らない。

 

 「女ァ…ッ…ほう小籠包と言うのか、その名前覚えたぞ!今日のところは見逃してやる…!次は確実に殺す…!」

 「ッ…逃すーーー速…!?」

 

 恐ろしく速いスピードで魔族を名乗った怪物は会場を去っていった。

 後に残されたのはアナウンサーと小籠包、クリリンの亡骸のみ。

 

 「クリリン…くん…!」

 

 熱を失った彼の身体を抱きしめて懺悔する。

 あの時…自分がアイツと真っ先に戦えば…!

 およそ人ではない悪意の塊のような気に当てられ、思わず怯んでしまった。

 そのわずかな隙さえなければ自分が彼を庇うことだってできたのだ。

 

 ーーー私の、せいだ…!

 

 彼らは…鬼姫と同じだ。

 殺すと決めたら躊躇はない。

 故に…パワーで大きく劣っていたクリリンは、彼にあっさりと殺されてしまった。

 奴らは呼吸するように人を殺す。

 そこに躊躇だとかそういうものは一切ない。

 

 意識を集中して、気を探る。幸い先の様なスピードは長く維持できないらしい。

 あんな怪物を野放しになんてできない。

 チャイナ服を脱ぎ捨てる。彼を追うつもりで舞空術を構えたその時。

 

 「クリリン!…どうしたんだ!しっかりしろ!」

 

 打ち上げ会場で食事をしているはずの悟空たちが到着した。

 既に冷たくなった亡骸に、悟空は親友の死を理解する。

 

 「何があったんだ。」

 「…タンバリンっていう魔族を名乗る奴が…殺して、あのオレンジ色の玉を持っていったの。」

 「ちく、…しょォ…!ブルマ!ドラゴンレーダーをかしてくれ!」

 「ぇ…ちょ…孫くん!」

 「待て!待つんじゃ悟空!」

 

 もう彼の耳に音は入って来ない。彼はあっという間に武道会場を出ていってしまった。

 

 「老師、悟空くんを連れ戻してきます。…私なら、彼の気を辿って追えます。」

 「うむ…シャオよ、気をつけよ。奴らは…」

 「わかってます、もう…油断はしません。」

 「違うのじゃ、逃げよ…今のお主らでは…ピッコロ大魔王には勝てん。」

 

 大魔王、その言葉はさっきも聞いた。

 名前からして、彼らの親玉であるのだろう。

 そしてタンバリンよりも、強い。

 亀仙人の言葉の重さを理解した彼女は静かに頷く。

 

 「悟空を…頼んだぞ…!小籠包。」

 「はい、行ってまいります。」

 「まてシャオ、俺も行こう!」

 「ならん、お主は悟空との戦いで力を使い果たしておる。…殺されるのがオチじゃ。…シャオよ、絶対に戦ってはならん、悟空を連れて逃げてこい、よいな?」

 

 小籠包は力強く頷き、会場を飛び出した。

 

 ーーー死ぬなよ、二人とも。

 

 亀仙人の言う通り、今の悟空は決勝戦で精魂使い果たしている、

 あんな怪物とまともにやりあえる力など残ってはいない。

 彼まで死なせる訳にはいかない。

 

 ーーーこっち…!

 

 彼の気は未だそう遠くには行っていない。

 これならすぐにでも追いつける、速度を上げたその時、突如彼のスピードが上がった。

 

 ーーー悟空くんの気が、どんどん離れてく…?

 

 もう埒があかない。

 小籠包も舞空術で空を舞う。

 しかし、どうしても追いつけない、ソレどころかどんどん離されていく。

 

 ーーー体力の温存を考えてる場合じゃない…

 

 気を入れる、大きく力を使ってしまうが、二人がかりなら彼を撃退くらいならなんとかできる。

 ソレでも悟空の速さは彼女より僅かに速い。

 たどり着いた先は木々の生い茂る湿地帯だった。

 次第に距離が詰まっていく、同時にあのタンバリンとかいう魔族の気配も感じた。

 

 ーーー…間に合って!

 

 すぐ近くまで来たところで…木々の中からタンバリンが飛び立つのが見えた。

 慌てて高度を下げて様子を伺う。

 どうやら、こちらには気づいてない様子。

 …そして弱々しいが微かに悟空の気を感じた!

 

 ーーー未だ、死んでない!

 

 幸いな事に、連中はこちらの気を察知する能力はないらしい。

 悟空を殺したとでも思ったのか、タンバリンの気はどんどん離れていく。

 急いで悟空の発する弱々しい気を辿る。

 虫の息だが、微かに息のある悟空がそこにいた。

 あの魔族は死亡したことを彼は確認しなかったらしい。

 

 ーーーあのトカゲが馬鹿で助かった…。

 

 気絶する悟空をおぶって皆の所に戻るところでその足は止まった。

 

 『ほう、貴様も出場者か。大魔王様の命だ貴様もついでに殺してやる。』

 

 あのタンバリンの目的はわからないが…高名な武闘家を狙っていることは間違いない。自分も彼らの標的の一人、一箇所に集めるのは得策とは言えない。少なくとも…自分が狙われてるうちは、他の武闘家には危害は及ばない。

 幸い悟空を殺したと連中は勘違いしているし、自分は身内からも行方不明の状態。

 

 ーーーあのタンバリンは、私でも倒せる。…アレ以上が来たら…覚悟を決めるしかないわね。

 

 そこまで考えたところで…大きな腹の虫が背後から響く。

 

 「もう、こんな時に呑気なんだから。」

 

 気絶する彼を背負い直すと、小籠包は先ず食料の調達にと森の中を探すことにした。

 





戦闘力更新

タンバリン 150.

 タイトル詐欺、まともに名乗らせてはくれなかった模様。
 お若い中尾さんの声も良い……今のような落ち着いたフリーザ様も好きだけどギャンギャン尖った、きぇぇぇぇ!だけで得られる栄養素があります。
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