ドラゴンボールAT   作:澄ましたガール大好きおじさん

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 閲覧くださりありがとうございます。

 最近鶴仙人みたいなステレオタイプのクソジジイを見かけないので初投稿です。

 


其之一 桃白白敗れる…?

 

 「天下一武道会…ですか?」

 

 早朝、師である鶴仙人に呼び出されたシャオランは小首を傾げた。何でも…天下一武道会なる…この世で最も強い武術家を決める大会に、お前も出場しろとのことだ。

 自分に選択肢はない。これはお願いではなく命令だ。鶴仙流において老師の言は絶対。だからこそ彼女のその様子に老師は怒りを顕にする。

 

 「なんじゃ、ワシの言うことが聞けないというのか?」

 「…申し訳ありません、私もご同行させていただきます。」

 

 ふん、それでいい。恭しく頭を下げる少女に溜飲が下がったか、機嫌を直す鶴仙人。彼の見えない所で小さくため息を溢す。

 

 ーーー武術家相手に、どう戦えばいいのよ。

 

 用は済んだと部屋を追い出された彼女はそんな言葉を溢す。

 少女、小籠包(シャオランポー)は殺し屋である。幼い頃、天津飯と餃子にその命を拾われ彼らの後を追って鶴仙流の門を潜ることとなった。兄弟子に先んじて、裏稼業に身を置くことになった彼女は…裏社会では少々名が知れている。

 

 さて、そんな自分の真価はルールに守られたゲームではなく、ルール無用の殺し合いで発揮できる。これは武道を軽んじてるのではない。寧ろ逆、彼らはそんな制約を課せられても自分の力を十全に発揮できる自分などよりよっぽど尊い存在、そんな中に混ざるなどと…彼らに対する侮辱も甚だしい。

 ルールのせいで全力を出せません、なんて何の言い訳にもならない。むしろ勝手にハンディキャップを背負うのだ、武術家に対してこれほど不義理なことはないだろう。

 そして、自ら積極的に一般人に手をかけられるほど、彼女は非情ではなかった。無論、相手がこちらを害するつもりなら話は変わってくるが、今回はソレに当てはまらない。

 つまり自分は技に制約をかけて彼らに挑まなければならない。武術家相手にどう戦えばいいのか、とはそういう意味だ。

 

 「シャオ、顔色わるい、どうした。」

 

 考え事をしていた彼女のまえに二人の男。自分が兄と慕う二人の兄弟子、天津飯と餃子。先ほどまでの師に対する凛々しい態度から一転し…頬を膨らませて拗ねた様子を隠せない。

 

 「老師に天下一武道会に出ろって、言われた。」

 「やはりお前もか、偶にはお前と本気でやり合いたいからな、ちょうどいい機会だ。」

 「…出たくない。」

 「殺しの技が使えないからか?」

 「!」

 「図星か、これも修行のうちだ、加減を覚えろ」

 「そんなの要らないでしょ、始末(お掃除)するのが私の仕事だよ。」

 

 目の前で頬を膨らませて拗ねる少女が殺し屋と誰が想像つくのだろうか。

 彼女のコレが慢心ではなく方便であることを彼は知っている。誰よりもストイックに技を磨き…流派の奥義の悉くをあっさり極めた天才少女。とはいえ、彼自身も超天才と呼ばれるに相応しく、齢20という若さで既に皆伝を頂いているのだがそれは別の話。

 こんな末っ子調子な彼女は先に語った通り、裏社会ではとある渾名で恐れられている。

 

 ーーー鬼姫

 

 彼女の裏の顔、彼女を恐れた連中が勝手にそう呼んでいるだけである。妖と見間違える褐色の肌、額に生える2本の触覚…明らかに人ではないその容貌、しかしそれらに目を瞑れば可憐とも呼べるその顔立ちから繰り出される無慈悲な殺しの技。いつしか彼女は鬼と呼ばれ、最後は畏怖の意をこめられて姫…鬼姫と呼ばれる様になった。

 が、自身の容姿に酷いコンプレックスを抱いているシャオランはこの名前を嫌っている。お姫様だろうがなんだろうが…この褐色の異形の容姿を揶揄されたこの名前はかつて妖と石を投げられた幼い頃を想起させるためだ。故に、正面切って彼女をその名で呼ぶ者はいない。

 

 「しかし、鶴仙人様はなぜ突然天下一武道会に…」

 「前回の大会で、亀仙流のお弟子さんが活躍したのが気に入らないんだって。」

 「それで俺たちの出番という訳か、全くあの人らしいな。」

 「うん、優勝は天兄で決まりだろうね。」

 「ふ、そうだな。」

 「天さんもそうだけど、シャオも強い、優勝は二人でキマリ。」

 「わかんないよ、決勝は天兄と餃兄の一騎打ちかも。」

 「良い機会だ、俺たちの中で誰が一番か…はっきりさせてやろうじゃないか。」

 

 三人は同門の優勝を疑わない、井の中の蛙、大海を知らずとはよく言った物だが、彼らの場合は違う。天津飯と餃子は各地を渡り歩き、シャオランは裏の世界でそれなりの猛者たちを知っている。

 自分達を脅かす存在などそうはいまい、それこそ…自分たちの知らぬ世界が…この地球上に存在し得るのなら…。そんな彼らの常識と世界が一転する運命の日が来るとは、この時の三人は知るよしもなかった。

 

 「前回の優勝者は…ジャッキー・チュンという老人か」

 「誰それ?」

 「さぁな、無名の老人だそうだ。…もっとも…亀の連中と良い勝負のジジイだ、俺たちの敵じゃないさ。」

 「うん。どうせ、大したこと、ない。」

 「本当にそうかな…」

 「始まった、シャオの悪い癖。」

 「慎重って言ってよね、私達には必要なことよ。」

 「どちらにせよ、大会が始まればわかることさ、誰が一番強いのかな。」

 

 小籠包の脳裏に引っかかる無名の達人。もし、もしも仮に、その達人が()()()()()()()だったとしたら、優勝争いした亀仙流の門下生とやらは脅威になる。単純な力だけで言えば自分たちは既に老師鶴仙人を超えている。…しかしこの世界は単純なパワーだけでどうにかなる世界ではない。300年という途方もない年月で積み上がった彼らの″武″は多少のパワー差などひっくり返る。その領域に…彼の老戦士が至っているのなら…念の為、準優勝の奴のこともリサーチしておいた方がいいだろう。

 

 「どこに行く。」

 「調べ物、惜しくも優勝を逃した亀さんのね?」

 「ふ、好きにしろ、いくぞ餃子。」

 「うん。」

 

 ああなっては止まらない、気の済むまでやらせてやればいい。大会は一週間後、今から根を詰めても仕方ない。大会でフルパフォーマンスを出せる為に調整さえしておけばいい。

 少々心配性な妹弟子を尻目に、彼は餃子を連れて本日の鍛錬へと繰り出した。

 

 

 

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 翌日、小籠包は情報屋から仕入れたモノを吟味していた。

 

 優勝者:ジャッキー・チュン。

 突如現れた老練の武術家、表の世界だけでなく裏の世界にもその名を知るものはいない。文字通りポッと出の強者、決勝戦では突如大猿の化け物に変化した対戦相手に対して、月をも破壊する「かめはめ波」なる技を使用。その後、元の姿に戻った対戦相手を下し、優勝する。

 また、残像拳や″萬國驚天掌″なる相手の動きを止めたりと多彩な術の使い手でもあり、紛れもない達人。

 

 ーーーこんな達人が、この齢まで世間の目に知られない、なんてことがあるの?

 

 相手は月を…衛星をも破壊できる超人だ。そんな人物が表の世界にならいざ知らず…裏の世界にまで知られてないとはどういうことか…?答えは一つ、偽名だ。この老人は何らかの理由で身分を偽っている。…しかし彼は重大なネタバラシをしている。

 

 ″かめはめ波″これは、武術の神が編み出したと言われる奥義、鶴仙流で言うところの″どどん波″の様なもの。そしてそれを自在に操り、月をも破壊する威力を出力する、老人。ともあれば彼の正体は考察するまでもない。

 

 ーーー亀仙人…鶴仙人様と、かつて双璧をなしていたとされる仙人、でもどうして?

 

 わざわざ身分を隠す意味がわからないが、弟子たちに悟られたくない理由でもあったのか、こればかりは彼の人となりを知らない自分には考察のしようがない。

 

 ーーー本人に会って、直接聞いた方がいいわね。

 

 さて、彼女の懸念は的中した。天津飯が″敵ではない″と評価する大前提が崩れたのだ、これは準優勝の少年″孫悟空″の情報も欲しい。

 

 準優勝:孫悟空

 武天老師が近年傘下に入れた新たな門下生の一人。彼の扱う奥義である″かめはめ波″を使いこなす尻尾の映えた少年。決勝戦では優勝者と一進一退の攻防を繰り広げ、最後には敗北を喫した。

 無類のタフネスに加えて大猿の怪物に変身する能力を持つ。力任せに戦うばかりではなく、ジャッキーとまともに渡り合うなど技量のほども高い。将来は間違いなく、名のある武術家に成長するだろう。

 彼の資料はまだ続いた。彼のレッドリボンをたった一人で全滅に追いやり、殺し屋″桃白白″をも倒している。

 

 

 ーーー…ちょっと待って!桃白白様が…負けた?

 

 そんな話は聞いていない。確かにここ最近、姿を見せてはいないが、まさかこの″孫悟空″という少年に敗れ…殺されたからでは…?この情報が間違っているという線はあり得ない。信頼に足る人間からもらった物だし、何より彼の″武天老師″と互角に渡り合ったのだ。それだけでこの情報の信憑性は高くなる。

 

 ーーー鶴仙人様に…報告しないと…!

 

 こんな重大な事を何故我々は知らないのか…危ないところだった、このまま大会に出場していたら彼らに対する認識を誤ったまま…大会に臨むところだった…!彼女は急ぎ…師の元へ走った。

 

 

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 「なんだと!?我が弟の桃白白が…彼奴の弟子にヤられた!?」

 「…はい、前回の決勝戦進出者を調べさせました。」

 

 差し出す資料をひったくった仙人はわなわなと震え始める。…怒り、しかしそれは身内をヤられた恨みではない。自分の忌み嫌うライバルの門下生に敗れたというしょうもないプライドから来る屈辱による怒り。対して小籠包は冷ややかだった。彼は偉大な武術家で敬愛する師なのだが…こういうところがつまらない。

 

 「こやつも大会に出場するのか…よし、シャオよ…この小僧を殺せ…試合の最中にな…!」

 「私でよろしいのですか?…相手は桃白白様を下した強敵です。私では力不足かと。」

 「何を戯けたことを、試合の最中、餃子の奴に妨害をさせればよい。その瞬間、お前は奴を仕留める…そう、当たり所が悪く…この小僧は不運にも命を落とすのだ…!」

 「承知しました。桃白白様の仇…必ずや取って見せましょう。」

 「ククク…期待しておるぞ?″鬼姫″?」

 「……失礼します。」

 

 自分の最も嫌う名を口にされた不快感を押し殺して、頭を下げる。満足そうに口髭を弄る師を背にする。これで、自分にも大会に出場する理由ができた。餃子の妨害さえあれば…確実に殺せる。不慮事故を装うことなど…自分にとっては造作もないことだ。

 何より、自身の敬愛する男を奪われた怒りに拳に力が入る。

 

 ーーー孫悟空、我が師の、仇…!

 

 父から受け継いだ黄色と黒の瞳に爛々と復讐の色を静かに揺らめかせ、二人の兄弟子の元へ急いだ。

 




 
 初期天津飯の癖にだいぶ現代よりか?って思うかもですが身内にはこんなモンかなと思います。てか、そうでもしないとこの物語の前提がry

パラレルワールド万歳!!!

 あ、主人公ですが鳥山ワールドのキャラらしくボインのピチピチギャルです。よろしくお願いします。肌がちょっと赤ピンクなくらいですね。

 現在4話までストックしています。
 一週間おきにちびちびと出して行く予定です。
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