ドラゴンボールAT   作:澄ましたガール大好きおじさん

22 / 120

 閲覧ありがとうございます!

 このタイトル気に入ってるので初投稿です。

 鋼龍様 誤字報告ありがとうございます!!!助かります!!!


其之ニ十 クリリンの仇!悟空怒りの超鉄拳!

 

 シンバルの死は大魔王に直ぐに伝わった。

 身を痛めて産んだ我が子との繋がりが、プツリと途切れたのだ。

 あり得ない、この世に魔族を上回る人間などいるものか…!

 そこまで考えたところで、タンバリンの報告を思い出した。

 

 ーーーシンバルは確かにタンバリンより数段格下の戦士…奴が苦戦するのなら…シンバルがやられた事にも説明がつく。

 

 計画変更だ、シンバルを倒したやつはこの大魔王自ら制裁を下してくれる。

 

 ーーータンバリンよ、聞こえるか?

 ーーー大魔王様!いかがなされました。

 ーーー今すぐワシの元へ戻ってこい。

 ーーー承知しました…何かよくないことでも?

 ーーー先ほど産んだ我が子が、何者かにやられた。

 

 テレパシー越しにも動揺が伝わる。

 魔族を屠る程の実力者…恐らくタンバリンを撃退したあの小娘だろう。

 

 

 ーーー…承知しました、大魔王様、どうかお願いが。

 ーーー言ってみろ

 ーーー…小籠包という小娘は…是非私の手で殺させてください。

 ーーーよかろう、念の為だワシも出る。

 ーーーだ、大魔王様自ら…!?

 ーーーそうだ、奴らは生かしてはおけん、確実に始末しなければ。

 

 テレパシーはその性質上、言葉以上に相手の感情を受け取りやすい。

 敬愛するも恐ろしい主人が本気でキレている。

 そのことに戦慄を隠すことができない。

 しかし同時にタンバリンは、主人と共に戦場に立てる名誉に打ち震える。

 

 ーーー承知いたしました。このタンバリン、命に替えてでも大魔王様のご期待に添えて見せます。

 ーーーうむ、すぐに戻ってくるのだ。

 ーーー承知しました。

 

 テレパシーを終えて、眼下でカタカタと震える矮小な三人組を見下ろす。

 

 「あのボールの反応を追え!」

 「は、はぃぃぃ!?」

 

 飛行船は速度をあげる。目標は凄まじい速度で移動中のボールの反応だ。

 

 ーーーこのピッコロ大魔王様に刃向かったこと、後悔させてくれる…!

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 シンバルを下したヤジロベーは何の迷いもなく魔族の血抜きを開始した。

 本当に食べるつもりなのである。

 その手際は実に見事で彼のサバイバル経験の高さが伺える。

 

 程なくして処理を終えた彼は大きな焚き火の上でシンバルだったモノを焼き始めた。

 

 満腹の悟空にとっては″そんなモン食うのか″という感想だったが、なんだかんだ朝食を食いっぱぐれている小籠包に…肉の香ばしい香りは実に胃に優しくないモノだった。

 酷い飯テロである。

 

 ーーーお腹空いたなぁ…

 

 とはいえ、こちらは彼の朝食を奪った立場*1、自分も何か食べ物を探しに行こうと悟空に一言告げようとした時

 

 「おい、お前…分けてやる。」

 

 今しがた焼けたばかりの肉。先ほどまで自分たちを殺すと息巻いていた怪物だったもの。

 「でも、ヤジロベーのご飯でしょ」

 「俺一人じゃ食い切れねーよ。手伝え。…お前にはやらねーぞ」

 「だから、いらねーって」

 

 嘘だ、先ほどまでどこから食ってやろうか、よし全部食えばいいな!と目を輝かせていたのはどこの誰だったのか。

 

 「そんな状況で行き倒れられたら、寝覚めが悪ィ…さっさと食え。」

 「ありがとう。」

 

 さて、受け取ったはいいものの、ミディアムレアな魔族の肉。

 いざ目の前にすると、抵抗があるなんてモノではない。

 だが…肉の断面からは透明な脂が溢れて美しく光っている。

 思い切って、小籠包はかぶりついた。

 

 「美味しい…?」

 「なんで疑問系なんだよ。」

 

 不思議な肉だった。しっかりと歯応えはあるのに、それでいて噛み切れる程に柔らかく。噛むほど濃密な肉の脂が滲み出る。

 食材の調達先と、調理過程を見ないままに食べたのなら、間違いなく美味いと断言できる。

 

 …が、これは魔族の肉である。

 

 クソッタレな外道とはいえ、つい先ほどまで知的生命体だったモノである。

 

 コレを手放しに美味い!と喜べるほど小籠包は頭を空っぽにはできなかった。

 

 「じゃ俺も一切れ…うぉぉ!?なんだこりゃあ!?うめぇぞぉ!?!?」

 

 対するヤジロベーは頭空っぽにして食事を楽しむことができる幸せな人種だった。

 すっかり上機嫌になったヤジロベーはおかわりを小籠包に次々と勧めていく。

 

 美味い、美味いのだが…このなんとも言えない気持ちに半泣きになりながらお肉を口に運ぶ。

 腹を満たす満足感より、空腹に敗北した虚無感が勝り、余りの美味さか、あるいは悲しみか…彼女は泣きながら飢えを満たしていく。

 

 ーーー天兄…餃兄…今日から私は蛮族です……。

 

 世界の危機だというのに大変呑気な青空に兄弟子たちの笑顔を浮かべて、懺悔でもするかのように黄昏れた。

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 「お前らともここまでだな」

 

 食事を終えて一息ついたヤジロベーが言い放つ。

 綺麗な女の子の手前カッコつけたが、本当はあの大変美味な怪物の肉を独り占めしたかった。

 本当は、魚泥棒の意趣返しに施してやるつもりなどなかったのだ。

 

 『おめえ、女ほったらかして自分だけ腹一杯食うとは見下げ果てた野郎だな!』

 

 こんなことを言った手前、彼は肉の独り占めを諦めざるを得なかった。

 ヤジロベーはそこそこプライドが高いのである。

 しかも泣きながら食うのだ、そんなに感動されたら満足行くまで食わせてあげたくなると言うのが人情である。

 幸いな事に少食であった彼女は何度か勧めれば食べなくなった。

 

 とはいえ、やはり食い足りない。

 最初はコイツらと居るのも面白いと思ったが、こんなことなら独りの方がよっぽど気楽。…と言うわけで先の台詞である。

 

 「あいつらの仲間が大挙してくるよ。」

 「好都合じゃねえか、さっきのやつみたいに食ってやるよ!」

 

 成功体験というのは時に良くない思考をもたらす。

 どの個体も…シンバルのように彼の手に負える訳ではないのだ。

 そこを見失ってしまう。

 

 彼は知らない、彼の欲する肉がこの世界を滅ぼす最悪の大魔王であることを

 ソレを好んでモグモグしてたのがバレれば逃れようもなく処刑対象になることを

 

 「なぁ、ヤジロベー、ドラゴンボールが6つ揃ったらその玉貸してくれよ。」

 「お前、話聞いてたか?お前らとはここまでだって言ってんの。」

 「ちょっとだけでいいんだ、頼むよ。」

 

 悟空も人が悪い。

 願いを叶えればこの綺麗な玉は世界各地に飛び散った挙げ句石に変わるのだ。

 彼の貸してくれ、は寄越せと同じ意味なのである。

 

 「騙されねーぞ、そげなこと言って、俺からこいつを掠め取る気だろ?」

 「んなことねーって、ソレに…お前の近くにいたらあの悪い奴らが来るからな。クリリンの仇を取るんだ。」

 「俺の知った事じゃねーよ、いいか着いてくんなよ。」

 

 ずん、ずん、と大股開きでヤジロベーは旅立っていく。

 そんな命令を聞く道理などない。

 悟空は彼の後を追う。

 そして小籠包は悟空の後ろについていく。

 

 結果、三人仲良く縦に並んでの旅が始まった。

 

 「ついてくんな!」

 「お前じゃねえ、ドラゴンボールの後ろ追いかけてるだけだぞ。」

 

 減らず口とはまさにこのこと。

 彼の足取りは次第に加速していく。

 早歩き、駆け足と変わり、遂には全力疾走へ

 

 各位置のドラゴンレーダーが高速で移動するボールの反応を確認したのはこの辺りの話である。

 ヤジロベーは全速力で悟空達から遠ざかろうとしていた。山を越え、谷を越え、運河をも越える超スピードの追いかけっこ。

 後ろに続く連中もなかなかにタフでしつこい。

 しかもあの少女は空まで飛ぶではないか、どれだけ得体の知れない連中なのか…!

 

 舞空術で空を舞う小籠包は、自身の術の精度が少しばかり上がっていることに気づいた。

 これまでは徒歩より多少早い程度の動きしかできなかったそれは、彼らの全速力と同程度とまでは行かないが、直線に限りそこそこのスピードが出せるようになっていた。例えて言うならレースゲームにて、直線だけやたらと早いが、加速に時間のかかるピーキーな性能を想像していただきたい。

 

 ーーー何かが、近づいてる…。

 

 そんなやりとりが半日ほど続いたところで、小籠包が異変に気づいた。

 タンバリンと名乗った魔族と、邪悪で…巨大な気配がこちらに向かってきている。

 恐ろしいことに…その悪意の塊のような気は()()()()()()()気の大きさだった。

 

 『シャオよ、絶対に戦ってはならん、悟空を連れて逃げてこい。』

 

 武天老師の言葉を理解する。

 これは確かに逃げ出すべきだ。しかし彼は首根っこを引っ掴んでもきっとヤジロベーを離さない。

 なんとか隙を見て逃げ出せないものか。

 

 

 そんなことを考えているいるうちに、巨漢のスタミナが底をついた。

 舌をベロンと出して呼吸を整える彼とは対照的に、悟空はと小籠包は未だスタミナに余裕がある様子。

 

 「はぁ…!はぁ…!し、しつこいなお前…!」

 「クリリンの仇取るまでは、逃がさねえぞ!」

 「悟空くん、一旦引こう?良くない気配が近づいてる。」

 「そいつだな!クリリンを殺した奴は!」

 「ちがう、そっちじゃない。もっと大きくて、恐ろしい気を感じる。」

 

 本当はこんな問答をせず、さっさとここを離れたい。

 だが悟空は強情だ、彼を説得できる材料が見つからない。

 

 どう言うことだ?そう言って彼女を見上げる悟空の表情が変わる。

 

 「ほう、生きていたか小僧そのしぶとさだけは褒めてやる。」

 

 小さく舌打ちをして追いついた魔族と遙か向こう小さな飛行船が飛んでくるのが見える。

 

 ーーー思ったより速かった…!

 

 「やはりな…シンバルを殺したのはお前か小娘。」

 

 タンバリンは他の連中など眼中にないといった風に小籠包を空中から見下ろした。

 彼にとって悟空は大口をたたくだけの雑魚でしかない。

 横の巨漢はただの一般人。

 

 これだけで、タンバリンの戦闘者としての格が大した事でないことが伺える。

 

 「あのでっけぇのを殺したのは俺だ!焼いて食っちまったけどな!」

 「なに…!?シンバルを…我が同胞を…食った…だと…?」

 

 美味かったぞ、お前も食ってやると腕を振り回す様子は…どちらが化け物かわかったモノではない。

 しかし…流石の悟空も…親友の仇となれば…話は別だ。

 二人の間に割ってはいり…憎悪に満ちた視線をタンバリンに浴びせた。

 

 「どけ小僧、貴様のような雑魚に用はない、後でゆっくり殺してやーーー」

 「クリリンの、仇ぃぃィィィ!!」

 

 瞬間、悟空の拳がタンバリンの頬をぶち抜いた。

 

 「クリリンと、筋斗雲の仇だ…!お前をぶっころす!!」

 

 何が起きたのか、タンバリンは理解できなかった。

 何故自分は地面に倒れている?この痛みはなんだ?

 

 立ち上がって漸く、目の前の小僧に殴り飛ばされたのだという事実を理解する。

 理解はしたが納得はしない。

 不意打ちとはやるではないか、しかし正面から向き合えば問題ない。

 なんせこの小僧は自分の足元にも及ば

 

 「だりゃぁぁぁぁぁぁ!!」

 「ご…ォ…?」

 

 腹に強烈な肘打ちが食い込む。

 全く見えない。

 バカな、このガキは雑魚ではなかったのか?

 あの時とはまるで別人ではないか。

 

 腹を押さえ、一歩二歩、ふらついてる仇敵の隙を見逃すほど今の悟空は甘くない。渾身の拳を頬目掛けて抉るように打ち込み、緑色の巨体は一直線に岩盤へと吹き飛ばされ、大きなクレーターを作る。

 

 「貴様ァ…殺す…!このタンバリン様に触れた奴は…10秒以内には死ぬのだ…!」

 

 口から唾液と紫の体液を滴らせ、そのダメージの大きさを物語っている。

 アレだけ一方的にやられておいてこの大口が叩けるのは大したプライドである。

 

 「シャァ!!!」

 

 これまでの武闘家を葬ったお遊びではない。

 100%の本気…いや、120%の超本気のスピード、先の動き、速さは大した物だが…所詮自分の隙をついたラッキーパンチでしかない。

 今すぐにでもその首根っこを引っ掴んで粉々に粉砕してくれ

 

 「うりゃぁ!!」

 「あゥ!?」

 

 重い鉄拳が彼の鳩尾を打ち貫く。ただでさえデカい目玉が飛び出す勢いでまんまるく膨れ上がる。

 

 「だだだだだだだだだだだだ!!!」

 

 マシンガンの如く、拳がタンバリンを滅多打ちにする。

 胸を、腹を、肩を、顎を、鼻を、試合用のパワーではない、相手を殺し得る戦闘パワーで一方的にタンバリンを叩きのめす。

 

 「がふ…!?ァ…うゥ……!」

 

 最早彼のプライドは粉々に砕け、その意識も朧げ。

 勝負、あり。…だがこれは勝負ではない。

 生死をかけた殺し合いだ。

 ソレを漸く、彼は理解する。

 

 ーーーし、死ぬ……!こ、この俺様が…人間…風情に…!?

 

 生まれて初めての、暴力に対する恐怖。

 格下を一方的に嬲り、生殺与奪を全て握ってきた自称強者の末路。

 

 ぐるん、ぐるん、と視界が明滅する中…怒りに燃える温厚な少年を辛うじて捉える。

 

 目の前のこいつは本当にただの人間か!?

 

 最早タンバリンに戦意はなかった、しかし悟空には関係のない事。

 彼自身が言ったのだ、「殺す」と。

 これは男と男の強さを比べる神聖な試合ではない。

 互いの命を取り合うもっと原始的なモノだ。

 負けを認めてハイおしまいではない。

 

 どちらかの命が尽きること、それだけがこの戦いの勝利条件。

 

 悟空の片腕がぎり…!と引き絞られる。

 怒りに燃える悟空の瞳と交えた時、彼は明確に死を意識した。

 

 「ひッ…!?だ、大魔王サマぁ!おたすーーー」

 

 ーーードス!!!

 

 悟空の鉄拳が、タンバリンの首を撃ち抜く。骨の砕け散る音と共に彼の身体は崩れ落ちた。

 ソレは図らずも、武道会場で彼が葬った武道家と同じ死因。

 首の骨を打ち砕かれ…恥も外聞もなく情けない声をあげながら、タンバリンは絶命した。

 

 ーーーお、おっかねぇ〜…!!!

 

 僅か数分の出来事、その圧倒的超パワーを情け容赦なく振るう様子にヤジロベーは心底震え上がった。

 そして心の底から誓った、こいつは怒らせないようにしよう。

 そうだ、このドラゴンなんとかもアイツにくれてやろう。

 

 タンバリンの亡骸を見下ろす悟空は汗の一つもかいてない。

 亡き親友を思い拳を握る。

 

 「クリリン、…仇は…取ったぞ…!」

 「気はすんだ?…早く逃げるよ…!」

 「ど、どうしたんだ小籠包…?」

 「早く…!あんなのとは比べものにならないのがーーー」

 

 ーーー我が子を目の前で殺した奴を、このワシが逃すと思うか?

 

 空気が…凍りついた。

 大きくて、邪悪な、悪の権化とも言えるようなドス黒い気。

 吐き気すら催す悍ましい気の奔流。

 

 今の自分たちではどう足掻いても勝ち目のない最悪の存在。

 ピッコロ大魔王が、現れた。

*1
小籠包は毛ほども悪いことはしてないが





戦闘力更新
 孫悟空 200
 ※タンバリンからの傷を回復してパワーアップ。

 本当は丸々一話タンバリンをボコボコにしようと思ったのですが、意外に早く決着着いちゃったのでコンパクトにまとめましたw

 引き続き更新します!よろしくお願いします!

 閲覧ありがとうございました!
 評価・感想くれると喜んだりします!よろしくお願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。