ドラゴンボールAT 作:澄ましたガール大好きおじさん
閲覧ありがとうございます!
マジュニアさんの時系列が色んな意味でサイヤ人編にすっ飛んでそうなので初投稿です。
女とのスパーリングから2年、遂にマジュニアは女を下した。
もう少し利用してやるつもりだったが、つい自分の力を試したくなりほんの少し本気を出した。
結果は、マジュニアの圧勝。女の身体を岩場に叩き付けて、崩れ落ちる様を見下ろす。
あっけない。実にあっけない。これが、自分を2年もの間辱めて来た強者だというのか。やはり人間は矮小で非力な存在。魔族が支配し蹂躙すべき弱者だ。このまま一思いに捻り潰してやる。
余りにも細い首を掴む、念願の瞬間だ…殺してやりたいと胎の底から願った女の命を握っている。さぁ、殺してやる。
そうやってみしり、頸動脈を軋ませたその瞬間
ーーーにひ…ッ
女が笑った。死を直前にしてだ。その顔は実に得意げでまるでこの展開すらコイツの思惑通りかと思うと虫唾が走った。舌打ちと共に女の身体を投げ捨てた。
「貴様…何がおかしい…!」
「なんでやめたの。」
「答えろ!」
「だって可笑しいでしょ、もっと惨たらしく殺ると思った。生きたまま手足の一つでもちぎられると思ってたのに。」
こいつ、やはり頭がおかしいのではないか?マジュニアは心底呆れる。殺した後にでも手遊びに死体を弄んだかもしれない。だと言うのに死の直前で笑うだなんて狂っている。
「覚悟した自分がバカみたいって思ったら…自然と笑っちゃった。」
で?殺すの?
何てことの無い、いつもの調子で聞く女にすっかりと興が削がれてしまった。もうコイツはいつでも殺せる。孫悟空を殺せるかは未知数、ならばもう少しこいつを練習台にするのも悪くない。
「貴様の目の前で孫悟空をぶち殺した後でな。」
最早恐れる必要もない女を見下ろして鼻で笑う。
惚けた顔をするも束の間…耐えきれぬと言った様子で女は噴き出した。
ーーーぷっ……ははっ…アーハハハハハハ!!
「相変わらず気色の悪い、今度はなんだ。」
「別に、なんでも。命が助かって舞い上がってるだけ。」
「ちッ…どうせろくでもないことを考えてやがるな。」
「大魔王の思考回路よりマシよ。」
「ふん、今や貴様が負け犬の遠吠えだな。」
「マジュニアは勝ってるのに今までと変わらないね。かわいそう。」
「貴様…今度こそ殺してやる。」
「負け犬の遠吠えなんでしょ?気にしたら負けよ。」
「貴様…ァ……!」
相変わらず口の減らない女だ。
何故…。
この女を下したはずなのにこの湧き上がる屈辱はなんだ。この女を倒しただけでは足りない…やはりコイツを地獄に堕としてやっと復讐は形になるらしい。だが、最早それだけでは足らん。コイツの目の前で…人間どもをプチプチと踏み潰してやろう…お前のせいでこうなったと見せつければ…少しはこの冷血女も、絶望に顔を歪めるに違いない。
ーーークク、その時まで生かしておいてやる…貴様にはただの死すら生温いからな…!
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ーーー死ぬかと、思った。
マジュニアを散々煽り倒し眠りに就いたところでドッと冷や汗が噴き出るのを感じた。あの時、何故彼が手を緩めたのか理解できなかった。
ーーーてっきり、貴様らしい生意気なツラだ、死ね…!とでも言われるのかと…
どう言う風の吹き回しか…マジュニアは突然自分を始末しようとした…大魔王らしい気まぐれだとは思うが、その気まぐれで殺される方は堪ったものではない。
『貴様の目の前で孫悟空をぶち殺した後でな。』
ーーー本当にあんな事言うなんてねぇ?
思わず爆笑してしまった。
思ったより自分は彼のことを理解してたらしい。
今回はなんの奇跡か生き残れた。間違いなく次はない。
そして自分の身に奇跡は起こらない。
悟空の好敵手を作ることが出来れば…自分の役目は終わる。そう思っていたが…やはり悔しい。敵のお情けで生き残っているこの状況が…!
気づけば彼女は寝床から立ち上がっていた。新たな技が必要だ。
この2年で彼女の肉体は強くなった…しかし、彼女の想像以上に伸び代はなかった。
なら…天下一武道会までの残り期間…彼女が鍛えるべきは
ーーー誰よりも得意な気の扱い、これを極める…!
自分は鶴仙流…身体の作りだなんだのは他の流派の専売。自分は自分の流派をもっと伸ばすべきだったのだ。
そして、彼女には思うところがある。
それは鶴仙流の禁術、気功砲だ。あれは自身の限界以上に気を放出できる危険な技。自分が使えばタダでは済まないのはわかってたし何より、あの鶴仙人からもこの技の使用は止められていた。
ーーーあの高めた気を…放出せずに…使いこなせたとしたら…!
気の解放に次ぐ気の解放…気功砲にはその可能性があるのではないだろうか。
その日から…彼女の深夜の開発が始まった。修行の第一弾、改めて気功砲について再認識を行った。
気の解放によって彼女の潜在的なエネルギーは常に無理なく身体に展開されるようになった。意識して気を消さなければ…彼女の力は常にフルパワー状態に等しい。にも関わらず気功砲を打ったその瞬間、確かに感じられる気の高まり。
やはりここに限界を超えるためのヒントがあるのかもしれない。
ここに気づいてから、更に時間がかかった。
何せ気功砲は危険な技だ。
何発も打っていては死んでしまう。
慎重に自分の身に起こる変化を身体に覚え込ませていった。気功砲を放つ瞬間…ざっと2〜3倍。
しかし瞬間的なパワーには何の意味もない。
力を緩めたその僅かな隙を撃たれればそれでおしまいだ。
やはり継続戦闘能力は必須といえよう。
そしてこの工程に数ヶ月を要してしまった。
武道会まで時間がない。
どう言う訳か、マジュニアは彼女を殺そうとせず、練習相手にもしなくなった。
もう彼は完全に彼女を超えてしまった。
もうスパーリングは必要ないのだろう。
そのおかげで技の開発に専念できた。
更に1ヶ月…武道会まで半年を切った。技の完成は未だ見えてこない。気功砲によって高めた気を全身に巡らせるのは想像以上に難易度が高かった。気の集中とは、本来一点に力を高めることにより限界以上の出力を可能にする。それを全身レベルに伝播させては、当然霧散してしまう。やはり絵に描いた餅、机上の空論だったか。半ば諦めたその時。
「俺様を倒すための秘策か?その様子だと、やはりそれが貴様の限界の様だな」
「思いついたことがあるけど、上手く行かないね。もう少し頑張るけど。」
「馬鹿め、発散させるのであれば始めからそうすれば良いだろう。一点にまとめたエネルギーを無理に広げれば、当然そうなる。貴様がどれだけ気の扱いに長けてようとな。」
「………。」
「なんだその顔は」
驚いた、彼が自分にアドバイスをすることに…自分は彼にとって倒すべき…いや殺すべき敵ではないのか?自分がこの技を完成させたら下手をすれば…いや確実に彼を超えられる。それをわかっているのか?
「なんのつもり?」
「…クク、いつも澄ました顔をした貴様が…その様な顔をしただけで俺様は気分がいい…それだけだ。」
「……。」
ああ、こいつはアホなんだな。
「…なんだその残念そうなやつを見る目は。」
彼女はもうこれ以上相手にしないことにした。
「おい、無視をするな。」
アホはさておき、その言葉はもっともだ。全身にみなぎらせるのなら…始めからそうすればいいだけ…盲点、気功砲の形に囚われ過ぎていた。どうしてこんなことに気付かなかったのか…。
ーーー気功砲は…構えた指先に気を集約させる…それを…私自身に置き換える。
全身に淡い気の光が灯る。しかしこれでは気功砲とは言えない。限界以上のパワーをこの身に定着させなければ意味がない。気功砲は瞬間的に気を放出する…しかし匙加減が肝要だ。
一歩間違えれば気を使い果たしてそのまま死ぬ。
ーーーふふ、馬鹿だな。
そんな恐怖を彼女は一笑に伏した。
ーーーどうせ、これができなければ彼に殺される。なら、ここで死んでも同じこと。
迷いはない、無意識に閉じていた…己の蓋をこじ開ける。
ーーー死んでも、構わない。
深呼吸をひとつ。
こうしている間も悟空は、天津飯は、ヤムチャは、クリリンは…確実に強くなっている。
命一つ賭けられず…限界など超えられるものか…!
覚悟が、決まった。
ーーードウ!!!!!!
その全身から夥しい量の気が放出される。
が、それも束の間、噴き出たそれはすぐに萎れていく。
「うっ………!」
立っていられない。たった1秒で気の全てを使い果たした。
それも、かなりまずいレベルで。
目の前が暗い。
やはり、この技は危険だ…自分には無理のある技だった…!
意識が途切れそうになる、眠い、眠い、眠い…このまま眠れば確実に死ぬ。断言できる。だと言うのに瞼が落ちていく。
『餞別じゃ。』
仙人から貰って、結局使っていない豆のことを思い出す。
懐を探るが、見つからない。
ーーーどこに…しまったのだっけ…?
本格的に意識が途切れる…と言うその瞬間…暖かな気の光が彼女を包んだ。
「!」
「俺様の気を分けてやった。」
「…どうしても、私を…殺したいんだ…?」
「当然だ、こんなところで自滅など、絶対に許さん。」
何か知らないが助かった…。そして糸口は掴んだ。今の力は間違いなく自分自身の保有する力。それを常に引き出すことが出来れば…限界を一つ超えられる。
ーーー名付けて″気功法″…!
確かな手応えに一人不敵に微笑む少女に…マジュニアは密かに冷や汗を流す。
ーーー何て野郎だ、あんな出鱈目な気の放出、命を捨てる様なモノ。…それをコイツ…死ぬのが怖くないのか…?
女の狂気じみた微笑みに寒気が走る。
しかし、同時に殺すべき存在が一回り大きくなる予兆に内心喜びを見せていた
ーーー…まあいい。貴様が強くなるのなら好都合…それを踏み台にし、俺様はもっと高みに行ってやる。
天下一武道会まで、3ヶ月を切った。
一度は死にかけた気功法だったが、一度死の臨界点を理解した彼女にはもうそれは危険な技でもなんでもなかった。分水嶺が見極められないのが危険なのだ、それが理解し踏み越えないよう工夫さえすればそれは強力な技となる。
しかし、この技の欠点は激しく消耗すること。気功法によって高めた気を全身に維持することはできるが…やはりどうしても外へと漏れ出してしまう。出力する力を抑えれば…その量を軽減することができるが、やはりフルパワーを常に維持したい。気を放出したまま気を押さえ込む矛盾。これがこの技の最大の課題だった。
本来なら、消費がゼロに抑えられる限界を少しずつ広げて行くのが確実だが、天下一武道会までに時間がない。彼女は賭けに出た。常に最大出力の気功法を全身に纏わせる荒療治に踏み込んだ。
当然数分と保たず、その場から動けなくなってしまう。これでは戦いになど使えない。力関係が逆転すれば切り札になるが、これで尚相手が格上だというのなら殺してくださいと言っている様なモノ、そんな技など欠陥品もいいところだ。
1日に2回…気功法維持の訓練を数分と行いつづける。
天下一武道会まで残り2ヶ月。
気功法の効果時間は確実に伸びていった。伸長した効果時間で少しずつ漏出する気を抑え込む訓練を同時に行なう。
更に一週間、抑えこめる気の量に変化が起きる。漏出が減ったことで効果時間は更に伸び…訓練時間が増え、技に大きな変化が訪れる。
効果時間が切れなくなった。当然消耗はあるし戦闘すればその効果時間は更に減るだろうが…これなら残り期間、
天下一武道会まで残り1ヶ月。
気功法による気の増加効果により、彼女の戦闘能力は大きく増大した。マジュニアとの組み手が再開し、再び彼女に軍配が上がり始めた。戦闘能力の向上は力の増加だけではない。今まで見ることのできなかった世界によって彼女は遂に、限界を超えた。
天下一武道会、一週間前。
「私はそろそろ行こうかな。」
「そうか、忌々しい貴様の顔が視界から消えて清々するぜ。」
「はいはい、あの日私を殺さなかったこと、後悔させてあげるから。」
「それは俺様も同じだ…俺様に力を与えたこと、後悔させてやるぜ。」
マジュニアの言葉を彼女は返さず、別れの挨拶もないまま踵をかえす。
「待て。」
「なに、まだ何か用?」
「貴様の名を聞いてない。」
「…そんな馬鹿な、3年も一緒に修行してたんだよ?名前くらい知ってるでしょ?…知ってるわよね?」
「馬鹿か貴様、知らんから聞いているんだ。」
「はぁ!?なんで今更聞くわけ?」
「貴様の名など覚える必要もなかったからな。」
そういえばマジュニアは自分を名前で呼んだことがない。
おい、だの。貴様、だの。
呼ばなかったのではなく、呼べなかったのだ。
名を尋ねる事は、…彼の矜持が許さなかったのか。
それとも今の今まで、覚えるに値しなかったのか。
なんとなく腹が立つから、少し意地悪をする。
「じゃあ今知る必要もないでしょ?」
「殺す相手の名前くらいは覚えてやる。」
「素直に、ずーっと気になってましたって言いなさいよ。」
「ふん、自意識過剰もそこまで来ると哀れだな。」
「そのセリフ貴方にだけはぜ〜〜ったい言われたくない!!」
「なに?俺様のどこが自意識過剰だというんだ。」
「そういうところ!俺様だの!覚える必要がないだの!この世で一番強いんだへへーん!って勘違いしてる最高にお馬鹿でムッツリドスケベなところ!」
「最後は関係ないだろう!?」
「ソレ以外は自覚あるんだ?じゃあ間違ってないじゃない。」
「貴様…ッ!素直に名乗ることもできんのか!」
「素直じゃない貴方がいうと凄く面白いわね、魔族の口からジョークが出るとは思わなかったわ。」
世界を滅ぼしかねない二代目ピッコロ大魔王と実に低レベルな口喧嘩をする元殺し屋。
争いは同じレベルの物でしか起きない。
つまりそういう事である。
組み手の時だってここまで息が上がらないというのに、
気づけば二人は肩で息をする程ヒートアップしていた。
互いに呼吸を整えて、漸く冷静になったところで、やっと小籠包が折れた。
「…小籠包…これが貴方の師で、貴方の敵の名前。」
「…お、覚えておいてやる。孫悟空の名前と共にな…!貴様は必ず殺す。」
「そう、楽しみにしてる。」
今度こそ、彼女はマジュニアの言葉を待たず、オーラを纏って空へと飛び去っていった。
最後まで生意気な後ろ姿を眺めてマジュニアは小さく舌打ちをする。
「ムカつく野郎だ…。」
その口角には来る決戦への高揚か、楽しげに吊り上がっていた。
戦闘力更新
マジュニア
800=>850
小籠包
修行により基礎値アップ 750=>770
気功法(不完全) 770=>870
小籠包の無茶苦茶な修行に流石のマジュニアさんもドン引き
大丈夫?ちゃんと殺せそう?
閲覧ありがとうございました!
評価・感想いただけると喜びます!!!