ドラゴンボールAT   作:澄ましたガール大好きおじさん

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 悟空さの戦闘力を修正しました。
 気の解放会得してるのに気の集中(かめはめ波)の概念を織り交ぜてました。


 閲覧ありがとうございます!

 遂にあの人の出番なので初投稿です。


第23回天下一武道会
其之三十 鶴仙流の仙士たち


 

 天下一武道会の数日前、天津飯と餃子は南の都に訪れていた。

 言うまでもなく、大会に出場するための道中である。

 

 「天さん、すごい人…。」

 「流石都だな。見ろ餃子、こんなところにまで武道会の貼り紙がある。」

 

 大きな笠を被った彼はポスターの写真を見て笑ってしまう。

 3年前優勝し、観客に担ぎ上げられた実に間抜けな表情がそこにはあった。

 もっと良い写真はなかったのかと少し文句も言いたくなる様な瞬間。

 

 ーーー次は実力で倒して見せるぞ、悟空。

 

 彼らはあの後、神龍を通じて、悟空が神様のもとで修行をしていることを知った。

 

 『神龍…!小籠包という少女もそこにいるのか!?』

 『いない、神様の修行を受けているのは孫悟空一人だ。』

 

 本来なら、願い以外を聞く必要はない。

 この時は特別だ、大魔王を倒し、自身を蘇らせてくれた孫悟空への礼代わりでもある。

 

 カリンのところへ向かった彼女は結局彼らのもとには戻ってこなかった。

 しかし、生きていることは知っている。

 数ヶ月前…地鳴りのような巨大な気を、彼らは感じた。

 ソレが覚えのある少女の物であることに気付いたのはすぐ。

 それだけで突き放されたと感じるほどの気。

 一体どんな修行をしたのだと問い詰めたくなる。

 

 彼女も武道会には出るだろう。その時は改めて叱ってやらねばならない。一体どこに行っていたのかと。

 腕っぷしはあっても、当時は16歳。一人で出歩くには少々不安が残る。

 何より、これでは天下一武道会での自分の誓いがあまりに滑稽ではないか。

 

 さて、彼らが武道会のポスターに苦笑してたころ…大きな力が近づいて来るのを感じた。

 凄いスピードで、上空から何かが近づいてくるそれは、

 まっすぐ天津飯達の前に着地した。

 空から女の子が降り立ってきたことに周囲がいろめきたつ。

 

 「天兄!餃兄!久しぶり!!」

 

 真っ赤な肌の少女、この3年間であどけなさは消え、顔立ちが一気に大人びた妹分。

 残念ながら身長は伸びなかったようだが、最も大きな変化はその気配だ。

 その細い身体に濃密な気が充実している。

 あの日感じた暴力的なソレではない。

 力強いが、同時にとても静かだった。

 

 ーーーシャオ…一体どんな修行をしていたんだ…。

 

 気の大きさや強さは指標でしかない。

 が、力の大きいモノはその使い方も上手なケースが多い。

 今の小籠包は正にそのケースと言える。

 力のコントロールを極めた結果…最適なパワーを得ることができたのだろう。

 さて、あまりの参加に驚く二人の様子に、小籠包の笑顔は次第に曇っていく。

 

 「…やっぱり怒ってる?」

 「そうじゃない、お前の成長に驚いてるんだ。」

 

 自分もこの三年でかなりの力をつけたつもりだった。

 少なくとも、今の自分にならピッコロ大魔王といい勝負ができるかもしれない。

 

 そう、《いい勝負》なのだ。

 これだけ鍛えても、あの日の悟空と小籠包に追いつけたという自信はない、

 

 

 彼女の変わり様に驚いてばかりもいられない。

 一応兄貴分として叱ってやらねばいけないのは理解してる。

 だが、天津飯は怒るより諭す方が得意な男だ。

 相手にどう言えばわかってもらえるのか、そこを重点におく。

 彼はすっかり、武天老師の影響を受けていた。

 何処かの世界線で新鶴仙流を開く資質が備わっているといっていい。

 

 「何か事情があったんだろう、お前が黙って俺たちの前から消えたのは…余程のことがあった。…違うか?」

 「…今から言うことは、みんなには内緒ね。」

 

 彼女はこの3年間のことを包み隠さず話した。

 

 あのピッコロの分身がいること、ソレを彼女が鍛え上げたことと、その目的。

 当然、天津飯は難色を示した。

 

 あの悪の権化の分身だ、何故見逃したのだと。

 ピッコロの子供とはいえ、未だ何もしていない*1。殺すのは間違っている。

 

 その意見はどちらも正しいからこその平行線。

 

 「私には彼が必要だった。」

 

 そう、結局のところ彼女の新たな奥義完成には、マジュニアは必要だったし、悟空にもソレを期待している。

 人は困難無しに急激な成長を遂げることはできない。

 真っ当な力の付け方ではダメだ。ソレが許されるのは()()()()()()()()()()()()()だけ。

 自分たちはピッコロ大魔王を葬る為に極限を超えた進化をすることができた。仲良く強くなる、互いを目標にするでは越えられない壁が必ず現れる。

 

 そうなってからでは遅い。

 

 「…お前の言いたいことはわかった。…それで、勝てるのかそのピッコロの分身に。」

 「わからない。」

 

 二人の背筋に冷たいモノが走る。

 これほどまでに極まった彼女にもそう言わせるピッコロの分身…マジュニアは一体どれほどの強さなのだろうか。

 不思議と彼女を責める気にはなれなかった。

 マジュニアにはソレほどまでに成長する余地があった、ただそれだけだ。

 天津飯には彼を見つけることもできなかったし、下手をすれば…幼少の彼にすら返り討ちにあったかもしれない。この厄災続きの事態に小籠包自身も苦肉の策だったのは理解した。

 責めるべきは…彼女に頼らざるを得ない自分の弱さだ。

 

 「…シャオ、教えてくれ。どんな修行をしたんだ。」

 

 黄色の瞳が静かに兄貴分を見上げる。

 天兄と見上げる年相応の色ではない。

 黒の瞳孔は彼だけを写す感情のない色。

 

 「死ぬ覚悟はある?」

 

 溢れ出る生唾を思わず飲み込む。

 鬼姫が裏社会から消えて三年。

 小籠包の気迫は衰えるどころか、更に鋭さを増していた。

 これが自分より4つも下の娘が出す気迫だというのか。

 

 「…ああ、教えてくれ。」

 

 小籠包はため息をこぼす。

 ありったけの殺意を乗せて睨んだつもりだったが、天津飯にはどうやら通じなかったらしい。

 こうなったら天津飯には脅しは通じない。ため息を一つこぼして観念する。

 

 ただし、大会まで時間はない。

 ソレに、気の解放を覚えようとはしているのは間違いない。

 二人の力が大きく増しているのはその証拠。

 

 「気の解放は俺たちも修練した、お前ほどではないが俺も餃子もできる様になっている。」

 

 ソレは分かる。二人の気の大きさは3年前とは別人だ。

 だからこそ迷う、あの技は…一歩間違えれば死を招く。

 実際、彼女もマジュニアの助けがなければ地獄行きだった。

 

 「わかった。場所を変えましょう。」

 

 小籠包は覚悟を決めた。

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 南の都にて中華をいただく二人の老人の姿があった。

 ピンクの装束に″お前を殺す″などとセンスのカケラも無い文字を背負う奇怪なチャイナ服を纏う男と、頭に鶴を拵えたこれまた奇怪なチャイナ帽子を被る二人の老人。いうまでもなく、世界一の殺し屋″桃白白″とその実兄″鶴仙人″である。

 背中に背負った″殺す″に相応しく…彼らは実に物騒な相談をしていた。

 彼らの顔に泥を塗った亀仙流と、裏切り者の始末である。

 桃白白にとって、弟子の小籠包が裏切るのは想定の範囲内だった。

 むしろ、その責任を追及されるのでは?と半ばヒヤヒヤしていたが、流石に5年経ったら本人の問題だった様で、特にお咎めはなかった。

 世界一の殺し屋も実の兄にはソレなりに頭は上がらないのである。

 

 さて、そんなバカ弟子(小籠包)はともかくとして…天津飯と餃子が離反したのは予想外だ。

 奴らも性根は甘っちょろいところはあったが、殺し屋の道にソレなりに熱意を燃やしていたのではなかったのか。

 

 「亀のジジイから色々吹き込まれたのだろう。貴様の弟子もだぞ白白、あれほどまで殺し屋に誇りを持っていた鬼姫が…ただの小娘になりよった。」

 

 兄の言葉に桃白白は暫し思考する。

 あの娘は元より…そういう気質だった、何せ師匠である自分の事を″世のため悪に染まる悲哀の殺し屋″と最後まで信じていたのだから。

 つまり、自分の教育が悪かったのだが…まあバレてないのならいいか!

 

 桃白白は、実にいい加減な男なのだ。

 

 しかしこれで、彼が計画していた″悪の道に傾倒しすぎてマジの悪になっちゃったぜ☆″大作戦の下地はできたと言って良いだろう。

 あとは…あの生意気な小娘と、裏切り者…そして自分をこんな姿にさせた憎き孫悟空をあの世に送ってやれば…彼は改めて無敗の殺し屋(サイボーグ化したので過去の戦績はチャラ)リターンズというわけだ。

 

 我ながら完璧なリカバリープランである。

 世界一の殺し屋はほくそ笑んだ。

 この機械の身体によって人智を超えたパワーを手に入れた。

 今なら3年前に世を騒がせたピッコロ大魔王すら恐るるに…足りるかもしれないが

 小僧どもを根絶やしにすることくらい容易い。

 

 「白白よ…殺すのは武道会が終わってからじゃ…彼奴らを武舞台のうえで下し…その上で奴らを殺す。」

 

 ただ殺すだけでは飽き足らん…!そんな風に息巻く兄のまえで食後の茶を啜る。

 言われずともそのつもりだ。孫悟空には武舞台の上で膝をつかせて殺す。試合にも負け、勝負にも負ける。これほど惨めな敗北はないだろう。

 

 ここで彼らにとって大失敗だったのは、ピッコロ大魔王を倒した連中が誰なのかをキチンとリサーチしなかったことである。

 彼らは大魔王の恐ろしさを知っているからこそ…鶴仙人は″あの様な小僧どもにそんな真似はできない″とタカを括っている。

 特に鶴仙人にとって″ピッコロ大魔王″とは、自分が悪の道に堕ちる程の絶望を与えた、敗北の象徴である。

 憎き小僧どもが倒したなどと、この傲慢な男が思えるはずもない。

 己の弱さを認められるか、否か、武天老師との最大の差である。

 

 鶴仙人は愚かな老人であった。

 

 「しかし白白よ…お前はどんな教育をしたのだ。アホ亀にあっさり唆されるとは」

 

 ぎく!?

 

 「思えば奴が稼業を始めたころも、訳のわからぬルールを強いておったな?」

 

 ぎくぎくぅ!?

 

 桃白白の完璧なリカバリープランが音を立てて崩れていく。

 落ちけ着、おくちつのだ…まだ慌てる様な時間ではないぞ桃白白よ。

 

 「白白よ、お主どんな教育をしたのだ。」

 

 この機械の顔面は実に都合がいい。

 これが生身の身体であれば冷や汗ダラダラな上に視線は右往左往としていただろう。

 唇を引き締めて思考する。まるで、弟子の不出来さを嘆く時間の様だ。

 

 …実際はヤベーどうしよ!?と思ってるだけなのだが。

 てゆーか今更つっつくなよそんな事!お前の教育が杜撰だったせいもあるだろバカ!

 …などと言ってはいけない。一応、兄を立ててやる程度の気遣いは彼にもあった。

 

 「殺しには筋を通せとは教えたな。」

 「ほう?」

 「貴様の様な未熟者が死なぬよう、殺すべき人間は選べとな。」

 

 こういう時彼は弟子から大事なことを学んだ。

 カッコつけてソレなりの事を言うと、相手は勝手に納得することを。

 

 そう、桃白白は良い加減な男なのである。

 

 一応世界一の殺し屋と謳われているだけはあり、ポーカーフェイスはお手のものだ。*2

 これで誤魔化されてくれ頼む頼む頼む!と祈りに祈る彼の前で考え込む鶴仙人。

 

 「なるほど、小心者のアイツらしい偽善者振る事で後ろ盾を取ったつもりか、馬鹿な奴め。」

 

 実に都合の良い解釈をしてくれたので世界一の殺し屋はホッと胸を撫で下ろす。

 桃白白はソレなりに悪運の強い男なのだ。

 …孫悟空という最悪の死神引き当てたのが悪運の尽きだったのだが…

 

 そんな話をすれば…あの弟子がどれほど腕を上げたのか、武を嗜む者としてソレなりに興味がある。

 誰だって才能人の展望は気になるモノだ。

 別れのあの日…一方的にジジイが年甲斐もなくボコボコにしたのだが、ソレでも彼女は食い下がった。

 多少殺さぬよう意識…いや、ワンチャン死んでくれてもいいかなと思っていたが、彼女は生き残った。

 世界一の殺し屋の猛攻に耐え抜いたのだ。

 あの桃白白が弱冠11歳の小娘を殺しきれなかった。

 あの日未熟者と笑いはしたが、実は内心冷や汗ダラッダラだったことをここに告白する。

 裏切り者は殺すことに変わりはないが、まあ彼女が自分の力にびびって命乞いするのなら…面倒を見てやったよしみで引き取ってやらんこともない。

 殺し屋から脚を洗ったと兄から聞いているが、鬼姫大復活キャンペーンで半額サービスでもすれば、すぐにでも営業再開できるだろう。

 

 というのもだ。

 

 実はサイボーグ化に財産の殆どを投げ打ってしまい、金はほとんどない。

 今だって兄に飯を奢ってもらう始末。

 コレに借りを作ると絶対ロクデモナイので、さっさと殺し屋稼業を再開して金を稼がねばならない。

 

 あれだけセンセー、センセーと懐いてきたのだ。

 センセーのお財布が火の車(ピンチ)に一役くらい買ってくれるだろ。

 

 桃白白は現金な男なのである。文字通り。

 

 「鶴よ…小籠包は私が預かる、良いな?」

 「ほう、何故だ白白。」

 「ふん、甘ったれた性根を叩き直してやるのよ…。お前とて″鬼姫″の名は惜しかろう?」

 

 兄は顎髭を撫でる。

 何を勘定しているのか、暫し時間を置いて首を縦に振った。 

 如何にプライドの高い兄といえど、背に代えられぬ腹というものがあろう。

 

 鶴仙人は傲慢だが…それ以上に欲深い男なのだ。

 

 ソレを桃白白はよく知っている。

 キマリだ、名付けて″師弟揃って悪の道に堕ちちゃった☆″大作戦である。

 

 今更ではあるが、桃白白のセンスは壊滅的であった。

 

 小籠包にとって最も幸運なのはこのセンスを受け継がなかった事かもしれない。

 因みに、具体的にどう性根を叩き直すかなどは決まっていない。

 ノープランである。

 

 桃白白という男は、実に良い加減な男なのだ。

 

 天下一武道会は明後日、彼らの命運が決まるその時は近い。

 

 

 

*1
殺生以外の悪事を除く

*2
顔は半分機械仕掛けだけど





 戦闘力更新

 天津飯
  220=>500(未完の気の解放)
 餃子
  120=>250(未完の気の解放)

 サイボーグ桃白白
  ???

 気の解放を学び、大幅にパワーアップ。気功砲で大魔王を吹き飛ばせるレベルです。
 サイボーグパイパイは次回あたりにでも…

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