ドラゴンボールAT 作:澄ましたガール大好きおじさん
閲覧ありがとうございます!
桃白白先生に筆が乗らなかったので初投稿です。
さて、そんな一悶着を見ていた人物がもう一人いる。
桃白白改めサイボーグ桃白白である。
ーーーもしや、気付かれてない?
折角、インパクトマックスでの再会を演出したというのに、あの顔色の悪い男で台無しだ。
おまけに半殺しにしたはずの餃子は訳のわからん豆粒であっさりと起き上がったではないか。
だが、命に別状がないのは幸い。
ていうかそろそろ気づいて欲しいので、自ら絡むことにした。
「くくく…感謝するぞ、つい力が入りすぎてしまった。殺してしまっては失格になってしまうからな。」
「先生!?」
飛び出したのは、大きく成長した弟子の姿。
今まで隠しに隠していた悪人面を隠すこともなく冷ややかに弟子を見つめる。
「久しぶりだな、小籠包、天津飯」
「亡くなった…はずでは…?」
「ふざけるな、この俺様がそう易々と死んでたまるか。」
クックックッと愉快そうに笑う殺し屋。
実際にはかなり危なかった。殆ど死にかけた所を…文字通り肉体改造で復活を果たしたのだ。あのレッドリボン軍という連中が残っていたら、もう少しマシな改造をされたのだろうが、孫悟空という小僧に壊滅させられてしまった。
「俺様の目的はただ一つ、孫悟空、貴様ら亀仙流を抹殺し…そしてお前たち裏切り者を始末することだ。」
「……。」
「どうしたシャオ、俺様からの殺意に恐ろしくて声も出せないか。」
唖然としている弟子にむかい意気揚々と喋る。
どうやら、思わぬ強敵の出現に心底驚いている様子。
無理もない、ただでさえ世界一と恐れられた自分が…サイボーグ化したことで更に人智を超えた力を得たのだ。
小娘が震え上がるのも当然というもの。
勧誘をするのならこのタイミングでしかない。
「しかしだシャオ、お前がどうしてもというのならーーー」
「生きて、いたんですね。」
機械の両手を握り、別れたあの日と同じく、ポロポロと泣きながら自分を見つめる弟子の姿。
は?、と見つめ直す桃白白であるが、当然である。
彼女にとって2度会えないと思っていた男が突然現れたのだ。
この反応は当然といえる。
なんだったら武舞台の周囲でもらい泣きをする連中までいる。
なんだったら審判までうるっときて進行を忘れてる。仕事しろ。
桃白白には色々な意味で心の準備ができていなかったが。
彼は結構臨機応変なのだ。
「う、うむ……成長したなシャオ。」
おかしい、突然現れた師匠が悪堕ちしてクククお前もこちら側へこいと誘う手筈だった。
とてもそんなことを言える空気ではない。
桃白白はこれで空気の読める男なのである。
「お前たちとやるのは本戦だな、せいぜい俺様を楽しませてくれよ。」
そんな悪役全開セリフを並べ立てながら桃白白はやんわり、握られた手を剥がすのであった。
これでも、彼は空気が読める男なのだ。武舞台の上から去っていく。
嗚咽を溢しながらその様子を見ていた審判はやっと我に帰る。仕事しろ。
「…つ、次の試合を始めますので、関係のないかたは降りてください!」
慌てて職務に戻る彼の声を背中に受けながらおさげを揺らして考える。
お財布の中がすっからかんのこの状況、何としても鬼姫のネームバリューは欲しい。
死んだ噂がたって何年も経過した桃白白は最早殺し屋としての価値はないだろう。
実績を積む前に金がなく路頭に迷う可能性もある。
この機械の身体はヒトの身体と違ったメンテナンスが必要。飯を食って寝てればいいというわけではないのだ。
予定は変わったが、問題はない。
小籠包の実力ならばこんな茶番のような大会で予選落ちというのはあり得ないし…彼女と対話する機会ならいくらでも用意できる。
やはり自分のリカバリープランは完璧だ。
そんな風に含み笑いをする超怪しいジジイを他所に予選は進んでいった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
次々と予選ブロックが決勝戦に近づくなかで…こっそり参加してたヤジロベーはシェンにこっそりと負けていた。
覆面を剥がして己の不運に嘆く彼が予選会場を出て行こうとしたその時。
「ヤジロベーじゃない、久しぶり。」
「おう、おめえさんは変わらな…いや、デカくはなったな?」
「どこ見て言ってんのよ。」
「安心しろ、おみゃーみたいな超人に発情するほど命知らずじゃねえーからよ。」
じとー…と見つめる彼女に何の罪悪感もなく肩をすくめるヤジロベー。
「おい、あのシェンっておっさん…気をつけろよ。」
「…流石だね、みーんなラッキーおじさん扱いしてるのに。」
「ふん、その辺のバカと一緒にすんな…ありゃ相当やべえ、おみゃーなら大丈夫だろうけどな!」
「ありがと、注意するね。」
「じゃ、俺は観客席で楽しませて貰うぜ、これ、持っとけ。」
思い出したように腰にさげた麻袋から豆を一粒投げつける。
「さっき使っちまったろ。念の為だ、持っとけ。」
「これ、また盗んだの?」
「人聞きの悪ィーこと言うでねぇ!ちゃーんとカリンから預かってんだ!」
「ごめんごめん、カリン様によろしく伝えておいて。」
「おう、じゃあな。」
ずん、ずん、と大股開きで去っていく中、掌に乗った仙豆を懐にしまいこむ。
きっと悟空と自分の成長を見に来てくれたんだろう。
やはり彼はああ見えて情に厚い男なのだ。
ちょっと食い意地が張っているだけで。
「先生の前で、無様な試合は見せられないな。」
自身の予選ブロックのトーナメント表を見る、次の試合はいよいよ本戦決定戦。相手はもちろん…ヤジロベーを下した強敵「シェン」だ。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
これまで、三度呼んで漸く現れていたシェンだったが…この決定戦に限り…審判の点呼より早く…どころかいつの間にか壇上に上がっていた。
そのようすはこれまでの落ち着かない中年の親父ではない。
まるで歴戦の戦士のような厳かな風格。
なぜならもう相手に自分の強さを隠す必要がないからだ。
「お待たせしました。」
「待っていましたよ小籠包さん。」
現れた彼女にシェンは深々と頭を下げた。
「何の真似?」
「貴女への非礼をお詫びしたい。武道家相手に負けてくれなどと、決して口にしてはならなかった。」
彼の言葉に面食らう。
こんな達人に
「気にしてないわ、お詫びに、手解きをしてくださる?神様?」
「やはりバレていたか。いいだろう、一つ稽古をつけてあげようお嬢さん。」
「あ、あの〜お二人とも準備はできてますか?」
フフフと不敵に笑い合う二人、ついていけない審判に対して同時に頷く。
「では、始めてください!」
同時に小籠包の姿が消える。
懐にまだ潜り込んだ彼女の裏拳はシェンの片手にあっさりと止められた。
そのままシェンの片手を弾き…その勢いのまま独楽の様に回転。
今度は回し蹴りを浴びせるもこれを屈まれた挙句、軸足をさらわれる。
崩れ落ちる身体を片手で武舞台を叩く事で受け身をとり、一回、二回と身体を回転させて立て直す。
その隙をついた無駄のないシェンの踏み込みが、既に彼女の懐を奪っていた。
ーーーしまッ…!?
黄色の瞳が見開く。
イチかバチか…全身の力を抜き、舞空術で身体を後方に引っ張る。
ーーーばふ…!
「か、は…!?」
腹に沈んだシェンの掌底。
肺の中の酸素が全て搾り出されるのを感じる。
しかし浅い。それは打ち込まれた本人よりもシェンが良く理解していた。
しかしダメージは十分。
振り落とされそうになる意識を繋ぎ止めて、全身を無理矢理舞空術で空へと投げ出す。
「迂闊だぞ、無造作に空へと舞っては。」
当然、シェンの追い討ちが迫る。
目いっぱい肺に酸素を送り込んだ小籠包が愉快そうに笑う。
「ありがとう、誘いに乗ってくれて。」
気の集約した人差し指がシェンの額に突き立てられる。
ーーーどどん、波!!
ゼロ距離の気功波による爆裂が二人の身体を包む。
ここが建屋の中だということを考慮していないのか、凄まじい轟音と衝撃が会場を揺らす。
爆心地の中から飛び出したのは小籠包…しかしシェンもまた健在。
互いに武舞台の中央に着地する。
激しく呼吸を乱す小籠包と、静かに佇むシェン。
両者の実力差は明白だ。彼女の舌打ちが静かに響く。
ーーー直撃しなかった…!
あの時、どどん波に対してシェンは笑った。
つまり、罠と理解して敢えて踏み込んだのだ。
ーーー舐められた物ね…!本当にお稽古のつもり…!?
ギリ、と奥歯を噛む。
気の大きさは間違いなく自分が上だ
当たりさえすれば…間違いなく一撃で終わらせられる。
しかし、勝負はそう単純なものではない。
「今の攻撃は素晴らしい。しかし、お前は殺意を表に出しすぎてるな。まるで抜き身の刀のようだ。ソレでは、避けてくれと言ってるようなモノだぞ?」
「サイッコーの褒め言葉ね!ならもっと怯えさせてあげる…!」
小籠包の口角が、にひ…ッと吊り上がる。
弾丸のように弾けた彼女が再び打ち込む。顔面目掛けて放った正拳を弾きそのお返しにと彼女の頬に平手が打ち込まれ、華奢な身体は顔面から床に叩きつけられる。
追撃を行わず、ゆらりと立ち上がる彼女をシェンは悠々と見つめる。
さぁ、打って来なさい。そう言わんばかりの態度。
応えてその片脚をムチのようにしならせて薙ぎ払う。
先ほどの反撃が効いているのか、先ほどより幾分か勢いは落ちている。
これを難なく受け止めたシェン、何度やっても無駄だ。
彼女の攻撃は彼には届かない。
このまま無造作にカウンター決めていけば、確実に打たれ弱い彼女は倒れる。
「はッ!!」
シェンの気迫の一撃は確か彼女の鳩尾をついた。
「!!」
「捕まえ、…た!」
胸の中央を打ち込んだ腕を捕獲する。
シェンには、ある弱点があった。
空のように静かに、雷より速く…
これが神の教えであり、当然神であるシェンもこれに従って戦っている。
正に小籠包と対極といえよう。
しかし、ここに隙が出来た。
借り物の肉体であることの必然。
借り物の身体では瞬発力に限界があるのだ。
静から動に転じることを極めた神の技に十分な威力が宿らない。
ソレをわかっていたからこそ、シェンは彼女との激突を避けた。
確実に自分の目的を達するために。
シェンの華奢な中年の腕に指先が食い込む。
ーーーこれは…!マズイ…!
「逃さ…ない…!」
小籠包の拳に力が籠る。
気の解放の上に気功法のブーストが上乗せされたその膂力は、
シェンの気の集中による防御能力の増強すら上回る暴力。
「はァァァァ!!」
ーーーガン!!!!
彼の鼻ッ面に拳が沈み込む!
そのままシェンの全身は勢いよく、武舞台の上から転がり落ちた。
「じょ、場外!小籠包選手!天下一武道会決勝進出!!」
審判の宣言主に割れんばかりの歓声が会場内に巻き起こった。
なお、この様子を鼻水を滴らせる勢いでポカンと桃白白が見守っていた。
ということをここに記しておく。
「痛たたたた…,」
「大丈夫ですか?
「やはり貴女は素晴らしい才能をお持ちだ。決勝進出、おめでとう。」
壁に激突し、頭からずり落ちた情けない格好からいそいそ、と立ち上がり頭を抱える様子は…お茶目なおじさん、シェンだった。
小籠包の手を借りて何とか立ち上がる彼は…鼻血こそ垂れ流していたが歯の一本だって欠けていなかった。
「最後の一撃、態と受けましたね?」
「借り物の身体に傷をつけるわけには行かなかったのだ。どうか許して欲しい。」
確かにクリーンヒットした…かに見えた。
あの瞬間、神は勢いを完全に殺す為…攻撃が当たる直前。
後方に吹き飛ばされるフリをして場外に自ら飛んでいったのだ。
ソレでも貧弱なヒトの体は超達人の拳圧に晒されて多少鼻にダメージを負った。
寧ろこの程度で済んだのなら儲け物である。
「マジュニアは私達に…悟空くんに任せてくれませんか?」
「…私が負けた時点でそうするつもりだったさ。大人しく天界に帰るとしよう。…ミスターポポにも心配をかけてるからな。」
胸元の小瓶を取り出し″大魔王封じ″と書かれたソレを握り潰す。
これは神のエゴで用意した物、こんなものは必要ない。
「一つ、教えてはくれぬか。」
「なんでしょう。」
「お前は確かに強い悪の心を持っている。…どうやってソレを受け止めたのだ。私には、ソレができなかった。」
神の言葉の半分を彼女は理解してない。
ピッコロ大魔王の生い立ちを知ってるのは悟空だけだ。
少しだけ言葉を選んだ上で、挑発的ににひッと笑った。
「……修行不足ではありませんか?
「そうか…そうだな、その通りかもしれん。」
ふふふ、と静かに神も返した。そのまま何も言うことなくシェンを名乗ったおじさんは静かに会場を後にする。
その後ろ姿にぺこりと頭を下げた。
ーーー勉強になりました。
第23回天下一武道会決勝メンバーがこれで確定した。
小籠包
孫悟空
天津飯
クリリン
ヤムチャ
匿名希望の謎の女戦士
桃白白
そして、マジュニア。
前回同様、いやそれ以上の波乱の決勝トーナメントが、始まろうとしていた。
戦闘力更新
ヤジロベー
基本 200
超本気 220
カリン塔を登り降りすることで結構な修行となった。
かつての超本気を無理なく引き出せるようにはなったが、
本気で打ち込んでないのでそこまで伸びないし、
本人にやる気がない。
小籠包
基本(常時気功法):870
無意識に気功法の出力をあげる:950
スタミナの無い彼女には、僅かな出力のブレでもかなりの消耗となる。
これが防がれでもしたら大きく消耗し、その隙をつかれて敗北した。
気功法を纏う戦いがまだまだ不安定である証拠。
難航してます。明日までの脱稿ができないかもしれません…
閲覧ありがとうございました!
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