ドラゴンボールAT   作:澄ましたガール大好きおじさん

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 マジで難産でした、おじさんが言うこと聞いてくれなかったので初投稿です……



其之三十五 サイボーグ殺し屋の初仕事!?

 

 決勝の控室、三年前と何も変わらない風景。

 8人の精鋭たちが、トーナメント確定まで手持ち無沙汰にしていた。

 

 「なあ、小籠包、神様と何を話してたんだ。」

 「……悟空くん気づいてたのね。」

 「オラも最初は気づかなかったさ…でもよお前との戦いでピンと来たんだ。ミスターポポと動きがそっくりなもんだからよ。」

 

 ということは、あの神様は悟空にも伝えずにこの場に来ていたということになる。

 随分と御転婆な神様だな、などと考えながらそういえば彼の素顔を知らないなとまでいったところで、再び悟空が割り込む。

 

 「それで、何話してたんだよ。」

 「神様も修行不足ですねって話かな。」

 「おめえ神様相手にすげぇ事言うなぁ…」

 

 だってその通りなのだ。

 神の言葉は…欲求を抑え込めない、どうしたらいい?

 などと思春期のような悩みそのものと彼女は感じた。

 誰にだって心の悪魔はいる。

 完全な善人なんてこの世には存在しないのだ。

 ソレにどう折り合いをつけたらよいのか?なんて聞かれたら

 

 修行が足らん。である。

 

 少なくとも、彼女の心の師である桃白白ならきっとそう言う。

 

 「神様もヒトの子だったってことね。」

 「?」

 「さ、トーナメントがきまるよ。」

 「そうだな、お前ェと決着つけさせてもらうぜ。」

 「もう着いてるじゃない。」

 「いや、()()()()()()ついてねぇ。」

 

 そーですか。

 などとツンと返す彼女の口元は喜びを隠せていなかった。

 

 かくして、くじ引きによるトーナメントが確定した。

 今度こそ、インチキ無しのガチ抽選である。

 

 一回戦:小籠包 vs 桃白白

 二回戦:マジュニア vs 天津飯

 三回戦:孫悟空 vs 匿名希望

 四回戦:クリリン vs ヤムチャ

 

 以上の組み合わせ。

 

 自分が悟空と戦うには師匠を超え、マジュニアを下さなければならない。*1

 この短期間で気功法を更に極めなければ彼女に勝ちはない。

 先の戦いも…シェンが…神が勝ちを譲ったから勝てた様な物だ。

 マジュニアは、そんな甘い相手ではない。

 

 「くくく、理想的なトーナメントだ、なぁ小籠包?」

 「うわ、出た。」

 「天津飯とやらは…ウォーミングアップには良い相手だ。」

 「準決勝は明日だよ?ウォームアップには早いんじゃない?」

 「ふん、多少順番は前後するが…雪辱を晴らさせてもらうぞ。」

 「私だって、水浴びを覗かれた恨み返させて貰うから。」

 「そんなこと誰がするか!?」

 「私の独り言には聴き耳立ててた癖に。この変態魔族。」

 「ふ、フハハ…ソレでこそだ。やはりお前は俺様がぶっ殺すのに相応しいぜ…!」

 「……できるの?」

 「舐めるなよ、俺様の力はまだまだーーー」

 「できるの?()()()()()()()

 

 二人の空気が止まる。

 

 小籠包は一つ、間違いを犯した。

 マジュニアは悟空を殺し得る敵として仕立て上げた。

 しかし、どうか?

 彼は結果的にではあるも、餃子の命を救った。

 何度も何度も、小籠包を殺し損ねた。

 機会はいくらでもあったのにだ。

 

 先ほどまで悪友よろしく小突きあっていた彼女の黄色い瞳が冷たくマジュニアを見つめる。

 

 「答えてマジュニア、貴方にその覚悟はあるの?」

 「…どこまでも俺様を舐めやがって、当然だ。貴様は最後に踏み潰す。お前の方こそ覚悟しておけ。」

 

 大きな舌打ちをして捨て台詞の様に去っていく。

 その後ろ姿を見送る異形の瞳に、感情は一切ない。

 

 ーーーそんなもの、貴方達には必要なかったはずでしょ?

 

 彼の回答は期待はずれもいいところだった。

 

 0点である。

 

 倒すと殺すは別の話。これは人間たちにとって常識だ。

 しかし魔族たちは違う、敵対者を倒すとは殺すと同じ。

 かつてタンバリンが無造作にクリリンの命を奪った様に。

 

 彼女の求めた答えはこうだ。

 

 『覚悟だと?笑わせるな、そんな物、俺たち魔族には必要ないな。』

 

 

 

 

 

 失敗だ、これでは自分が悟空の前に立ちはだかるのとどう違うというのか。

 

 ーーー感情移入しすぎちゃったな。

 

 もっと淡々と彼を鍛えるべきだったし、

 思えば彼に名前を与えたのが良くなかった。

 ピッコロ大魔王はピッコロ大魔王であるべきだったのだ。

 自分が彼をピッコロ大魔王ではなく、マジュニアにしてしまった。

 

 ーーー私が試してあげる、貴方が魔族に戻れるのかどうか。

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 一方そのころ桃白白は頭を抱えていた。

 

 どう見ても小籠包の強さは次元が違う。この数年で人間を辞めたとしか思えない。いや、人間を辞めたのは自分のはずなのだが。

 

 サイボーグ化してもあの強さでも勝てる気がしない。

 というかピッコロ大魔王を倒したのもあいつらなのではないか?*2

 だとしたらやばい、このままでは″ 悪の道に傾倒しすぎてマジの悪になっちゃったぜ☆ ″大作戦は失敗に終わってしまう。

 

 『先生、殺し屋の誇りを忘れちゃったからそんな風になるんですよ?ほら今からでも遅くないからやり直しましょう。」

 

 なんてど真ん中ストレートをぶち抜いてくる気しかしない。

 一応説得くらいはしてみよう。あの感じだともう先生先生って後ろをついてくるガキでもないし、話半分にしか聞いてくれない様な気もするが。

 

 ーーーやり直し、か。

 

 やり直すも何もこれが自分の正道、彼女には邪道を教えていたに過ぎない。

 

 あんな漫画みたいな話をホイホイ信じた方にも問題がある。

 普通に考えて、世のため人のために働く正義の殺し屋ってなんだ。

 殺してる時点で犯罪者だ。

 そこに少しくらいの疑問を持って欲しい。

 殺し屋に誇りなんてものはない。

 あるのは依頼人と金と標的だけだ。

 

 しかし、小籠包は正義の殺し屋(ソレ)になれたのだ。

 その多大なる矛盾を孕んだ空想に。

 

 裏社会にも一定数、″仁義″とやらを貫く馬鹿な連中もいる。

 自分たちは悪人と理解した上で、人の道を外れないなどというイカれた連中だ。

 縛りプレイもいいところである。

 スナイパーがライフルを使わずナイフの投擲で戦うのと同じだ。

 ソレは最早スナイパーでもなんでもないし、頭がおかしいとしか思えない。

 どれほどの精神力があればそんな茨の道を好き好んで歩めるのか。

 そんな連中に″鬼姫″は一目置かれていた。

 

 では、そんな生き方に憧れるかと言われれば、そんなことはない。

 殺しの理由なんて、金を積まれたから、むかついたから、邪魔をしたから。

 そんなシンプルな理由で十分なのだ。

 覚悟など必要ない、その点で言えば魔族と同じだ。

 殺す、なんて決意表明が必要な時点で殺し屋として破綻している。

 

 さて、何が言いたいのかというと。

 

 ーーーあいつを引き入れるのは無理ではないか?

 

 彼の考えた完璧なリカバリープランの大前提に…彼女が自身のあまりの力にびびって命乞いをすることにあるのだ。

 認めたくはないが、命乞いをするべきなのは自分の方である。

 桃白白はこれでも達人を超えた超達人。

 彼女が如何に出鱈目な存在になったかくらいはわかる。

 

 鶴仙人の見込みでは、小籠包の強さは3年前、あるいはその数年がピークとしていた。

 3年前、既に彼女は鶴仙人を超えていたという。

 その小籠包を孫悟空が下した。

 ということは?

 

 孫悟空に復讐するの、無理じゃないか?

 

 桃白白は頭を抱えた。

 サイボーグ化して手に入れた凄まじい強さに酔っていたし、餃子も適当にあしらってその気になっていた。

 力と言うのは一種の麻薬だ。

 身に余るその力は、時に人の心を増長させる。

 桃白白は愚かではあるが馬鹿ではない。

 

 あんな化け物達とやり合うなんて真っ平ごめんだ。

 やるにしても、もっと自分を鍛えるなり、相手の情報をもっと集めてからでも遅くはない。

 

 よし、逃げよう。身体をくるりと出口に向けたその瞬間。

 

 「先生。」

 

 死神が彼を逃してはくれなかった。

 恐る恐る振り返った先には、静かに佇む弟子の姿がそこにはあった。

 

 「悟空くんから聞きました。貴方のこと。」

 

 桃白白の完璧な計画はこの瞬間粉々に砕け散ったのである。

 えぇ…?と困惑するのを必死に隠しながらもう必要もない演技を続けた。

 

 「ほう…?知ってしまったか、俺様の本性を。」

 「はい、貴方が私の思う様なヒトではなかったことを。」

 「では何故俺様を先生と呼ぶ。」

 「私の心技体は貴方から貰ったものです。だから、私の先生は貴方です。鶴仙流でも亀仙流でもありません。今も昔も、貴方の弟子のつもりです。」

 

 相変わらずうざったい真っ直ぐな視線に、鼻が曲がるような青臭い言葉。

 やはりこの娘は自分と住む世界が違うのだ。

 

 「貴様の師、桃白白は死んだ、8年前、お前に最期の手解きをした時にな。」

 

 コイツとは金輪際関わるべきではない、彼女の為だとかそんな理由ではない。

 こんな連中と付き合っていたら自分の命がいくつあっても足りない。

 突き放す言葉を噛み締める様に双眸を閉じた小籠包が再び開いた瞳には、感情の光がなかった。

 恐ろしいほどの″無″、成る程これが彼の″鬼姫″と言うやつか。

 

 「小娘、俺様に何の用だ」

 「貴方に殺しの依頼です。」

 

 おおかた予想がつく。

 この娘は自分を殺せと依頼をするつもりなのだろう。

 そんな風に凄めば怯むとでも思ったのだろうがそうはいかない。

 

 「私の仕事料は法外だぞ?一億ゼニーーーー」

 「前金で3億…完遂でさらにその3億。これが私の出せる条件です。」

 

 ーーー乗った!

 などとがっつく真似はしない。

 何より、確認せねばならぬことがある。

 

 「望んで居るのは立ち会いか?」

 「世界一の殺し屋と呼ばれた、貴方の殺意を感じたいのです。」

 「……マジになったりしない?」

 「しません、殺したらお金を支払えませんから。」

 

 ーーーならヨシ!!

 とんでもなく舐めた発言をされた気がするが、まあ事実だしこれで金の心配を当面しなくてよくなるのだから万々歳である。

 この娘が殺さぬというのなら信用できる、何より″鬼姫″はそういう女だ。

 一瞬だけかっこいい老師の仮面が剥がれたが、もうカッコつける必要もないだろう。

 

 別に金に目が眩んだわけではない、ちょっと今懐が寂しいからその足しにしようと思っただけである。

 

 「よかろう、しかし外野が煩くてかなわんのでな。場所は改めさせてもらおう。」

 「構いません。」

 「あの実況者に伝えておけ、桃白白は棄権するとな。」

 

 予定変更。

 あんな怪物達を敵に回してなんていられない。

 さっさとこの馬鹿弟子から貰うもんもらってさっさと退散するに限る。

 鶴仙人がきっと色々文句を言ってくるだろうからその前に雲隠れしまおう。

 

 

*1
あるいは天津飯

*2
正解!





 サイボーグ桃白白
  通常200
  気の集中350
  
  人智を超えた(笑)おじさん
  ノリと勢いで生きてる殺し屋。
  予選でヤベェ試合見たから帰る気満々だったけど、
  弟子がお小遣いくれるというからホイホイ依頼を受けちゃう。

  3億ゼニーは多分小籠包の全財産。負ける気ゼロだからそれ以上払う気もない。
  

 相変わらず筆が遅れ始めてます…明日までに間に合うか…微妙です!

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