ドラゴンボールAT   作:澄ましたガール大好きおじさん

39 / 121

 まさかの桃白白が不戦敗になったので初投稿です。


其之三十六 リベンジ天津飯

 

 天下一武道会は過去にないブーイングの嵐が飛んでいた。

 

 前代未聞。

 決勝進出した選手が棄権。

 逃げたのだ。

 

 

 怒りに満ち溢れていたのは鶴仙人だ。

 

 「白白め…!何を恐れておる…!」

 

 サイボーグの身体は正に人智を超えていた。

 彼に生身で勝てる武道家などこの世に居るはずがないのだ。

 折角あの生意気な小娘の無様な負け姿が見られると思ったのに、とんだ期待外れ。

 ならばこんなお遊戯会など見るに値しない。

 棄権した桃白白を探し出して何を考えて居るのか聞き出さねばならない。

 

 鶴仙人はいそいそと観客席を後にした。

 その様子を見ていた亀仙人は小さくため息を溢す。

 

 ーーー弟と違い哀れな奴じゃ、相手の力量も測れんようになってしまったとはの。

 

 かつて武泰斗の元で研鑽を積みあったライバルの成れの果てに亀仙人は哀れみの視線を送る。

 恐らく桃白白は予選で彼女の強さを垣間見たのだろう。

 そして、戦っても無駄と判断した。

 腐っても世界一の殺し屋と呼ばれた男だ。

 分水嶺を見極められない程愚かな男ではなかったらしい。

 

 第一試合が早々に流れたということで…早速第二試合の準備が始まろうとしていた。

 その容姿に、亀仙人はサングラスの奥を驚愕に広げた。

 

 ーーーあ、あやつ…!凄まじい妖気じゃ…!それに…似ておる…!

 

 ターバンとマントで全身を伺う事はできないが、その面影は忘れられるはずもない災厄を思い起こす。

 ピッコロ大魔王にそっくりなのだ。

 

 向かい合う両者…深く構えを取る天津飯に随分と余裕があるのか、腕組みをして薄ら笑いを浮かべるマジュニア。

 

 あれほどまで極まった天津飯をして、マジュニアには及ばない。

 武術の神と謳われた男は帽子の奥から冷や汗を一筋垂らす。

 

 ーーー天津飯よ、無事で帰って来るのだぞ…!

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 「マジュニアとやら」

 

 小籠包の不戦勝が告知されている間の控室、天津飯は対戦相手にコンタクトを試みた。

 相手をする気は無いのか、彼は瞳を閉じたまま動かない。

 

 「餃子を救ってくれたこと、礼を言う。」

 

 そんなことお構いなしに…天津飯は深々と頭を下げる。漸く彼の頭頂部に視線を向けたマジュニアは吐き捨てるように返す。

 

 「勘違いするなよ?奴に復讐するため、仕方なく手を貸してやったまでだ。」

 「ソレでもお前とシャオのおかげだ。礼を言う。」

 「ちっ…鬱陶しいやつめ、媚を売っても無駄だ、貴様には初戦で負けて貰う。」

 「望むところだぜ、シャオに挑みたいのが自分だけだと思うなよ。」

 「お前に奴の相手は務まらん。小籠包を殺すのはこの俺様だ。貴様などあっさり片付けてやるぞ?」

 

 心なしか、マジュニアの声音が高くなった様に感じる。

 

 「聞かせてくれないか、お前にとってシャオはどんな奴だ。」

 「俺様以上に魔族らしい冷血なイカレた女、隙あらば人を小馬鹿にするふざけた奴だ。」

 

 即答。

 まるでカンペでも用意したかの様な流暢な悪口の羅列。

 普段の小籠包とはだいぶ印象の違う感想。

 

 「そ、そうか。なんと言うか、大変だったんだな。」

 「貴様…奴に妙な事を吹き込まれたわけじゃないだろうな?」

 

 その瞬間、数日前に小籠包からの罵倒の数々が脳裏を過ぎる。

 天津飯は、嘘がつけない男だ。

 

 「ちっ…あの野郎、やはり余計な事を言いやがったな、正直に言え…聞いておかねば気が済まん。」

 「そ、そうだな…デリカシーのない、破廉恥な男と、聞いて居る」

 「……続けろ。」

 「自意識過剰、とも言ってたな。」

 

 ギリッ…!と目の前の男が奥歯を砕く勢いで噛み締めて居る。

 実際はもっと酷い言い草なのがマジュニアにはわかるのだ。

 

 「ほ、褒めてもいたぞ?マジュニアの名は、洒落が効いてて良いとな。」

 「……。」

 「奥義が完成したのも、お前のおかげとも言ってたぞ!」

 

 ピッコロ大魔王の生まれ変わりに何を必死になって居るのか、天津飯にも分からなかった。

 ただ目の前の男が余りにも不憫に思えたのだ。

 この3年間、マジュニアにとって小籠包は目の上のたんこぶどころではなかったらしい。

 

 「まあ、いい…殺す程度で済ませてやる。」

 

 機嫌が直った…ようには見えないが、好転はしたらしい。

 一体どんな3年を過ごしたのか興味が尽きないが、恐らく教えてはくれないだろう。

 

 「マジュニア選手!天津飯選手!入場してください!」

 

 まるで見計らったようなタイミング。

 それ以上かわす言葉などないとでも言う様にマジュニアはそそくさと武舞台へと向かっていく。

 後に続く天津飯は先ほどのやりとりを思い出す。

 彼からは強い妖気を感じるのは間違いない。

 しかし、どうしても彼が悪人だとは思えなかった。

 どちらかと言うと悪ぶって居る、そんな印象だ。

 だが、その実力は本物。小籠包に負けず劣らず…いや彼女よりも格上かもしれない。

 

 ーーーまったく、幸運な事だぜ…!待っていろよ、シャオ…!

 

 深々と腰を落とし構える対してマジュニアは薄い笑みを浮かべて立ちはだかる。

 

 ーーー俺ごとき構えるまでもない、か。舐めやがって…!

 

 二人の様子をみて、アナウンサーが開始の合図をあげた。

 変わらず、二人は動かない。マジュニアは悠々とその様子を…天津飯はなんとか隙がないかと観察する。

 

 「どうした、貴様に打たせてやると言うのに…怖気ついてその場から動けんか?」

 「ふっ…ならそうさせてもらうぜ…ずぇぇえあ!!」

 

 踏み込んだ足から衝撃波が迸る。常人には彼がワープをした様にも見えただろう。

 それほどの超高速、今や天下一武道会ではお決まりのスタートである。

 

 「だだだだだだだだだだ!!」

 

 息をもつかぬ天津飯の猛攻。早速試合のペースを掴んだかに思えたが違う。マジュニアは宣言通り打たせているのだ。

 彼の拳はマントを虚しく打つのみで彼の身体に一発たりとも届いてはいない。

 

 あまりの戦力差に天津飯は舌打ちを溢す。

 ここまで力の差があったとは。

 おまけに彼はまったく本気を出していない。

 ターバンとマントをつけたままなのがその証拠だ。

 

 しかし、予想外の強さに舌を巻いたのはマジュニアも同じであった。

 

 ーーースピードだけはその気にさせる男だ。奴らの力を見誤ったかもしやんな。

 

 これはいつまでも手を抜いてはいられない。

 

 「天津飯とやら、貴様を侮っていたことを詫びよう。」

 「光栄だな、だか俺の力はまだまだこんなもんじゃないぜ。」

 「なら、俺様の実力について来れるか試してやろう。」

 

 ぐっ…!と全身に力をこめる。

 その瞬間…彼の妖気が濃密に膨らみ、充実していった。

 その気の大きさは、素人の観客たちにすらその身体が大きくなった様に感じるほど。

 

 「覚悟はいいな天津飯。」

 

 ここでマジュニアは初めて構えを取る。

 今度は彼の姿が消える。

 

 ーーー速い…!

 

 天津飯よりも一段早いスピード、3つの目を凝らして漸くその動きを捉える。

 認識はできるが反応が追いつかない。

 

 「つぁ!!!」

 

 鋭い蹴りが天津飯の顎を貫く。悲鳴を上げる事もできずその巨体が上空へ高々と吹き飛ばされる。

 追い討ちにと飛び上がったその身体は当たり前の様に空中で加速し、拳の連打を浴びせる。

 

 その全てが天津飯の身体に突き刺さり、無視できないダメージが彼の身体に蓄積される。トドメに振り上げられた両腕によるダブルスレッジハンマーによって武舞台の中央に撃ち落とされる。

 

 床に叩きつけられるその瞬間、なんとか舞空術によって激突を免れる。

 悠々と空中から降り立つマジュニアは呼吸の乱れどころか汗の雫すら見せてはいない。

 

 「流石のタフさだ、奴が認めるだけはある。」

 

 筋肉の鎧を貫通した打撃は天津飯の身体にいくつもの青あざを作っている。ソレでも急所は外れており致命的なダメージは回避していた。

 

 「これでわかっただろう、俺様と貴様との力の差が、さっさと棄権しろ。」

 「何を言ってやがる、勝負はここからだぜ…!」

 

 強がりだ、ソレを聞いた誰もがそう思った。

 しかし実際に攻撃を受けた天津飯は…勝機を見出していた。

 彼の力は6〜7割ほどと見積もっている。

 油断をしている今なら、彼を出し抜き倒すことができると

 

 今度は天津飯が彼にしかけた。拳を打ち、脚を払って、肘を、膝を打つ超高速の打撃の連打。

 その全てをマジュニアは見切る。身体を少しずらすだけの最小限の動きで回避していく。

 

 「遅い!」

 「がは!?」

 

 その連打の隙間…僅かな呼吸の瞬間を捉えて鳩尾を打ち貫く。戦力の差は絶望的だった。

 急所を正確に打たれて崩れ落ちる天津飯をマジュニアが見下ろす。

 あっけに取られたアナウンサーがダウンした天津飯に慌ててカウントを取る。

 3カウント、そこで天津飯の身体が起き上がる。

 

 「まだ、だ…!」

 「くくく、正直、ここまでとは思わなかったぞ。だがもう限界だろう?大人しく武舞台から降りたらどうだ?」

 「ほざけ…!見せてやるぜ、俺の奥の手をな!」

 

 その全身から静かに闘気が溢れ出る。

 濃密な気が膨れ上がる事に、マジュニアの眉根が僅かにあがる。

 

 「はァァァァァ…!!」

 

 気迫のこもった重い吐息と共に彼の姿が徐々に蜃気楼のごとくぶれていく。

 決して幻覚などではない。徐々にそのブレは大きくなっていき天津飯の身体が2つに分裂していく。

 

 「……!?」

 「驚くのはまだ早いぞ…!」

 

 更に天津飯の気が高まっていく。2つに別れた身体が更にブレ始めていく。

 その体は更に倍に分裂し四人の天津飯がマジュニアを取り囲んだ。

 

 「なかなかやるな…!面白い。」

 「天流秘奥義、四身の拳…覚悟はいいか…!」

 

 四人の天津飯が同時に襲い掛かる。

 正面からの拳を避ける、そこに迫るもう一つの身体から放たれる回し蹴り、受けている間に迫る横っ面を狙う拳。ソレすら受け止めるマジュニアの両足を最後の一人が払う。

 跳躍した所を先回りしていた一人が両腕をハンマーの様に撃ち下ろす。

 全体重を乗せた一撃を受け止めたマジュニアの動きが流石に止まる。その瞬間、残り三人の波状攻撃が彼を飲み込む。三方向から取り囲み先ずは頬を打ち抜き、背中を蹴り穿ち、腹を打つ。

 

 「だぁぁぁだだだだだだだだた!!」

 

 四人の天津飯が彼を取り囲み一方的に痛めつけていく。連続ダメージが故のノーガード。

 攻撃により怯みはしているものの、ダメージは少ない。

 

 ーーーふ…成る程な。

 

 攻撃を受けながら、そのカラクリにほくそ笑む。

 打撃の一発一発が軽いのだ。

 ならば防御に徹し…隙を伺うのが最良。

 マジュニアの気配から反撃の気配が薄くなったその瞬間。

 

 「いまだ…気功法!!」

 「なに!?」

 

 4つに分たれた天津飯の気配がぐん!と跳ね上がる。

 自分の師である小籠包の技に驚いているのではない、

 その効果量に驚く。

 

 なにせ取り囲んだ彼らの気配は少なくとも倍程に膨らんだのだ。

 気功法は知って居る。しかしそれは多少力を上乗せする程度の技ではなかったのか?

 

 そんな彼の困惑を他所にマジュニアを打つ波状攻撃はその苛烈さを増していく。頬に沈むパンチは彼の頭蓋を揺らし、腹に沈む蹴りは内臓に衝撃を与える。そして背後から後頭部を両の拳で撃ち抜かれたマジュニアは遂にその巨体を床の上に倒れ伏してしまった。

 

 マジュニア、屈辱のダウンである。

 

 

 





 天津飯
  基本:500
  四身の拳:125×4
  気功法:1000
  四身の拳(気功法):250×4

  気功法の可能性、一時的にその戦闘力を2倍に引き上げる。
  幾らマジュニアが格上でも超達人クラス(250)の攻撃をノーガードでくらい続けることはできず、ダウン。
  戦いは数だよ!兄貴!

  本家より気功法使いこなしてて草
  しっかりしろオリ主

 マジュニア
  基本850
  気の集中による更なる戦闘力 ???
  手加減600
  
  手加減なう。
  小籠包と悟空以外にその気になるのは彼のプライドが許さないが
  気功法×四身の拳によってそうも言っていられない。
  なんなら気功法だけで十分じゃね?とか言ってはいけない。
  まだまだ余力を残して居る。

 閲覧ありがとうございました!
 評価・感想下さると喜びます!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。