ドラゴンボールAT 作:澄ましたガール大好きおじさん
イケメンボクサーくんが思ったより強そうだったので初投稿です。
気の運用については、かなり独自解釈を含みます。
重ねていいますがフーンとフーンイキで読んでください。(激ウマギャグ)
予選会場にて天津飯率いる三人は参加者を見回す。どれもこれも、自分達には及ばぬ連中ばかりの有象無象。自分達を脅かしそうなのは…前大会の優勝者″ジャッキー・チュン″くらい。しかし…天津飯は小籠包と違い表出していない気を感じとれない。見たところ大した事はなさそうだが、彼女が言うのなら、後の三人も相当の手練れなのだろう。確かに、予選で真の実力を見せる必要など無い。
「あのヤムチャという男…あいつらの中で最も″気″が小さいのだったな?」
「誤差レベルだよ、クリリンって子の方が少しだけ気が大きい。でも…」
「あの孫悟空という小僧は別格、という訳か。」
「成る程、だがあの程度が別格というのなら大したことはない。」
「彼のこと知ってるの?」
「あいつ、天にボコボコにされた。」
「流石だね、なら今大会の優勝は天に決まりかな。」
彼らはあの日、悟空と僅かながらにやり合った時のことを思い出す。
天津飯と餃子はイノシカチョウという魔獣を村々にけしかけ…それを自分たちが止める事で金品を支払わせる自作自演をしていたのを悟空に見破られた。
その時に、天津飯が一方的に彼を襲った経緯がある。
俊敏性は確かに目を見張る物があったが…それだけだ。
結局悟空は一度も彼に攻撃を当てることなく樹木に潰されて気絶してしまった。見どころは確かにあるが、それだけの存在である。
とはいえ、あの時の悟空は空腹で実力のほとんどを出せていないのだが、それは彼らには知る由もない。
「少しは歯応えがありそうな奴がいて安心したぜ。」
しかし見れば見るほどただの仲良しグループだ。あれが武道を志す一団だというのだからお笑い草、あの様なヌルイ連中に鶴仙流が負けるはずはない。予選の説明が終わり、早速第一試合が始まった。
…結果はヤムチャという男の圧勝。男の大振りの攻撃を避けて裏拳を一発。確かに速さは一流と言える。
「なるほど…あれが最低ラインか。」
「どう思う、天。」
「ふッ…。」
「……。」
天津飯は答えない。満足そうに笑うだけだ。大して小籠包の顔は険しい。アレで本気ではないとなると、気の大きさだけでは判断は難しいかもしれない。
「次はあのチビの番。」
「見せてもらおうか。」
対戦相手は大層な巨漢、対してクリリンは文字通り彼の足元にも及ばない大きさ。だが、それだけである。彼の技の前では、持ち前の巨漢も怪力も意味をなさず、あっけなく場外。弱い、弱すぎる。何が天下一武道会か…有象無象の集まりじゃないか、天津飯はそう嘆息せざるを得なかった。
「いくぞお前たち、少し挨拶してやろうじゃないか。」
三人は健闘を讃えあう亀仙流の元へ向かう。
「あの程度の技で得意になるとは、おめでたい奴らだ。」
「なんだと…?」
挑発する天津飯にやはりわかりやすくヤムチャが挑発に乗る。小籠包の視線はターゲットである孫悟空に向く、一方彼は天津飯をじっと見つめている。やはり、一度負けた相手には思うところがあるのか。
「あれ?お前ェは…?…あぁ!思い出したァ!イノシカチョウを騙してた奴らだな!」
「知り合いなのか?悟空?」
「そうだ、俺はコイツの命の恩人…なんせあの時トドメを刺さなかったのだから。」
「どういうことだ?」
「誰も俺には勝てんということだ。この俺と予選で戦わなくてよかったな?」
「なに…!?」
「天…そろそろ行こう。」
ばちばちと火花を散らす天津飯とヤムチャ、正に一触即発。ここでの面倒ごとは避けたい。少し挑発するだけじゃなかったのかと小籠包はため息をつく。兄弟子の裾を引っ張って仲裁する傍ら
「チビ。」
「なんだと!ヒトのこと言えんのかお前ェ!」
「チビ。」
「こぉのやろォ〜!!」
兄弟子達の悪癖に頭を抱えたくなる、喧嘩をしに来たわけじゃないのだ。そこまで煽り散らかすと誰が思っていようか。
「やめてよ餃子…!く、クリリンさん、すみません。…天もほらいくよ。そろそろ
「そうだな、どの道武舞台で俺たちにコテンパンにされる。もっとも…あんな武術で8名の中に選ばれたらの話だがな?」
「ッ〜〜〜〜!」
「消えろ、ぶっ飛ばされん内にな。」
「威勢だけは一人まe「天兄!」…ちっ行くぞ餃子。」
半ば引き摺られる形で三人は亀仙流の前から去っていく。
「…あの子も苦労してんだな。」
「ですね、…それに次はあの子の試合みたいです。見てみませんか?」
「そうだな、″鬼姫″の実力、見せてもらおうぜ。」
「あいつがそのショーロンパーってヤツなんか。」
「小籠包な、行こうぜ悟空。」
「おう。」
彼らの後を追いあの少女、小籠包の戦いを見物に行く三人。そこには前回の優勝者であるジャッキー・チュンがいた。
「じっちゃーん!じっちゃんも来てたんだな!」
「おう、久しぶりじゃのお悟空、お前たちも元気にしておったか?」
「え、ええ。」「まぁ…。」
「?」
悟空以外、彼の正体を知っている。久しぶりも何も昨晩話をしたばかりではないかと…彼の白々しい演技に思わずたじろいでしまう。
ーーーこれ、話を合わせんか。
ーーーす、すみません老師。
ーーーでもやりにくいっすよ…武天老師さま…
「うおっほん、お前たちも、あの娘の戦いを見にきたのか?」
「ええ、
「ひゃ〜…あいつ強そうだなぁ。」
武舞台の上に男女が並び立つ。片方は小籠包。天津飯達と同じチャイナ服を着たままだ、流石に帽子は預けているようだが。
対して、浅黒い肌の青年…パンプット。ボクシングスタイルと思しきその格好からヤムチャは思わず身を乗り出す。
「アイツはパンプットじゃないか…!」
「知ってるんですか?」
「ああ!突如現れた若き天才格闘家、大小問わず出場した大会は全部アイツが優勝してる。こりゃ…予選一回戦から荒れるぜ…!」
得体の知れない女戦士と世間をいろめき立たせる天才格闘家の試合。特に…女性選手は珍しく胴衣の上からでもわかる彼女のボディラインに鼻の下を伸ばす連中までいる。
「でははじめ!」
審判の声が高らかに響く。早速ステップを踏んで様子を見る若き天才格闘家、対して小籠包は、僅かに身を半身にずらして身構える程度。その構えとも言えない彼女の姿勢が気に入らなかったのか。
「俺は女だからと言って容赦はしないぜ。」
「そう、私も男だからといって容赦はしないわ。」
「随分自信があるようだ……」
鼻先を撫でると…2本の指を立てる。一体何のつもりだ?もう勝った気でいるのか?きょとん、と小首をかしげる少女に物分かりの悪い奴めと小さく鼻を鳴らす。
「20秒だ、悪いが俺も忙しくてね。早々にケリをつけさせてもらう。」
「そう、じゃあそれ以上は貴方の負けってことでいいわね?」
「…いいだろう。それ以上かかるのなら武舞台から降りてやる。」
そしてパンプットはなんの躊躇もなく踏み込む。そんな格好で自分の拳が避けられるものか…!今まで数々の対戦相手を踏み躙ってきた必殺の左ストレート…女性の顔に傷をつける趣味はない。顎に一発当ててなるべく無傷で退場させてやる…!そのまま華麗に顎を引っ掛け…昏倒する彼女をキャッチ…スマートに武舞台から降りる彼の完璧なルートは、彼女の指先一つで止められてしまった。
「なっ……!」
「随分派手なウォーミングアップですね?」
「ッ…舐めるなよ…!」
ギアを上げる、もう容赦はしない。その綺麗な顔をこの拳でめちゃくちゃにして、この俺を侮辱したことを後悔させてやる!
風をも切り裂く超速の拳がマシンガンの様に放たれる。少女は一歩も動かないまま…淡々と拳を回避していく。まるでしなやかな柳の木が…気ままにゆれて嵐をやり過ごすかの様に。
彼の拳は一発たりとも彼女を害することはない。
数えるだけで数十発の拳の雨が降り注いでいるというのに、対する少女は汗の一筋だってかいていない。
「はぁ…!はぁ…!ば…馬鹿な…!」
「ジャスト20秒です。ご退場くださる?」
「がは…!」
ノーモーションからの回し蹴りが彼の脇腹を薙ぎ倒す。知覚できていないノーガードの部位に唐突に走る激痛に悶絶する前に彼の身体は場外に吹き飛ばされた。
世間を騒がし、今大会の優勝候補とまで持て囃された若き格闘家の天下一武道会は、僅か数分で幕を閉じた。彼は強い、達人と言ってもよい。…しかしそれはあくまで常識の範疇。…彼女は常識を外れた″超達人″の域にある。
難なく予選の相手をいなし、悠々と武舞台から降りる彼女を出迎える兄弟子はひどくつまらなそうに彼女を睨んだ。
「なに?天。」
「さっさと終わらせれば良かったものを」
「格下の彼が
「ふん、その油断で足元を掬われるなよ。」
「
そしてその一部始終を見ていた悟空たちは三者三様の反応を見せる。
ーーー鶴の奴め、とんでもない逸材をみつけおった。
ーーー可愛い顔して容赦ないなぁ…
ーーー殺し屋ってのは本当みたいだな…俺も注意しよう。
「アイツやっぱ強ェなぁ!」
冷や汗を流す三人とワクワクと飛び跳ねる小僧が一人。
ーーーわし一人ではカバーしきれんかもしれん…
今の動きだけでも…前回の天下一武道会で上位に食い込める実力だ。だというのに、あの小籠包という娘はまだまだ底を見せていない。ソレが悟空の命を狙っているというのだ。
しかし、気がかりなのは、あの少女からは悪意と言うものが感じられない。今の一撃も急所を外し、殺さない様に…しかもなぁ彼の選手生命に傷がつかないよう手加減をしている。
ーーー鶴の奴がそんな教えをするとは思えん。つまりあの娘自身の判断か。
だとするのなら、彼女も…ひいては彼女が慕うあの兄弟子達も悪に染まって居ない。…少なくとも彼女は人を殺めているので罪人ではあるが…。骨の髄まで悪人という訳ではなさそうだ。
ーーー話をする必要があるのう、武天老師ではなく、ジャッキーとして…
悟空の当て馬を主人公ちゃんがもらっちゃいました。仕事無くならないといいね、パンプットくん。
クリリンは地味な顔と言ったけど、ヤムチャ顔がイケメンなのを見ると彼もあの世界ではイケメンなんでしょうね。
閲覧ありがとうございました。
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