ドラゴンボールAT   作:澄ましたガール大好きおじさん

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 遅くなりました!4回くらい書き直してやっとできたので初投稿です!


其之三十七 殺し屋の手解き

 

 第二試合開始のゴングが鳴ったその頃、小籠包は師であった桃白白と向き合っていた。

 ここは3年前のあの日、鶴仙人を連れてきて始末しようとした場所である。

 

 彼女の目的は師との立ち会いなどではなかった。

 世界一の殺し屋と呼ばれる男の殺意をこの身に浴び、殺し屋としての感覚を思い出す為にあった。

 言うまでもなく、マジュニアに対する意趣返しである。

 彼女は彼の更生など望んではいない。

 正確には完全に彼の善性を否定したいわけでは無い。

 彼の更生に期待をしていない、と言う方が正しい。

 

 善になることを本人が望むのならソレで良いだろう。

 しかし、そうでは無い。ピッコロ大魔王の記憶を受け継いでいる以上彼はどうしようもない大悪党なのだ。

 だから小籠包は彼の悪性を利用する。

 

 そのためには、競技感覚で参加して居る彼の性根を叩き直さなければならない。武舞台の上で彼と殺し合いをする。その為には目の前の男に…殺し屋としての心を思い出す必要があった。

 

 「シャオ、貴様を殺した場合…いや、うん。殺せた場合?まあ、いい。その場合どうやって報酬を支払うつもりだ。」

 「天兄に尋ねてください、多分知っています。」

 

 そうか、と構え直す桃白白、本人とてわかっている。

 この戦いに意味など無いことを、どうひっくり返っても自分がこの娘に勝てない事を。

 

 「では、仕事を始めよう。あっさり殺してやるぞ。」

 「!?」

 

 その途端、桃白白の気配が変わった。

 全く淀みのない意識の切り替わり、先ほどまで少々茶目っ気すら感じたサイボーグのおじさんは、恐ろしいターミネーターへと変貌したのだ。

 

 その様子は、魔族の連中を思わす。

 敵意=殺意、倒す=殺す、今まさに彼女が欲する悪人そのものだった。

 

 ーーーもしかして…先生も、悟空くんの脅威にできるかもしれない。

 

 しかし残念ながら彼が満たしていたのは悪の資質だけだ。

 その力は当然、彼女の足元にも及ばない。

 

 桃白白はあの手この手で彼女に攻撃を試みた。

 両手両足に仕込んだ仕込みナイフ、両腕に隠されたギミックによる飛び出す拳、その一つ一つはくだらない小細工だが、殺意が載せられれば悪辣な攻撃の数々に早変わりする。

 

 現に、小籠包は攻めあぐねていた…なんてことはない。

 観察する、超えてしまったかつての師、

 その限界点を見定めようというのだ。

 

 「ははははは!どうしたシャオ、予選で見せたあの動きはどうした。」

 

 徐々に調子に乗り始める桃白白。

 暫し見に徹していた小籠包が動く。

 

 突き出された仕込み刀を指先で白刃足り、その勢いを利用し身体を回転しながら勢いよく投げ飛ばす。

 

 「ぬぉぉぉぉ!?」

 

 実に情けない悲鳴をあげながら桃白白の身体は宙返りし逆さ向きに大樹に激突。

 そのまま地面にずり落ちては随分と間抜けな格好でのダウン。

 実にコミカルな絵面である。

 

 ーーーこれは、無理だ。

 

 一瞬で現実に引き戻された桃白白が真顔になる。

 逆さ向きに無形のまま半身で構える小籠包は底がしれない。

 たった8年でこれほどの成長をするとは。

 だが、3億ゼニー分は働かねばならない。

 この娘はマジにならないと、殺さないと約束をした。

 何がしたいのかはよくわからないが、もう少し付き合ってやらねば納得はしないだろう。

 

 起き上がる桃白白を観察する。

 この茶番が長く続かないことを小籠包も理解していた。

 

 だからこそ、彼の動きは目に焼き付けておきたい。

 世界最強と謳われた殺し屋の機微はマジュニアを揺らすのに使えるはずなのだ。

 そのためにはこちらから打つわけにはいかない。

 

 「上達したようだな、かつての師として鼻が高いぞ?」

 「先生の方こそ、まだまだ全力ではないのでしょう?」

 「う、うむ。」

 

 そんなことはない。

 彼に対する評価は余りにも過剰だ。

 桃白白は割と全力で彼女に襲いかかった。

 ソレをあろうことか曲芸じみた形で反撃をされてしまった。

 

 最早勝負をするまでも無いのである。

 

 「もっと見せて欲しいんです。思い出させて欲しいんです。あなたの拳を。」

 「では見せてやろう。」

 

 右手首に指先を添え…がちゃん、と回す。そのまま乱暴に手首を投げ捨てると腕の先には大きな砲口が口を開けていた。

 

 「俺様の新技、スーパーどどん波だ…!」

 「…!」

 「逃げるのは構わんが…俺様の技をみたいのだろう?思い出させてやるぞ桃白白様の恐ろしさを…!」

 「では、受けてみせます。」

 「いい度胸だ小娘…!」

 

 腕の先に気が集中する。

 スーパーどどん波は機械の身体によって気の放出の威力を底上げした彼の強力な必殺技。

 その威力は気功砲と負けず劣らずの威力を誇る。

 機械の身体故に生身への負担はかなり低い。

 その気の昂りに少なからず小籠包は驚いた。

 

 この威力なら間違いなく悟空を殺しかけた大魔王の爆力魔波に並ぶといっていい。

 

 「受けを選んだのは失敗だったかも…!」

 「かかかか!今更逃げても遅い!死ねィ!どどん…」

 

 ーーー波!!!!

 

 砲口の先から溢れる大量の気が放たれる。

 初めて彼女は構えを取る。

 迫る気の奔流に両手を添えて踏ん張る。

 

 ーーーざ、り…!

 

 食い込むつま先が少しずつ地面を抉っていく。

 意識していなければどどん波を止める手が飲み込まれてしまう。

 

 「くッ…!」

 

 予想外の威力に力が入る。

 このままでは間違いなくこの大きさに飲み込まれる。

 

 「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 力任せに腕を振るってその軌道を強引にあらぬ方向へ無理矢理投げ飛ばした。

 哀れ、桃白白最高の必殺技は彼女を焼くことなく空の彼方へと飛んでいった。

 

 ーーー化け物か。

 

 どどん波を放った姿勢のまま桃白白は驚きのあまり鼻先から鼻水を滴らせる。

 少しばかり肩で息をするかつての弟子は今度は腰を落とす。

 今度はこちらの番と構えた彼女にぞわり、と怖気が走る。

 

 「いいいい、今のが俺様の最高の技だ!そそそ、ソレを防がれた以上、勝ち目などなかろう!」

 

 降参だ!降参!と早くも白旗をあげながら捨てた手首を拾い上げる。

 ここまで力量さを明確にすれば納得するだろう。

 

 「もう、終わりですか?」

 

 そんな媚び媚びに見上げてもダメなものはダメ。

 これ以上やれば桃白白の命がいくらあっても足りない。

 結局何がしたかったのか最後までわからなかったが、まあいいだろうと殺し屋は手首を嵌め込みながらそそくさと帰り支度を整える。

 

 「俺様は勝てぬ戦いはしないのでな。」

 「そうですか、残念です。お金は先生が独立前に使われていた鶴仙流の口座にあります。」

 「そうか、ではきっちり3億ゼニー、いただいていくぞ。」

 

 踵を返す後ろ姿に声がかかる。

 

 「先生、また一緒に武を極めてはくれませんか?」

 「お断りだ、貴様と馴れ合う気などない。もう会うこともなかろう。」

 

 冗談じゃない!

 と心の底から悲鳴をあげた。

 スーパーどどん波をあっさりと投げ飛ばすような怪物相手に付き合ってなどいられない。

 

 あと、もたもたしてると鶴仙人に見つかりかねない。

 3億ゼニーのために棄権してたとバレればどんな面倒なお小言をくらうか想像に易い。

 早々に樹木の一本を引き抜き、宙に投げ飛び上がると共に数発の拳を浴びせる。余計な枝葉をこそぎ落とした見事な角材が出来上がる。

 

 「ではさらばだシャオ、もし口座の中身が不足していたら取り立てにくるからな。」

 「いつでもどうぞ。」

 

 彼女の言葉を待たずに彼は角材を投げ飛ばし、その上へヒョイと乗っかり彼方へと飛んでいってしまった。

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 あっさりと敬愛する男は飛んで行ってしまった。

 相変わらず出鱈目な移動方法である。

 

 「絶対舞空術の方が簡単よね、アレ。」

 

 同じことをやれと言われても無理だと断言できる。

 そもそもアレ途中で方向変えたくなったらどうするのだろう?要所要所で柱を乗り換えるのだろうか。

 

 ーーー先生、()()()()()()()()()()()()()

 

 桃白白が想像した以上に、小籠包の中での彼の評価は天井知らずだった。

 それほどまでに幼少期の思い出というものは美化されやすく、同時に強烈な記憶として残りやすい。

 多感な時期に自分を一方的に叩きのめし修行不足と笑って去った男があの程度のはずはない。

 小籠包はそう信じてやまないのである。

 彼を通じて殺し屋のなんたるかを思い出そうとしたが収穫はなかった。

 これではマジュニアに悪党のなんたるかを思い出させてやることなどできないだろう。

 

 「まぁ、いいか。」

 

 それ以上に小籠包は師匠と僅かにでも拳をかわせたことに満足感を覚えていた。

 悟空は彼は悪いやつだ、と言い放ったが、やはりその悪行にも理由があるはず。

 それが何かは流石の彼女にも思い当たらないが、そもそも師匠の考えの底を察することなどいままでできなかった。

 こんな小悪党な振る舞いもきっと自分すら惑わす為の仮面なのだ。

 

 今日は偉大な人物に二度も稽古を受けた、そんな上機嫌。

 スキップすらする勢いで彼女は死闘繰り広げられている武道会会場へ急いだ。

 

 「さて、マジュニアと天兄の試合をーーー」

 ーーーずん…!!

 

 大きく重い気配が武道会場から響く。

 この気は知っている、マジュニアの気配だ。

 しかもこの大きさは彼女知るマジュニアの気の大きさではない。

 巨大、それでいて濃密、自分の実力を一段も二段もすっ飛ばした脅威。

 

 「天兄…!」

 

 緩んだ顔色が一転、彼女はオーラを放出して急ぎ舞空術にて武道会場へ戻った。





 サイボーグ桃白白
  通常200
  スーパーどどん波 600
   
  恐ろしい新技、気功砲にも及ぶ恐ろしい技…ではなかったのだが
  スーパーとつけるくらいなのだからどどん波より強いってことで雑に気功砲と同列に


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