ドラゴンボールAT   作:澄ましたガール大好きおじさん

43 / 120

 執筆時間が確保できず申し訳ないので初投稿です。


其之四十 対決!亀仙流 vs 亀仙流

 

 「しゃ、シャオ…これは、どう言う状況だ?」

 「悟空くんが結婚しました。」

 「…す、すまん、もう少し詳しく教えてくれないか?」

 

 マジュニアとの戦いに敗れ、意識を失っていた天津飯が目を覚まし、餃子に連れられ控室に着いた時、そこは混沌としていた。

 見知らぬ女性に腕を組まれて困惑する悟空とソレを悔しげに睨むクリリン、浮気を疑われて耳を引っ張られるヤムチャに、大変優しげな顔でソレをベンチから眺める小籠包。

 彼は比較的落ち着いてる(と思われる)小籠包に状況説明を求めた。

 

 その結果が冒頭のやりとりである。

 かくかくしかじか、小籠包はこれまでのチチとのやり取りを簡単に伝えた。

 この大会中、時々ふらりと消えることがあったが、彼女は二人の仲を取り持つ為に色々と奮闘していたらしい。

 その結果がこれである、何かを悟ったように遠くを見つめる小籠包、普段の彼女からは想像もつかない疲弊ぶりである。

 

 「た、大変だったんだな。」

 「まあね、ひと段落ついたから良かったけど。」

 

 向こうでは亀仙流の一団とチチが旧交を温めている。

 この試合は閑話のようなもの、次からが本当の意味での試合再開。

 クリリンとヤムチャの試合だ。

 

 特に小籠包はクリリンに一目置いている。

 三年前、彼は舞空術なしに餃子と互角以上の戦いを見せ、勝利を掴んだ。

 あの身のこなしと技がさらに冴え渡っているのなら、これほど手強い相手はいないだろう。

 それはヤムチャも同じ、この3年間彼も相当な修練を積んだはずだ。

 天津飯の伸び代を考えれば、相当なパワーアップをしているはずだ。

 

 そのどちらかは2回戦で悟空と当たる。

 悟空が負ける様なことがあれば、決勝戦でマジュニアと当たることになるだろう。

 

 ーーー私じゃ彼には勝てない。

 

 悟空はああ言ったが、彼を鍛えたのは自分だ。

 天津飯の様な隠し球は自分にはない。

 もちろん、負けてやるつまりなど微塵もないのだが。

 

 そこまで思考を回してたところで天津飯から注がれる視線に気づく。

 

 「なに?」

 「勝算はあるのか?」

 

 自分のことなどお見通しらしい。

 

 「ない。」

 「俺の様に気功法を瞬間的に高めれば、どうだ?」

 「いざとなったらね、でも極力使いたくないかな。私がやると10秒と保たないだろうから。」

 

 やるだけやってみる。

 それだけ告げて、小籠包は次の試合を観戦すべく、選手用の観覧スペースへと進んだ。

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 天下一武道会、準々決勝最後の試合。

 二人の亀仙流の戦士は無言で互いの闘志を認め合っていた。

 

 ーーー負けませんよ、ヤムチャさん。

 ーーーそれはこちらのセリフだ。

 

 視線を交わすだけで互いの言いたいことは分かる。

 ならば言葉は不要、あとは試合で拳を交えるだけだ。

 

 「本日最後の試合です!なんとなんと!対戦カードは彼の亀仙流同士の対決となります!」

 

 高らかに場を盛り上がる彼の言葉に補足するのなら、第三試合も実は亀仙流同士の戦いであったのだが…チチの素性を知らない彼には知る由もないだろう。

 

 互いに構えをとる。方や餓狼を思わす獰猛さを秘め、方や洗練された無駄のない半身を下げた静かな構え。

 同門対決とは思えないほど、二人の構えは対極であった。

 

 「第四試合!始め!」

 

 開始の合図と完全に同時に獣と戦士がぶつかる。

 そのリーチを生かし、攻撃力に特化した攻撃はまるで爪牙のごとくクリリンに襲い掛かる。

 迫る爪をかわし、牙を受け止めて、カウンターにと獣の腹に拳を打ち込む。

 それをただただ受けるヤムチャではない、急所に撃たれる拳を片腕を犠牲に受け止め…その強靭な筋肉の盾で受け止める。

 攻守変わって、防御で動きの止まった獣に至近距離からの気功波を撃ち放つ。

 慌てて両腕での防御に切り替え、何とか攻撃を受け止める。

 ダメージはあるものの致命的ではない、しかし爆煙の中、ヤムチャは一瞬敵の姿を見失う。

 

 ーーーかめはめ…

 「!?」

 

 その一瞬の隙に気を充実を終えたクリリンはヤムチャの頭上を捉える。

 

 ーーー波ァ!!

 「ちィ…!」

 

 回避も反撃も間に合わない。

 クリリンの気をてらった奇襲は見事至近距離での奥義直撃に成功した。

 …かに思えた。

 

 ーーー新・狼牙風風拳!!

 

 爆煙の中から獣が飛び出す。かめはめ波を打った直後、自由落下する隙をついたカウンター。

 一秒間に10発の攻撃を孕む、ヤムチャの新たな必殺技。

 スピードに傾倒しすぎたその技は、足元に対する防御の甘さを抱えているのだが…ことカウンターにおいてそのリスクは取っ払われる。

 何十発もの爪と牙がクリリンの全身に叩き込まれる。

 気を放出した直後の防御の暇もない完全なる直撃。

 

 「はぃぃィィィ!!」

 

 両腕をクロスして袈裟斬りに胴体をうちぬく。

 確かな手応えとともに獣に食われた哀れな武道家は2度3度、武舞台の上でバウンドしダウンを取られた。

 

 「素晴らしい攻防です!クリリン選手のかめはめ波を耐えぬき…!見事…狼牙風風拳でのカウンター!たまらずクリリン選手ダウンです!!」

 

 熱いアナウンサーの実況に会場の歓声と野次が混ざり合う。

 ぴくりとも動かないクリリンに対して獣は愉快そうに笑った。

 

 「立てよクリリン、そんなものじゃないはずだろう。」

 「バレましたか。」

 

 ケロリと起き上がった彼の胴着は爪と牙にてボロボロになってはいるもののダメージはほとんどない。

 気の放出の直後…だというのに、クリリンは即座に全身に気を纏わせてその猛攻を耐え抜いたのだ。恐ろしい気の運用の速さである。

 

 「まったく…隙をついたつもりだったんだがな…。」

 「僕だって、確実に捉えたと思いましたよ。」

 「ふ、修行で強くなったのは、同じってことだ。」

 

 再び構え直す。仕切り直しだ。

 またもクリリンが気を大きく高める。その両手から凄まじいエネルギーを内包した気功波が放たれる。先の目眩しに使ったような低威力のモノではない。かめはめ波とほとんど同等の威力のそれはまっすぐヤムチャ目掛けて迫る。

 だかスピードがない、威力は目を見張る物があるが、これでは避けてくれていってる様なもの。

 何なくその脇を駆け抜けて技を発する本人へと駆け抜ける。

 再び必殺技を叩き込むべく、指先を獣の牙に作り替える。

 

 「隙だらけだぜ!いくぞ…新!狼牙ーーー」

 

 その瞬間、クリリンの両手が振り上がる。その動きに合わせて先ほど避けた気功波がくるりと旋回し一直線にヤムチャを襲う。

 

 「…!?」

 

 スピードこそないが、このエネルギーはどこまでも彼を追尾する。

 飛び出した牙を収めて慌て退避する。

 そのまま自身に気功波を当たるほどクリリンは馬鹿ではない。

 たくみに両腕を使ってヤムチャを執拗に追跡する。

 

 ーーークリリンの奴、また一段と腕をあげたな…!

 

 ライバルの進化に嬉しく思う。

 しかしいつまでも喜んではいられない。

 逃げてばかりではいつか追い詰められる。

 このままクリリンの消耗を待ってもいいが、そんな弱点を抱えたまま実戦投入する奴でもない。

 

 ヤムチャは足を止めて、迫る気功波に迎え出た。

 

 ーーーか…め…は…め…波ァ!!

 

 気功波同士のぶつかり合い、パワーに傾倒した追跡型のエネルギーに苦戦する。

 この三年でヤムチャのかめはめ波もかなりの威力を上げた。

 しかしそれでも彼の新技と押し合いに成る程に威力は拮抗している。

 

 「おォォォォォォォ!!!」

 

 両腕から放つ気の量を爆発的に高める。力の拮抗を破ったかめはめ波は真っ直ぐエネルギーを放つクリリンの元に跳ね返ってーーー

 

 「隙ありィ!!」

 「ぐぁ!?」

 

 突如真横に現れたクリリンが彼の横っ面を蹴り飛ばす。

 気づいた時には遅い。

 いつの間にかクリリンは技を放つのを中断し、撃ち合いの光の中に身を潜ませた不意打ち。

 

 卑怯とは言わせない、コレは戦略だ。

 馬鹿正直に正面から殴り合うほど、クリリンは純粋ではない。

 

 思わぬ方向から反撃を受けたヤムチャの行き着く先は武舞台の外。

 

 クリリンの勝ちだ!誰もがそう予感したその時。

 ヤムチャの身体が場外に着地の寸前でピタリと停止した。

 舞空術だ。

 

 「なんとなんと!?、ヤムチャ選手…!空中にて停止!場外を免れました。」

  

 彼を応援する陣営からの割れんばかりの歓声。

 最早当たり前の様に使われる舞空術。

 ふよ、ふよ、と彼は舞台の上に着地するとごき、ごき、と首を鳴らす。

 

 「やりますね…ヤムチャさん。」

 「お前もな…想像以上だぜ…!」

 

 先ほどの追跡エネルギーはヤムチャの想像通り体力を大きく消耗する技だ。そう何度も打つことはできない。

 何より、もう同じ手は通用しないだろう。

 

 隠し球を使ったクリリンに焦りの表情が滲む。

 対してヤムチャには余裕があった。

 

 「本当は、もう少し隠しておくつもりだったが…見せてやる俺の新必殺技をな…!」

 「な…!」

 

 ヤムチャの気が膨れ上がる。その大きさはかつてのピッコロ大魔王のフルパワーに負けず劣らず…!

 舞台がおおきく揺れ動く凄まじい気がヤムチャの全身に充実していく。

 

 「今のうちに攻撃することをおすすめするぜ。流石のお前でも、この攻撃は捌けない。」

 

 こめかみに青筋を浮かべながら不敵に微笑む。

 そう言われてホイホイ敵の間合いに飛び込むクリリンではない。

 

 「やってやりますよ!いつでもこい!」

 

 であればその大技を防ぎ切り、気の落ちたその最大の隙を狙うまで!

 

 「へっ…後悔するなよ!」

 

 全身に充実した気の全てが右腕に集約し…ボッ!とサッカーボール大の気の塊が生み出される。

 

 「覚悟はいいか…!」

 

 ーーー操気弾!!!

 

 裂帛の掛け声とともに巨大な気弾がクリリンへと迫る。

 こんな攻撃…詰め込まれたエネルギーは大したモノだが、こんな単調な攻撃に当たるほど自分は消耗してはいない。

 半身をずらして紙一重で交わしたクリリンがヤムチャへと迫る。

 

 「貰っ…ーー-!?!?」

 ーーーどご…!

 

 剃髪された彼の後頭部に重い一撃が突き刺さる。

 背後からの完全なる奇襲。

 先ほどの追跡気功波のような緩やかな機動変化ではない。

 何のラグもなく180度の向きを変えてまるで壁にバウンドするかの如く軌道を変えてクリリンの頭を撃ち抜いたのだ。

 

 コレこそがヤムチャの奥の手、最終奥義「操気弾」。

 

 頭を撃ち抜かれ意識朦朧とするクリリンに更なる追撃。

 指先で操作されるソレは四方八方、縦横無尽に飛び回り、クリリンの全身を撃ち抜いていく。

 

 過剰とも言える徹底的な追撃。

 念入りに彼の意識を刈り取るべく、操気弾で急所をうちぬく。

 敵の表情が虚になったところで、ヤムチャの指先に力がこもる。

 

 ーーートドメだ!!

 「ハィィィィィィィィィィ!!!」

 

 大振りに振られた腕の動きに合わせて一際鋭く加速した操気弾。

 

 「!!!」

 

 その瞬間、クリリンは全身に力を込める。

 一時的に気を高める。

 集中ではなく、全身レベルでの気の解放!

 

 爆発的に彼の力が跳ね上がり、舞台にめり込む程に脚力を迸らせて、弾丸の様に弾ける。

 操気弾の脇をすり抜け、迫るクリリン。

 弾丸を引き戻そうにも彼の速度はヤムチャの奥義よりも速い!

 

 「だりゃぁぁぁ!」

 

 超速の拳がヤムチャの腹にめり込み、今度こそ大ダメージを与える。

 ヤムチャの意識が、一瞬だけ途切れる。

 

 「いまだ!!」

 

 背後から迫る操気弾に合わせて小柄な体躯を屈める。

 敵を刈り取るべく迫った彼の最大の技は意識を失いかけ制御から外れた彼自身の弾丸によって顔面を撃ち抜かれ、容赦なく、その身体再び場外へと吹き飛ばしていく。

 

 意識を狩られたヤムチャが舞空術で回避できるはずもなく、その身体はあっさり場外へと転落した。

 

 

 「場外!!第四試合!クリリン選手の勝利です!!」

 

 

 





 戦闘力更新

 ヤムチャ
  基本:220
  かめはめ波:440
  新・狼牙風風拳500
  操気弾660
 
 新技を携えて天下一武道会に挑むが惜しくも敗退。
 操気弾使うならこのオチにしかないと思ってました。

 クリリン
  基本240
  かめはめ波:480
  追跡気功波480
  気の解放700
 
 ぶっつけ本番の気の解放、賭けに勝利したクリリン。
 この時点でピッコロ大魔王を凌駕してるが、維持出来る時間は極端に短い。
 ヤムチャに攻撃を塞がれたら危なかった。


 閲覧ありがとうございます!
 評価・感想くださると嬉しいです!!

 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。