ドラゴンボールAT   作:澄ましたガール大好きおじさん

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 難産でした……お待たせしました…初投稿です。
 もう雑なのでそろそろこの始まりやめたいね!


其之四十六 決着!天下一の男!!

 

 「悟空さぁぁあ!!!!?」

 

 チチの悲痛な叫びが選手用の観戦スペースから響く。

 マジュニアのゼロ距離攻撃、ノーガードを強いられた様に見える。

 しかし、ソレは違った。

 

 爆煙の向こう側からは、胴着の上着は完全に消失してしまったが、その身は健全に立ち続けている孫悟空の姿がそこにはあった。

 

 「し、しんじられません!孫選手!マジュニア選手のあの攻撃をノーガードで受けきりました!」

 

 試合に魅入っていたアナウンサーが忘れた様に叫び散らす。

 彼の見解は、実は違う。

 悟空はきちんとガードをしていた。

 

 気を高めて、物理的な防御力ではなく、気による防御力をあげることは、今の悟空にとっては造作もない。

 

 「へッ…なんて野郎だ。この俺様が左腕を犠牲にしたってのにな。」

 「いや、今のはやばかったぞ…お前ェがもうちょい力を入れてたら、オラ死んでたかもしれねえ。」

 「言ってくれるぜ…!」

 

 そう言いながら、マジュニアは頭のターバンをスルりと外す。

 自分はどこかで孫悟空を侮っていた…。

 その心待ちを恥じるように、邪魔なソレを脱ぎ捨てたのだ。

 

 こうして見ると、ピッコロ大魔王にそっくりだ。

 そして…

 

 ーーーお、おい…あいつ、どこかで見た顔じゃないか…?

 

 観客の一人がそんな言葉を口走るのを皮切りに…会場全体がざわめき始める。

 

 ーーーに、似てる…!ピッコロ大魔王に…!!

 

 観客の一人がその答えに辿り着くまでに然程時間は必要ではなかった。

 

 「……ちっ。」

 

 その様子に一人舌打ちをする、孫悟空との戦いに興じていたと言うのに、そんな()()()()()()()で一瞬で白けてしまう。

 観客のざわめきは伝染していく。ただの空似と揶揄するもの、いや、親類かなにかだ!実は生きていたのでは!?etcetc

 

 「似てて当たり前だ!この俺はピッコロ大魔王の生まれ変わりだからな!!!」

 

 マジュニアの一括に、全てが凍りつく。

 

 「世界中に知らせておけ…この大会を潰し、俺様の復讐を遂げた暁には…再び貴様らの王になってやる!!この俺様の…()()()()()()()天下が蘇るのだ…!」

 

 ぐあははははははは!!!!

 

 下品な笑い声が会場中に響き渡る。

 その笑い声に…かつての恐怖を思い出してしまった観客が一人…絶叫をあげながら飛び出す。

 それをきっかけに…一人、また一人と外へ駆け出し。

 遂には会場中大混乱を巻き起こしながら皆我先にと出口へと逃げ出していく。

 

 「あ、あわわわ…!」

 

 観客達がいなくなったのにも関わらず、アナウンサーは一人恐怖と戦っている。

 しかし、天下一武道会の審判も兼ねてる彼がここで逃げ出すわけにはいかない。

 

 「おっちゃん、逃げても構わねえぞ。」

 「い、いえ!私はここでことの成り行きを見なければなりません!」

 

 悟空からの助け舟すら、彼は蹴飛ばして見せた。

 彼は悟空がこの戦いに勝つと信じているのだ。

 数多の武道家達を見送った、アナウンサーの直感である。

 

 「これで邪魔者はいなくなった。ぶちのめしてやるぞ孫悟空!」

 「ああ!…おっちゃん、悪いけど、開始の合図くれねえか?」

 

 武舞台から僅かに顔を覗かしてこくこくと頷く様は小動物のよう…

 これがおじさんではなく可憐な女子アナウンサーなら絵になっていただろうに…

 

 「…ででで、では!両選手!!ししし試合を再開してください!!」

 

 「早く戻せよ、その腕。そんなんじゃオラの相手にならねーぞ。」

 「くくく、強気なことだな…こんなものハンデにもならんというのに…!」

 

 力んだマジュニアの焼けこげた二の腕の断面から…ずるり!と薄緑の体液を散らしながら腕が生えてくる。

 

 「…ひゃ〜、お前ェそんなこともできんのか。」

 「…神から聞いていたのではないのか…?」

 「いや、知らねえ、治せねえならあんな真似しねえって思っただけだ。」

 

 ずっこけそうになるのを押さえ、咳払いをひとつ。

 

 「先の技を耐えた褒美に見せてやろう。俺様の更なる力をな。」

 

 ぐん…!とマジュニアの気が膨れ上がる。

 膨れ上がる気は彼の輪郭を徐々に、徐々に…肥大化させていく。

 幻覚でも、目の錯覚でもない。

 マジュニアが踏み締める会場がみしり、と音を立てている。

 質量が増加している証拠だ!

 

 みるみるうちに彼の体は悟空が見上げるほどの巨体に変わっていく。

 

 ーーー巨身術

 

 小籠包は一度だけこの技を見たことがある。

 無論、当時は力の差を理解してない小僧だったのもありボコボコにした。

 デカいだけの雑魚だったのは今でも覚えている。

 

 ーーー力も、増している。

 

 彼女は、背筋に冷たい物が流れるの感じた。

 この三年でマジュニアもまた技の精度を進化させていたのだ。

 

 「でけぇ〜!!」

 「…くたばれぇ!!!」

 

 感嘆の声をあげる悟空目掛けて頭上から隕石の様な拳を容赦なく叩きつけていく。

 ただの拳が地面を穿つ兵器となり、薙ぎ払う腕はそれだけで突風を巻き起こす。

 まるで地面を這う虫を追い回すかの様な気軽さで悟空は徐々に徐々においつめられていく。

 

 悟空の俊敏性は一時はマジュニアを翻弄してるかに見えた。

 しかし、全速力で移動し続ける悟空と、片や最小の動作で会場の端々を網羅できるマジュニア。

 その絶望的なリーチの差はあっさり悟空に軽いジャブを与えることになる。

 

 さて想像して欲しい。

 下道を走るトラックが真正面から激突した時の衝撃を

 

 今のマジュニアの攻撃はジャブとはいえ、ソレほどの威力を備えているのだ。

 

 舞台に倒れ伏した悟空はその一撃でぴくりとも動かなくなってしまった。

 死んではいない。

 だが、すぐに立ち上がれないほどのダメージを負ってしまった。

 マジュニアの脚が振り上げられる。

 倒れ伏した彼目掛けて…無慈悲に振り下ろされ

 

 ーーーずしぃぃ…ん

 

 孫悟空は踏み潰されてしまった!

 

 仲間達の悲鳴が響き渡る。

 目元を覆うチチ、無力感に震える亀仙人、親友の敗北に歯噛みするクリリン、友の死に怒りに燃えるヤムチャ、余りの戦力差に呆然とする天津飯。

 

 しかし、マジュニアは理解している。

 孫悟空は絶命していないことに…そして

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()困惑している。

 

 ーーーかめはめ……

 「!?」

 

 潰されたはずの悟空の声が響く。

 沈んだ仲間達の気持ちが浮上する。

 

 ーーー波ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

 脚の下から迸る極光。先程と打って変わり、今度はマジュニアがゼロ距離のかめはめ波…否、超・かめはめ波とも呼べる巨大なかめはめ波の奔流に飲み込まれていく。

 

 「ぐぅぉぉぉおぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 マジュニアの断末魔…爆力魔波とは比較にならない超威力の気功波。

 しかも先ほどの様な予備動作はなく…或いはこっそり気を溜めていたのかもしれない。

 気を高める事もできず、マジュニアは完全な不意打ちでかめはめ波を受けることとなる。

 

 細い糸の様な閃光が上空にかき消えていく。

 

 そこには…

 

 「大ェした奴だ…!」

 

 上空にてボロボロとなったマジュニアがそこにはいた。

 ダメージこそ負ってはいるし…巨体を解除してはいるもの、その姿は健在といえよう。

 

 「…あ、危なかったぜ…後1秒遅れていたら…!」

 

 あの一瞬、かめはめ波の発動の直前…巨身術に回している全ての気を防御に回していた。

 結果…術は解除することとなったが…致命的な一撃は避けることができた。

 恐るべき気の運用能力である。

 

 「…もう大きくなくていいのかよ。」

 「…ふん、貴様が存外に小賢しい奴なのはわかった。アレでは無意味な隙を与えてしまう。」

 「そうかよ。」

 

 仕切り直し、互いに満身創痍と言ったこの状況。

 無敵に思えたマジュニアのタフネス

 無限に見えた悟空のスタミナ

 それぞれに翳りが見え始めている。

 

 誰もが決着に予想がつかない中…小籠包だけは違った。

 ーーーマジュニアの負けだ。

 

 二人が一様に弾ける。

 目にも止まらぬ速さ、武舞台の中央、端、あるいは空。

 インパクトの瞬間だけは…なんとか捉えることのできる光景。

 

 悟空が、マジュニアが、まるでターン制バトルの様に互いの攻撃の隙…ノーガードを突いて撃ち合う。

 完全なる互角…いや、打たれ強さに一家言あるマジュニアが有利か…?

 

 ーーーな、何故だ…!同じく打ち合っている俺様の方が…何故打ち負ける…!?

 

 しかし、現実は違う。

 インパクトの瞬間…悟空は僅かに一撃を避けている。

 ソレでも敢えて打たせているのだ。

 正に肉を切らせて骨を断つ!

 

 彼は既にマジュニアの動きを見切っている。

 確かにマジュニアは強い、打たれ強さは類を見ないだろう。

 しかしそこに胡座をかいてしまった。

 攻撃に傾倒しすぎてしまったのだ。

 

 対して悟空は違う。

 ポポから、小鳥飼いの少女から、釣り師の老人から、或いは、偉大なる過去の武人達から…。

 己の才能を過信せず、あらゆる技術を貪欲に呑み込み。

 満遍なく力と技を磨き、己のスタイルを確立した。

 

 この撃ち合いは二人のこの差を確実に証明していた。

 いや、この試合そのものがソレを証明していた。

 

 一度目は不意打ちで捉え、ゼロ距離での気功波を防がれ

 二度目は術による優位性を覆した反撃

 

 悟空は真正面からマジュニアの力を押し返している。

 

 ダメージによりマジュニアの動きが鈍る。

 拳の速度が落ち、インパクトの瞬間がズレ、バランスが崩れる。

 

 「しま……!?」

 「いまだ!!!」

 

 勝機!!

 己の全身全霊を委ねた拳をマジュニアの腹目掛けて叩きつける。

 

 「ご…ァ……!?」

 「波ァァァァァ!!!」

 

 怯んだ彼の隙を見逃さない!

 ノーチャージのかめはめ波。

 その威力こそ弱いが、相手を吹き飛ばすことだけに注力しただけの気合い砲。

 完全なノーガードで意識を散らしかけたマジュニアの身体はあっさり吹き飛ばされ…その巨体を武舞台の外へ転がり落としていった。

 

 

 

 

 しん………。

 

 

 

 悟空の浅い息遣いだけが響き渡る。

 …がしゃん、と武舞台の一部が崩れる音でアナウンサーが堰を切ったように叫び出した。

 

 「じょ、場外!!勝者!!孫悟空選手!!第23回!!天下一武道会!!優勝者は…孫悟空選手です!!!!」

 

 

 





 あとはエピローグです。
 ラディッツ…覚悟はいいか?
 おじさんはできていないよ……頑張ってね………
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