ドラゴンボールAT   作:澄ましたガール大好きおじさん

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 閲覧くださりありがとうございます。

 主人公ちゃんの情緒がぶっ壊れてるので初投稿です。

 タイトルそれっぽくつけた方がDBらしいなと思ったのでつけました。


其之四 殺し屋、怒る!

 

 お昼休憩、小籠包はまた頭を抱えていた。

 

 「ふざけるな貴様…!こんな豚でも食わん飯でも出しやがって…どういうつもりだ!」

 

 どうも、亀仙流の連中にどうしてもちょっかいをかけたいらしい。餃子は我関せず…パスタをくるくると回して遊んでいる。

 

 ーーーちょっと、天兄!やめてよ!恥ずかしいよ!

 ーーーお前は黙って見ていろ。あの生意気なヤムチャとかいうやつに用があるんでな。

 

 普段はこんな大人げない事をする人ではないのに…よっぽどあの亀仙流の人たちが気に入らないらしい。もう黙って見てられないと、立ち上がったその時。

 

 「やめろ。」

 「…ふん、お前か。」

 

 ーーーなにちょっと嬉しそうなの天兄。

 

 一触即発の空気のなか、彼女だけが気の抜けた視線で兄弟子を見つめる。

 

 「つまらんことで騒ぐな、みんなの邪魔だ。」

 ーーーそうよヤムチャ、言ってあげて。

 「邪魔…?あの程度の腕前で偉そうな口を利くじゃないか。」

 ーーー腕前とか関係ないです、本当に恥ずかしいからやめてください。

 

 男同士の緊迫したやりとりに思わず目元を覆いたくなる。何がそんなに兄弟子をムキにさせるのかわからない。

 

 「教えてやろうか?本当の強さを…!」

 「面白い…!」

 

 両雄、構え、睨み合う。ごくん、と固唾を飲む音すら響く静寂の中。

 

 「いい加減にして!」

 「ぐおっ!?」

 

 スキンヘッドの頭から綺麗な音がスパン!と鳴り響く。

 

 「な、何をするシャオ…!」

 「ここはご飯を食べるところでしょ!やりたいなら外でやって!」

 「そやつの言う通りじゃ、…ヤムチャよ、お主が拳を振るうのはここではない。」

 

 いつの間にかジャッキーもヤムチャの腕を掴んでいる。彼も仲裁に入るつもりだったらしい。妹弟子に睨まれ、やっと頭が冷えたのか天津飯が踵をかえす。背中越しにまるで捨て台詞の如く

 

 「死に損なったな、シャオに免じて見逃してやる。」

 

 颯爽…と立ち去っているつもりの彼の後ろで少女がぺこぺこと頭を下げて出ていく。

 

 「あの子も、苦労してんだな…。」

 

 本日二度目の同情の視線を殺し屋に向けながら、自らも未熟を恥じるヤムチャ。

 あれで殺し屋だと誰が信じるのだろうか。

 程なくして食堂は元の喧騒を取り戻していった。

 

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 「…………。」

 「…………何か言う事はない?天兄。」

 「……スマン。」

 

 休憩室にて大柄のスキンベッドの男が少女の前で正座をさせられているシュールな絵面がそこにあった。

 この大会が始まってから妙に落ち着きがない様に感じる。無意味に騒ぎを起こす様な人じゃないことを彼女は知っている。

 

 「どうしたの。今日の天兄少し変だよ。」

 「…俺にもわからん。少しばかりムキになっていた自覚は、ある。」

 「…自覚あったんだ…。」

 

 半ば呆れ気味に兄弟子に向けた視線はひどく残念そうなモノを見るソレ。流石に妹分にそんな扱いをされることに思うところでもあったのか、罰が悪そうに再び頭を下げた。

 

 「俺が悪かった、気をつけよう。」

 「天さん、情けない。」

 「餃兄も人のこと言えないと思うけど?」

 「なんだ、シャオ、僕は暴れてないぞ。」

 

 馬鹿、餃子…!素直に謝ってーーー

 

 「無意味にクリリンを煽ってたのはど・こ・の・だ・れ?」

 

 不味い、天津飯が顔を青褪めた頃にはもう遅い。ニッコリと感情のない微笑みを讃えながら二人の前に立ちはだかる″鬼″がいた。

 

 あのまま乱闘騒ぎにでもなったらどうするつもりだったの?

 出場停止なんて食らったら恥をかくのは鶴仙人様だよ?

 私がやめろって言ったのにどうして聞いてくれないの?

 いつもいつもそう、二人が無茶して私が老師に叱られるんだよ?

 この間も勝手にイノシカチョウを連れ出したと思ったら、どこぞに捨ててきた時も、私が凄い叱られたんだよ!?

 何て言われるか知ってる?「お前が手綱を握らないのが悪い」だよ?

 2人はいいよね!私にごめんで済むんだから!

 私は老師からのお説教だよ!?短くて数時間、酷いと丸一日だよ!?

 二人の方が兄弟子なのにどうして私が二人の面倒を見なきゃいけないの!?普通逆でしょ!

 

 ーーー始まった、ごめん天さん

 ーーー気にするな、気の済むまでさせてやろう。

 ーーー私が話してるのに念話でおしゃべり?

 「「!?」」

 

 「ふゥンそうかそうか、私のことはやーっぱりお小言マシンか何かとしか思ってなかったんだ…ふーん?」

 「ま、待てシャオ、誤解だお前の話を聞いてなかったわけじゃない。」

 「じゃあ最後に私が何て言ったのか答えられる?」

 「……い、イノシカチョウの件は、済まなかった。」

 

 ぶちん、何かのキレる音が聞こえた気がした。

 先ほどまでの勢いはどこへやら後ろから湧き上がる怒りの炎は鎮火。怒りを納めた訳ではない、燃え尽きてしまったのだ。投下する燃料はあれど燃える物が無ければ炎はあがらない。

 

 「…もう知らない。」

 

 彼らをおいて、彼女はトボトボと休憩室を出ていく。そこに先ほどの様な烈火の様な怒りはない。溢れんばかりの悲しみの背中。

 弁明をするのであれば話を聞いていなかったわけではない。情報の濁流で困惑してる上に動揺に動揺を重ねれば天津飯とてミスをする。ただそのミスが致命的だっただけである。

 更に言えば…彼女の最後のお叱りは要約すると「イノシカチョウの時は私が酷く叱られた」である。こう考えれば、小籠包の対応は理不尽に過ぎる。

 

 正解は、こうである。

 

 ーーーイノシカチョウの件はすまなかった。()()()()()()()()()()()()()

 

 とあればパーフェクト。そう、彼女を納得させる合格点がパーフェクトなだけ、…十二分に理不尽だ。

 もっとも…お叱りの最中に内緒話をする彼らが100悪いのだが。

 

 「天さん、どうする?」

 「暫く時間をおくぞ、今謝っても多分聞いてはくれん。」

 

 要領の良い彼女を見て時折忘れるが、まだ彼女は10代、天津飯からすれば年下である。

 彼女に任せすぎてるのは反省すべきことだろう。桃白白の仇討ちも自分たちでなく、彼女に向けられた。

 実力は確かに天津飯の方が上、しかし殺し屋としてどちらが優秀か…鶴仙人はそこをよく見ている。力の強さと任務遂行能力はまた別なのだ。

 

 ーーーアイツのことだ、予選なら問題無いだろうが…本戦開始までにはなんとか落ち着いて貰わんとな。

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 ーーー子供ねぇ。私も。

 

 兄弟子のことは言えない。誰かの前ではムキになる、という点で言えば小籠包も同じだ。どうしてわかってくれないのかとつい頭に血が上ってしまう。大きなため息をひとつ溢したところ。

 

 「悩み事ならこのジジイに話してみんか。」

 「ジャッキー…チュン…!」

 「そう身構えるな、取って食ったりせん。」

 

 この老人の正体が亀仙人…武天老師とわかっている以上彼と話をする道理はない。彼の言葉に聞く耳など持たない。宥める言葉を無視して落ち着ける場所を探しに立ち上がる。

 

 「それともこう呼んだ方が良いか?″鬼姫″よ。」

 

 ーーービッ…!

 ーーーバシッ…!

 

 殆ど条件反射に拳が飛び出た。自分の身の上がバレている。おまけに今の攻撃は自分にとって最高の奇襲だった。間違いなく殺すつもりだった。

 だと言うのに…この老人はその細い腕でなんなく自分の拳を受け止めた。

 

 「良い拳じゃ。」

 「その名で呼ばないで。小籠包…シャオランでいいわ。」

 「すまんな、お主とどうしても話がしたくてのう。」

 「なに?私…今すごく機嫌が悪いの。」

 「…狙いは悟空か?」

 「なんのことかと思ったらお弟子さんの心配?…お優しい事ね?」

 「弟子の心配をするのは当然じゃろう。」

 

 やはり甘い。

 そんなのだから亀仙流(オマエラ)鶴仙流(ワレワレ)に劣るのだ。異形の瞳が冷たくジャッキーを見据え、口角が邪悪に吊り上がる。

 

 「お弟子様よりご自分の身を案じては?貴方ではうちの天には勝てません。お怪我をする前に帰った方がいいですよ。」

 「ほほ、目の曇った小僧共に遅れを取るほど耄碌しとらんよ。」

 「それで?私に挑発でもされにきたんですか?」

 「いいや、お主に頼み事があるんじゃ」

 「お弟子さんの命乞い?悪いけど、孫悟空は殺す。見逃してなんてやらない。」

 「そんなことは分かっておる。わしの頼みとはやるなら武舞台の上でやれ、それも()()()()()()()()()。」

 

 この爺さんは何を言ってるんだ。異形の瞳が細まる、幾らその目を見つめても彼の考えは読み取れない。海原のような底の見えない瞳。小さく舌打ちをして視線を逸らす。

 

 「それを聞いてあげる意味がないわね。」

 「ほう、そんな戦い方で師匠が浮かばれるのかのう。」

 「!」

 

 ーーー桃白白…様。

 

 その動揺をジャッキーは見逃さなかった。カマかけのつもりだったが、見事に彼の予想は的中したらしい。この娘の師匠は桃白白、それも彼のことを()()()()()と考えている。しかしソレを部外者の自分が正すことはできない。言っても、彼女は聞きはしないだろう。正々堂々の勝負に持ち込めば、悟空にもまだ勝機はある。彼はそう考えた。

 

 「わかった。望み通り武舞台の上で殺してあげる。弟子の死に様を特等席で拝ませてあげるわ。」

 「お主にあやつを()れるとは思えんがのう?」

 「試合が始まればわかることよ。私の前に立ってくれるのを祈ってるわ。」

 「それは楽しみじゃ…最後に一つだけ忠告してやろう。鶴仙人とは縁を切れ…これ以上…お主の技が曇るのは見るに堪えん。」

 「ご高説感謝します。でも私の居場所は私が決める、武の神様は大人しく()()()()()()()()()()()

 

 これ以上話していてはイライラが増すばかりだ、今度こそどこか落ち着ける場所を…探す時間はもう無い。予選午後の部が始まるまでもう時間が無い。恨めしげに視線を一つ投げて逃げる様に小籠包はその場を去っていった。

 

 ーーーうむ、うまく焚き付けることができたわい。

 

 想像よりいくらか御し易い。

 やはり、場数を踏んでいようと中身は10代、齢300を超える達人にはまだまだ及ばない。

 

 ーーーそれにしても……良い尻をしとる…♡

 

 齢300を超える達人も、ピチピチギャルには勝てなかった様子。

 





 天さんが飯にキレてたのよくわからなかったので、あれヤムチャ釣りたくて態と暴れてたのでは?と言うことにしました。あの頃の天さん、詐欺で小金稼ぎする程度にはチンピラ…ていうか半グレ(?)ですから。

 
 悟空の当て馬を主人公ちゃんがもらっちゃいました。仕事無くならないといいね、パンプットくん。
 クリリンは地味な顔と言ったけど、ヤムチャ顔がイケメンなのを見ると彼もあの世界ではイケメンなんでしょうね。

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