ドラゴンボールAT 作:澄ましたガール大好きおじさん
今度こそZ開始なので初投稿です。
孫悟飯はスクスクと育っていき、四歳。
小籠包は相変わらず、時々悟空に変わって面倒を見ていた。
加えてピッコロとのやりとりにも変化が生じた。
ガチ気味の試合から稽古レベルの組み手に変わったのである。
理由は言うまでも無い。
もちろん、自分もピラフルームでの鍛錬を怠らない。
あの天下一武道会から恐ろしいほど平和な日々が続いていた。
それでも彼らの戦闘力の伸びが著しいのは、ライバルの存在があるからだろう。
本日はハイヤードラゴン*1の背中に悟飯を乗せて、2人と一匹で川で水遊びをしている。
足がつかる水たまりの様な静かな清流で、悟飯とハイヤードラゴンの戯れる姿に目を細めて癒されているその時に、彼は現れた。
静かに殺気だった小籠包にハイヤードラゴンも身構えて悟飯を咥え背に乗せる。
何が起きたか一人わかっていない悟飯は頭に大量の?を浮かべる。
現れたのは、見事な体躯と腰まで届く長髪。
何より特徴的なのは…腰に巻かれた長い尻尾だ。
緩やかに上空から降り立った彼は実に尊大な態度で口を開いた。
「ほう、中々に鍛えているようだな女。」
そう言いながら、こめかみに装着された得たいの知れないマシンを操作する。
様々な情報が小さなディスプレイに表示されているが、小籠包には理解できない。
くっくっくっ、と笑いながらその表示された情報を読み取ると、一瞬だけ真顔になる。
「ふ…どうやら調子が悪い様だな。」
ペラペラとよく喋るやつ…
そんな感想を、こめかみからマシンを外して再起動(?)をかけている男から視線を外さない。
ピッコロ大魔王程ではないが、こいつは悪人、そう断ずることのできる気だ。
「…ふん、故障か。
腹いせと言わんばかりに、男はディスプレイを握り潰し、バキンと破壊する。*2
漸くこちらにまともに向き合った彼に小籠包は吐き捨てた。
「失礼な奴ね、名乗りもあげずにジロジロとおかしな機械で観察して…一体何者?」
「俺様はラディッツ。誇り高き戦闘民族サイヤ人だ。この星にいるはずの我が弟を迎えにきた。くく、サイヤ人の名を聞いた事くらいはあるだろう?ヤードラット人の女。」
どうだ、恐ろしかろう、などと宣う男に首を傾げる。
さいや?やーどらっと?こいつは何を言っているんだ。
まるで自分が宇宙人とでも言っている様に聞こえる。
「しかし…地球人とのハーフか、奴らが他種族と交配するとはな。……おい、後ろのガキは貴様の子供か?」
言っていることは全くわからないが、とにかく不快だ。
異形の容姿をこの様にあけすけに指摘されることは、彼女にとって最大の逆鱗である。
今すぐにでもくびり殺してやりたい衝動を抑える。
悟飯が見ているのだ、それは教育によろしくない。
「…だとしたら何?人のことを宇宙人呼ばわりする失礼な奴に教える義理なんてないけど。」
「貴様の片親はヤードラット人だろう?地球人からすれば、貴様は立派な宇宙人だぞ。」
はあ?
理解が追いつかない、自分は確かに普通の人間と違うが、それは父親が異形*3だからだ。それが宇宙人?馬鹿げている。
しかし、この男が初対面の自分に嘘をつくとは思えないし、そんな嘘を言うメリットもない。
「貴様の事情など知った事ではないが、後ろのガキもサイヤ人だな?呑気に子作りとは…サイヤ人の本分を忘れたか…あのクズめ…!」
混乱する脳みそが一瞬で冷える。
ハイヤードラゴンの背に隠れ怯える悟飯が目的だというのなら、
こいつは自分の敵だ。幸い、今の自分ならこの男くらいならなんとかやる。
「この子に手を出すのなら、容赦しないけど?」
「容赦しないだと?くっ、…ぐはははははは!!!ヤードラット人のハーフ風情が面白い冗談だ!最強の戦闘民族サイヤ人に勝てると本気で思っているのか!?」
女だからと言って容赦なぞせんぞ?
そう言って構えを取る男に半身を下げ、無形の構えで返す。
どう考えても気の大きさで言うのなら自分が圧勝。
だというのに彼のこの余裕はなんだ?何か策があるのか?
「良かろう、このラディッツ様が遊んでやる。ありがたく思え……つぁ!?」
警戒心を更に高める小籠包に襲いかかる自称宇宙人の彼の攻撃は…
ーーーは?おそ…。
あっさり小籠包に受け止められてしまった。
小手調べとはいえ、自身の攻撃、右ストレートをあっさり受け止めたことに男は驚きを隠せない。
「…!?少しはやるようだな?少しばかり真面目になってやる。」
そう言って繰り出される連続攻撃の嵐。右、左、下、上、拳と脚がなんの手加減もなく小籠包に降り注ぐもその全てが彼女を害することは一切ない。
受け、流し、回避。
それでも彼女が反撃に転じないのは、ひとえに悟飯が怖がるからである。
今なら「このおじさんとちょっと稽古をしていただけ」と言い訳ができるからだ。
暫し攻撃を続け、一息入れる為に彼は距離を取った。
「ッ…馬鹿な、先ほどの数値は事実だとでもいうのか!?」
また訳のわからない事を言ってる…
そんな風に呆れた視線を向けながら、この男の力量程は理解した。
どうやら、彼は力の差を理解していない様である。
ふと、足元の砂利を見る。
「場所を変えましょう。この足場だと、貴方も本気でやれないでしょう?」
「ッ…いいだろう、ちょうど俺様も戦いにくいと思ってたところだ。」
実にわかりやすい。
ため息を一つこぼして、ハイヤードラゴンと悟飯に向き直った。
「悟飯、ちょっとハイヤードラゴンと遊んでてくれる?」
「…小籠包さん、行っちゃうの?」
不安そうな悟飯ににこりと笑いかける。
「すぐに戻るから大丈夫よ、…悟飯をよろしくね?」
ギャウ、と一鳴きした彼に頷くと着いてこいと言わんばかりに彼女は空へと飛び去った。
今回ばかりは緊急事態だ、何かあったら後でいくらでもチチに怒られるとしよう。
背後からしっかりと舞空術でついてくる彼が何者かはわからないが、自分たちにとって有害なのは間違いない。
荒野の広がる平原に着地して向き直る。
問答無用、手加減なぞしない、さっさと終わらせてやる。
「ーーー!」
何の会話もなく、着地と同時に小籠包の身体は弾け、ラディッツの懐に潜り込む。
自身の最大出力に全くついてこれてない彼は、小籠包に必殺間合いを許したことに気づかない。
「はぁ!!」
「ぉぐ!?」
拳が容赦なく彼の腹部を撃ち抜く。
突然の激痛、大ダメージに戦闘態勢を整える時間を与えない。
腹を抱え、くの字に折れ曲がるラディッツの頭目掛けて強烈な回し蹴りが沈み込む。
「ごぁ!?!?」
誇り高き戦闘民族が聞いて呆れると言わんばかりの情けない悲鳴の連打。
勝負は僅か1秒でついた。
回し蹴りの決まった彼の身体は荒野に鎮座する巨大な岩盤に叩きつけられて、大きなクレーターをこさえる。
大の字に沈む彼の身体がずるずると岩盤からずり落ち、地面に崩れ落ちた。
死んではいない、殺すつもりで攻撃したというのに防御力だけは大した男だ。
「威勢だけはよかったわね。」
懐からアウトドアにと用意していたロープを取り出し彼の関節を入念に縛り上げる。
気絶したその体躯を抱えて自宅…ピラフ大王の居城に併設されたトレーニングルームにロックをかけて放り込んでおく。
たとえ目が覚めたとしても…彼にこれは破壊できない。
牢屋として最適だ。
生きているのなら好都合。
この男からは聞きたいことが山ほどあるのだ。
ラディッツを幽閉した後、彼女が向かった先は悟空が修行をしているパオズ山の頂上。
事情を話し、いつか埋め合わせをするから今日は悟飯を見てあげて欲しいと、後日組み手の相手をする事を約束して、彼女はピラフルームへととんぼ返りした。
後日、悟飯からは嘘つきと拗ねられて少しだけ口を聞いてくれなくなり、崩れ落ちるほどの大ダメージを追うことになるのだが、それは別の話である。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「はっ!?ここは!?」
ピラフルームの中央、縛られた男はダメージから復帰し意識を取り戻した。
完全に回復しきった訳ではなく、ずきり、とこめかみに残る激痛に顔を顰める。
しかも両手両足を縛られている。身動きが取れない。
「い、一体何が…?」
状況を整理しようと思考にふける、しかし肝心の記憶にモヤがかかっており、何も思い出せない。
自分は、何者で、一体なぜここにいるのか、思い出せない。
そう、ラディッツは先の戦闘で記憶を失ってしまっていた。
ジタバタと陸に打ち上げられた魚の様に、びちびちとのたうつ。
力任せに千切ろうとしても、上手く関節を固定されており力が入らない。
状況が悪いのは間違いない、一刻も早く脱出をしなければ…!
それだけを思い、もがく事数分。
壁の一部が開く。ラディッツはびく!と怯えた様子を示したが
中から褐色の肌をした一人の女性が現れたのを見て、言葉を失った。
地球人からすれば常識ハズレの容貌、しかし宇宙は広く、ヒューマンタイプとして見れば、その女はかなり整った容姿をしてると言っていい。
「ふーん、戦闘民族を名乗るだけあって、タフね、もう目が覚めたの?」
女の言葉は頭に入ってこない。
だがしかし、ただただ縛られ見上げるだけの彼に流石に女は違和感を覚えた様子。
「聞こえてる?まさか、さっきの一撃で言葉を失ったとか言わないでよ。」
確かに言葉を失っている。
だがそれは失語症だとかそういう障害的な話ではない。
その視線の意図を理解できないのか、女は屈んでラディッツを覗き込んだ。
「聞こえてるの?聞こえてないの?それともわからない?」
近くで見ても、感想は変わらない。
黄色の瞳に黒の瞳孔は、獰猛な獣を思わせる。
しかしそれがまた、ラディッツの心を揺さぶった。
ここで漸くハッと我に帰った彼は慌てて首を縦にふる。
「き、聞こえている。き、聞かせてくれ、ここは、どこだ。」
「…私のトレーニングルームよ。…本当に大丈夫?」
訝しむ、というより心配の色が強くなる。
記憶を失う前の自分は今とは随分違った態度だったらしい。
彼女ならば、自分のことを知っているのかもしれない。
「何も、思い出せないんだ。俺は何者で、なぜここにいるのかも…。」
口に出すと途端に猛烈な不安と恐怖が湧き上がってくる。
瞳は揺れ、声音が震え、語調は弱くなる。
今にも泣き出しそうな彼に、女は少し困った顔をすると彼を縛るロープを外し始めた。
「私の名前は小籠包、貴方はラディッツ。…悪いけど、私も貴方のことは殆ど知らない。」
さっき知り合ったばかりだから。
その口調は先ほどよりも優しくなる。
立てる?と差し出された手を握り立ち上がろうとするが、腹部に走る激痛に思わず顔をしかめる。
彼の記憶がない事を一旦は信じてくれた女…小籠包は、場所を居住スペースへと移動して、これまでの経緯を簡単に説明してくれた。
突然現れ、襲いかかってきたこと。
自分があっさりと返り討ちにあったこと。
暴れ出さないよう、この部屋に閉じ込めたこと。
一通り話を聞くや否や、ラディッツは0秒で頭を下げた。
「すまん!どうか許してくれ!」
「いいよ、気にしてない。ラディッツ…がした事だけど、今の貴方には関係ないもの。」
過去の自分がどう思ったかは知らないが、小籠包に嫌われるのは避けたい。
今のところ頼る事ができるのは彼女だけだ。
見捨てられたら自分は本当に路頭に迷うことになる。
「それより、行くあてもないんでしょ、ここ…好きに使って。」
「い、いいのか!?……お、俺にできる事はないか、力になりたい。」
「……ちょっと考えさせて。」
こんな立派な施設を持っているのだ、それなりの身分なのだろう。
そこに甘える訳には行かない。
そのあまりに実直な態度に、困った様子で彼女は視線を逸らした。
一体自分はどれほど非礼な奴だったんだ。
こんな誠実な女性に対して困らせる様な最低男だったのかと恥ずかしくなる。
「そうだ、お前の仕事を手伝わせてくれ!何も返せないというのは、俺も居心地が悪い。」
「私も、常に仕事があるわけじゃないの。…ラディッツ、貴方戦える?」
自分の身体を見直してみる。
我ながらかなり鍛えていることがわかる。
しかし、戦闘経験は今のラディッツには存在しない。
「わ、わからない。俺は…格闘か何かをしていたのか?」
「うん、そこそこの使い手だと思う。」
優しく笑って褒められると恥ずかしくなってくる。
やはり彼女は美しい、笑うと更にそれが際立って見ていられなくなる。
「私はある人の用心棒をしてるの、だから、貴方にその気があるなら私の相棒にでもなってくれないかなって。」
それは、大変光栄なことだ。
しかし、自分にそれが務まるのだろうか。
「や、やってみよう。力になれるかはわからないが…。」
「わかった、じゃあ身体を動かしてみようか。」
椅子から立ち上がる彼女に慌ててついていく。
こうして話してる間にもあれほど痛かった身体もすっかり落ち着いていた。
思う通りに書いてたらこうなりました。どうしてどうして。
しれっと明かされるオリ主のルーツ。
戦闘力更新
小籠包
種族:???=>ヤードラット人と地球人のハーフ
基本最大:2250
気功法(二倍常駐):4500
ラディッツ
基本最大:1500
孫悟飯
通常:1〜150
潜在能力爆発?:3000