ドラゴンボールAT 作:澄ましたガール大好きおじさん
割と悟空って扱いにくいなと思い始めてきました。初投稿です。
ラディッツは不思議な男だ。
記憶を失う前より、今の方が確実に筋がいい。
あの時叩きのめした彼は、ある意味で完成していた。あれが頭打ちだったと言っていい。
今の彼は違う。
小籠包の教えを素直に受け、構えこそ以前の彼と同じだが受ける印象は全く別物だ。
ハリボテの自信を持った驕り高ぶった男ではなく、油断をせぬようしっかり相手を見据える実直な戦士、それが今のラディッツだ。
彼の力を見てやった時は、動きにぎこちなさがあったものの、すぐに彼は身体に染みついた技術を思い出していく。
気の使い方を思い出し、気功波を出せる様になるまでも早かった。
荒削りではあるものの、ラディッツもまた一つ限界を超えた。
元の力を取り戻して多少強い程度の戦士となるのを期待していたが、コレは嬉しい誤算だ。
それはいい。それはいいのだ。問題なのは…
少しばかり口煩い。
やれ女として気遣えだの。
破れた胴着をいつまで使ってるのだの。
お前は私のお母さんか!?とツッコミたくなる様な小言が増えてきた。
最初の方こそ、自分を思っての言葉だと、ふんふんと聞いていたのがよくなかった。
今や天津飯が二人に増えた様な感覚である。
そんな彼と一緒に生活を共にする様になり…1ヶ月ほどが経過した。
既に一年前の自分を超えている。
戦闘民族というだけあって、戦いの才能に溢れているようだ。
元の人格に戻ったとしても、コレは超えるべき壁として利用できる。
…と、思ったのだが…彼の気から感じる不快なモノは綺麗さっぱりなくなっていた。
その理由は彼の記憶からパーソナリティだけが消えていたことに起因する。
サイヤ人の特有なのか、或いは彼固有のモノであったのか、悪と評せる所が綺麗に抜け落ちてしまったのだ。
まあこの辺りは、仮に記憶を取り戻した時にどうとでも変化するだろう。なる様にしかならない。
さて、記憶は失ったが一部の知識は断片的には覚えているようで、彼の持ってる知識を共有することはできた。
しかし、自分のルーツとも言えるヤードラット人については残念ながら大した情報は得られなかった。
唯一わかったことは不思議な術を使う種族らしい。
そう考えるとその手の術を一切使えない自分は、一族の中では落ちこぼれに入るのかもしれない。
気休めになったのはヤードラット人は長命種の様で、数年前懸念していた
どの道、自分にまともな末路はないだろう。
閑話休題。
何とか同胞から教えを受けられないかと相談をしたが、地球からかなり遠い星の様で、この星の技術ではどれだけかかるかわからないようだ。
「俺の乗ってきた宇宙船がどこにあるかさえ分かれば…力になれるんだが…。」
残念ながら、どこに着地したのかは全く思い出せていない様子。
むしろ、最近は思い出そうとすらしてない様に感じる。
ドラゴンボールを使えば辿れるだろうが、あまり私欲で使うのは良くない。*1
と、そこまで考えに至った時、彼女はあることを思いついた。
悟空の乗ってきた宇宙船があるのではないか?
最初に出会った頃、彼は言った。
『この星にいるはずの我が弟を迎えにきた』
それは十中八九、孫悟空のことだろう。
ならば彼がこの星に来た時の宇宙船があるはずだ。
悟空がソレを覚えてさえいれば回収は簡単である。
壊れていてもピラフならその解析ができるかもしれない。
早速、悟空のところへ行くところをラディッツも同行を申し出た。
どうしてと聞いても、宇宙船の特徴を知ってる自分が行った方が良いの一点張り。
あれだけ記憶を戻すのに消極的だった彼がどういう風の吹き回しなのか。
まあ、どうせ全く知らない弟の顔を見たところで大した刺激にはならないだろう。
特に拒絶する理由もないので、ラディッツと共に悟空の元へと急いだ。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「オラに兄ちゃんが居たのか、オラ孫悟空ってんだ!よろしくな!」
「お、オヤジ…!?」
開口一番ラディッツの放った言葉がそれだった。
「…いや、オラお前の父ちゃんじゃねえぞ。」
「す、すまん、そうだよな、お前は俺の弟…らしいからな。」
「そんなにオラの顔は父ちゃんに似てんのかな。」
「…かもしれん。」
そんな一悶着があったものの、結局記憶が戻ることはなかった。
やっぱり二人は兄弟であることは間違いなさそうだ。
でもラディッツのあの言から、彼の身を案じて迎えに来たわけではなさそうなので、記憶が戻らなくて正解だったのかもしれない。
そんな話もそこそこに、本題を切り出した。
「宇宙船か、じっちゃんには近づくなって言われたでっけえ穴があるんだけど、アレが宇宙船だったのかもしれねぇな。」
「悟空くん、もしよかったら私達に貸してくれない?」
「多分壊れてんじゃねーか?それで良いならお前ェ達にやるぞ。」
幼少期、養父孫悟飯と二人で住んでいたパオズ山にある小さな渓谷、そこに悟空はある日突然、隕石のように落ちてきたのだと言う。
「恐らくポッド型の宇宙船だろう。」
ラディッツの知識にも同類の宇宙船は存在するらしい。
三人で悟空の実家に向かった。
現地に到着し、お目当ての宇宙船はすぐに残骸として見つかった。
「派手な着地をして壊れてしまったようだな。」
ラディッツが中に入り、いくつか操作をしてみたが反応は一切ない。
着地時に自動メンテのシステムが破損しており、加えて20年以上野晒しにされた為か、完全に機能を停止してしまっていた。
「だが、ピラフならこれをヒントに新たな技術を確立するかもしれん。」
「欲しいならお前ェ達にやるぞ。その代わり…。」
ニヤリ、と悟空の口角が上がる。
まるで交換条件と言わんばかりの切り出し方に嫌な予感。
「なぁラディッツ、オラとちょっとだけ組み手しねえか?」
小籠包はやっぱり、とため息をついた。
彼と出会ってからと言うモノ、悟空はずっとソワソワしていた。
悟空からしても、ラディッツがこの地球上で最上位の実力者であることはわかるのだ。
うずうずさせているのはバレバレである。
「小籠包、俺も今の俺の力を試したい、構わないか?」
それはラディッツも同じだったらしい。
この戦闘バカ共め*2と2度目のため息をつく。
「わかった、日も暮れて来たから少しだけね。」
太陽は既に半分ほど地平線の彼方に沈んでいる。
帰りが遅くなるとチチから叱られる。
それはごめんなので、日没までを条件に二人を戦わせることにした。
互いに距離をとる。腰を低く落とし両腕を広く構える悟空。
オーソドックスに両腕を上げるファイティンポーズのラディッツ。
ラディッツのこめかみから冷たい物が流れ落ちる。
強い、これほどまでに強い存在が小籠包以外に存在していたのか。
この1ヶ月で自分はかなり強くなったはずだ。
それでも彼女には届かない…届かないが、自分より強い奴はそうそう居ないだろう。
そんな慢心すら最近は芽生えつつあったのだ。
その鼻っ柱をへし折られる。
握った拳が震える。
恐ろしさからか、それとも武者震いなのかラディッツには判断がつかない。
しかし、不思議と悪くはない気分だった。
彼は先手を譲るつもりなのか、悠然と構えたまま動かない。
ならば見せてやる、小籠包に鍛えられた自分の実力を…!
「つァ!!」
地面を蹴り穿つ。反動で地面が揺れる程の膂力。
強烈な突進と共に繰り出したエルボーを、悟空は何なく片腕で受け止める。
二人を爆心地にして強烈な衝撃波が周囲に迸り、小籠包の髪を撫でる。
激突を皮切りに二人の猛烈なラッシュの応酬が始まった。
一見…格下であるはずのラディッツが悟空の互角に渡り合えているように見えるがそれは違う。
二人の攻撃スタイルは完全に対局であり、自身のスタミナに物を言わせて、初手からスパートをかけるラディッツ。
片や相手の出方に合わせ、その呼吸を理解しカウンターを決める悟空。
悟空は彼に敢えて打たせ、それを受けながら、より効果的な反撃手段を構築する。
現に、最初は彼の攻撃を受けていた悟空の動きは徐々に変わって言った。
確実な回避は次第に最適化されていく。
それは小籠包との戦い方とは全く異なるやり口だった。
ーーーッ…俺の動きを、もう見切ったとでも言うのか…!?
打ち合いをして1分ほど。
既に悟空は紙一重でラディッツの攻撃をかわしている。
そしてラディッツはといえば、悟空の動きを読む事ができずただ闇雲に拳を振るうことしかできていない。
一発、二発、三発。
悟空の瞳がギラリ、と煌めく。
「!!」
「しま…ぐおぉお!?」
振るわれた拳の真横に踏み込んだ悟空、突き出された拳がラディッツの頬をクロスカウンターで撃ち抜く。
真正面から一撃を受けて大きく後ろへ吹き飛ばされるが、岩壁へぶつかる直前、くるりと身体を回して水平に着地する。
「うぉぉぉぉぉ!」
岩壁が砕けるほどの力で飛び上がり、更に舞空術で加速。
構える悟空に対して全身を軸にして錐揉み回転しながらの回し蹴り。
これを屈んでかわした悟空だが、ラディッツの加速は止まらない。
彼のカウンターより早く間合いから離脱し、すぐさま楕円の軌道を描いて切り返し、今度は突進しながらのアッパーカット。
すれ違い様に何度も攻撃を繰り返す。
ーーーこれならば、カウンターは望めまい!
しかしそれすらも悟空は僅か三度の邂逅で攻略する。
四度目の追撃、突き出された腕を引っ掴むとその勢いを捕まえて、身体の軸をぐるりと変える。
肩に背負った屈強な腕を引っ張り、ラディッツの身体を地面目掛けて叩きつける背負い投げ。
「つぉぉぉりゃぁぁぁ!」
「がは…!?」
どん!…と強烈な地響きとともに大きなクレーターが出来上がる。
肺の空気を殆ど搾り出され、起き上がれない。
「…参った、俺の、負けだ。」
起きあがろうとしても力が入らないのを認める、完敗だ。
この四年で悟空も小籠包と同じく力をつけた。
力を増しているがそれ以上に技のキレが一段と鋭くなった様に感じる。
今のラディッツではどう間違っても悟空には敵わないだろう。
「つ、強いな、ソンゴクウ。全く歯が立たなかった。」
「お前ェもすげえよ、久々にワクワクしちまった。またやろうな!」
「嗚呼、次は負けんぞ。」
倒れたラディッツの手を掴み立ち上がる二人の間には確かに武道家同志の友情が育まれていた。
実際な所は兄弟なのだが、お互いに記憶がないので実質他人の様な物だ。
「すっかり暗くなっちゃった、ほら月明かりがある内に帰るよ
思いの外長引いた組み手にパン、パン、と両手を叩いて盛り上がる2人の会話を締める。
頭上に浮かぶ満月を全員が意識したその時だった。
ーーーどくん、どくん。
静かなドラムの様な重低音、ソレが一人の男が放つ鼓動の音だと気づけない。
「あ…ァ…、ァ…?」
「…どうかしたのラディッツ。」
ーーーどくん、ドクン
空を見上げたまま、明らかに様子がおかしい男が一人。
まるで空に浮かぶ満月に魅入られた様。
その様子はどう見ても正気とは思えなかった。
ーーードクン!ドクン!
心臓の音は更に大きく、稼働に合わせてラディッツの身体も震えている。どう見ても、普通ではない。
「ねぇ、大丈ーーー」
「オレ、ニ、チカヅク、ナ!!」
「ぅあ…!?」
突き飛ばされる掌には恐ろしい力が秘められていた。
ダメージこそないが…小籠包の身体は大きく吹き飛ばされる。
「お、おい!ラディッツ!どーしちまったんだ!」
「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
そのまま頭を抱えて雄叫びまであげ始めた。
もう既に言葉が届いてはいない。
人の声というよりは野獣の雄叫びをあげる彼の体はみしり、と軋みをあげて肥大化する。
膨れ上がった筋肉と毛深くなっていく皮膚。
その顔は、猿の様に変化を始めていく。
体格も一回り、二回りと肥大化していき。
遂には山をも超えるような人智を変えたサイズへと変貌する。
サイヤ人の本領発揮、大猿への変貌。
その戦闘力は悟空と小籠包、そしてマジュニアを足しても及ばない。
文字通り理性を失った怪物へと、彼は変貌してしまい…
その戦闘力は10倍へと膨れ上がった。
戦闘力更新
孫悟空
基本最大:5000
既にサイヤ人編終盤の戦闘力に差し掛かっている。
小籠包とピッコロのおかげで追いつけ追い越せでどんどん強くなってく。
コレだけ魔改造したのにベジータの足元に及ばない。
どんだけ絶望的なのサイヤ人の王子。
ラディッツ
基本最大:2500
記憶を無くした事で、ヘタレ要素を残しつつも、他責思考を排斥し、師事を素直に受けることで大きくパワーアップ。
元々コレくらいの才能はあったんじゃない?というのが筆者の見解。
早熟タイプなのか単純に才能に溢れまくってるのかはわかりません。
大猿:25000
地球滅亡の危機。
ピラフ様痛恨のプレミ。
何故小籠包に情報共有しなかったのか、コレガワカラナイ。
後のピラフ様のお言葉。
「こいつ大猿になるかもしれんから、満月の夜には連れ出すな!」
なんて戯言をあの鬼姫が信じると思うか?
ピラフ様にとって、オリ主は超現実主義なのでそういうファンタジーは信じないと思ってます。
え?神龍?オリ主本人が実物見たことあるから…(震え声)
実際は、悟空の尻尾のことを知ってるので、ちゃんと話せば理解してくれるのだが、まあボタンの掛け違いだったということでここは一つ。