ドラゴンボールAT 作:澄ましたガール大好きおじさん
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天津飯がチンピラからガラの悪い兄ちゃんにクラスアップしたので初投稿です。
天下一武道会の予選8名が確定した。
その内容は…概ね本選出場者各人の予想通り…鶴亀の対抗試合の様相を呈した。…一人、露骨にジャッキーに敵意を飛ばす獣人がいたが瑣末な問題だろう。
武道会の控会場にて8名の選手が集まる。
雑談に興じるもの、ウォーミングアップに勤しむもの、標的に敵意を注ぐもの、各人各様の思いでくじ引きの開始を待っている。
一方で天津飯と餃子は瞑想に耽る妹弟子へ謝罪をしている最中だった。
「シャオ、すまなかった。」
「ごめん、僕たちが悪かった。」
「………。」
「お前にはいつも世話をかける。今回も…老師から大任を任されてるな、その足は引っ張りたくない。」
「僕も超能力で手助けできる。」
「手助けはいらない、武舞台で私がヤる。」
「…そうか、安心しろ。万一お前が取り逃がしても、俺が確実に仕留める。だから……」
「天は、私が負けると思ってるの?」
「いや、…そうではなくてな。」
「…なんて、ごめんなさい。私も意地張っちゃった。」
もう怒ってない。口角を少しだけ緩めて再び彼女は瞑想に戻った。漸く懸念事項が払拭した所に燃料が投下される。
「妹さんのご機嫌は直ったようだな。お兄さん?」
こんな所をみられては、この様な煽りも当然のこと、しかし…何度も同じ失敗を繰り返すほど天津飯は愚かではない。無論、餃子もだ。ヤムチャの横についていたクリリンには一瞥もくれない。
「余計なお世話だ、それより自分の心配をしてたらどうだ。」
「おい、シャオの邪魔、あっち行け。」
「ふッ…悪かったよ。…次は武舞台の上だ、覚悟するんだな。」
「ふん。望むところだ。」
これから渡り合うであろう敵に対して認識を改めるヤムチャ、これで尚も挑発に乗るようなら、後ろで瞑想をする少女の心労にでもしてやろうかとも思っていたが
ーーーどうやら、俺が思った程馬鹿な連中じゃないらしい。
「出場者のみなさーん!集合してくださーい!」
「シャオ、行くぞ。」
「うん、わかった。」
「対戦の相手と順序をくじで決めますので、名前を呼ばれた方からくじを引いてください!」
白熱する天下一武道会の実況アナウンサーをするだけあって、彼の声は広い控え会場の隅々までよく届く。仮に誰かが居眠りをしていたとしても声は届いてただろう。
一番手はジャッキー、さて…彼らはトーナメントの組み合わせに、餃子の超能力で介入し、イカサマをするつもりだ。
ジャッキーの当て馬に…天津飯は男狼を選んだ。
彼のジャッキーに対する異様な敵対心にある。これを利用しない手はない。
ひたすら彼を威嚇している。…当のジャッキーはどこ吹く風と言った風に無視しているのがまた哀れだ。
彼が引いたのは④番…即ち男狼以外が③を引かぬ様調整すれば良い。
次にくじを引いたのはヤムチャ。
「奴はこの俺様が倒す。いいな。」
「いうと思った。」
「うん、わかった。」
天津飯の指定は①番。つまり、彼が引くべきは②番となる。
続いて、小籠包が呼び出される。予選では徹底してチャイナ服を脱がなかった彼女が殺しの正装であるドレスを纏っている。深く暗い緑色に金の刺繍が施されたもの。自然男どもの視線が集まる。
「…餃子、⑦番を」
「うん。」
それを無視して兄弟子に目配せした彼女が引いたのは、指定通りの⑦番…その隣に入れるのはターゲットの孫悟空だ。
続いて呼ばれたのは天津飯…引いた番号は言うまでもない②番。
ヤムチャのポーカーフェイスが崩れる。因縁をつけあった相手とまさか第一試合で戦う事になるとは、これは動揺かあるいは高揚か。
「気の毒だな。いきなり消えることになるとは。」
「そのセリフをリボンでもつけて返してやる。」
続いてクリリン、もう言うまでもない。彼の一回戦の相手は餃子だ。
即ち⑤か⑥のどちらかを引くこととなる。彼が引いたのは⑥。
ーーーあまりに都合が良すぎる。
ジャッキーは対戦表の組み合わせに訝しんだ。自身の弟子たちが揃って鶴仙流の弟子とかち合う形…しかも悟空を狙う少女の対戦相手には悟空が捩じ込まれる都合の良さ。
くじの箱に細工が施されてる様子はなかった。しかし…外部から超能力か何かでくじを操作することはできる。残念ながら、その証拠がない以上追究の意味はない。
ーーーいざとなれば…ワシが武舞台に割り込む他あるまい。
予選で感じ取った実力のほどでは二人とも底が見えなかった。少女はともかく、悟空は間違いなく自分を超えている。不覚を取らなければ勝てない相手ではない。…が、胸騒ぎが止まらない。
「あ、あのジジイ…俺を無視しやがってぇ…!!」
その間にくじを引き…念願の男との対戦が確定したのだが…こんな事態だ、彼の事に気をかけている暇などない。
第一試合:天津飯 vs ヤムチャ
これまで散々因縁をつけた物同士…「こいつは俺の手で始末する(倒す)」と思いあっている文字通り相思相敵。
第二試合:ジャッキー・チュン vs 男狼
天津飯が彼の力量を測る為の当て馬として用意したが、恐らく実力の半分も出させはしないだろう。底は見えずとも彼の戦闘スタイル、その一端は見ることができよう。そんな思惑の組み合わせ。
第三試合:餃子 vs クリリン
天津飯と同じくこちらも因縁をつけた…いや一方的に餃子が因縁をつけ、その喧嘩をクリリンが買った形か。形はどうあれ、彼らも互いを敵と認識し合ったもの同士。実力の程は五分五分…餃子の超能力が勝負にどう響くか…と言ったところ。
第四試合:小籠包 vs 孫悟空
鶴仙流の桃白白を殺した奴への仇討ち。もっとも、悟空は彼女の目的は知らないため…まさか試合中に命を狙われるなど露ほども思ってはいない。ジャッキーにはあのように息巻いていたが…鶴仙人が裏切りをしないとも限らない。いざ劣勢となれば正々堂々の誓いは破られると思うべきだ。
以上、トーナメントの組み合わせ。一回戦は同門対決は実現せず…この時点でジャッキーは鶴仙流側の作為的なモノを感じたが…何一つ証拠はなく、各々が納得した組み合わせ故に声に出すこともなかった。
さて、そんな師匠の事など微塵も知らず、悟空はその対戦相手の元へと近づいていた。一人静かに瞑想をするシャオランは彼の接近に気づいてはいるが、敢えて反応をしない。
「お前がオラの対戦相手か、よろしくな。」
「……何の用かしら。」
「特に用なんか無ェぞ。」
「そう、悪いけど一人になりたいの。邪魔しないでもらえる?」
「そっか、じゃあお互い思いっきりやろうぜ!」
「………。」
ーーーなんだか暗ェ奴だな、腹でも壊してんのかな?
実に悟空らしいズレた解釈、彼に対する憎悪をひた隠しにポーカーフェイスを必死に維持していた事など知る由もない。
湧き上がる憎悪の焔を鎮める。
彼を抹殺するのは武舞台の上、武天老師からの挑発に乗った彼女はこの誓いを破るわけにはいかない。
ーーー精々楽しみにしてなさい。孫悟空。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
第一試合:天津飯 vs ヤムチャ
鶴亀対決の第一戦。その戦いは互角と思われた。
ヤムチャも超達人の域に足を踏みいれた常識の枠組みを超えた実力者であったが、流石に今回は相手が悪すぎた。
天津飯は鶴仙流最強の選士、その力の均衡は徐々に崩れ始めヤムチャの技も悉く見切られてしまう。
「天の勝ちね。」
試合の様子を餃子と見下ろすシャオランが呟く。彼の底は知れた。技のキレは見事なモノだ。
しかし我流の必然、技の癖を天津飯は既に見切っている。それは小籠包も同じだ。
ーーーこれが彼らの戦い…ね。
彼らの精神力は非常に高い。それは認めるべきだ。
なんせ、勝ち目ゼロの力量差の相手にここまで食い下がる。
自分たちには無い意思の光の様な物を感じる。
どういう鍛錬をすれば、あの様な精神が培われるのか想像もつかない。
ーーーでも、それでも天が勝つ。
だが相手が悪すぎる。口元に冷酷な微笑みが浮かんだ。
遂に我慢ならないとクリリンが噛みつく。
「勝負は未だ終わってないぞ!」
「終わってるわ、
その言葉にクリリンは何も言い返せない。確かに試合は最後まで終わらないとわからない。しかしそれは試合に更なる要素が織り込まれてこそだ。戦士の体力、精神状態、敵への理解、あるいは隠れた能力、そのどれもがヤムチャを窮地に立たせている。根性論結構、しかしそれで格上に勝てるほど、現実は甘くない。
最後には…彼のとっておきである″かめはめ波″すらその気迫の前では無意味。無情にも跳ね返されてしまった。この時点でヤムチャの精神は完全に折れたと言っていい。
格付けが終了した。
天津飯は折れた彼を容赦なく叩きのめす。武舞台のはるか上空まで彼は打ち上げられ、滅多打ちにされた挙句、両手で地面目掛けて叩きつけられる。
誰が見ても明らか…勝負はついた。だというのに天津飯の上空からの加速は止まらない。
「………。」
「「「ヤムチャ(さん)!」」」
上空から猛スピードで落下する天津飯は彼に追い討ちでもかけるつもりか…!
悲鳴をあげる亀仙流の面々を他所に彼の膝は…ヤムチャの顔面真横の床を大きく凹ませるだけに終わった。
「あの程度で気絶とは、やはり大したことはなかったな。」
「や…ヤムチャ選手…気絶により試合続行不能!天津飯選手の勝利です!」
敗者に唾を吐く勢いで冷ややかな目線を送り勝者は立ち去る。気絶した彼は…悟空やクリリンに引き摺られて武舞台を退場。ダメージはあるが、命に別状はない。悠々と戻ってくる天津飯を小籠包が迎える。
「ヒヤヒヤしたよ、余計なことするんじゃないかって」
「未だ起きてやがったら…骨の一つでも砕いてやろうと思ったがな。」
運のいいやつだ…。
そんな悪態を吐く天津飯の真意は、当然妹弟子への気遣いだ。殺し屋として冷酷な鬼姫であるが、それは″必要な殺し″に限っての話。試合で下した相手に不要なダメージを与えるのは、彼女の信に関わる。
その気遣いに礼はしない、先の彼が有言実行したまでとわかるからだ。
ーーーさて、亀仙流の奴らは…
黄色の瞳が彼らを一瞥する。
案の定、仲間をやられた事で随分と頭に来ているのか、彼女を…いや鶴仙流の面々に睨みを利かせている。特にターゲットの孫悟空は並々ならぬ視線を自分に向けていた。
ーーーそう、その顔よ。私が見たかったのは。…その善人面からバケの皮を剥がしてやるから。
天下一武道会の本戦は第一試合から早くも大荒れの様相を示していた。
このくじ引き〜クリリンvs餃子まで1話にまとめようか最後まで迷いましたが、折角ですのでシャオランの絡む所は書こうと思います。
場外で見てるだけだけどw
閲覧ありがとうございました。
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