ドラゴンボールAT 作:澄ましたガール大好きおじさん
オリ主のドッカン覚醒!だというのに短めなので初投稿です。
界王星に来てから1ヶ月。
彼女は宣言通り、バブルスを捕獲した。
その恐ろしい成長速度に界王は驚きとともに満足そうに頷いた。
「よくぞこの星の重力を克服したな、小籠包。」
「ありがとうございます。」
礼儀正しく返事をする彼女にやはり混乱する。
魂がここまで悪に染まって居ながら、よくもまぁここまで善性を維持できるものだと。
「お前には二つの道がある。一つは…ワシの奥義を伝授してやろう。」
「奥義…!」
基礎の基礎を終えて漸く本格的な技の伝授と聞き、彼女の顔が少女の様にパァっと明るくなる。
「しかしこれはわしにも実現できなかった技。絵に描いた餅かもしれん。」
「界王様にも、なし得なかった技、ですか。」
「…もう一つの、道とは?」
「ヤードラット人の秘術…「スピリット制御」じゃ。わしとてこの1ヶ月何もしなかった訳ではないのだぞ?お前に必要そうな知恵の基礎を、ちょいちょい、とな?」
ふふふ、とグラサンを妖しく光らせる界王。
同じく顔を明るくする彼女だったが、その顔はすぐに真面目なものとなる。
「どちらか片方、でしょうか?」
「サイヤ人の連中が来るまで300日を切っておるのだぞ?わしの奥義をたった10ヶ月で会得する気か?」
「いえ…サイヤ人と戦った後も、界王様とはお付き合いできないかなと。」
「お前な、わし一応神じゃぞ?隣に住むダジャレ好きの小粋なおじさんとは訳が違うの。下界のモノがそうホイホイ会える訳ないだろう。」
「す、すみません。」
小粋?…そんな疑問符をなんとか飲み込んで神への無礼に頭を下げる。
しかし、彼女は迷わなかった。
「ヤードラットの術を、教えてください。」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
スピリットの制御。
それは地球人でいうところの気の制御。
サイヤ人で言うところの戦闘力。
スピリットのコントロールとはソレ即ち気のコントロールに他ならない。
ヤードラットの民はこの制御の術に長けており、その上達の過程で様々な術を開花させていくという。
その修行方法は極めて原始的、心と、身体と、スピリットのバランスを均一に保ち、スピリットに相応しい肉体を、肉体に相応しい心を、心に相応しいスピリットを、正に三位一体。
健全なスピリットは、健全な肉体に宿るのである。
これらを極めて初めて、ヤードラットの術への道が開かれる。
彼女の場合、莫大な気を持っていながら…その体は実に貧弱である。
界王が彼女に言い渡したのは、肉体の基礎能力の向上だった。
重力10倍の中をひたすら車に追い立てられながらのランニング、数百キロにも及ぶウェイト(地球上でいうなら数tにも及ぶ)をリフティング…いわゆる肉体改造である。
十分な資質を備えているのに、彼女はこの重力下でかなり苦戦を強いられた。
ソレはひとえに「気による強化」に頼りきりだったということに他ならない。
無理もない、彼女はヤードラット人の血を引くが故に、なまじ気の扱いに長けていた。
そのため、ソレに伴い力は向上していく。誰もがそういう資質のある戦士と捉え、得意分野を伸ばそうとするのは当然だろう。
しかも彼女が教えを請うたのは当時の地球上でも1,2を争う気の扱いの達人である。
彼女の戦闘スタイルが極端に傾倒するのは当然の帰結だった。
あの日、偶然発露した「瞬間移動」も、気のコントロールによるものではなく。ヤードラット人の潜在能力が一時的に表面に現れたにすぎない。
本来、ヤードラット人にとってあの技は基礎の基礎、誰にでも扱える能力なのだ。
ひたすらにひたすらに、肉体改造に次ぐ肉体改造、時々瞑想による精神統一。
ヤードラットの知識を積んだ界王監修による修行の日々。
4ヶ月を過ぎたところで、界王が彼女に言い放った。
「僅か120日程で、ここまで極まるとは。…そろそろ、頃合いだろう。あの技を使って見なさい。」
「気功法ですね…わかりました。」
バブルスを捕獲しても、結局界王はあの技を解禁させてはくれなかった。
実に5ヶ月振りに技を発動させることになる。
「よいか、生きている時と同じようにやるのだぞ?お前はとにかく無茶をする癖がある。死んでいるからと言って限界ギリギリを攻めてはいかんぞ?」
「ぅぐ…!」
図星、そんな様子に界王はため息をつく。
気分はやんちゃな孫娘を見ている様な気分だ。
そんな前置きで彼女は静かに気を高めていく。
全身に漲らせている気を集約させていく。
そこで気がついた。気の総量は上がって居ないはずなのに…集約できる気の量が上がっているのだ。
ーーーニヤリ。
界王が静かに笑い、小籠包の視線を受けて静かに頷く、やってみろと。
「気功法!」
ありったけの力で気を集約する。蛇の道を飛んだあの時より遥かに練度の高まった気功法。その数値はせいぜいが3倍であった。それも…生きていれば30秒と保たない無茶な解放である。
ソレを凌駕する5倍。
しかも、感覚としては普段の気功法となんら変わりない。
この力は、現世であっても問題なく、そして安定して使えるであろう力だ。
「か、界王、さま…?これは。」
「お前の身体がスピリットに追いついた。そういうことだろうな。では、術の伝授を…と言いたいところだが。」
ーーーわしにもわからん!
ずて!
思わず十倍重力の上でずっこける殺し屋。
とはいうものの…ヤードラット人とはそもそも保守的な種族であり、術を外に持ち出さないのである。
加えて、彼らの術は非常に特殊で習得に時間がかかる。
外来者が覚える前に心折れることが多数。
故に、必然的に門外不出という形になってしまったのだ。
「そうじゃな、昔お前が発露したという術を、ここで試して見るとイイ。一度はできたんじゃ、今のお前ならなんとかなるやもしれん。」
あまりにも投げやりな先生のご指導。
しかしわからないものは仕方ない。
界王の言葉通りに、あの日のことを思い出す。
遠くに感じた、カリンの気配。
ソレを頼りに、すがるように祈って飛んだ。
思えば、あの時以上に誰かの気配を強く感じたことは今までなかった様に思う。
手を背後に回してこちらを見守る神から少し離れた位置に立ってみる。
目を閉じて、気を探る。
確かに、界王の気配を感じる。しかし、今思えばあの時感じたのは力の大きさだけではなかった。
そのものの息遣い、体温すら感じる様な「暖かな気配」。
力の大きさを感じるだけではダメだ。
そこに自分が存在するかのように、その自分が…隣でその命を感じられる様に。
不要なはずの呼吸で深呼吸をする。
意識を近くの界王に集中する。
数10メートルは離れてるであろう彼の隣に自分がいるかの様な錯覚。
大きく息を吸い…吐き出す。
風が一陣吹き遊び、彼女の身体は瞬き一つの僅かな間隙で…数10メートルの距離を身動きせずに
「!?」
「無事、習得した様じゃな?よくやったぞ。」
パチリ、と黄色の瞳を見開けば、離れた場所に居たはずの界王の姿がそこにあった。
教え子の成長を労うように、その手を肩に載せて微笑む。
「あ!だからと言って現世に瞬間移動したらいかんぞ!?」
「え?できるんですか?」
「当たり前じゃ、ここをどこだと思っておる。」
「えっと、地獄?」
「お、お前な?本当にわしのこと神様だと思ってる?やっぱりダジャレの得意な小粋なおじさんだと思っとらんか?」
ぶんぶん!と慌てて首を振る。
閻魔大王が言っていたのだ、この星の真下に広がる雲の向こう側は地獄に繋がっていると。
「…まあいい、この世とあの世は別世界ではない、ちゃんと繋がっておるのだ。お前の様に肉体を与えられてあの世におられる奴はそうはおらんのだぞ?当然、今のお前は死人だが…肉体がある以上、当然現世にも行くことができる。」
つまり、こうだ。
今この場で小籠包が現世の気を辿って瞬間移動をした場合…死にながら肉体を得て、現世に舞い戻るという…この世とあの世の秩序をめちゃくちゃする意味不明な存在が爆誕するのである。
「し、しません!そんなことをしたら、地球の神に申し訳が立ちませんから!」
「…お前は本当に不思議な奴じゃな。」
「…?」
「…いいや、なんでもない。…さて次はわしの奥義を教えてやろう…!」
小籠包の目の色が変わる。これより更に強くなる余地があるのかと。
「…!、で、ですが…サイヤ人が来るまであと半年もありません…!」
「なぁに、やるだけやって、後は下界で極めれば良い。お前が天寿を全うした時にでも……と思ったが、お前地獄行きだったな。」
「は、はい、お恥ずかしながら。」
こほん、咳払いを一つ。
一度稽古をつけてやると神が言ったのだ。
これを反故にするわけにはいかない。
「では、教えてやろう、″界王拳″と″元気玉″…!わしが夢に見てついぞなし得なかった奥義じゃ!」
界王謹製の究極奥義ともいえるその技。
自らの名前をつけるあたりこの神のお茶目具合が出ている。
界王星での最後の総仕上げが始まろうとしていた!
戦闘力更新
小籠包
基本最大:2500
気功法:12500
ついに大台の万越え!
戦闘力の基礎値を鍛えているようで、その実…肉体の気に対する耐久強度を鍛えていたというカラクリ。常駐がいかに危ういのかも学べてよかったですね。
そしてこの段階で瞬間移動を会得!これでサイヤ人が来てもすぐにワープできるね!(チート技)
ここに界王拳をプラスするとどうなるんでしょうね(にっこり)
なお、残り150日ほどですが、原作の悟空が界王星での修行期間とほぼイコールであるとだけ書き残しておきます。