ドラゴンボールAT   作:澄ましたガール大好きおじさん

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 色々あり遅くなりましたので初投稿です。


其之五十九 サイヤ人発つ

 

 「おい、ベジータ、弱虫ラディッツのスカウターが面白いモノを残してるぜ?」

 

 とある惑星を侵略中…いや侵略とは名ばかりのただの蹂躙行為だ。

 惑星にあった文明の殆どが、この二人のサイヤ人による攻撃で破壊されたといっていいだろう。

 この区画の担当であるエリアマネージャーがまたも頭を抱えることになる。

 …が、彼らにとっては戦いこそが生き甲斐。

 いくらで星が売れるかなどどうでもイイのだ。

 

 さて、大柄なスキンヘッド…ナッパがベジータに語りかけた内容は一人地球に向かった仲間…というかパシリの様な存在が残した奇妙なログについてだった。

 

 「どうした?奴の断末魔でも残されていたか?」

 

 何かの肉片をかじりながら小柄なサイヤ人…ベジータが答える。

 その様子はラディッツのことを毛ほども心配していない。

 当然である、彼らにとってラディッツはただのお荷物。

 残された僅かなサイヤ人、同胞というだけで特に情などないのだ。

 

 「それだったらもっと愉快だったけどな!」

 

 がはは!と豪快にナッパは笑い飛ばす。

 スカウターを操作して気になる記録を切り取りベジータと共有する。

 

 ほう…?

 

 そんな彼の反応にナッパも気をよくする。

 

 「戦闘力4500か…おいナッパ、お前以上の戦闘力だぞ?」

 「ばかいえ、今や俺の戦闘力は5000だ。弱虫くんと一緒にしないでくれよ?ベジータ王子?」

 

 今や滅んだ一族、相手が王族であったとしてもそこに権威などない。

 下手な挑発であるが、これも彼らなりのコミュニケーションなのである。

 ベジータはソレに取り合うことなくスカウターを操作して、「地球」の座標を確認していた。

 

 「おい、どうしたんだベジータ、まさかラディッツを迎えに行くとか言うんじゃねーだろうな?」

 

 ため息を一つこぼしてベジータはスカウターを外して電源を落とす。

 その意味を理解してナッパもそれに倣った。

 

 「馬鹿か貴様、4500程の実力者が本物なら…俺たちの仲間にする。あの忌々しいフリーザの奴をぶっ殺す為に…一人でも戦士は必要だ。」

 「ソレはイイけどよ、たかだか4500だろ?幹部の一人だって倒せやしねーじゃねーか。」

 

 こいつは本当に何もわかってない。

 ベジータは再びため息をつく。

 彼らの様に極限まで鍛えた戦士でこれなら価値はない。

 しかし、これがもし()()()()()()のパワーだった場合、

 強力な伸び代になりえる。

 いや、もしかするとあの特戦隊のように、突然変異の強者の可能性だってある。

 そんな説明もこいつは理解しないだろう。

 ベジータは諦めの境地で続けた。

 

 「スカウターには他にも大きな反応が残されていた。もっと大きな戦闘力の持ち主がいる可能性もある。」

 「成る程…確かにその通りだ。…で、どうするんだ。」

 「トスカット*1の野郎に休暇申請を出しておけ、フリーザ()も…我々に休めと再三ご助言下さってたからな?」

 

 地球までの距離を計算する。

 その時間およそ一年弱。

 長期休暇ではなく、休業も同然である。

 殆ど不休で戦場に出ているサイヤ人にフリーザ直々に休暇を取る様に指示があったことを、ベジータは根に持っていた。

 

 「はっ、そいつはいい。地球にバカンスってわけか!」

 「ついでに、使えるようなら奴の弟のカカロットとやらも回収してやるか。」

 「やめとけって、下級戦士のガキだろ?ラディッツがあの体たらくじゃ期待できねえよ。」

 

 またもベジータはナッパのぼやきを無視する。

 使える、使えないを判断するのは自分だ。

 彼からすればナッパこそたかだか5000程度の雑魚戦士なのだ。

 

 18000の自分からすれば

 4500だろうと5000だろうと等しく雑魚なのである。

 が、頭数を増やすことは悪いことではないし、脳みそが筋肉で出来ているこの馬鹿以上に頭が回るのならそれはそれで貴重な戦力である。

 

 「そうやって油断して、精々足元を掬われんようにな?俺は貴様とて動けなくなれば見殺しにするぞ?いいや?そんな無様を晒すならこの俺手ずからお前を消してやる。」

 「言ってくれるぜ王子様。その言葉、そっくりそのままアンタに返してやるよ!」

 

 雑な報告書をトスカットと呼ばれたエリアマネージャーへと送信し、スカウターの通信機能を停止させる。

 文句があるならテメーで直しやがれボケ、という態度の現れ。

 ベジータとナッパは宇宙船のポッドに乗り込む。

 二人はそのままポッドの機能でコールドスリープに入る。

 

 目指すは地球。

 

 この時、ベジータはこの後の人生に大きく影響を与える奴らに出会うことを考えもしてなかった。

 

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 「…バカにしやがって。」

 

 自身の乗ってきた宇宙船からスカウターのログを読み終えたラディッツはその言葉とは裏腹に静かに笑う。

 あいつらは今油断している。

 まさか『弱虫ラディッツ』が父親であるバーダックに迫る戦闘力を身につけつつあるとは夢にも思うまい。

 それでいい、油断しているのならその隙にぶっ倒してしまうまでだ。

 特にナッパは、戦闘力では測りきれないタフさだ。

 思わぬ不意打ちを食うこともあるかもしれない。

 

 ーーーいや、そんなことはどうでもいい。

 

 小さく首を振り、雑念を振り払う。

 必要な情報が得られないかとと試みたが…そもそも二人の乗組員はコールドスリープで眠っている。応答などあるはずもなかった。

 

 念の為、ピラフに直してもらったスカウターをつけておく。二人のポッドが近づいたタイミングで通知が来る様にしておけばいい。どの道到着日時はあくまで目安。

 この時点でタイムリミットの正確性に奔走するより、1秒でも長く鍛錬するべきである。

 

 「おじさん、終わった?」

 「ああ、待たせたな悟飯。」

 「何故俺がこんな奴と…」

 「まあ、そういうなよピッコロ。オラ達の中で兄ちゃんが一番強ぇんだ。」

 「そういうことだ、文句があるならこの俺を倒してから言うんだな?」

 「ちっ…!」

 

 背後では孫親子とピッコロが彼を待っていた。

 この地球上にて最上位の実力者とその後継者の集い。

 

 とはいえラディッツもウカウカしていられない。

 この二人の才能ははっきり言って自分以上だ。

 格上である自分の力をちらつかせていればすぐにでも追いついてくるだろう。

 

 問題は悟飯の方だ。

 悟空の息子というだけあってその潜在能力は凄まじい。

 瞬間的な戦闘力だけみれば、地球に来る前の自分以上の力を持っている…が、ソレを安定して出力することができないのである。

 この凄まじいパワーを磨いて自在に出せるようになれば、間違いなくベジータに迫るのではないかと踏んでいる。

 

 しかし、ラディッツも悟空も、彼を戦いに加えるのは正直気が進まない。

 いくら力があるとはいえ彼は子供、サイヤ人の子供でもいきなり戦闘力数千オーバーの実力者に当てるなんて真似はしない。

 力があることと、戦いの才能があることは別問題なのだ。

 

 …そんな二人の心を他所に悟飯は違った。

 もちろん、本当は戦いたくなどない。

 しかし、彼の周りには優れた武道家が揃っている。

 父親より強い存在を目の当たりにした悟飯は危機感を覚えた。

 もし、もしも一年後にくる宇宙人に父親が殺されたら…!

 そんな思いが、小さいながら、悟飯に強さへの渇望を抱かせたのだ。

 

 ーーーお父さんたちのようにつよくなりたい。

 

 断りを入れておくなら…あくまで悟飯が目指すのは「えらいがくしゃさん」である。

 父親たちが向かう先に…僕も行く!の精神に似ていると思って貰えればよい。

 

 と、彼の意気込みが十分であるのは良いことなのだが…

 問題は悟飯の指導役がいなかった。

 悟空は教えを受けることはあっても、その逆は苦手としている。

 これはラディッツも同じだ。

 この兄弟はどちらも感覚で物事を掴んでいるのである。

 必然的に、悟飯の指導はピッコロが行うこととなった。

 

 その内容はあまりにも苛烈だった。

 互いに徹底的に殴り合う。

 もちろん、パワーも技術もピッコロが上。

 それゆえに悟飯の身体は日毎にボロボロになっていく。

 この教え方が誰から教わったかなど聞くまでもなく、

 これには流石に親である悟空は黙っていなかった。

 

 「ピッコロ、お前ェのそれは修行なんかじゃねえ。」

 「黙れ、俺様はこうして強くなった。それに…コイツはルール無用の殺し合いの場に連れて行かれるんだ。天下一武道会などという、生温い場所ではない。この程度で音をあげるようなら足手纏いにしかならん。」

 

 師匠と父親のこのやりとりに毎度悟飯が間に入る。

 

 「お父さん、僕なら大丈夫です。ピッコロさん、続きをお願いします。」

 「…甘ったれのガキだと思ったが、孫…貴様なぞより息子のほうが余程骨があるぞ。」

 

 頼もしい教え子の発言にご満悦のピッコロ。

 納得行かないと拳を握る父親をラディッツが諌めた。

 

 「カカロット、ピッコロの言う通りだ、お前は自分の心配をするべきだぞ。」

 「……そうだな。」

 

 僅か半年で悟空はラディッツとの差を大きく縮めた。

 しかしそれでも兄の背中は先にある。

 その兄すら恐れる戦士ベジータ。

 越えるべき壁はまだまだあるのだ。

 

 「構えろカカロット。今日はお前を殺すつもりで攻撃する、生き延びて見せろ。」

 「ああ…!望むところだ兄ちゃん。」

 

 野外に展開された簡易式の重力発生装置の中で二人の体が幾度となく消えてはぶつかり合う。

 その数値は実に10倍、かつて存在していた惑星ベジータと同じ数値である。

 この重力でまともに動けないのであれば、ベジータに勝つことなど夢のまた夢、そう言ってラディッツは問答無用で重力の負荷をあげたのだ。

 奇しくも、原作にての界王星での修行とほぼ同じ、あるいはそれ以上の修行をすることになった悟空の戦闘力は、あの世で修行している小籠包にも並ぶ実力を身につけつつあった。

 

 サイヤ人襲来まで…残り150日。

 

*1
名前だけのオリキャラ。このエリアを担当するマネージャー、形式上はベジータ達の上司にあたる可哀想な人。




戦闘力更新
 ナッパ
 基本最大:5000
 原作よりちょっとだけでテコ入れ、とはいえ、主要メンバーからしたら最早イキリハゲの雑魚である。

 ベジータ
 基本最大:20000
 大猿:200000
 ナッパに同じくテコ入れ、章ボスに相応しい戦闘力?
 万超えが束でかかってきたら流石にやばそうだが
 大猿化があるのでそんなことはない…が、
 本人が大猿になりたがらないのでその隙を付けば…!

 孫悟空
 基本最大:11000
 ラディッツとの修行でパワーアップ。
 10倍の重力で格上との組手はかなりの効果があった様子。

 ラディッツ
 基本最大:13000
 迫る悟空に対して少しだけパワーアップ。
 既に下級戦士の枠組みを超えた。
 ナッパ程度なら片手でひねりあげれる。

 ピッコロ
 基本最大:12000
 ここに来て指導者としての頭角を見せ始める。
 なんだかんだで身内には甘いZのピッコロさんの基盤が出来つつある。

 孫悟飯
 基本最大:1500〜5000
 力のコントロールが上手く行かない。
 残り5ヶ月弱でどこまで仕上がるか。
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