ドラゴンボールAT 作:澄ましたガール大好きおじさん
難産でした。初投稿です。
大猿化したナッパはZ戦士達を踏み躙る。
既にヤムチャとクリリン、餃子が手を出せる領域を超えている。
幾ら彼らが本来の歴史より強くなっているとはいえ、巨大な怪物相手…しかも個々の攻撃にはびくともしないタフさ迄あるときた。
「ぐぁーはははは!!弱虫ラディッツの癖にやるじゃねえか!」
「く…っ!ほざけぇ!」
「のろいんだよ!」
「ぐあ!?」
しかも、パワーが上がっただけではない。
トワの魔術による凶悪大猿化は彼にスピードまで与えてしまっている。
全速力で彼の腕の隙間を縫ったというのに、ナッパはまるで羽虫でも叩き落とすかのような気軽さで彼を潰した。
それをすかさず天津飯が受け止める。
「大丈夫か!」
「す、すまん…!奴の弱点は尻尾だ!尻尾を潰せ!」
「なら時間を稼いでくれないか。俺に考えがある。」
天津飯が上昇しながら気を高め始める。
何かの大技を出すつもりらしい。
通じるかは一つの賭けだ。
「…ピッコロ!悟飯!やれるか!」
「…貴様に言われるまでもない。」「はい!」
三人同時にナッパ目掛けて飛び出す。
ラディッツが彼の視界を塞いでヘイトを稼ぎ、ピッコロが視界の外から伸びた手足でお留守となった足元を奪う。
それによって乱れたナッパの動きに合わせて悟飯が気功波を打ち込む。
正に三位一体。
この半年間、ただ闇雲に鍛えていたわけではない。
ラディッツは戦闘民族としてのセンスをここに来て開花させ、未熟な悟飯に合わせて敵を撹乱する。
ピッコロは
幾らパワーとタフさを兼ね備えたからといえど無防備な所に強力な一撃をもらえば流石にナッパもダメージを負う。
少しずつナッパの気が減り始めているものの、ほんのわずか。
1%程のダメージにしかなっていない。
それほどまでにこのサイヤ人の大猿化は脅威なのだ。
「相変わらず姑息な戦い方だなぁ!?ラディッツ?弱虫らしい惨めな戦い方だぜ。」
「お前こそ、防御が疎かだな?少しは頭を使ったらどうだ。」
彼らに媚びへつらっていた頃は気づかなかった。
ナッパの攻撃は実に雑で、そのパワーを活かせているとは言い難い。
それは大猿となってより顕著になっている。
実際は凶悪化により彼の凶暴さが増しているだけなのだが。
そんな中、時間を稼いだ視界の外で密かにパワー貯めていたピッコロが吠える。
「魔貫光殺砲!!」
「ぐぉぉぉぁ!?」
反射的に片手を突き出したが、その勢いは止められない。
なんとか軌道を遥か上空へ逸らすことができたが…
彼の掌には風穴が開いてしまった。
「こ、このやろう…!ナメック星人のゴミがぁ…!」
「よそ見をしてるからだ間抜けめ、相手の気も読めんとはな。」
軽口を叩きながらもピッコロのこめかみには脂汗が滲み出ていた。倒せないにしても、もっと大きなダメージを期待していた。
ーーーちっ、なんて野郎だ…化け物め…!
本来はラディッツを殺す為に編み出した奥の手。直撃すれば確実に戦力の大幅減を確信していたモノを真正面から受けられた上に、命に別状がないのだ。
「今のが秘密兵器ってやつかぁ?だとしたら、底が知れたぜ。」
「その割には随分な大怪我だな?」
「怪我ぁ?ぷ…!がーははははは!こんなもん、怪我の内に入らねーな?」
猿の顔からもわかるほどの残忍な笑顔がにたぁ…!と象られる。
がぱ…と口を大きく開くと大きな猿の口から熱線が放たれる。
大量の出血をするその掌を気の熱線によって強引に焼き、止血したのだ。
余りの狂った行為に絶句する彼らにナッパは高らかに笑う。
「この俺様に傷をつけたことは褒めてやるぞ?だがここまでだ。そろそろ遊びは終わりにしてやるぜ!」
ナッパの纏う漆黒のオーラが禍々しい焔のように燃え上がる!
あまりに当たり前の事実。
これまでナッパは全く本気を出してはいなかった。
「クソッタレめ…!」
改めて身構えるラディッツだが、既に目の前には巨体の毛むくじゃらが視界いっぱいに広がり、容赦なくその腹部を爪先で蹴り穿った。
「ぉぐ!?」
「おじさん!?」
飛びかけた意識が、甥っ子の悲痛な叫びで繋がる。
しかし気を全開放して舞空術にて静止するも、既に大猿の姿は地上になかった。
「ラディッツ!上だ!!」
「な…!?ごぁ…!?」
巨大な二つの拳によるダブルスレッジハンマー。
これが他のメンツであるならば間違いなく死に絶えていたであろう。
地面に巨大なクレーターを作りながら飛びかける意識を必死に繋ぎ止めて立ち上がる。
「ラディッツの癖にやるじゃねえか今の一撃で死なないとはな。」
「前の、俺と…同じと…思うなよ!!」
「だから遅すぎるんだよ!?」
「ぉぐ!!??」
今度は無造作に振り下ろされた拳に撃ち落とされる。
この地球上で最強の一角が一方的にやられる様は、正に絶望的としか言いようがなかった。
「さぁて、もう飽きてきた。そろそろ殺してやるぜ。」
大猿の顔が凶悪に歪む。
潰されてない方の片手に、バチバチとエネルギーが溜まっていく。
デラックスボンバー
その名称のセンスはともかく、今のラディッツが喰らえば間違いなくあの世行きの凶悪ない技。
彼が覚悟をキメたとき、頭上から天津飯の声が響き渡った。
「ピッコロ!そいつをどけろ!!」
間髪入れず差し向けられたピッコロの腕が伸びる。
倒れ伏したラディッツの片脚を掴んで自分達の方へ引き寄せていく。
「な、なにぃ!?」
「行くぞ!かァァァァ!!!」
妹弟子考案の奥義をその身に纏い、極限で集約させた気を更に更に集約させる!
気功法と、気功砲を合わせることで、天津飯はこの瞬間、確かに限界を飛び越えた。
ーーー気功砲!!
己の気を両手に全て集約させた超特大の気功砲。
当たれば間違いなくナッパとて無事では済まない。
「調子に、乗るなよ!雑魚めぇぇぇ!!!」
タイミングは、最悪だった。
彼の右手にはラディッツを殺す為にエネルギーを十二分に溜めたばかり。
その標的がラディッツから天津飯に変わっただけである。
ーーーデラックス!!ボンバぁぁぁぁぁ!!!
黄金の気功波と禍々しい黒の気功波がぶつかりあう。
大地は割れ、暗雲立ち込め、起きぬはずの雷が何度も地面に叩き落とされる。
当たりさえすれば、天津飯に勝機はあった。
今の彼の戦闘力は26000
正に人智を超えたパワーと言っていい、
だが相手が悪かった。
今彼が相対しているのはサイヤ人…それも大猿化によってそのすべてのパワーが引き出された状態なのだ。
40000のパワーに立ち向かうには彼一人では余りにも重荷だったと言わざるを得ない。
始めは拮抗していたエネルギーの競り合い。
しかしその差は歴然だった。
薄ら笑いを浮かべ敵を嘲笑するナッパと、全身の筋肉を盛り上げさせ、青筋をいくつも浮かべる天津飯。
その決着は、あっさりついた。
「くたばれぇぇぇ!!」
「む……無念…!!」
撃ち合いを制したのは、ナッパ。
凄絶な光の彼方に、鶴仙流の麒麟児は文字通り跡形もなく消え去ってしまった。
「はぁ、はぁ…褒めてやるぜクズども、このエリート戦士のナッパ様に、冷や汗をかかせるとはな。」
「ば、化け物め…!」
「だがもう、飽きちまった。殺すか。」
昂った気配が一瞬で冷えるのを感じる。
お遊びは本当に終わり。
その目はぎろりと孫悟飯に向いていた。
「先ずは…お前からだカカロットのガキ!」
「ご、悟飯…に、逃げろ…!」
先のダメージから回復しきっていないラディッツが力無く腕を伸ばす。
それをナッパが嗤う。
「安心しろラディッツ、全員まとめて同じところに送ってやるからよ!」
大猿が雄叫びをあげながらその口に巨大なエネルギを集約させていく。
「ま、負けるもんか!撃ち返してやる!」
強がりだ!本当はいますぐにでも逃げ出したい。
しかしどこへ?
ここで逃げても同じことだ。
ならば、皆と一緒に戦ってやるだけのことをやるべき。
大猿に合わせて気を高める。
「死ねぇぇ!!」
がぱ…!と大猿が口を開く。
超巨大なエネルギーが悟飯目掛けて飛んでくる。
「魔閃…ーーー」
覚悟を決めて溜め込んだエネルギーを放つその刹那。
何者かが彼を後方に投げ飛ばした。
「え。」
紫の道着と緑の影、父と同じくらい尊敬した師匠の背中。
「…あの女のいう通りだぜ。」
一体誰に対しての呟きか、あるいは懺悔か。
その言葉を最期に悟飯を焼き払うはずだった超エネルギーはたった一人のナメック星人のパワーによって全て堰き止められた。
仁王立ちの姿勢のまま、全身を丸焦げにしたピッコロは静かに、その場で崩れ落ちた。
「ピッコロさん!!」
「怪我は、ないか…クソガキ…!」
「ど、どうして…僕を…!?」
浅い呼吸。
本来であれば喋るなと言われる様な深手。
それでも師匠は弟子の問いかけに答えた。
「あの女と…お前ら、くらいだ。俺を、一人の人間として…見てくれたのは、な…。」
こんな時でも、思い浮かぶのは師匠の「この間抜け」と冷ややかに吐き捨てる顔だった。
「こ、この、1年間…悪く、なかったぜ。」
命の灯火が消えていくのがわかる。
悟飯は思わずピッコロの手を握った。
「し、死なないで!ピッコロさん!」
「泣くな…ここは戦場だ。さっさと、逃げ…ーーー」
悟飯の指先から命が滑り落ちる。
大魔王の生まれ変わりとして生を受け、一人の武道家として生まれ変わった彼は確かに一人の地球人として誇り高き死を迎えた。
「ァ…あ…あァ…!!」
穏やかな性格の彼にとって、人生で初めての純粋な「怒り」
視界が黒く、黒く、塗りつぶされていく。
ゆらりと立ち上がった彼はまっすぐ大猿を見つめていた。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「ば、バカな…!」
ナメック星人を殺した。
これによって、ドラゴンボールの在処を聞き出せなくなってしまったが、そんなことはどうでもいい。
問題はカカロットの息子が生きているという事実だ。
パワーの差は歴然。
ゴミと嘲笑ったナメック星人に己の最高の技を完璧に受け止められてナッパは愕然とする。
殺した、確かに殺すことはできた。
しかし今の自分のパワーならピッコロ毎、悟飯を消し飛ばすことなど訳ないはずなのだ。
なぜだ、なぜだ…!
そんな動揺がナッパに追撃の機会を失わせる。
そして、気を感じとることが出来ない彼には…自分に迫る最大の危機を察知することができない。
彼にとって殺し損ねただけの子供は、この瞬間最強の進化を遂げようとしているというのに、彼は自らのプライドを慰める事に必死だった。
漸く我を取り戻したころ…視界の果てに映る巨大な巨大なエネルギー。
ーーーは?
あのエネルギーは、なんだ?
あそこにはさっき殺したナメック星人と取るに足らない下級戦士の子供がいるだけではないのか?
それがだった五歳の放つ少年の戦闘力と気迫だというのか?
「お前を……!倒す……!!」
額に構えた超圧縮された高エネルギー球。
それを打ち返すだけのパワーは用意できない。
或いは、戦闘力のコントロールに長けた地球人の誰かであれば
できたかもしれない。
しかし、彼はパワーだけに比重をおいた戦士。
おまけについ先ほど考えなしに撃ち放った超魔口砲によって少しばかり疲弊してしまっている。
「ッ…くそ、逃げ…!」
散々サイヤ人の誇りを偉そうに語った男とは思えない情けなさ。
踵を返して逃げようとした所に…
ーーー操気弾!!
「ゥがぁ!?」
彼の顎を撃ち抜いたのは超巨大な気の弾丸…ヤムチャの放った奥義だった。
完全なる不意打ち、顎先を正確に捉えたことで…彼の意識は僅か数秒であるが、まともな思考を奪われた。
「やれぇ!!悟飯!!!」
ーーー魔閃…光!!!!
師匠直伝の気の扱いによって編み出した必殺技。
超巨大な気功波が…大猿を飲み込んでいく。
「がァァァァァァァァ!?ち、ちく…しょぉぉぉぉぉぉ!?」
エリート戦士、中級戦士であるサイヤ人ナッパは。
下級戦士と嘲笑う男の、その息子によって、誇りのカケラも感じられない、あっけない死を迎えたのだった。
諸々補足
ナッパ
大猿40000
左手の負傷
40000=>39000
度重なる大技による疲弊
39000=>35000
超特大操気弾による無防備
35000=>18000
最後は己のプライドが足を引っ張り
ダブスタで逃げ出そうとしたところを不意打ちを喰らって死亡。
オリ主より扱いいいよ!よかったね!
ピッコロ
基本最大18000
命をかけた防御36000
「あいつならこうした。」なんてセリフは絶対言わなかったピッコロさん。
なんだかんだで懐いた子供を見捨てることはできなかった。
孫悟飯
基本最大 14000
怒りの魔閃光 28000
ピッコロさんの死によって少しだけ成長。戦闘力の揺れ幅がなくなった。
天津飯
基本最大4500
気功法(3倍):13000
+気功砲:26000
本当は不意打ちで尻尾を狙うつもりだったが
武闘家としてのプライドと、ラディッツを見捨てられなかった。
なお、不意打ちで打てたら尻尾を焼き払えて弱体化したナッパを全員で袋叩きにできたので死者0でした。
本作の天さんならきっとこうしたはず。
ヤムチャ
基本最大 4200
完全な不意打ちでの顎へのクリーンヒット。
ナッパの茫然自失と悟飯の怒りパワーを見て咄嗟に操気弾を準備。
操気弾便利すぎるんよ…。