ドラゴンボールAT   作:澄ましたガール大好きおじさん

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 性懲りもなくオリジナル展開を構えましたので初投稿です。


其之六十三 唸れ!?孫悟空の新必殺技!?

 

 ピッコロの死に真っ先に気づいたのは小籠包だった。

 巨大な気功波に飲まれかけた悟飯を、救ったのだ。

 

 遠目でよく見えないが、その顔は満足そうに逝っているようにみえた。

 

 ーーーこの間抜け、悟飯くんは、生き返らせれたでしょ。

 

 これでドラゴンボールは消えた。

 先ほどやられた兄弟子も2度と現世には戻ってこない。

 しかし、小籠包の黄色の瞳は酷く冷たく、穏やかだった。

 今はまだ、鬼姫である必要がある。

 目の前の強大な敵は、未だ健在なのだ。

 

 「ちッ…あのバカめ…!ナメック星人は殺すなと言っただろうが。」

 

 サイヤ人の言葉に違和感を覚える。

 何故だ?彼がマジュニアを救う理由など微塵もないはずだ。

 

 「どういう意味?」

 「…あるのだろう?この星に、ドラゴンボールが。」

 「……そうね、どうしてマジュ…彼が死ぬとボールが消えると知っているの?」

 

 小籠包の言葉に、彼は目の色を変えた。

 

 「…な、なに!?消えるとはどういう意味だ。」

 「アレを作ったのはこの星の神様だ。ピッコロが死んで…神様も、死んだ。だからもう、地球にドラゴンボールはねえ。」

 

 悟空の言葉にベジータは唾を吐き捨てた。

 無能な部下に対する罵詈雑言を吐き捨てる。

 ため息を一つついて彼は続けた。

 

 「…まあいい。ならばナメック星に行けばいいことだ。」

 「どういう意味?」

 

 重ねて問いかけるが、それは無意味な問いかけだ。

 ドラゴンボールは未だこの世のどこかに存在する。

 マジュニアを…神様を蘇生させる方法が、未だ残っているのだ。

 

 「さあな?貴様に教える必要はない、ここで死ぬんだからな。」

 

 さて、そんな会話の最中…離れたところで大猿に変貌したサイヤ人が、悟飯によって倒されたところだった。

 正確には倒した。ではなく…殺した、だが。

 それを見たベジータは冷ややかに悟空に問いかける。

 

 「しかし…カカロット、面白い戦い方をするな。どうだ?ナッパの代わりをするつもりはないか?あの単細胞より、貴様の方が役に立ちそうだ。」

 「ふざけるな!オラお前ェの仲間になんかならねぇ!」

 「そうか。仕方ない…ならば死ねィ!!」

 

 戦闘再開、悟空に迫るベジータ、その拳が一つ、二つ、三つと放たれる。

 その全てを卓越した気配察知によってなんとかいなす。

 しかしそれだってこのサイヤ人が遊んでいるからこそ成立する。

 下級戦士相手にフルパワーで挑むことなど、彼のプライドに傷がつく行為であるのだ。

 

 「はぁ!!」

 

 しかし、そのプライドの高さこそ弱点。

 悟空の返す拳を受け、その腕によって死角となったところから、小籠包の飛び蹴りがベジータの腹部目掛けて放たれる。

 

 「見えているぞ。」

 

 しかし届かない。

 掴んだ拳を引っ張って、悟空の身体を迫る小籠包目掛けて投げつけることでその攻撃を強制終了させる。

 

 「ダダダダダダダダダ!!」 

 

 一纏めにした二人目掛けて両手を突き出し、大量の気弾を打ち込んでいく。

 本来であれば効果を発揮するケースが薄いこの戦い方、ただし格上であるベジータが使えば話は別。

 筆舌に尽くし難い威力の弾丸が無数に飛んでくるのだ。

 二人は固い防御姿勢を取るほかない。

 

 「調子に…乗るな…!」

 「なッ…!」

 

 瞬間移動により、視界の端に唐突に映る敵の姿。

 指先に圧縮された気を放出する。

 超どどん波。

 師の技を見よう見まねで再現した新たな技である。

 

 「こ、このクソ野郎…!」

 

 しかし、このゼロ距離での攻撃も大したダメージになっていない。

 殆ど直感的に行われた防御姿勢だったにもかかわらずベジータはこれを的確に対処した。

 戦闘センスの塊である。

 

 「だぁぁぁ!!」

 

 この隙を突いて爆煙から飛び出た悟空がフルパワーでラッシュを試みる。

 だがこれも無意味、完全に出遅れているにもかかわらず悟空の拳、蹴りは全て見切られてこれを受け止められる。

 

 「鬱陶しいぞカカロットォ!」

 「ぐぁぁぁ!?」

 

 最初は回避防御に徹していたベジータもあっさり攻勢に転じて悟空の顔面を引っ掴み、地面へと叩きつける。

 

 「死ね!」

 「ッ…!」

 

 ダウンした悟空目掛け向けられる指先には先の超どどん波と同等、それ以上のパワーが詰め込まれた強力なエネルギーだ。

 起き上がれない悟空に対してすかさず小籠包が瞬間移動で悟空を回収する。

 

 「ちッ…やはりヤードラットの術か…!」

 

 苦戦は、しないが倒しきれない。

 そんな状況にベジータも次第に苛立ちを募らせている。

 初めこそはゲーム感覚で未知の戦いを興じていた彼も、小籠包の悪辣な戦いぶりに辟易し始めていた。

 

 「なぁ、小籠包…界王様のところでなんか教わらなかったのか?」

 「あるには…あるけど…。」

 

 言葉は不要、スピリットの制御により己のイメージを悟空と共有する。

 

 「なら仕方ねえな。…オラになら、使えそうか?ソレ。」

 「…理論上はね、できるの?」

 「わからねえ、でも…その技ならあいつを倒せるかもしれねえ。」

 

 技の理論、イメージは悟空に伝えた。

 しかしその程度で再現できるほど界王の奥義は甘くない。

 ここは悟空に賭けるしかないと、彼女も覚悟を決めた。

 

 「わかった、私がなんとか時間を稼ぐ。」

 「作戦会議は終わったか?」

 

 ザリ、とサイヤ人の王子が歩みを進める。

 油断・慢心…それが彼に対する最初で最後の付け入る隙だ。

 

 「えぇ、貴方をぶっ殺す算段は立ったわね。」

 「ふん、ぶっ殺されるのは貴様だ女ァ!」

 

 互いに弾け合い、互いの拳が激突し、衝撃波が迸る。

 元気玉に掛かる時間は数分…彼が技の再現にかかる時間を考慮すればさらに多くの時間が必要だ。

 その間、この怪物を押さえ込まなくてはならない。

 

 「大地よ、海よ、そして生きている全てのみんな!オラにほんの少しだけ…元気…分けてくれ…!」

 

 両手を掲げ祈る様に瞳を閉じる。…が、やはり元気玉の準備状態にすら入らない。

 生命との共鳴はそれほどに難しい。スピリット制御が向上した小籠包がやっと手に入れた技なのだ、こんな口伝で簡単に再現できるほど、甘い技ではない。

 

 ベジータはこれを敢えて見逃し、凶悪化によって手に入れたパワーにより一方的に小籠包を痛めつけた。

 まるで悟空に見せつけるように。

 

 「ははは!どうしたカカロット!俺様を殺すんじゃないのか!」

 「ち…ちくしょう…!」

 「私の、事は…!気にしないで!技に…集中…しなさい!!」

 

 仲間の言葉にハッと我に帰る。

 この技は怒りの感情では体現できない。

 視界を閉ざし、意識を静かに落として情報をシャットアウトする。

 大丈夫だ、彼女は強い。

 そんな風に言い聞かせるように悟空は空へ掲げた両腕に全神経を集中させた。

 

 共有してもらったイメージの通り、周囲の人間だけでなくその他の生命体の気すら感じ取れるような集中。

 だがソレで上手く行かない。

 当然だ、本来この技は界王星に半年弱ほどみっちり修行して漸く得られる究極技なのである。

 ただただ口伝でやり方を知り、ハイデキマシタ。で済んだのなら苦労はしない。

 

 「頼む…!ほんの少し、ほんの少しでいいんだ…!オラに元気を、分けてくれ…!」

 

 その時、掲げた腕にほんの僅か…自身の体温以外の″熱″を悟空は感じ取った。

 小さな小さな気の光。ソレが少しずつ悟空の両腕に集まりその両腕に熱い灯火を宿らせているのだ。

 しかし、彼の元気玉はそこで終わってしまう。

 所詮は未完成の技。

 正式な修行を受けずに殆ど我流で生み出したこの技は、十分な共鳴ができぬまま終わってしまう。

 

 ソレでも彼の両腕に宿ったエネルギーは彼に実力以上のパワーを与えた。

 ヴン…!と片腕にそのエネルギー纏わせて今尚ベジータに蹂躙される小籠包を見つめる。

 

 「準備は終わったか?カカロットよ。」

 「ああ…!今度は、オラが相手だ。」

 

 襟元を掴み上げて、だらん…と力なく吊るされる小籠包が乱暴に投げ飛ばされる。

 その片腕に凄まじいエネルギーが集約されているのを彼女は認めた。

 

 ーーーダメ…アレじゃ、彼は倒せない…!

 

 イメージの共有だけで技のとっかかりを掴むあたり流石の才能と言えるが、それだけだ。

 実戦で通用しなければなんの意味もない。

 

 「くく、いいだろう。遊んでやるぞカカロット。」

 「油断してっと、痛い目見るぞ。」

 

 先に仕掛けたのは悟空だった。

 素人には殆ど瞬間移動とも取れる超加速だが、ベジータには子供が駆け寄り、じゃれつく程度の脅威でしかない。

 

 悟空の決死のラッシュに対してベジータはただただ攻撃を避けるのみ。

 宣言通り、『遊んでいる』のだ。

 実力の半分にも満たない下級戦士相手に全力を出して戦うなど、超エリート戦士である彼のプライドが許さない。

 

 ーーーどうするつもり?悟空くん…。

 

 ベジータに弄ばれる悟空をダメージで動けない身体でなんとか見守る小籠包。

 元気玉もどきを当てたとして、ダメージにはなるかも知れないが、戦闘不能にはできない。

 しかし、今の悟空ではソレに頼るしかないのも事実だ。

 

 変わらず悟空の攻撃を飄々と、最低限の身体捌きで避けるゲーム感覚のサイヤ人の王子。

 その状況を打開したのは、孫悟空だった。

 

 「…!」

 

 その拳が僅かだがベジータの頬を掠める。

 三白の瞳を僅かに揺らして驚愕する。

 馬鹿な、まぐれだ…!

 そんな彼の逃避は2度目の掠める蹴りで完全に払拭される。

 

 上がっているのだ…!悟空のスピードが。

 

 ーーーふん、腐ってもサイヤ人ということか。そうでなくてはな…!

 

 自身と同じく力をあげる同胞に焦りではなく悦びに口角を釣り上げる。

 ならばこちらはもう少しだけその気になってやると速度をあげる。

 

 「…ッ!?」

 

 またも、悟空の拳が彼の鼻先をチッ…!と掠めた。

 ソレを皮切りに悟空のスピードが加速度的に上昇していく!

 

 ーーーば、バカな…!か、下級戦士風情に…どこに、そんな力が…!

 

 既にお互いの速度は戦闘力で言うところの30000前後相当にまで高まっている。

 己の力を制限して戦うお遊び感覚の相手と、己が死力を尽くして戦う男。

 この二つの意識の差が遂に奇跡を起こした。

 

 「っおぉぉぉりゃぁぁぁぁ!!」

 「ぁぐ!?」

 

 悟空の拳が、遂に、遂にベジータを捉え、後方へと吹き飛ばした。

 すかさず急加速して、その背後へと追いつき、無防備な背中を上空へと蹴り飛ばす。

 打ち上がった小柄な体躯を更に追跡して、上空へ昇るベジータの顔面目掛けて渾身のダブルスレッジハンマーを叩きつける。

 

 「だりゃ!!」

 

 血飛沫を弾けさせながらベジータは地面目掛けて加速する。

 自由落下する彼を更に先回りして地面から背中目掛けて拳を打ち込み、そのまま彼を地面に投げつけた。

 

 この戦い切って、ベジータが初めて、ダメージを負った瞬間である。

 

 「こ、この…クソやろう…!!」

 「早く(リキ)出せ…!もうさっきまでのオラじゃねえぞ…!」

 

 口端からだらりと滴る体液、ソレが何かを解らず煩わしいと拭った瞬間…ベジータの怒りは頂点に達した!

 

 「こ、この…俺様に…き、傷を…!…下級戦士…風情がぁ…!図にのる、なよ…!!」

 「…ぐぁ!?」

 

 怒りに身を任せた最大加速。

 同じく悟空の顔面を殴りつけ、その体は彼と同じく岩盤目掛けて超スピードで吹き飛ばされる。

 

 はぁ、はぁ…と力任せに動いた反動と先のダメージのダブルパンチでベジータの息はあがっている。

 

 ーーーど、どういう…こと…!?

 

 一連の流れを見ていた小籠包は何が起きたのかがわからない。

 この数秒で確かに悟空はそのパワーをぐん!と上げたのだ。

 界王拳ではない、技特有の焔のような燃えるオーラが出てる訳でもないし、ましてや気功法でもない。

 

 悟空は何かを使って、その力を飛躍的にあげたのだ。

 

 ーーー…!元気玉のエネルギー!?

 

 気づけば片腕に集約されていたエネルギーの証である強い光が、彼の全身に伝播している。

 彼は、集めた元気を放つのではなく…己の中に集約して自身の気として取り込んだのだ!

 

 ーーーなんて、出鱈目…!

 

 悔しさではなく、ライバルの更なる飛躍に同じく微笑む悪党。

 ソレを他所に悟空は瓦礫から立ち上がり強敵に向かい合っていた。

 

 「さぁ、こっからが本番だぜ。」

 「…いいだろう、喜べ。落ちこぼれ相手にこのサイヤ人の超エリートであるベジータ様が、本気で相手をしてやる。もう、容赦はせん殺してやるぞカカロット…!」

 「じゃあ、落ちこぼれの意地って奴を見せてやるよ。」

 

 低く身構え両腕を広げる悟空と、腰を落として構えを取るベジータ。

 

 最終決戦がここに始まろうとしていた。

 

 





 戦闘力更新

 孫悟空
 基本最大18000
 不完全元気玉 30000

 スピリットの制御技術向上によりイメージを共有したが、本来はもっとぼんやり伝わる。
悟空の超能力的な才能に助けられて明確な情報として伝達し、技の再現に至った。

 ただし、ぶっつけ本番はやはり悟空といえど無理があったため、完全な形とはならず、ベジータを倒すのには全然足りなかったが…。

 元気玉吸収 48000

 ソレを悟空も察していたのか、無意識に元気玉のエネルギーを自分の中に取り込み、大幅パワーアップ。ソレでもベジータには僅かに届かないが、これなら互角以上に戦える。
相手の隙をつけば十分に倒せるステージに立った。
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