ドラゴンボールAT 作:澄ましたガール大好きおじさん
勝った!勝った!サイヤ人編!完!?…というわけで初投稿です。
元気玉のエネルギーを身に纏った悟空の強さは正に限界突破と評するに相応しい覚醒だった。
小籠包をして手も足も出なかった極悪化により進化したベジータと完全に互角なのである。
パワーは僅かにベジータが優っている。
しかしソレを補って悟空には「技」があった。
亀仙流から、星の神から、武の神から、あるいは名もしれぬ釣り人や村娘達から…。
その培われた技によって悟空はベジータに食い下がる。
それが、ベジータのプライドを大いに踏み躙った。
「つァ!!」
「…ッ、波ぁ!!」
ベジータの気弾を弾き返して、ノータイムでかめはめ波が放たれる。
受けてはまずいとこれを紙一重でかわし、反動で身動きの取れない悟空を狙うも、これを残像拳にて回避する。
背後に現れた悟空の踵落としを頭上でクロスした両腕で受け止め、掴んだ片脚をジャイアントスイングで投げ飛ばす。
岩盤に叩きつけられる手前で舞空術にて静止した悟空目掛けて、禍々しい気功波を撃ち放つ。
これを全身を緊張させて見事に受け切る。
間違いなく、この地球の命運を握った激戦が上空にて行われている。
「す、すげえ!すげえよ悟空!」
「あ、あぁ…!流石だぜ…!」
「…し、信じられん…!か、カカロットが、あ、あのベジータを…!」
「お、お父さん!がんばれ!!」
三者三様(四人だが)の反応を示す。
絶望的な状況を突如ひっくり返した悟空に地球側の戦士達はいろめきたっていた。
…が、一人だけこの状況を楽観視していなかったのが小籠包だ。
ーーー…悟空くんの気が、少しずつ落ちていってる…!
この超パワーが一時的なモノであると誰よりも気づいた彼女は、漸く回復した体に鞭を打って立ち上がる。
このままでは悟空の負けは必至…しかしだからといってこんな力の差で彼の助太刀に入っては、かえって邪魔になるだけだ。
ーーーアレを、使うしか…!
界王に禁じ手とされていた、気功法と界王拳の合わせ技。
使用するのであれば攻撃のほんの一瞬のみとされたが、ソレがベジータに通用しないことは先の戦いで証明済み。
ダメージによって体力は低下している。
一歩間違えれば今度こそあの世行き。
しかし、ここで引くわけにはいかない。
びきり、とこめかみに青筋を立てながら全身に力を入れる。
ーーーはァァァァ…!
気功法によって集約させた力を膨張させる。
自身の身体に不相応なエネルギーが小籠包の中で宿り始めた。
彼らの戦いを静かに界王星から見守っていた界王はたまらず小籠包に声をあげた。
『い、いかん…!今のお前では界王拳との合わせ技は危険じゃ!今すぐやめろ!』
その言葉な耳を貸す彼女ではなかった。なぜか?
答えは単純、彼女はなんだかんだいって孫悟空と同じく負けず嫌いなのだ。
目の前で自分が体現できなかった奥義をあっさりモノにし、しかもそれを我流に昇華させる。
そんな奇跡を目の当たりにしては自分も限界に挑んで見たくなるというモノ。
急激に膨れ上がる味方の気配にZ戦士たちは揃って彼女に注目した。
「しょ、小籠包…!な、なにを…!」
ラディッツの言葉は届かない、その様子は…およそ10年前…悟空と相対した小籠包が奥の手として出した「気の解放」を行った時と非常に酷似している。
この急激な気の膨れ上がりに、悟空はもちろん…気を感じ取れないはずのベジータですら彼女の変化に一目置いた。
「…やはりまだ隠し玉を持ってやがったか。」
サイヤ人の王子…天才戦士はニヤリとほくそ笑む。
その技は、知っているぞ…!と言わんばかりに。
彼女が瞬間的に扱っていたパワーはせいぜいが2倍程度…
それでは戦闘力2万そこそこの彼女では今のベジータには届かない。
だからこそ、ベジータは最早小籠包を脅威だと感じていなかった。
全てが終わったあと、ゆっくり痛めつけてやる。
そんな風に思っていたほどに。
その思惑は…あっさりと外れることとなる。
この事態、イメージを通じて記憶を共有した悟空だけが理解する。
彼女は命をこの戦いにベットしたのだ。
「…!よ、よせ…!死んじまうぞ!小籠包!」
「…界王拳…3倍…!」
気功法を十全に発揮した今の状態に対して、リスクを完全に無視した更なる気の解放。
彼女の全身は燃え上がる焔を思わせるオーラとなり、目にも止まらない速さでベジータの懐に潜り込む。
「!?」
「はァァァァ…!!」
腹部に突き刺さる余りに重いボディブロー、続け様に彼女の拳に全体重が乗せられて、ベジータの頬を殴り飛ばす。
間髪入れずに地面にクレーターをこさえながら、吹き飛ぶベジータを追い越し、高々とあげた片脚が鉄槌の如く振り落とされ、その脳天を捉える。
倒れ伏したベジータの腰回りに巻きついた尻尾を鷲掴みにし、そのまま埒外の膂力を使って、その体を振り回す。
尻尾を掴まれたサイヤ人の王子は何度も何度も地面に叩きつけられる。
何度目かの衝突で浮き上がった彼の背中にその背骨を粉砕するかのような強烈な蹴りが突き刺さる。…ぶ、ち…!!
サイヤ人の証たる尻尾をあっさり千切りながら彼を岩盤へと叩きつけた。
一方的に攻撃を行っているというのに、小籠包の顔は苦痛に歪んでいる。
浅い呼吸を行いながら…膝から崩れ落ちる。
「が…は…!?」
既にその全身には焔のオーラは完全に消滅していた。
咳き込むその唇からは多量の体液が迸っている。
赤いモノではないソレは彼女が人外であるかを強調するかのよう。
「小籠包!」
崩れ落ちた彼女に真っ先に駆け寄ったラディッツは彼女を抱き起こす。
「…っ、し、しっかりしろ!」
「ご、ごめ…!倒し、きれ…な……た。」
「喋るな!すぐにピラフのところに連れて言ってやる!」
慌てて抱き起こしたラディッツの胸ぐらを小籠包が掴んだ。
「ま、だ…終わ…な、ぃ。早、く…と、どめ…!」
血走った黄色の瞳が友を叱責する。
彼女の懸念通り、ベジータはダメージこそ負ったものの、健在であった。
しかも、しかもだ…最悪なことにそのパワーは先ほどよりも上がっているように感じる。
「こ…この…くそ、野郎…!一度…ならず…二度までも…この、ベジータ様を…!」
怒り心頭、見開いた瞳は完全に血走っており我を忘れている。
ドス黒いオーラは更にその濃さを増しているようで、最早普通の精神状態とはとても思えなかった。
「う、嘘だろ…あんな攻撃を受けたってのに…!」
誰かの絶望する声が聞こえるが、誰が言ったかなど瑣末なことだ。
ここで、ベジータをなんとかできなければ、この地球は終わり。
売り飛ばすなんて真似はしないだろう。
彼はこの星を間違いなく木っ端微塵に消滅させるに違いない。
己のプライドを二度も踏み躙った連中を許すほど、彼が甘くないことを、ラディッツは誰よりもよく知っていた。
「…すぐに終わらせる。そこで待っててくれ。」
もう応える体力もないのか、にひ…!と笑うばかりの彼女。
ラディッツは弟の隣に立ち、静かに声をかけた。
その後には少しばかり震えてはいるモノの、悟飯が続いていた。
「手を貸すぞ、弟よ。」
「ぼ、僕も戦います!」
「すまねぇ、兄ちゃん、悟飯。」
その徒党を組む様ですらベジータには目障り極まり無い。
散々浮き上がった青筋がぷちりと千切れ、血液が噴き出るのではと思えるほど、彼の怒りは限界だった。
「この、雑魚どもが…!貴様らまとめて地獄に送ってやる…!」
体から噴き出るオーラが彼の両手に集約していく。
恐ろしいエネルギー…!
何の躊躇もないその破壊エネルギーが地上に着弾すれば間違いなくこの星は崩壊するだろう。
ベジータがパワーをあげるほど大地は震え、天が裂けていく。
まるで地球が彼の悪のパワーに怯えているかのよう。
「もう、こんな星など知ったことか!!地球諸共…宇宙のチリにしてくれるわ!!!」
「あ、…あの、構えは…!ぎゃ、…ギャリック砲…!」
ラディッツが戦慄する。
久しぶりに見る、ベジータが「技」を使う様子を…!
「か、構えろ!カカロット!悟飯!ありったけの気を使え!地球毎吹き飛ばされるぞ!」
「なに!?」
狼狽える雑魚を見下ろしてベジータは満足そうにその口角を歪めた。
「今更後悔しても遅いぞラディッツ!サイヤ人の面汚しが!兄弟仲良く消し飛ばしてやるぞぉ!!!」
漆黒のオーラが両手に完全に集約する。
本来の威力から凶悪化によって大幅に強化された技は
スーパーギャリック砲と呼ぶに相応しい凶悪さを秘めている。
迸るスパークだけでも彼の周囲を黒焦げにするほどの余波を見せる。
そのエネルギーを纏ったまま彼は天高く舞い上がって両腕を小脇に抱える様に構えた。
「死ねぇ!雑魚ども!!ギャリック砲ぉぉぉぉお!!!」
恐ろしいエネルギーが頭上から落下する。三人はもちろん、この地球全ての命を終わらせる終末の光。
「この地球には…落とさせねぇ!!…かめはめ…波ァ!!!」
「サタデー……クラァァァァッシュ!!!!」
「魔閃…光ぉぉぉぉぉ!!」
各々の最大の技が3つ編みのように絡まりながら一つの巨大な気功波となって迫るギャリック砲とぶつかり合う。
完全なる拮抗をしているが、ソレは悟空の元気玉のエネルギーあってこそのパワーバランス。
悟空がフルパワーでいられる間にこの撃ち合いに終止符を打たなければならない。
「ちィ…!俺様の技を押し留めるとはな…!…しかし弱いな!殆どカカロットのパワーしか感じんな!このまますり潰してくれる!」
ぐん!!とベジータのパワーが一際高く吹き荒れる。
拮抗していたはずのパワーバランスは一気に崩れ三人の両足は地面にみしり…!とめり込む。
「ぐぅ!!…なんてパワーだ!こ、これまでか…!」
「諦めんな!兄ちゃん!」
「わかっている!クソ…!おぉぉぉぉぉぉ!!!」
この逆境でラディッツのパワーが引き上がる。
サイヤ人は逆境において限界を超えて進化する。
もう彼は下級戦士の枠組みを完全に超えていた。
「褒めてやるぞラディッツ!この俺様相手にここまで食い下がるとはな!…だがソレが貴様の限界だ!大人しく死ねぇぇぇ!」
この期に及んで、ベジータは高笑いする余裕すらあるようで、押し返されたエネルギーすらもお仕返し、状況は一切変わらない。
「ぐゥゥゥゥ…!ご、悟飯!兄ちゃん!全員で一斉に気を解放するんだ!」
「ああ…!行くぞ悟飯!」
「は、はい…!お父さん…!ラディッツさん!」
各々力を振り絞っていた動きに呼吸を合わせる。
じりじりと三人の身体は地面にめり込んでいく。
ソレが焦燥感を産み三人の呼吸の足並みは揃わない。
一人が乱れれば全員がソレに引っ張られてしまう。
「か、カカロット…!もう、…限界だ…!」
遂に溢れるラディッツの弱音。
ソレに引きずられる様に彼の身体が一際深く沈み込む。
「お、お父、さん…!僕も…限界…です…!」
ネガティブな感情はあっさりと悟飯にも伝播し、今度は悟飯が沈んでいく。
悟空の元気玉のエネルギーももう殆ど使い果たしてしまっている。
次に悟空が沈んだ時がこの撃ち合いの終止符となる…。
「はー、はっはっはっ!下級戦士どもがよくやったと褒めてやる!だがこれで終わりにしてやる…!」
今度こそ…三匹の虫を踏み潰さんとベジータの最後のギアが引き上がる。
びき…!悟空の片足が地面に沈み込み…今度こそ命運尽きたかに思えたその瞬間。
「おわる…のは…!お前…だ…!」
「!?」
ベジータに押しつぶされかけた三人の真後ろにたつ満身創痍の異形の女。
残された体力と気力を振り絞ってようやく構えられた気功砲。
片腕に込められたエネルギーは本当にごくわずか。
たとえこれを打ち込んだとしても焼石に水だろう。
「お、お前ェ…!」
「しょ、小籠包!動けるのか…!」
「死にかけよ!…これ、打ったら…今度…こ、そ…死ぬわ…ね!」
だったら無茶をするな!
そんなことを言ってられる状態ではない。
もう既にベジータのギャリック砲は目と鼻の先まで迫り…今にも悟空たちのエネルギーを飲み込んで跳ね返しそうになっているのだ。
「私が1秒だけチャンスを作る!…その瞬間に…全部!あのチビにぶつけるの!!」
「…ッ、分かった!死ぬなよ!やるぞ!カカロット!悟飯!」
萎えかけた三人の闘志に再び火が灯り、その気はこの瞬間初めてひとまとまりの巨大なモノへと変貌した!
「…また、貴様かぁ!!絶対に殺してやるぞ!!」
「私と一緒に地獄に堕ちてもらうわ!!これが…最期の…気功砲……だあァァァァ!!!!」
己の命をかけた気功波を片腕に全て託して迫る終末の光に対して撃ち込む。
ソレはギャリック砲をほんのわずか…一秒だけその勢いを弱めた。
三人はその瞬間を完全に捉えた。
「今だ!!!!」
響き渡った号令は誰のものか、三人の腕から残されたありったけのエネルギーがコンマ数秒もずれることなく完全に同時に放出される。
「「「波ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」
ごう!!!!
激流のような気の奔流が邪悪なエネルギーの塊を完全に飲み込み…その流れを完全に掌握した!
「…ば、馬鹿な…お、押され…!!ゥゥうぉぉぉぉおああァァァァぁぁァァァァ!?!?」
その瞬間…勝負は決した。
纏っていた凶悪化のオーラが完全に消し飛ばされ、ベジータは本来の戦闘力に戻ってしまったのだ。
四人の超戦士たちによる命をかけた攻撃により、サイヤ人の王子ベジータは己の放ったギャリック砲を押し返されて…最悪の黒星を地球で刻むことなった。
戦闘力更新
ラディッツ
基本最大:22000
最後の撃ち合いで己の限界を超えた。
本来のベジータを超える戦闘力を身につける。
サイヤ人に限界なんてないんだよラディッツ。
小籠包(ダメージ)
基本最大(気功法):17000
界王拳3倍:51000
使ってはならないと釘をさされた技を使ったことでマジの瀕死。
ソレでも自身の治療より先に敵を倒せとブチ切れるあたり本当に温厚なヤードラット人の血を継いでいるのか怪しくなるレベル。
片手気功砲:4500
いうまでもなく原作のオマージュ。
威力はないが、新気功砲のように吹き飛ばしだけに重点をおいたエネルギー波。撃ち合いの拮抗をぶち壊す為に文字通り命をかけた。
威力はてんで大したことのない技だが、そこはご都合展開ということで。
この瞬間の彼女は「極」ではなく「超」だったのかもしれない。