ドラゴンボールAT 作:澄ましたガール大好きおじさん
サイヤ人エピローグその1、あの男が帰ってくる(?).ので初投稿です。
「ふぅん、やるじゃない。」
恐ろしい光の奔流が天高く上がる様はまるで彼らの勝ち鬨。
光が線となり、千切れて粒子と消えていく様子をトワは満足そうに見ていた。
本当は早々にミラを乱入させて、凶悪化したベジータからダメージエネルギーを奪う予定だったが、予想外に良い戦いをするものだから思わず見守ってしまった。
科学者の好奇心というやつである。万一彼らがここで死ぬ様でもやりようはいくらでもある。
ナメック星のドラゴンボールで蘇生させれば良いし、最悪時間遡行によってこの歴史を捻じ曲げればよいのだ。
「もういいのか?トワ?」
「ええ、なかなかに楽しめたわ。」
腕組みをして、退屈だと不機嫌にため息をつく彼は創造主が漸く満足したことに安堵する。
彼らの戦いはミラにとってはお遊び未満。
さながら子供がじゃれあっているのと同じである。
しかし、とミラは双眸を伏せ思考に潜った。
ーーー小籠包か、俺の知らぬ戦士…奴から感じる得体の知れなさはなんだ。タイムパトローラどもとはまた違う何かを、奴は持っている…。
その彼の期待も、直後に崩れ落ちた事でその認識を改める。
気の過剰放出…あれでは1分と経たずにあの世行きだろう。
やはり、アレも雑魚か。
あまりの退屈さに何とかして面白みを見つけようとでもしたのだろうと、彼は自らを納得させる。
「何をしてるの?行くわよミラ。」
もうこの時代に用は無いと空間から杖を出して時空を歪ませる。
散々自分を待たせておいて勝手な創造主である。
そんなことに一々ケチをつけるほどミラは情緒が育ってはいない。
返事をするまでもなく、彼はトワの後ろに続き、一瞥もくれてやることはなく、この時代から完全に消え去った。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
最悪の強敵、サイヤ人の極大の気功波を押し返した四人。
その中で最も早く意識を混濁させたのは小籠包だった。
文字通り、″最期″の気功砲。
気を完全に放出し尽くした戦士の行き着く先は、例外なく死である。
「ッ…!」
呼吸をすることもできず腰から下の力が抜け落ちる。
無重力下で落下する様な錯覚。
文字通り彼女の身体は崩れ落ちるところを、独特な桃色の中華服がソレを受け止めた。
背中に「KILL YOU」を背負う悪趣味極まり無いその格好は、彼女が最も敬愛する殺し屋、桃白白だった。
滑り落ちる意識を流し込まれた気によって辛うじて繋ぎ止める。
ぼやけた視界と意識の中、まるであの頃の様に情けない声が溢れた。
「せ、んせ…?」
「ふん、未熟者め。この桃白白の弟子ともあろうモノがそんな無様な死に様は絶対に許さんぞ?」
すみません。そんな言葉を発する事もできず、使い果たした気力体力の代償に彼女は師の腕の中で静かに眠りに堕ちた。
さて、ソレを見てあっけに取られたのは悟空だけでは無い。
彼を知らない息子やその兄、果てはクリリンやヤムチャ、餃子はまさかあの非道な殺し屋が弟子を救いにわざわざ来たのかと驚きを隠せない。
「お、お前ェ…!」
「敵を前に何をぼさっとしているのだ。ヤツは未だ生きている。早くトドメを刺さんか、この馬鹿め。」
機械の双眸が冷ややかに大ダメージに倒れ伏す異星人を見つめる。
「やらんというのなら、俺様が手を下してやろうか。」
「あいつは、殺さねえ。」
「か、カカロット!?何をバカな!ベジータは命を救われて恩義を覚える甘い奴ではない!むしろ逆だ!またここにやってくるぞ!」
血相を変えて胸ぐらを掴むラディッツの手を剥がす。しかし、悟空は思ってしまったのだ。″勿体無い″と。
彼は悪い奴なのは間違いない、悟空はこの人生…負けはしたが最後にはその相手を倒してきた。
今回ベジータを倒すことができたのは己一人の力では無い。
ソレが彼にとって不満なのだ。
いつか、いつか独力で彼を超えてやりたい、そのためには生きて帰って貰わなければ。
「悪ぃ、兄ちゃん。おら…またアイツと戦いテェ…!」
「な…!…ふ、全く呆れた奴だぜ、俺よりサイヤ人してやがる。」
「ってわけだ、
殺し屋は答えない。
くだらん、甘ちゃんめ、そんな二言を呟くとベジータは漸く宇宙船のポッドに乗り込んだところだった。
「ふ、は、は…俺様を、こ、殺さな、かったことを…後悔、させてやる…!次は、貴様ら…にぃ…奇跡は、ない…ぞ!」
そう発するベジータは事実、素面であるなら今やラディッツにも劣る。
凶悪化によって得た仮初のパワーでテコ入れされてるだけを考えれば、完全に負け犬の遠吠えである。
興味ないとその様子を背に、その体を地面に転がり意識を辛うじて戻した弟子へと向ける。
「この俺様を超えたな、シャオよ。」
「い、いい、え…せん、せいの…仰る、とお、り…みじゅく、もの、です。」
弟子の言葉には答えない。
背を向けて歩き始める背中に…小籠包のか細いお礼の言葉を受け止め、平野に埋まる巨大な石ころを千切るようにひょい、と持ち上げる。
そのままポイッ、という表現がお似合いのまるで小石でも投げるかの様な気楽さで身の丈を大きく超える岩石を彼方目掛けて投擲。
その上に飛び乗ると、彼はあっという間に遥か彼方へと飛び去ってしまった。
弟子の危機を察して駆けつけ、無事を確認してあっさりと帰宅。
少なくとも悟空の目にはその様に映った。
「お、お父さん…あの人、誰?」
「…桃白白って、父ちゃんが昔倒した悪ィ奴…だったんだけどな。」
「?…小籠包さんを助けてくれたよ?」
「…父ちゃんにもよくわかんねぇ、まあ良いじゃねえか!何とかなったんだしよ!」
カラカラと笑う悟空とは裏腹に他の面々の顔色は暗い。
敵は倒した、しかし天津飯とピッコロが死んだ。
ピッコロが死んだということは神も死に…ドラゴンボールも消えた。
2人が帰ってくることは永遠にないのだ。
重い空気の中、ラディッツは小籠包を抱き上げた。
「すまんカカロット、後のことは任せる。こいつを休ませてやらねばならん。」
「ああ、またな兄ちゃん。」
ふっ、と笑ったラディッツにかつての凶悪なサイヤ人の面影は微塵もない。戦友を抱えると彼はピラフの居城目掛けて最高速で飛び去っていった。
「悟空、…またお前に助けられちまったな。」
「クリリン、ヤムチャ、ありがとな、お前ェ達があのナッパっちゅー奴を押さえ込んでくれてたから、オラベジータに集中できたんだ。」
「…いや、俺なんか見てることしかできなかったよ。」
「…僕も、天さん…。」
失った二人はあまりにも大きい。
今やピッコロもクリリン達にとって大切な仲間の一人なのだ。
決してドラゴンボールが失われたから、彼の死を悼んでいるわけではない。
「なぁ、悟空。覚えてるか?あのベジータというやつの言葉だ。」
「…ああ、ナメック星、そこにはドラゴンボールがある。」
希望はまだ潰えていない。
ピッコロと神様はナメック星人だった、ならば彼らの故郷にいくことができれば…彼らを生き返らせて、地球のドラゴンボールを復活させることができる。
「でもよ悟空、そんなのどこにあるんだ?俺たちが生きてる間に辿り着けるのか?」
「…わかんねぇ、でも何とかなるさ、多分!」
「お、お前なぁ…!」
あまりにも能天気な彼の発言。
しかし、その能天気さこそ今の彼らに必要なモノであり、苦笑いするクリリンも悟空が言うなら、きっとなんとかなる。
そんな気がしてくるのだ。
「先ずは、天界でミスターポポに色々聞いてこねぇとな。」
方針は決まった。神が異星人だというのなら、彼がこの星に来た時の宇宙船があるのかもしれない。
天界の生き字引であるミスターポポならきっと何か知っているはず。
そうでなくても、ナメック星がどこにあるのか程度は掴めるはずだ。
そんな希望を胸に一同は天界目掛けて飛び立った。
うーん、これは頼れる師匠。
オリ主もにっこり。
なお、ミラくんの感じてる何かは普通に「え?こいつやばくね?」という戦士としての危機感だったりしますが
DB特有のなんだ気のせいかで終わらせてます。足元掬ってくれ!オリ主!
これにてサイヤ人編終了となります。
次回は劇場版を挟む予定です。