ドラゴンボールAT   作:澄ましたガール大好きおじさん

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 オリ主のモテ期が到来したので初投稿です。


其之六十八 おそるべし!神精樹の実!

 

 小籠包と同じく肉体を与えられて蛇の道を渡り*1、界王星にたどり着いた天津飯とピッコロは各々鍛錬をしているなか、界王が深刻な面持ちでつぶやいた。

 

 「大変なことが起きた…。」

 

 これをピッコロは無視し、ひたすら10倍重力に逆らい舞空術をしながらの瞑想に耽っていたが、嫌な予感のする天津飯がこれを聞き返した。

 

 「界王様、どうされたのですか?」

 「…お前達の故郷に、とんでもないことが起きている。」

 

 ぴくり、とようやくピッコロが瞑想を解いて会話に混ざった。

 

 「どういうことだ。地球には()()()()()()()()()()いるんだぞ、それともフリーザとやらが地球に来たのか?」

 「いや、そうでは無い。しかし、残念だが地球はもう手遅れじゃ。」

 「どういうことですか、界王様。」

 

 普段は軽い雰囲気の神がグラサン越しにも分かる険しい表情。

 それが事態の深刻さを如実に表していた。

 その様子に、死んだ身であるピッコロは小さく舌打ちをする。

 

 ーーーちッ、俺が殺す前に死ぬことは許さんぞ、小籠包。

 

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 ーーー小籠包、小籠包、聞こえるか…!?

 

 ある日のこと。ピラフルームでの100倍重力トレーニングの最中、界王の声が二人の戦士の心に直接語りかけられた。

 ぴたりと、二人の動きがとまる。

 

 「か、界王さま!?」

 「…界王…?小籠包を鍛えた神か。」

 

 重力発生装置を停止させながら呟いた相棒の言葉に小籠包は頷く。

 神の声は少しばかり焦りを感じるものであった。

 

 ーーー小籠包よ、大変なことになったぞ…。

 「大変なこと…?ナメック星で、何かあったのですか?」

 ーーーふむ、それもあるが…今は地球だ。

 

 界王の反応は含みのある言葉だったが、界王の言葉を遮るほど彼女は身の程知らずではない。

 ラディッツともども沈黙にて彼の言葉に耳を傾け続けた。

 

 彼は語った、神精樹という恐ろしい樹木がこの地球に根を張ったことをそして、その樹木の真に恐ろしい性質を…

 本来、神だけが食べることを許された禁断の果実。

 一口齧れば莫大なパワーをその実に宿すことのできる。

 しかし、そのコストとは…惑星の全ての養分。

 いわば星のエネルギーを丸ごと果実に集約させる樹なのだ。

 

 ーーー残念ながら、地球はもう、手遅れだ。

 「ありがとうございます。私たちも少し調べて見ます。行こう、ラディッツ。」

 

 ーーーその必要はないぞ、女。

 

 突如、ピラフルームに数人の異星人が入り込んできた。

 その格好は…ラディッツの戦闘服と類似した物を着用している。

 そして何より…。

 

 「サイヤ人ってのはそっくりさんが多いの?ラディッツ。」

 

 その先頭に立つ男は、肌の色こそ浅黒いが、その顔立ちは孫悟空と瓜二つだったのだ。

 実の兄であるラディッツ以上に似ていると言っていい。

 

 「我々下級戦士は使い捨て、それ故に生まれる顔立ちも多少似ることが多いな。」

 「そういうことだ。貴様、ラディッツか?随分力をつけたじゃないか。」

 

 口を開いた悟空によく似た男。

 良く気を隠しているが二人には分かる。

 こいつはどうしようも無い悪党であると。

 先ほど界王が語った樹もこいつらの仕業であると確信した。

 

 「俺の名はターレス。…女、なかなかのパワーだな?名乗れ。」

 「…小籠包。」

 「小籠包、俺の女になれ。」

 「はぁ?」「な…!?」

 

 突然の愛の告白…では無いのはいうまでもない。

 異形の瞳を呆れたように細めながら口をパクパクと動揺に揺らすラディッツに耳打ちする。

 

 「…ねぇ、貴方といいコイツといい、サイヤ人って女の趣味悪いの?」

 「お、俺に言うなぁ!…き、貴様!小籠包がお前と行くわけ無いだろう!」

 

 何を焦ってか、ラディッツは勇み足に一歩踏み出したが、それをターレスは冷ややかに返した。

 

 「お前は黙っていろ雑魚め、俺はそこの女に聞いているのだ。」

 

 気を抑えているようだがラディッツは理解する。

 少し前の彼なら″舐めるな!″と飛びかかっただろうが、今の彼は違う。

 相手はどうしようもなく格上の存在であると、理解できてしまう。

 彼の言葉が事実であることは、言われた本人がよくわかっていることだ。

 ぎり…!と奥歯を噛むラディッツを他所にターレスは続けた。

 

 「わかるぞその目、自分の為なら手段を選ばぬその目。そのパワー、この俺の隣にこそ相応しい。くくく、望む宝石で着飾らせてやる。思うままの悦も与えてやろう。女として最高の生活を与えてやる。」

 「こんな汗だくの女が、そんな言葉で靡くと思う?」

 「わかっているさ、そう焦るな。貴様は俺たちサイヤ人と同類。戦いが悦びだというなら俺の隣は打ってつけだぞ?宇宙をさすらい、思うままに破壊し、蹂躙するのだ。こんな楽しい生活、他にはないぜ?」

 

 色気など微塵もない愛の告白…というよりはスカウト、勧誘に近い。

 打倒フリーザ、ひいてはクウラを始末することを目的とした彼にとって…こんな片田舎で強戦士を遊ばせておくのはあまりにも勿体無い。

 

 「悪いけど、練習相手には足りているの。それに…貴方の顔、趣味じゃないわ。訳のわからない木をさっさと撤去してこの星から出てってくれない?」

 

 長々とした彼の熱弁をじとりとした半目で聞き流す。

 彼女からすれば戦友であり子持ちの男と瓜二つの男にどう恋愛感情を抱けというのか?

 というのが本音であり、そもそも師の背中を追いかける道半ばだというのに男にかまけている暇などないのだ。

 

 「ふッ…それでこそだ、欲しいモノは叩き潰して手に入れる。これぞサイヤ人だ。…なぁラディッツ、貴様もそうだろう?どうだ、その女と共に来るのなら、仲間に入れてやってもいいぜ?」

 「馬鹿め、今更フリーザ軍に怯える奴の下に就く訳ないだろう。」

 「……そうか、所詮サイヤ人の本分を忘れた軟弱者…同胞と憐れんだ俺が柄にもなく甘かったのだ…!」

 

 ターレスは組んだ腕を解き…瞬間その全身の筋肉が膨れ上がる。

 ぐん!と隠された彼のパワーが一気に解き放たれる!

 同時に…背後に控えていた連中が禍々しい見た目をした赤黒い果実を、みしり、と齧る。

 瞬間、彼らの戦闘力までも一気に膨れ上がった!

 

 「!?」

 

 突然の超パワーアップに二人は度肝を抜かれると同時に彼らは()()()()()()()()()()()()()を理解した。

 

 「お前達はあいつと遊んでやれ、俺はあの女をぶっ壊す。」

 「お任せを。」

 

 赤い巨漢の男を筆頭に三人組がラディッツの前に立ちはだかる。

 一人一人は大したことはない。

 しかし三人の立ち振る舞いはそれぞれが死角を補いあっているように見える。

 

 「舐めやがって…!貴様らなどさっさと殺してくれる…!」

 

 そんな風に身構える彼のこめかみには冷たいものが流れ落ちた。

 

 「つぁ…!!」

 

 巨漢目掛けて超スピードで飛び出したラディッツを皮切りに彼らの戦闘が始まった。

 それを尻目にターレスが小籠包を見下ろす。

 無形の構えをとりながら彼女は静かに見上げ返した。

 その瞳には冷たい殺意が宿っていることに、ニヤリとターレスは笑みを隠せない。

 戦力差は明白、にも関わらずこの女は自分を倒すつもりでいるのだ。

 

 「この俺に、勝てると思うか?パワーの差が分からん阿呆でもあるまい。」

 「…阿呆はお前だ。……界王拳!!」

 「なーーーが、…ふ!?」

 

 左目に携えた計測器にノイズが走る。

 その瞬間、頑丈な戦闘服と、ターレスの分厚い腹筋を貫いた小さな拳が彼の内臓に深いダメージを与えた。

 

 「…ち、相変わらず頑丈な連中ね。…界王拳…!!」

 

 ぴー!!と響き渡るスカウターからの警告音。

 それは一定の数値を超えた場合に発生する危険信号。

 左目に入り込むその数値は…30万を超えている…まだまだ、その数値は上昇しているのだ!

 同時に、彼以外のスカウターはそのあり得ない計測数値に耐えきれず音を立てて爆発した。

 

 「…舐めーーーぐが!?」

 

 19万のターレスが瞬間的に3()()()()()()()()()()()()()()()を捌けるはずもなく…顔面目掛けて超強烈な正拳突きを受け、瞬きするより早く、彼の体はピラフルームの壁に激突し、頑強なその壁を突き破って、外へと放り出された。

 

 「ば、バカな…!た、ターレス様のパワーを、上回るだと!?」

 「どこを見ていやがる!」

 「しま…!ぐ、ぉぉぉ…!?」

 

 たった数秒の間に起きた怒涛の展開に動揺したダイーズ、その隙を見逃すラディッツではない。超加速で彼の目の前にまで迫り膝蹴りにて彼の顎を打ちあげると、意識の飛びかけた彼を同じく蹴り飛ばして、ピラフルームの外目掛けて吹き飛ばした。

 

 「だ、ダイーズ…!」

 「安心しろ、()()()()()。だが、まだ続けるというのなら、次はないぞ。」

 「く…ッ!」

 

 最初は彼らの連携に翻弄されたラディッツだったが、それも束の間のこと。

 そもそも戦闘力に差が開きすぎているのだ。

 多少連携に優れていようと彼らは今のラディッツの敵ではない。

 

 「命までは取らん、とっととこの星からーーー」

 

 言葉を遮ったのは超速を超えた極速の膝蹴り。

 ラディッツの顎を正確に捉えたソレは彼の言葉を完全に封殺して、今度は自らがピラフルームの外へと吹き飛ばされた。

 それを追跡するダイーズの姿には…あのベジータ同様にドス黒いオーラに絡め取られている。

 あっという間に吹き飛ばされる彼の背後を奪い、その背中を蹴り飛ばして空中へと吹き飛ばした後に、更にそれを追い抜いて、頭上から振り上げたダブルスレッジハンマーにて彼は地面に叩きつけられた。

 

 そう、超強化された神精樹の実を、彼は食らったのである。

 

 「…ラディッツ!?」

 「…人の心配をしている場合か?」

 「…!?か、は…!?」

 

 部下と同じく漆黒のオーラと暗黒魔界の力に囚われた真っ赤な瞳をしたターレスの拳が華奢な体を打ち貫く。

 崩れ落ちる彼女の襟を掴み持ち上げた。

 

 「効いたぜ…今の攻撃、地獄がチラつくレベルにはな?…益々気に入った。必ず貴様を屈服させてやる。」

 「それは…どうも…!」

 

 隙だらけの顔面、いや敢えて隙を見せたターレスの顔面に放った拳は、あっさり受け止められてしまう。

 

 「そう怖い顔をするな、俺と貴様は似たモノ同士。仲良くしよう…や!」

 

 掴んだ襟首を引き寄せて強烈な頭突きが額に叩き込まれる。

 地球人でいうところの血を散らしながらラディッツ同様、彼女もピラフルームの外へと吹き飛ばされる。

 

 「く、はは!ははははは!素晴らしいぞ!これまでにないパワー!これを食べ続ければフリーザ…いや、クウラの野郎だって敵じゃないぜ!!!」

 

 ピラフルームの中央にて己の昂ったパワーに酔いしれるターレスは明らかに常軌を逸している。

 それもそのはず、彼の与えられた改良型の神精樹とは…暗黒魔界のパワー宿した危険なモノ。

 一口喰らえば潜在パワー急激に引き出される代わりに、その精神を凶悪化に支配されるものだった。

 

 「…はぁ、はぁ…あの、サイヤ人と、同じ…だ…!」

 

 薙ぎ倒された樹木の中から立ち上がった小籠包は口から多量の血を吐き出しながら決して小さく無いダメージを無視して立ち上がる。

 浅い呼吸を繰り返しながら…小籠包はにひ…!と凶悪な笑みを浮かべた。

 

 「上等、じゃない…!殺して、やる。」

 「貴様にできるか?お前のパワーとは天と地ほどの差があるのだぞ?」

 

 急激なパワーの上昇と凶悪化による精神の昂り、そしてサイヤ人特有の慢心、これらがターレスに隙を与えた。

 

 ーーーか、…ァァァァァァァ!!!

 

 ぐっ…!と全身の気を更に束ねる。

 彼女の肉体強度は、サイヤ人襲来から更に大きく成長した。

 それは即ち、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 更に高められた超パワーにターレスは驚くでも怯えるでもなく、愉快そうにニンマリと嗤った。

 

 「ほう、やはり貴様は面白い。もっとこの俺を楽しませろ女!」

 

 気功法の圧縮率を更に高めた…5倍を超えた10倍、それを更に飛び越えた2()0()()()()()()

 

 「…呆れた…!これでも未だ全然足りないなんて…!」

 

 こめかみに青筋を立てながら彼我の戦力差に戦慄する。

 ここまで奥の手を出して尚、今の彼女のパワーはターレスには遠く及ばないのだ。

 この状態はそう長くは続かない。

 あのマジュニアとの試合の時程の無茶ではないが、それでも決して安定した出力ではないのだ。

 

 額から流れ堕ちる体液を手首で拭いながら、彼女は再び、悠々と歩み寄る最強の敵に無形の構えで臨んだ。

*1
正確には飛び、が正しい。





 小籠包
  気功法(20倍):560000
  オリ主一つの到達点。
  しかしこれでは足りない。継戦能力に著しく乏しい。
  これを完全に安定することが来るインフレへのスタート地点である。

 ターレス
  神精樹の実(暗黒魔界):950000
  永続凶悪化という最悪のデバフと引き換えに、フリーザの第二形態に迫る程の力を身につけた。
  生きてさえいれば手足の骨を砕いてでもオリ主を拉致して、徹底的に躾けをするつもりでいる。

 ダイーズ
  神精樹の実(暗黒魔界):70000
  同じく暗黒魔界の実を喰らって急激にパワーアップ。
  ラディッツは油断してるが故に結構なダメージを負ってしまった。
  きちんと殺しておけば反撃を食うこともなかったのに…。
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