ドラゴンボールAT   作:澄ましたガール大好きおじさん

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 思わぬ方向でターレスを超えたので初投稿です。


其之七十一 思わぬ渡り舟!?いざ!ナメック星へ!

 

 「ほう、神精樹を壊すか。益々面白い…。」

 

 凶悪な笑みを浮かべる彼の頬を無言で小籠包は引っ叩く。

 小籠包は、見事神精樹を破壊して地球を救ったのだ。

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 ラディッツとの会話から僅か数十分後の事。

 仙豆にて体力を回復した小籠包は、ラディッツから一部始終を聞いた。

 曰く、この星が枯れ果てる前に樹を完全に破壊すれば…後は堕ちた実が大地に帰り、その実の養分により地球は元の姿に戻る。

 

 ーーー馬鹿、そんなの待ってたら地球が滅ぶよ。

 

 しかし、それ以上に手はない。しかも、もう時間はあまり残されて居ないと来た。

 この星が滅亡しようが構わないターレスはその顔に愉悦を詰め込んで思案に耽る彼女を見つめていた。

 さぁ、どうにかしてみせろ。

 その視線からくる挑発に小籠包は悪辣な顔で舌打ちを打つ。

 

 『小籠包、聞こえておるか?』

 「界王様!…はい、聞こえています。」

 『元気玉じゃ、元気玉を使え。』

 

 神の言葉に彼女は少しばかり苦い顔をする。

 その技は会得して尚、まともに使えたことが一度もない技なのだ。

 

 「し、しかし…!」

 『わかっておる、気を分けて貰うのではない。奪うつもりで構えるのだ。』

 「…ですが、それは…。」

 『説明は後だ!早くしなければ取り返しがつかんくなるぞ!』

 

 敬愛する師匠でもあり、畏れるべく神でもある男の声に頷く。

 両手を高く掲げ、祈るのではなく、訴える。

 

 『良いか、意識を神精樹に集中するのだぞ。』

 

 頭に流れこむ神の言葉に頷き、全身に淡い光を宿す。

 元気玉を集める体勢を整えて彼女は叫んだ。

 

 「神精樹!その力はこの地球のモノ!返しなさい!」

 

 ヴン…!

 

 全身に熱を感じ、異形の瞳が大きく見開かれる。

 伝授された奥義のセオリーから外れた彼女の姿勢。

 にもかかわらず、彼女の元気玉は元気を集め始めたのだ。

 

 「…!」

 

 その変化に最初に気がついたのはターレス達。

 神精樹の大きな、文字通り地球を覆い隠す程の枝葉の隙間から、真っ赤な光が一つ、二つと煌めき始める。

 まるで何者かの意思に呼応するかのように光るソレらは気づけば枝の根本から樹冠に至るまで所狭しとひしめいている。

 

 ーーーなるほど、生きるものから生命エネルギーを奪う技という訳か。

 

 他者から力を借り受け、そのエネルギーを操作するのは並大抵の技ではない。

 ソレが自らの力を超えた物ならなおさらだ。

 下手をすれば借り受けたエネルギーに飲み込まれる可能性すらあるのだ。

 

 びしり…!と遠くから何かがひび割れる音が鳴り響く。

 

 「た、ターレス様…!」

 「許す、離れて退避しておけ。」

 「す、すんません…!」

 

 ボスの許可を得るや否や、1人欠けたクラッシャー軍団は一目散に退散していった。

 アモンドが恐れるのも無理はない。

 何せ、彼女の集めるエネルギーによって彼らのスカウターは軒並み破壊されてしまったのだ。

 これは少なく見積もっても数十万程のエネルギーが彼女の下に集約されていることを意味する。

 数万程度の戦闘力しかない彼らにとってはその余波ですら致命傷になりかねない。

 

 「お前も離れた方がいいんじゃないか?ラディッツ?」

 「ふん、アイツが制御を誤ることなどない。」

 「大した信頼だな。」

 

 甘いやつ、サイヤ人の面汚しめ。

 そんなことを腹の底で毒づきながら腕を組み彼女の両腕に更に更に熱が点るのを見守る。

 

 スカウターの数値が80万を超えたところでターレスは電源を落とした。

 

 ーーー戦闘力200万程には上がりそうだな。…空恐ろしい技だぜ。

 

 溜め込まれたエネルギーは集まれば集まるほど、その威圧感を増しているように感じた。

 バレーボール大程の大きさとなったエネルギーの塊、そして気づけば…神精樹の枝に実っていた果実の数々はすっかり萎んで浅黒く変色してしまっている。

 そしてこれまで好調に膨張を繰り返してきたエネルギー塊は唐突にそのスピードを緩めた。

 神精樹から元気を搾り尽くしたせいだ。

 後に残っているのは元気の枯渇した地球だけである。

 

 『良いぞ!小籠包!そのまま樹の根元に叩きつけるんじゃ!』

 「そんなことしたら地球が…!」

 『元々は地球の元気じゃ、むしろ地球に叩きつけるつもりで行けェ!』

 「わ、わかりました…!」

 

 両腕に僅かに残ったエネルギを指先から放出して、溜め込んだエネルギー塊に更に集約させる。

 巨大な樹木は所々ひび割れ、瑞々しかった幹もすっかり老木のようになってしまっている。

 

 それ目掛けて彼女は思いっきり溜め込んだエネルギーをその根本に叩きつけた!

 

 激しい閃光がその場にいる全ての者の視界を奪う。

 神精樹はその根本から大きな亀裂を走らせてその髓にまで到達する。

 剥がれ落ちる樹皮は元気玉の発するエネルギーの中に溶け込んでいき、飛散していく。

 

 バレーボール大のエネルギー弾は膨れ上がりながら亀裂によって真っ二つに倒木していく樹木を飲み込んで更に巨大化。

 

 地球の半分を照らし出す程の巨大なエネルギー、しかしそれは破壊エネルギーではなく、その逆…枯れ果てた大地に恵みをもたらす気のシャワーである。

 

 元気玉により純粋なエネルギーに変換されれば、如何に暗黒魔界のパワーを内包していようと関係ない。

 寧ろ、奪われたエネルギーよりも更に増幅されて大地へと帰っていく。

 

 地球を照らす極光は数十分にも及び、地球全土へその元気を返還していった。

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 「さて、約束だ。カカロットの行き先を教えてもらおうか。」

 

 気の光が止んだころ、ターレスは気を掌に圧縮させながら問いかける。

 裏切りが何を意味するのかを、掌で輝く悪の光が如実に語っていた。

 

 「ナメック星だ。」

 

 予想だにしない行き先にターレスは眉を顰める。

 

 「ナメック星…?そんな遠くの星に何の用だ。」

 

 それだけではない。この星の科学力で到達出来るような距離ではないはずなのだ。

 ソレをわざわざ危険を犯して行くのにはソレなりの理由が必要なのである。

 

 「ドラゴンボールよ。」

 「…な!?小籠包!?」

 「どうせ、彼なら気づくよ。だったら教えてあげてもいいでしょ?」

 「し、しかしな…!」

 

 慌てふためくラディッツを尻目にターレスは大袈裟にため息を吐いた。

 ドラゴンボール、その名前は宇宙を流離う者たちでは有名な御伽話。

 7つ集めるとどんな願いでも叶える龍が飛び出す。

 確かに、そんなものが存在するのなら垂涎モノだ。

 そう、存在するのなら。

 

 「馬鹿馬鹿しい、そんな御伽話をこの俺が信じると思っているのか?」

 「ナメック星にもあるかは分からないけど、少なくとも地球には存在してたわよ。」

 「ほう、ならば今すぐに見せてもらおうか。」

 「この地球に残ってたらナメック星になんて行くわけないでしょ?」

 

 貴方意外とお馬鹿なのね、と白々しく半目で見つめる小籠包に舌打ちで返す。

 

 「…どういうことだ?」

 「アレは創造主が死ぬと、石になるの。この間ベジータ達が来た時に、私達の仲間が死んだ。ソレで石になっちゃったの。」

 

 彼女の言葉は余りに具体性を帯びている。

 仮に、仮にだ。これが作り話であるのならソレこそよく出来ていると言わざるを得ない。

 御伽話には確かに願いを叶える龍が出るとはあるが、ソレが石になってしまうニュアンスの説はなかったはずだ。

 彼は漸く、この話に耳を傾けつつあった。

 

 「……本当にあるのか、そんなものが。」

 「あのねぇ、こっちは貴方に命を握られてるのよ?そんなつまらない嘘で貴方の不興を買うわけないでしょ?」

 

 確かにその通りだ、しかしここまで包み隠さず話すには何か裏がある。

 …しかしここは敢えてその話に乗ってやろうとターレスは考えた。

 

 「そうか…。どんな願いでも叶うといったな。」

 「神龍の力を超えてなければね。」

 「死者を甦らせることはどうだ。」

 

 その理由は、ダイーズの復活である。

 彼は、なんだかんだとあのメンツで好き勝手に暴れ回るのが好きなのだ。

 そこに、一人でも欠ければそれは興醒めというもの。

 彼の言葉は一種の祈りだった。

 

 「出来る、…というか、私一度ラディッツに殺されて生き返ったし。」

 

 後ろでラディッツが気まずそうにしているが、そんなことはどうでもいい。

 自ら手にかけた部下を蘇らせることができる。

 如何に自身の命令に背いたとはいえ、あの状態のダイーズは普通ではない。

 ソレを殺したことはターレスにとっても仲間殺しも同義なのである。

 彼も彼でラディッツのことを強く言えない身内には甘い男なのだ。

 しかし、ソレで終わらないのがターレスという男。

 

 「…それで、貴様の狙いはなんだ?」

 「行くんでしょ?ナメック星。なら私とラディッツも連れてってくれればそれでいい。」

 「…ほう、漸く俺の女になる決心がーーー」

 

 その言葉をターレスが最後までいう前に彼の顔面には拳が食い込んだ。

 

 「貴方のモノになるなら、天国に行く方が100倍マシ。」

 

 

 

 かくして、地球に残された超戦士二人は、予定外の方法でナメック星に旅立つことになった。

 その宇宙船の一角をピラフによって魔改造され、強力な重力トレーニングルームがこさえられた。

 その最大数値脅威の300倍。

 さながらどこぞの世界の青い猫型ロボットもびっくりな便利屋扱いだが、ピラフとしても、王になる前に貴重な戦闘員二人を失うわけにはいかないのでこれは未来への投資である!とは本人の言。

 

 その先にこの第七宇宙最強最悪の悪の帝王が待ち構えていることなど、今の彼らには知る由もなかった。

 

 





 流石の神精樹もド正論パンチの前にはごめんなさいなのでした。

 元気玉(悪):250万
 暗黒魔界によりブーストされた神精樹から元気を搾り取ったエネルギー体。
 感想欄にあった「お前の元気玉、まんま神精樹やんけ!」
 というツッコミから着想を得た結末。
 映画と同じやん?と突っ込んではいけない。
 他者から搾り取ったエネルギーはその位相を変えやすいという感じです。
 あと、元気玉って善人には効かないって設定地味に忘れられてない?
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