ドラゴンボールAT   作:澄ましたガール大好きおじさん

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 クウラ様があまりにもかっこよく盛れたので初投稿です。


其之七十三 迫る最大の脅威

 

 「残りのドラゴンボールはまだ見つからないのですか?」

 

 巨大宇宙船のデッキにて、小型遊泳マシンにのった小柄な宇宙人が、紫の肌に黄色の班模様…恐竜を人型に縮小したような宇宙人に苛立ちを感じさせる口調で吐き捨てていた。

 

 「も、申し訳ありません…!ただいま一生懸命にボールを調査しております…もう暫くお時間を…!」

 

 どこぞの父親のような発言をしながらアプールは主人の不興を買った時ガダカタと震えている。

 しかし、その苛立ちとは裏腹にフリーザ軍のトップは未だ冷静であった。

 

 「まあ、いいでしょう。この広い惑星でたった7つのボールを探すのですから、多少の長丁場は想定の範囲内です。」

 「あ、ありがとうございます…!」

 

 震える声音を必死に抑えてアプールとりあえず繋がった命に感謝する。

 彼のチームがフリーザ軍の保有するドラゴンボールの全てを回収していたことが大きかった。

 その功績に免じて、フリーザはこれを「全くの収穫無し」ではなく「これまでが上手く行きすぎていた」と解釈したのだ。

 

 「ふ、フリーザ様…一つよろしいでしょうか。」

 「なんですか?」

 「それが、我々が尋ねた村の一部は既に何者かによって襲撃されていたようなのです。」

 

 ぴくり、フリーザのこめかみが微かに動く。

 ひっ…!と反射的に声をあげたのは、彼が「怒っている」ことを察したからだ。

 

 「続けなさい。」

 「は、はい。私の勝手な憶測ですが…我々以外にも、ドラゴンボールを集めている奴らが、いるのではないかと…。」

 

 ーーーギリ…!

 その奥歯が軋みをあげるほどに、フリーザは口角を歪めた。

 この、フリーザの…不老不死となる夢を、あろうことか邪魔をする馬鹿な奴が、この宇宙に未だ存在していたのかと。

 

 「サル野郎め…やはりベジータを生かしておいたのは失敗でしたか。」

 

 怒りを顕にしてしまった事ですっかり怯えてしまったアプールに、コホン。と態とらしく咳払いをする。この優秀な部下のパフォーマンスを落とす様なことはあってはならない。彼は勤めて声音を高く言葉を続けた。

 

 「ベジータを探しなさい。彼がボールを隠し持っているのは明らかです。多少の攻撃では壊れないことは確認済みですから、多少手荒な調査をしても構いません。3日時間を上げます。それまでにベジータを見つけてきなさい!」

 

 漸く、恐怖に固まったアプールは上司からの期待にその顔を僅かに緩めその士気を高めた。

 

 「は!お任せを!必ずやベジータを捕えて見せます。」

 「いいえ、貴方のお仕事はベジータを見つけること、それだけです。貴方がベジータに勝てるとは思えませんからね。」

 「…お、お恥ずかしながら、おっしゃる通りです。では…一体誰がベジータを…?」

 

 ベジータは休暇中に大怪我を負ってメディカルマシーンでの治療後、その戦闘力を大きく上げた報告を受けている。

 以前の彼ならば側近の2人に任せていればよかったであろう。

 正確な数値は報告に上がっていなかったが、報告にあった「驚異的な成長」の一文から少なく見積もって4万はあると見ていい。

 

 しばしの思考の末にフリーザはゆっくりと口を開いた。

 

 「ギニュー特戦隊を召集なさい。」

 「な…!?…わ、分かりました。至急特戦隊に召集令を出します。」

 

 彼への同情か、或いは嘲笑か、アプールは愉快そうに笑いながら姿勢を正して一礼すると、足早に職務へと戻っていった。

 

 「全く、どいつもこいつも人をイライラさせるのが上手い奴らだ…」

 

 邪魔者はベジータだけではない。

 この惑星に兄であるクウラまでも接近しているとのこと。

 フリーザとは対照的に…軍ではなく、少数精鋭である【クウラ機甲戦隊】を引き連れて活動する。

 組織運営を執り行い、宇宙の支配を目論むフリーザとは完全に対局の考え方。

 当然、兄弟仲は良好とはいえず、隙あらば互いに殺してやると殺伐とした関係となっている。

 

 そして、もっとも気に入らない点は…力だけで言えば彼はフリーザ以上の実力を持つ。

 とはいえ、組織的な力関係は五分である。

 彼らが如何に圧倒的な、強者であろうとやはり圧倒的な数の前ではどうしても領地拡大のスピードはフリーザ軍に劣るのだ。

 彼らの父親であるコルドもそこを評価している。

 

 決定的な違いは、後方で軍の運営管理に注力するフリーザと違い、クウラは星々を自らの手で制圧する。

 その違いが、クウラとフリーザの間にある力の溝を拡大させた。

 取るに足らない「雑魚」相手であろうと積み重ねた実戦経験は少なからずクウラを成長させたのだ。

 

 気づけば…クウラはフリーザがコントロールできない最終形態を「通常形態」として扱い、更にその上の変身まで身につけているのだと言う。

 

 その何もかもが、フリーザの神経を逆撫でした。

 王自らが戦場に出て敵地を支配するなど二流三流もいいところだ。

 …勿論今回のように現地に赴くこともあるのだが…。

 しかし、クウラの常在戦場の考え方は支配者失格だとフリーザは考える。

 

 「そろそろ目障りになってきましたし、兄さんには死んで貰いましょうか。」

 

 父の命令で仕方なく彼とは不可侵の盟約を交わしたが、相手がソレを破って来たのであれば好都合である。

 確かに今は自分が劣っているかもしれない、しかし…その気になれば自分こそ宇宙最強なのだ。その圧倒的なプライド、驕りがフリーザの判断能力を鈍らせる。

 どのみち、不老不死の願いさえ叶えてしまえば、力で劣っていようが関係ない。

 彼がここにやってくるまでに、ドラゴンボールを揃え、願いを叶えなければ。

 

 「最後に笑うのは、このフリーザです…ほーほっほっほっ!!」

 

 願いがもう直ぐ叶うという高揚感にフリーザはデッキにて1人高らかに笑い声を上げた。

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 「クウラ様、まもなくナメック星に到着します。」

 

 フリーザの乗っている物と同じ…いや少々サイズはこちらの方が大きいか。その後ろ姿に恭しく頭を下げる男、機甲戦隊のリーダーであるサウザーが航路の進捗を報告していた。

 

 「そうか、サウザーお前も支度を調えろ、厄介な特戦隊がいては…お前とて無傷では済むまい。」

 「お気遣いありがとうございます。しかし、今やギニューも…私の敵ではありません。…奴のボディチェンジも…タネが分かれば大した脅威でもーーー」

 「愚か者が。」

 

 彼の長い尻尾がサウザーの横っ面を引っ叩く。

 目元のスカウターが吹き飛んで、床の上でクルクルと回転しながら隅にまで滑っていく。

 

 「その油断が命取りになるのだ。特戦隊には超能力を使う奴もいる。奴に動きを止められれば、貴様はあっさりその体を奪われることになるぞ?」

 「も、申し訳ありません。」

 

 口角から滴り落ちる血液を拭い、彼は深々と頭を下げた。

 こうして叱責をしている最中だと言うのに、クウラは彼に背中を向けたままである。

 相変わらず手厳しい方だと彼は心の中で笑った。

 自他共に厳格を求める最強の男、ソレが彼のボス、クウラなのだ。

 

 「…クウラ様。一つお聞きしても?」

 「なんだ。」

 「なぜ、今になってフリーザ様の領地へ?」

 「サウザーよ。」

 

 ここに来て、ようやくクウラは自身の乗るマシーンを操作して側近であるサウザーへと向き合った。

 

 「この俺が、領地支配に理由をつけたことなどあったか?」

 

 つまり、弟が目障りに感じたから始末しに行く。

 まるで近くに買い物にでも行くかのような気軽さである。

 

 「…失礼しました。しかし、良いのですか?フリーザ様とは不可侵の盟約を結ばれていたはずでは。」

 「既にこうして俺は奴の領地に入った。奴も喜んで俺を攻撃するだろうさ。それに…」

 

 クウラは一呼吸置いて、苦虫を噛んだ様に顔を顰める。

 まるで思い出したくもないことを語るかのように。

 

 「奴は不老不死を求めてここに来ているのだろう?」

 「おっしゃる通りです。…確かにフリーザ様がそうなる前に、始末されると言うことですね。」

 

 流石のクウラも、不老不死の相手を殺すことはできない。

 そうなっては事実上この宇宙はフリーザのモノになったに等しい。

 これを阻止する為に、彼が父からの不興というリスクを踏んでまで弟へ宣戦布告したとならば納得がいく。

 

 「何か勘違いをしているなサウザー。奴が不老不死であろうがなかろうが…俺には関係ない、どうせ奴の力ではこの俺には勝てん。」

 「…と、言いますと?」

 

 ーーーぎり…!

 普段は冷静沈着、感情を表に出すことなど滅多にないボスが歯軋りするほどにその表情を歪めた。

 溢れ出るその威圧感に、側近のサウザーですら溢れ出る冷や汗を止められない。

 

 「我ら栄光の血を引く一族が…不老不死だと…?そんな軟弱な思想を持つ存在など…我が一族には必要ない…!」

 

 その威圧感に宇宙船が軋みを上げ始める。

 仮にここで宇宙船が破壊された場合、クウラはともかく、サウザー達は生き残れない。

 ボスの怒りが治らなければ死ぬのみ、彼は数分後の死を覚悟して瞳を伏せた。

 

 ふと、歪めた顔を緩め…クウラは宇宙船の壁が破壊される前に、その怒りを漸く抑え込んだ。

 

 「…つまらぬ所を見せたな、許せサウザー。」

 「いえ、とんでもございません。クウラ様のその気高いお心…感服するばかりです。」

 

 死ぬ時は死ぬ。ソレがクウラの思想だ。

 死とは敗北であり、敗北とは己の弱さが原因である。

 ソレすら克服しようとせず、願い事でそのリスクを取っ払うなど、武人肌であるクウラには到底容認できないことだった。

 

 己のプライド一つ守れない存在が身内にいることなど堪えられない。

 ましてやそんな奴が自身とこの宇宙で覇を争うなど、ソレこそ己のプライドに泥を塗られたも同然なのだ。

 

 弱肉強食、それがこの世界の絶対の掟である。

 強いモノが全てを手に入れ、弱いモノは全てを奪われる。

 ソレこそが強者の特権。

 自分の身すら守れない存在など、彼の部下に必要ない。

 そんな思想だからこそ、クウラの部下はこの機甲戦隊だけであり、その力は特戦隊を大きく超えているのだ。

 

 「しかし、ドラゴンボールですか…本当にそんなモノがあるのでしょうか。」

 「興味ないな、無事奴を始末できたなら、お前たちにくれてやる。」

 「…ありがとうございます。」

 

 とはいえ、自身にも叶えたい願いはない。

 クウラの下で己が力を極め、星々を制服していく。

 強いて言うのなら、自身が死に絶えるまで…この最盛のパワーで彼の役に立てればよい。

 そう考えれば…永遠の若さなどもらってもいいのかもしれない。

 

 「…そろそろナメック星に到着します。私は支度をしますのでこれで。」

 

 ソレに応えるように頷きながら再びを背を向けるクウラにサウザーは一礼して彼の部屋から退出した。

 

 フリーザ軍、クウラ、地球人、ベジータ

 4つ巴の戦いがナメック星にて行われようとしていた。





 クウラ様の思想についての異論は認めます。
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