ドラゴンボールAT   作:澄ましたガール大好きおじさん

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 閲覧ありがとうございます!

 悲鳴の書き方が難しかったので初投稿です。


其之七 クリリンの秘策!

 

 シャオランが控え会場で過去を思い返している間に第二試合はあっさり決着した。勝者は…いうまでも無くジャッキーである。

 続いて第二試合、餃子 vs クリリン。

 いうまでも無く、シャオランが2回戦進出で戦う可能性のある二人、試合を見ないわけには行かない。

 先ほどと同じ場所にいる天津飯の元へ戻る。彼は餃子の勝利を確信している様だが、シャオランは違った。

 

 「さて、お手並み拝見だな。」

 「……。」

 「どうしたシャオ。」

 「別に。」

 

 ーーー彼より格下のヤムチャが、あれほどの強さを隠していた。だとしたら…

 

 あのクリリンという少年は侮れない。

 それが彼女の率直な感想だった。

 最大のアドバンテージである″舞空術″を最大に利用すれば場外はありえない。むしろ、相手の間合いに入ることなく一方的に攻撃すら出来る。

 だというのに、ヤムチャという男は天津飯にあそこまで食い下がった。

 クリリンの底力はあれ以上と思って良いだろう。

 

 「心配するなシャオ、餃子は強い。」

 「だといいけど。」

 

 ーーー試合開始!!

 

 晴れ模様にアナウンサーの開始の声とドラの音が反響する。

 両者動かない。

 餃子は表情の読みにくいタイプだ、故にクリリンも出方がわからず踏み込まずにいる。最悪迎え撃てばいいと思っていそうだ。

 

 ーーー馬鹿ね、こちらには舞空術があるのよ。

 

 シャオランが哀れな対戦相手の姿勢にほくそ笑む。

 正にその時、餃子の身体が直立姿勢のまま数cm浮き上がった。

 舞空術はただ空を飛ぶだけではない。それをクリリンは思い知ることになる。

 

 「!」

 「ぐあ!?」

 

 餃子の身体が動いた。ゼロからの最高速への急加速。

 気を感じる事ができないクリリンにとって、その動きは出鱈目にすぎる。

 面食らう間に彼の顔面に拳が打ち込まれ続け様に顎を撃ち抜く。

 浮き上がった彼を上空に蹴り飛ばす。更に追撃にと空を舞って彼の頭上から拳を叩き落とす。

 

 「!?」

 「へへ、そう何発も喰らうかってんだ!」

 

 撃ち落とされたフィニッシュをなんとか受け止めて着地。

 しかし、それは決着を先延ばしにしたにすぎない。

 餃子のこの動きを攻略しない限り彼に勝ち目はないのだ。

 しかし、シャオランの解釈は違った。

 

 「アレを防ぐんだ…。」

 「あの程度で驚いてどうする。」

 「じゃあ天はできる?()()()()()()()()空中でダメージをリカバリしながら追撃を防御する。…私にはちょっと無理かな。」

 「……。」

 「あんまり油断してると、足元掬われるよ。」

 

 自在に空を舞えるというのはそれだけで莫大なアドバンテージだ。

 だというのに、クリリンは互角に渡り合っている。

 転じて、舞空術を攻略されれば餃子に勝ち目はないということになる。

 

 ーーー確かに、奴らの考えを改める必要があるな。

 

 舞空術は彼らにとって前提の技。

 鶴仙流の仙士がこれほどの舞台に立っていながら奥義を使えないのと同義である。

 故に、それを常識にして戦力分析をするのは必然だが、そこがつけ入られる隙となるのをシャオランは知っている。

 

 ーーー鶴の弟子とは思えん実直さじゃ…。

 

 彼らの話に聞き耳を立てていたジャッキーは、彼女の思想はどちらかと言えば亀仙流に近いと感じていた。

 武とは相手を倒すためでなく、己を磨く為にある。

 己ならば、どう対処したか?

 この発想は、己を知ろうとしなければ出てこない。

 

 ーーー鶴の奴には勿体無い弟子じゃ…独学でたどり着いたのか、それとも…。

 

 そんな彼の思考を他所に今度はクリリンが攻めに転じた。

 その攻撃は実に堅実。攻撃を受けた死角目掛けて的確に拳を、脚を繰り出していく。確実に場外へ追い詰められていく。しかし、餃子はたまらず舞空術で空へと逃亡した。

 遙か高く…武道会の建物よりも高い位置。

 彼らならジャンプで追いかけることもできるが、行き着く先は武舞台の外、場外。

 

 ーーーさぁ見せてみなさい亀仙流、これにどう戦うのか…。

 

 小籠包の口角が釣り上がる。

 先ほどまでは単なる移動術、しかし今度は…確実に手の届かない位置に敵が逃げた。並の武術家ならこれだけで詰みである。

 

 ーーーあのヤムチャが天兄に見せた底力…亀仙流の強さが逆境にあるというのなら、貴方も何か隠し球があるはずよ…。

 

 敵からの期待に応えたのか、或いはただの思いつきか、クリリンは″かめはめ波″を見よう見まねで再現する。

 さて、そんな無防備な彼を放っておく餃子ではない。

 

 「どどん波!」

 

 空中からの容赦ない爆撃。持ち前のすばしっこさで回避するも、今度はクリリンが再び防戦一方な形。埒があかないと餃子は方針を切り替える。撃ち抜くのではなく、回避不能な程の威力を構え、その余波で場外へと飛ばす算段を立てる。

 

 幸い、敵は攻撃できない。一方的に自分が蹂躙する立場にある以上、力を溜める時間はたっぷりある。

 

 ーーーヴン…!

 

 巨大なエネルギーが餃子の指先に溜め込まれていく。

 しかし…それを待っていたと言わんばかりにクリリンも構えを取った。

 まさかの付け焼き刃のにわかかめはめ波でどどん波に挑もうとする彼に、ジャッキーは悲鳴をあげる。

 

 「よせ!クリリン!見様見真似のかめはめ波ではどどん波には勝てん!!殺されるぞ!!!」

 

 その声にクリリンは口角を釣り上げる。

 

 ーーー分かってますよ、まともに撃ち合う気なんて…ありませんから…!

 

 餃子の指先に溜め込まれるエネルギーが臨界点を迎える。

 どどん波に更なるエネルギーを注いだスーパーどどん波とでもいうべきか。

 

 ーーーどどん………

 

 クリリンは冷や汗が噴き出るのを感じる。狙いは敵が指先からエネルギーを放った直後、着弾までの僅かな時間。

 一歩タイミングを誤れば狙い撃ちされ、あのエネルギーに焼き尽くされ死ぬだろう。だからこそ、やる価値がある!

 必殺の一撃を放ったその僅かな硬直を狙い打つ。

 

 ーーー波!!!

 ーーーいまだ…!!

 

 着弾の直前1秒未満の僅かな時間をクリリンは掴み取った。

 爆光と爆風に紛れて小柄な体躯が餃子の懐へ潜り込む。

 

 ーーー波ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

 大技の反動で防御も間に合わない彼の体をかめはめ波が場外へ押し流す。勝負あり…とはならない。

 すんでのところで舞空術で場外を回避した彼はヨタヨタと飛びながら漸く武舞台へと戻っていく。

 

 

 「……はぁ、はぁ…くぅ…怒った…本気……出す……!」

 

 帽子を外す。それは…彼がなりふり構わず全てを曝け出す事を意味する。

 

 「この勝負決まったな。」

 「そうだね。かめはめ波への対策を考えないとね。」

 「何を言っている。」

 「餃子は負けるよ、このままだと。」

 「な…!?」

 「あそこまでダメージを負って今更本気?もっと早くそうするべきだった。」

 

 改めて武舞台の様子を見る。向かい合う二人は実に対照的、大きなダメージを負った餃子と、少しばかりの消耗をしたクリリン。

 少し本気になった所で…或いはその本気を出せるかも危ういかもしれない。

 

 「だが、あいつには超能力がある。」

 「それを攻略されたら、いよいよ餃子の負けは見えてくるよ。」

 

 餃子の反撃が始まった。

 持ち前の石頭…ダイアモンドと同等とまで評される硬さの頭突き。

 しかし、なまじ彼の攻撃範囲に届く距離にいる、幾ら攻撃力があろうとも…クリリンの技の前に餃子は徐々に追い詰められていく。

 

 最後には…回転頭突きを受け止められた挙句、渾身のボディブローが餃子の腹に突き刺さった。

 

 そのトドメと言わんばかりに飛び出したクリリン。

 誰よりも勝利を確信したクリリンの腹に巻き起こる激痛。

 

 「ぐ…ァ…急に…腹が…!!」

 

 最後の隠し球…超能力が遂に晒される。

 完全に形勢逆転。

 戦いの最中に腹を抱えて蹲るなど、叩きのめしてくれと言っている様なモノ。

 餃子は容赦なく、クリリンの頭を蹴る。

 蹴る、蹴る、蹴る。蹴飛ばす。

 先ほどの攻撃へのお返しだと言わんばかりに彼を徹底的に甚振る。

 

 「ふ、終わったな。あれなら餃子の勝ちはゆるぎない。」

 「…餃子、早くトドメを!」

 ーーーまあ待てシャオラン。

 ーーー鶴仙人様…?

 ーーーあんな小僧に餃子の術は破れん…!もう少しこのリンチを楽しませろ。…亀の奴が見ておらんのが残念だがな?

 

 ……悪趣味。

 仙人の悪い癖に、無言で返す。

 彼がそういうのなら餃子はこの行為を続けざるを得ない。

 しかしいつまでもこの術に翻弄されるほど、亀仙流も甘くはないことくらい、分かりそうなモノだ。

 

 ーーー貴方も、亀仙流相手には心を乱すんですね。

 

 男どもは何を考えているのかと、不思議に思う中クリリンの様子に変化が見られた。

 ただ苦しむだけの表情が変わる。何かを掴んだ様にも見えた。

 

 ーーーほら、言わんことじゃない。

 

 超能力も無敵ではない、発動条件が存在する。

 種と仕掛けがバレてしまえば、それは最早攻略可能な技。

 彼らはそういったモノを攻略することに長けている。

 そしてクリリンはその糸口を掴んだ様子。

 

 「3+4は!?」

 「え!?…えぇっと……?」

 「3+4だよ!?わかんねぇのか?バァカ!!!」

 「え?え?えっと…3…4…5…ーーー」

 

 咄嗟の計算、餃子は…頭があまり良くない。

 小学生レベルの算数…これを暗算で解くことができなかった。

 そして…これまでの彼の言動、行動から、クリリンはそれを予想して搦手に持ち込んだ。

 つい、いつも通り指で数を数える…その瞬間…彼の超能力は停止した。

 

 ーーーしめた!!!うおぉぉぉぉりゃぁぁ!!!

 「グゥゥゥゥぇぇぇ!?」

 

 再び、ボディブローが…同じ場所に突き刺さる。

 今度こそトドメを…!飛び出すクリリンにまたあの腹痛が襲いかかる。

 浅い呼吸を繰り返しながら、再び超能力。

 汚いぞとなけなしの罵りで返されても此方は鶴仙流、勝てば良かろうの精神、心に響くことなどない。

 

 「良くもやったな…!お返しだ!!27+36!!」

 「63!!!!」

 「え!?」

 

 餃子の手が再び止まる。あまりの光景に小籠包は顔を覆いたくなる。

 

 ーーー何やってんのよ…!そんなのが通じるのは貴方くらいよ…!

 

 「9-1!!!」

 「え!?えーっと……」

 「はぁぁぁぁ!!!!」

 「くぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 超能力が止まったたった1秒。それだけで十分。

 超加速したクリリンの身体があっという間に接近し…小狡い超能力者を殴り飛ばす。蓄積したダメージ、計算に夢中な意識の外からの攻撃、何が起きているのか理解する前に、彼の身体は場外の壁に激突した。

 

 「場外!!クリリン選手の勝ちぃ!!!」

 

 アナウンサーの宣言に会場が再び盛り上がる。

 その喧騒の中、天津飯と小籠包は微かに頬を赤らめながらため息をついた。

 

 「天兄…」

 「言うな、分かっている。」

 

 餃子にはもう少し一般教養も学ばせよう。そう心に固く誓った二人であった。

 

 

 

 

 





 近年のドラゴンボールの影響で、かめはめ波イコール決め技みたいな印象が強かったのですが、この頃はかませ技みたいになってるんですね。
 攻撃より移動手段に使われてて、先生の発想に脱帽してます。
 そういえば、ピッコロ倒した龍拳もかめはめ波を推進力にしてましたね。そう考えると、やはり特別な技なのかもしれません。

 次回は拡大版スペシャル(?)2話同時掲載です!
 (膨らみに膨らんで二話分になっただけ)

 閲覧ありがとうございます!感想などくれたら嬉しいです!
 ではまた!

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