ドラゴンボールAT   作:澄ましたガール大好きおじさん

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 そろそろクリリンにも活躍の場を与えたいので初投稿です。


其之七十六 修行の成果を見せろ!vsパープルコメット! 後半

 

 「はッ…はッ…!」

 

 浅い呼吸を繰り返しクリリンは何とか体力を維持していた。

 戦いの当初、クリリンは完全にジースをあしらっていた。

 力任せの攻撃、威力が高いだけの気功波、そのどれもがクリリンの技のレベルを下回っていた。

 

 だがしかし、バータと時同じくして、一度はダウンしたジースが立ち上がった途端、状況は一変した。

 

 急激に敵の気が大きく膨れ上がったのだ。

 元々醜悪な気配を漂わせていた彼らだったが、どす黒さを更に増した恐ろしい気配をその身に宿したのだ。

 

 圧倒的なパワーでジースはクリリンの技を押し潰していく。

 

 「ったく、どんだけインチキなんだよお前ら宇宙人は…!」

 「俺たちはエリートだ!貴様みたいな田舎者に負けてたまるかよ!」

 

 視界の端ではヤムチャが一方的にやられている。

 思わず悲鳴のごとく彼の名を叫んでしまったが、恐らく届いてはいないだろう。

 

 「人の心配をしている場合かよ!」

 

 真っ赤な気功波…クラッシャーボールがさながら球技のサーブのごとく打ち出される。

 故郷のスポーツで培った技から着想を得たそれは地球でいうところのバレーボールに近い動きだ。

 ただのサーブと侮るなかれ、撃たれるのはボールではなく凶悪な気功波の塊なのだ。まともに受けてはひとたまりもない。

 

 「ぐゥぉわぁ!?」

 

 なんとか防御を固めてコレを受け止める。

 直前に全身から気を発する事で辛うじて相殺は間に合ったものの、急場凌ぎの技では敵の必殺技を完全には受け止めきれず、予想だにしないダメージを負うことになる。

 

 「このやろう…お返しだ…!」

 

 片腕を高々と上げて気を集中させる。

 ヴゥン…と重々しい回転音の様な音が響きわたり、掌に大きな円盤形の気功波…【気円斬】を生成する。

 

 「は!!」

 

 横投げで飛び出したそれはまっすぐジース目掛けて飛来する。

 しかし、相手はフリーザ軍の精鋭、自他共に認めるエリート隊員の一員、そんな戦士がその技の本質を見極められないはずもない。

 

 「わかりやすいな!はァ!!」

 

 ヴォン!と凶悪な音を響かせながら迫る斬撃の塊を軽々と避けながらその後ろに大技を出した直後、隙だらけの術者目掛けてカウンターに迫る。

 

 「…太陽拳!!」

 「ぐぅお!?」

 

 今まさに拳をつるりとした頭部目掛けて叩き落とそうとしたその瞬間。

 彼の頭部から気の塊が閃光となって迸った。*1

 

 完全なる不意打ち、初見殺し、元から彼は気円斬を当てるつまりなど毛頭なかったのだ。

 全ては太陽拳により彼から視覚を奪う為の布石。

 気の探知をスカウターに頼る彼らにとって視覚を奪われることは音以外の全ての情報をシャットアウトされたも同然。

 

 「目…目、ガァ…!」

 「今度はこっちの番だ!!」

 

 目を抑えるジースの腹部目掛けて容赦ない飛び蹴りを沈み込ませる。

 吹き飛ぶ彼の背後へと超高速で移動して、上空目掛けて蹴り飛ばす!

 そして更に頭上へと先回りして両手で鋼鉄の様な拳を作り込み、彼の顔面目掛けて思いっきり叩きつけた!

 

 スカウターの液晶がキラキラと散らばりながら超高速でジースは地面目掛けて叩きつけられる。

 

 ーーーかめはめ波!!!

 

 そこに目掛けて容赦の無い追撃。

 地面に倒れ伏したジースに超特大のかめはめ波が撃ち込まれる!

 

 凄まじい爆音と爆煙、つぶてが飛散する中クリリンはゆっくりと地面に着地した。

 しかし…煙の中から立ち昇る強烈な気配。

 

 ーーーコレでもまだ倒せないっていうのか!?

 

 爆煙の中から現れたのはボディアーマーをボロボロにされインナーが所々剥き出しになったジースの姿。

 

 「チビめ…!調子に乗るなよ…!!」

 「ヤムチャさんの様には、行かないな…!」

 

 戦いの中、進化を遂げた兄弟弟子の気配を感じながらクリリンは自嘲気味に笑う。

 なんとなく、己の中の何かが変わりつつあるのを感じるが、この凶悪な敵相手にはまだまだ通じない。

 

 「お返しさせてもらうぜ!」

 「!!」

 

 ジースの姿が消える。並の戦士であればこの超スピードに度肝を抜かれ見失うのだろうが、相手は地球人切っての気の名手。

 すぐさま背後に立ち昇る凶悪な気配を察知し、自身の首筋を狙う手刀を確認することもなく、片腕を構えてコレを受け止めた。

 

 「な…!」

 「ッ〜〜…不意打ちするなら…もっと気を抑えるんだな!」

 「ぐぁ!」

 

 背後目掛けて思いっきり頭突きをその鼻っ面に叩きつける。

 不意打ちのつまりがカウンターにより不覚を取ったジースはその痛みに意識をクリリンから外してしまう。

 

 「てりゃぁぁ!」

 「がふ…!?」

 

 手刀を受けた腕とは逆の腕を用いて、その顎先に強烈なストレートを横から叩きつける。

 少しでも衝撃を緩和する為にジースはその勢いに任せるままに身体を預けたが、勢い余って地面に叩きつけられる。

 

 ーーーな、なんて威力だ…コレじゃ、片腕が使い物にならない。

 

 びり、びり…と先ほど手刀を受けた右腕を押さえる。

 完全にガードが決まった筈なのに、ジースの打撃はその防御を貫通したのだ。

 コレではしばらく片腕は使えそうにない。

 多彩な技の多くがコレで封じられてしまった。

 

 「はっはー!情けねえな!このままナブリ殺してやるぜ!」

 「そう簡単にやられるかよ!」

 

 さて、啖呵を切ったはいいものの状況は絶望的、不幸中の幸いなのが、コレを気に一気にトドメを刺そうとしない彼の傲慢な態度か。

 

 ーーー…奴を倒すには、もう気円斬しかない。

 

 この技は文字通り一撃必殺。

 当たれば容赦なく対象を切断する。

 出来ればこの技は牽制で終わらせたかった。

 

 ーーー…武天老師様、すみません。コレは殺しを意識せねばなりません。

 

 「へっ、漸くその気になりやがったか、しかし少しばかり遅いぜ。もうお前の利き腕は潰した。さっきの技は見事だったが、俺様相手には通用しないこともわかったしなぁ!」

 

 ペラペラと調子にのって舌を回すジースをよそにクリリンは思考を回す。

 格上と戦うのは今回が初めてではない。

 自分はいつだって、同格、あるいはそれ以上の敵と相対してきたのだ。

 今のジースだって気のデカさで言えば、精々自分の1.5倍…

 この力の差でクリリンは強く意識した。

 第23回天下一武道会の準決勝の戦いを。

 

 そう、目の前の相手は…かつての孫悟空と同じなのだ。

 

 ーーー随分先に行かれたまったな、悟空。

 

 そう思うと、彼の中で萎えかけた闘志がメラメラと燃え上がってくる。

 今度は負けないぞ。

 そんな意識が、彼の口角を自然と吊り上げる。

 

 「余りにも絶望的な状況におかしくなっちまったかぁ?」

 「ああ、俺も悟空みたいな戦闘バカになっちまったのかもしれないな。」

 「ゴクウ?わけのわからん事を…そろそろ殺してやるぞ!」

 「やってみろ!」

 

 死に損ないの地球人の挑発に迂闊にもマグマが飛び出す。

 片腕を無様に垂らしながら左腕だけで身構えたチビ目掛けてジースの渾身の蹴りが炸裂する…ーーー

 ことはなかった。

 

 「な…!?」

 「こっちだ!」

 

 そこにあった筈の地球人の姿は掻き消えると同時に後頭部に走る強烈な痛み。

 しかしダメージは浅い、そのまま体を半回転させると共に力任せの大振りな回し蹴りが蹴りを放った直後に晒した隙目掛けて襲い掛かる。

 

 しかし、コレも空振り。

 まるで蜃気楼相手でも戦っているかの様に、クリリンの体は彼の蹴りによって煙の様に消滅する。

 

 「なにィ!?」

 「波ァ!!」

 「が、は…!?」

 

 またも背中に響く衝撃。

 決して弱くない気功波の直撃を浴びて、呼吸のリズムを完全に狂わされる。

 強制的に吐き出された酸素を強引に飲み込みエネルギーの発射元へ落下しながら踵落としをお見舞いするが、これもはずれ。

 返ってきたのは地面を割砕く衝撃のみ。

 

 「とりゃぁ!」

 「ぐあ!?」

 

 無防備な頬目掛けて拳が食い込む。

 彼らが相手の気を読む戦士だったのならこの不意打ちは通らなかっただろう。

 多重残像拳からのカウンター、落ちたパワーを最大限に活かして敵の無防備を攻撃するクリリンの技が、ジース少しずつ、しかして確実に追い詰めていった。

 

 ジースは困惑する。

 あり得ない、今の自分は確実に相手のパワーを上回っているはず。

 しかしこのダメージはなんだ?

 格下のヘボ攻撃に何故自分がコレほどまでのダメージを…!?

 

 ジースは知らない。

 目の前の男が彼の出会ったことのない戦士、【武道家】であることを。

 武道とは、弱者が身を守る為の手段である。

 より効率よく人体を破壊するにはどうすれば良いのかを突き詰める。

 究極の武とは破壊なのだ。そこに腕力の差は関係ない。

 

 今ジースが相手をしているのは武において地球人の中でも指折りの超達人なのだ。

 その攻撃を目論見通り受けていれば、そのダメージは決して無視できないモノ。

 

 四度目の残像拳。

 その鼻のない顔面のど真ん中をぶち抜くストレートが空振りに終わり…幻影の向こうから現れたクリリンの飛び蹴りが、彼の鳩尾に深々と刺さった所で、漸くジースは自体を理解した。

 

 ーーーこ、こいつ…闘いの中で、進化してやがる…!

 

 そう、クリリンもまた、最長老の手助けによってひび割れた己の殻を破りつつあったのだ。

 快調にカウンターでリズムを決め続けることで、片腕を封じられて尚、その動きのキレを増していく。

 

 ーーーふざけるな、俺たちは王者だ…!!

 

 ヴン…!と彼の禍々しいオーラがより一層濃く、深くなっていく。

 

 「吹き飛びやがれぇぇぇ!!」

 

 ジースを中心に巻き起こる超巨大な爆発。

 周囲の全てを塵にする極大の暴力!

 彼の中心から草木は愚か…岩壁に至るすべてまで地面を更地にするほどの巨大な爆発波。

 コレなら残像ごとコソコソと隠れている本体ごと吹き飛ばせる。

 

 ーーー界王拳!!!

 「!?」

 

 どこからか響く相手の声。

 バカな今の爆発は己のパワーの最大限を放出した最高の威力だった筈だ。

 生き残れるはずがない…!

 

 「悟空に比べたら、お前なんかなんともないぜ!!」

 

 勝利を確信した武道家の言葉、それはジースの真上上空からであった。

 

 「かめはめ…波ァァァァァ!!!」

 

 片腕を封じられたことで落ちた威力を、悟空から教わった切り札…界王拳を使って底上げする。

 更に自分の限界を超えた出力を全片腕に集中する超かめはめ波!

 

 先のラッシュからのかめはめ波とは比べ物にならない気功波がまるで隕石のごとくジースの頭上から迫る!

 

 「ば…バカな…!」

 

 悲鳴をあげる暇もなく、宇宙の神と武の神が生み出した偉大な技の合わせ技によって容赦なくKOされた。

 空中から片手で構えた奥義の姿勢のまま、暫しその様子を眺めた後…

 紅蓮のオーラはごくあっさりと霧散し、そのまま地面へと自由落下し、どしゃり、と地面に仰向けで激突した。

 

 「…ったく、悟空のやつ…何が3倍なら楽勝だ。死ぬかと思ったぜ。」

 

 全身の筋肉という筋肉が悲鳴をあげている。

 もう指先一本動かせそうにない。

 コレを20倍まで扱えるかつてのライバルであり親友でもある最強の男に対し、大いなる尊敬と、少しばかりの嫉妬を覚えるクリリンであった。

*1
決して、頭部の反射を増幅させたわけではない。





 戦闘力更新
 
 クリリン
 基本最大 5万6千
 文字通り、技でも力でもジースを上回る地球人最強。
 当初は5万ちょいのジースを完全に圧倒していた。

 ジース(凶悪化)
 基本最大 5万3千=>8万
 しかしバータ同様、彼も謎の波動により突如戦闘力を肥大化。
 戦局が一気に覆る。


 この力の差…しかも片腕まで失ったクリリンの状況は絶望的かと思われた。
 クリリン
 基本最大:5万6千=>2万1千
 片腕を負傷し、大きく気を落とす。しかし、逆にその戦闘力の差が開かれた親友との間の実力差を彷彿とさせ、クリリンの闘志に火をつけた。

 基本最大 2万1千=>3万
 スカウターを破壊し、目で追うことしかできなくなったジースに対してクリリンは残像拳でくらいつく。
 そのカウンターにより彼は徐々に己の殻を破っていく。

 基本最大 3万=>4万2千
 最長老から与えられた「キッカケ」を見事モノにしたが、負傷により大きく堕ちた戦闘力は戻らない。
 しかし、彼には最後の切り札があった

 界王拳 3倍 4万2千=>12万6千
 悟空から伝授された界王拳のお披露目。
 片腕の超かめはめ波に加えて己の残された全ての気を全放出する界王拳!
 しかし、流石にサイヤ人程の頑丈さのない彼にはこの倍率でもかなり堪えたようだ。


 
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