ドラゴンボールAT 作:澄ましたガール大好きおじさん
あけましておめでとう御座います。年内投稿できずに申し訳ないので初投稿です。
ギニューとターレスの戦いは殆どワンサイドゲームだった。
それもそのハズ、すでにターレスの最高値はフリーザの第二形態にも及ぶ恐ろしいパワーなのだ。
第一形態に及ばないギニューは彼の遊び相手にもならない。
「き、貴様…本気でやっていないな?」
「くく、当然だ。俺は玩具をあっさり壊す様な馬鹿じゃない。」
遠回しにお前では遊び相手にもならないと宣言された様なもの。
特戦隊の隊長として、フリーザ軍最強の戦士の名を戴く者として、彼のこの態度は最悪の侮辱行為だ。
これは自分を貶されての怒りではない。
自分を強者と認める主人の慧眼に唾を吐く行為。
だからこそギニューは怒りを顕にする。
「貴様、生かして返さんぞ…!」
「ほう、どうするというのかな?」
スカウターの戦闘力は既に20万近い数値を叩き出している。
それだけでも驚異的な数値だ。
しかも、しかもだ。
ターレスはまだまだ底を見せていない。
この強さが20万と言うのなら、少なく見積もっても彼の主人に匹敵するほどのパワーを相手は秘めているはずとギニューは予測する。
ーーーくくく、これほどのパワーがあれば、より一層フリーザ様のお役に立てるだろう…!
彼にはごくわずかな信用ある人間にのみ教えている奥の手がある。
ボディチェンジ
相手と自分の体を入れ替えるという、これまた埒外な能力を持っているのだ。
しかもこれは、ギニュー自身の特殊能力であり
彼の身体を使ったとてこれを再現できるものではない。
一度くらえば彼の意思で返さない限り、二度と元の肉体には戻れないという最悪の奥義である。
今目の前にいる男から全てのパワーを引き出した上でボディチェンジをすれば…あの究極とも言える肉体をこの手にすることができる…!
怒りと焦燥感を仮面として貼り付けながら彼は内心ほくそ笑む。
せいぜい油断をしていろサイヤ人。
「どうした、来ないのか?来ないのならこっちから行くぜ…!」
腕を組んだままのターレスが動く。
…疾い、今の状態ですらギニューの目では彼を追うことはできない。
どこだ…!と周囲に気を配るその瞬間にはターレスの拳がギニューの腹を打っていた。
「がは…!?」
無視できないダメージが肉体を襲い、口から体液を撒き散らす。
たった一発のパンチでこれほどのダメージ、長く戦っていればなす術なく押しつぶされるだろう。
その前に彼はたっぷりと自分を痛めつけるつもりなのだ。
しかし、これは彼にとって都合がいい。
ーーーもっと痛めつけろ…最期にこの体を使うのは貴様なのだからな…!
「そらそら、この俺を殺すのではなかったのか?」
半分の力も出さず、ギニューを足蹴にする。
崩れ落ちた彼の頭に肘を叩きつけて、地面へと転がしその後頭部を踏みつける。
「跪いて命乞いをすれば、楽に死なせてやるぞ?」
かつては逃げることしかできなかった特戦隊の隊長を一方的に蹂躙する快楽に酔いしれる。
「ほらどうしたァ?隊長殿ォ?もっと俺を楽しませろ…!」
ぐりり…と敢えてギニューでも弾き返せる程の膂力で踏みつける。
どう!
とギニューの全身からオーラが噴き出て、彼の体を吹き飛ばす。
いや、敢えてその威力に乗っかって彼の上から退いてやった、が正しい。
「いいだろう、このギニュー様のフルパワーをお前に見せてやる。」
その噴き出るオーラも彼にとっては失笑モノ。
全く心躍らない。小動物がこちらを威嚇をしているのを見ている気分だ。
「この俺に一発でも見舞わせてみろ、たかが下級戦士相手にこの様じゃ、特戦隊の隊長の名が泣くぜ?」
ドーピングにより得た力でイキリ散らす彼も彼だが、
そもそも相手が他者の体を乗っ取り力を誇示するタイプなので同類である。
「とぉぉりゃぁぁ!!」
猛々しいギニューの咆哮。
同時に猛烈なラッシュがターレスを襲う。
しかしそのどれもがターレスを害するレベルではない。
本来避ける程のことでもない。
しかし、敢えて避け切ることでギニューの戦意を決定的に削ぎ落とし、完膚なきまでに蹂躙するのがターレスのやり方である。
しかし、それも数秒付き合えば飽きてくる。
無理もない、つい先日、小籠包という最高の玩具で遊んだ後では、ギニューは余りにも役不足なのだ。
「遅い。」
「ぐぁぁ!?」
退屈によるフラストレーションからつい拳が出てしまう。
軽くこづく程度の威力だが、それでも無防備な鼻っ面に見舞われればそれなりのダメージを受ける。
激痛に鼻先を押さえながら悶絶するギニューを見下ろして冷ややかに笑う。
「ふん、無様だな。これがフリーザ軍最強の男か…?アイツの方がよっぽど楽しめるぜ。」
ターレスは知らない。既に目の前の男の術中にまんまと嵌められていることに。
「ふ、ふふ…良いのか?そんなことで…思わぬ所で俺の必殺技が貴様を殺すかも知れんぞ?」
「それは面白い、やってみろ。貴様程度の戦闘力が俺を殺すことなど有り得ん。」
「ふ、ならば受けてみるがいい我が必殺技をな!!」
とぉぉぉぉぉぉぉ!!!
雄々しい叫びをあげながらその場で飛び上がる。
その巨躯からは信じられないキレのある動きで何度も、何度もその場でポーズを決めていく。
他の隊員が見れば、涙を流して喜ぶであろう、ギニュー謹製のスペシャルハイパーファイティングポーズである!
…が、悲しいかな、目の前の男はその雄々しさを全く理解しないサイヤ人であった。
「ギィニュゥー!…スゥぺシャルゥ…!!ファイティン…!!」
「気は済んだか?」
騒がしいダンスを見せつけられて退屈に欠伸すら出るターレスを前に、ギニューの気は一気に膨れ上がった。
「ふふふ…待たせたな、行くぞ…ミルキィィィィ…!キャノォォォォォン!!!」
膨れ上がったパワーを一気に右腕に集約させて放つ彼の超必殺技!
強烈な閃光と共に迫るその超強力な気功波を…
「くだらん…!カァァァ!!」
お遊びにとターレスは
これで、全ての条件は整った!
「今だ…!チェェェェェェンジ!!」
「ふん…!なんだその貧弱な技は、そんなモノ避ける迄もーーーー」
片腕だけで弾いてやると凪いだその瞬間、ターレスの意識は途絶えた。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「はーはっはっはっ!素晴らしい!素晴らしいパワーだ!このパワーさえあれば!更にフリーザ様のお役に立てる!!」
やかましい叫び声に頭が痛い。
そろそろこのうざったいハイテンションを相手にするのも飽きてきた。
何やら体が少々重いが、先ほどの技の影響か?
「ッ…!なんだ、…この、ダメージは…!」
それどころか身体中から激痛を感じる。
まるで全身を何かに打ちつけた様な酷い打撲だ。
「貴様…何をーーーー」
悪態をついたターレスの思考が止まる。
目の前には自分がいるのだ。
よく見慣れた自分の顔は清々しいほどのドヤ顔。
自分はこれほど腹のたつ顔ができたのか?
いいや、そんなことを言っている場合ではない。
「くくく、交換させて貰ったぞ、貴様と俺の体をな!」
「なん…だと…!」
自身の体をよく見渡す。
それは先ほどまで自分が痛めつけていたギニューの肉体だった。
「いいぞ、素晴らしい!この身体なら更に素晴らしいファイティングポーズも夢ではないぞ!!」
先ほど見るに堪えなかったダンスを自分の身体で何度も何度も行われ、ターレスはこれ以上ない屈辱を覚える。
「貴様…!この俺の体で無様な踊りはやめろぉぉ!!」
力任せに放つ気功波…しかし
「かぁぁぁぁあ!!!」
今度はそれをギニューが気合いだけで掻き消した。
「ち…!流石は俺の身体だ!こんな雑魚の肉体では太刀打ちできん!」
「
「ちぃ…!」
不幸中の幸いなのが、今彼の持ち物には神精樹の実を持ち合わせていないことだった。
もしこんな状態でギニューに実の存在を知られでもしたら本当に勝ち目がなくなる。
「さぁて、貴様で試させてもらおうか…この素晴らしい肉体のパワーをな…!」
「へ…!貴様ごときにこの俺の体を使いこなせるとは思えないね。」
「それはどうかな…かァァァァァ…!」
みし…みし…!と奪われたターレスの肉体が肥大化していく。
筋肉と気が大きく膨れ上がり…その瞳には邪悪な赤い光が宿っていた。
「どうだ、ターレスよ。俺様は貴様の力を完全に使いこなしているぞ?」
「…笑えねえ冗談だな。俺には貴様が力に支配されてるようにしか見えないぜ?」
しかし、ギニューのパワーは彼のフルパワーには程遠い。
精々が戦闘力30万程度のモノ。
それでもギニューが己が力を使いこなしていると勘違いするほどの高揚感は…その肉体に残された【凶悪化】にあった。
暗黒魔界の神精樹の実による精神汚染。
それが確実にギニューの精神を蝕んでいるのである。
「ふっ、よく回る減らず口だな。そんなに死にたいのなら第二ラウンド開始という行こうか。」
凶悪なオーラを纏いながらターレス目掛けて恐ろしい速さで突撃してきた。
「…!」
防御の姿勢を取る、今は少しでも時間を稼ぐほかない。
ターレスはまだこの体に慣れてはいない。
その戦闘力はせいぜいがベジータと同程度のモノだった。
「とぉぉぉぉぉぉ!!!」
「ぐ…ぅ!?」
真正面からの攻撃をなんとか受け止めるが、ガードの上からでも無視できないダメージが彼を襲う。
ただでさえこの体は先ほどターレス自身が徹底的に痛めつけていたのだ。
この状態では十全な戦闘など望めるはずもない。
ーーーこいつはやばい…やばすぎるな…!
生涯で最大のピンチ、まさか己自身に殺される日がこようとは夢にも思わない。
今の彼に勝てるのは、この場に置いて小籠包しかいない。
ーーー奴は…ちっ、もう少しばかりかかりそうだな。
彼女は彼女でグルドと睨み合ったまま。
それ以外のメンツも戦いは佳境と言ったところだが、手助けは見込めはしないだろう。
あまりに絶望的、最早彼の勝利は絶望的だろう。
しかし、彼はサイヤ人である。
己より強い奴に対し恐怖は抱かない。
ーーー…ふ、自分と殺し合うのも、悪くねえな…!
その口角には狂気的な笑みが張り付く。
サイヤ人の血がなくとも、彼の本質は血と戦闘を好む野蛮人なのだ。
ダメージを受けていようが関係ない、久しぶりの命がけの死闘、これで心踊らぬサイヤ人がいるはずがない!
「ほう、そんな体でまだそんな顔をするとはな…!体が変わってもやはりサイヤ人は野蛮な猿というわけか。」
「言ってろ、すぐにでもこの身体を使いこなして、俺の体ごと地獄へ送ってやるぜ…!」
その闘争心に身体が応えたのか、あるいはターレスの才覚がそうさせるのか、彼の戦闘力は一気に跳ね上がった。
その奮起に背後からそれを讃える声が響く。
「ふん、サイヤ人の端くれならそれくらいしてもらわんとな。」
ボディアーマーに多少の傷をつけられてはいるものの、大したダメージもないベジータがそこにいた。
「おや王子様、手を貸してくれるのかな?」
「勘違いするな、下級戦士とはいえ、誇り高いサイヤ人の肉体をあのような恥知らずに使わせたくない、それだけだ。」
つい先ほどまで彼はリクームと戦っていたはず、
それがここにいるということは、答えは一つしかない。
ターレスの身体をワナワナと震わせて、ギニューが声を張り上げた。
「な…!貴様ぁ!リクームはどうした。」
「さぁな、今頃は自分の肉片の数でも数えてるんだろうぜ?」
「おのれぇ…ベジータ…!リクームの仇!!構えろ!!」
凶悪な気配を更にいっそうどす黒く昂らせてギニューは叫ぶ。
怒りをトリガーに彼の肉体は更にパワーを増したようだ。
「アイツが来るまで精々死ぬなよ、王子様。」
「ちッ…大きなお世話だ。このベジータ様が足止め役になるとはな。」
味方の助けを待つというなんとも情けない状態にサイヤ人の王子のプライドが軋む。
しかし、これはまたとないチャンス。
リクームでは思ったダメージを得られなかった。
こいつ相手なら致命傷を上手く避けつつ戦い、大怪我を負える。
かなり危険な賭けだが、自分ならできる。
戦いの超天才である自分ならば確実にやり遂げられる。
そんな確信をもちながら、この強敵との戦いにその身を投げるのであった。
ギニュー
基本最大:13万
特戦隊隊長に相応しい戦闘力。フリーザすらも一目置いている強戦士だったが、今回は相手が悪すぎた。
ターレス
基本最大:95万
オリ主をボッコボコにしたドSサイヤ人ターレス。
その計り知れないパワーを持つ肉体に対してギニューは長年使う必要のなかった奥の手を切った。
ギニュー(ボディチェンジ):20万=>30万
サウザー曰く、今のギニューの肉体もボディチェンジで手に入れたモノだという。
100万を伺う強力な肉体を手にしたギニュー。
その身に残された凶悪化すらも使いこなしつつある。
ターレス(ボディチェンジ):5万=>10万
肉体を奪われるも、サイヤ人特有の狂った戦闘高揚で一気にその身に宿ったパワーを強引に引き出した。