ドラゴンボールAT   作:澄ましたガール大好きおじさん

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フリーザ様が強すぎてマジで困った困ったなのです。だから初投稿なのです。


其之八十三 フリーザの恐怖

 

 

 「め、参ぇった…オラじゃ相手にならねぇ…!」

 

 切り札である界王拳20倍すら通用しない悟空は途方にくれた。

 目の前の自分よりはるかに小柄な宇宙人。

 決して油断をしたわけではない。

 彼は生粋のサイヤ人だ。

 勝てそうにない相手にはどうしても腕試し感覚で挑んでしまうのである。

 

 結果は…冒頭の通り。

 

 「当たり前だ、たった一匹のアリが恐竜に勝てるわけないだろう?」

 

 傷一つどころか、彼に埃をつけることすらできない。

 柄にもなく悟空は後悔をした。

 先ほどの状態でケリをつけるべきだったと。

 重ねていうが、決して彼は油断をしたわけではない。

 己が持てる最高の技とパワーで相手を制圧しようと試みた。

 失敗の要因は武道家としてフリーザに挑んでしまった事である。

 小籠包の様に、純度100%の殺意で攻撃をしていたら、結果はまた違ったであろう。

 

 「さて、そろそろ君の攻撃を見るのも飽きてきたし、僕の番といこうかな?」

 「!?」

 

 身構える。

 未だフリーザは腕を組んだ構えですらない棒立ちの構えだ。

 全神経を研ぎ澄まし、その凶悪で強大な気ごと彼を見据える。防御に徹すれば時間くらいは稼げるはずだ…!

 そんな考えが甘っちょろいことを悟空は0.1秒後に痛感する。

 

 びーーー!

 

 きえた、そしてーーー

 

 「ぁガ!?」

 

 腹部に沈み込むあまりにも重い一撃。

 これまでのどんな攻撃よりも鋭くそして重たい拳だった。

 恐るべきはフリーザの秘めたるパワーである。

 全く力まずに、うすら笑いさえ浮かべながら無造作にただただ拳を突き出しただけなのだ。

 とてもじゃないがこれが全力とは思えない。

 なんなら手加減をされてもいるだろう。

 

 ……だというのにこのダメージだ。

 

 「ぐ…!」

 「今ので倒れないのは流石だね、僕に一撃浴びせただけはあるよ。」

 

 倒れるわけにはいかないと奥歯を噛み締める。

 それをうすら笑いを浮かべて見下ろす宇宙の帝王。

 あのターレスが止めただけはある。

 

 「ッ……!」

 

 再び全身に紅蓮の焔を纏い、恐竜相手に戦いを挑むアリ。

 紅の閃きは悟飯が瞬きをして居る間にフリーザの背後を奪う。

 

 ーーー速い…!流石お父さん…!

 

 そんな息子の感動を他所に、宇宙の帝王はあまりにも無慈悲だった。

 

 「またそれかい?もうそれは見飽きたよ。」

 

 まるで羽虫でも叩き落とすかの様な気楽さで背後に迫る悟空を見ることもなく裏拳を叩き込んで弾き飛ばす。

 弾き飛ばされた反動を利用し、そのまま楕円に軌道反転して今度はフリーザの横から殴りかかる。

 

 「飽きた、って言っただろ?」

 「が…ァ!」

 

 今度は大きな尻尾が悟空の脳天を叩き潰し、哀れにも地面に倒れ伏す地球最強戦士の一角。

 纏った焔はあっさりと弾け飛び、頭部への衝撃に意識が朦朧としてるのか、なかなか起き上がれない。

 

 「頑張った方だね、でも悲観することはないよ。僕にこの変身をさせたのは、パパと兄さんを除いて君が初めてだからね。」

 

 追撃はしない、腕を組んで優雅に笑って悟空を見下ろす余裕を見せつける。

 まさしく天と地、その比喩ですら足りない程の実力差。

 今自分は絶体絶命、敵に命を握られ狩られる直前だと言うのに…倒れ伏した悟空は静かに笑っていた。

 

 ーーーこんな、強ぇ奴がいるなんてな…!

 

 ゆらり、と悟空は立ち上がる。

 その顔に確かな笑みを浮かべながら。

 

 「恐怖のあまりおかしくなっちゃったのかな?それとも、まだ何か隠し技があるのかな?」

 「どっちでもねえさ、お前ェを見て思ったんだ…オラもまだまだ強くなれるってな…!」

 

 ぴき…!

 フリーザのこめかみに青筋が浮かぶ。

 たかがサイヤ人が自分を同列に語っているのだ。

 こんな屈辱的なことはない。

 

 「面白い冗談だね?勿論、笑えるという意味じゃないよ?とてもユニークな表現だ。…この…フリーザ様を、ここまでコケに出来るおバカさんが、この宇宙にいたなんてね…!」 

 

 少しばかりその気になってやる。

 オーラこそ噴き出さないがフリーザから発されるドス黒いパワーが膨れ上がるのを感じた。

 

 「ォ…ご…!?」

 

 しかしその瞬間…腹部に走る強烈な衝撃に悟空は地面がなくなるのを感じた。

 瞬きなどしていない、しっかり相手を視界に収めて防御を構えていたと言うのに…

 見えなかったどころか、()()()()()()()()()()()()

 

 倒れ伏した悟空に今度は追撃が入る。

 大きな三指の足がぐりり…!と後頭部をねじ伏せる。

 

 「が…ぁぁ…!」

 「本当にただ頭のおかしいバカな猿だったみたいだね。君を殺したら子供も同じところに送ってあげるよ。」

 「ぅァァァァ!?」

 

 べき!と大地がきしんで悟空の顔面が更に沈み込む。

 恐怖で足がすくみその様子を見ることしか出来ない悟飯だったが…ついに、その恐怖心を…怒りが上書きしようとしていた。

 

 「お、…お父さんから…離れろォ!!」

 「ご、悟飯…よせ…!」

 

 息子のパワーが大きく膨れ上がる。

 常人には目で追うことすら叶わない天才児の超ダッシュ。

 それでも宇宙の帝王相手にはあまりにも遅すぎた…。

 フリーザに挑むには彼は幼すぎる。

 

 「親子揃って哀れだね、勝てるわけがないってわからないのかな?」

 

 チラリと迫る小猿を確認する。

 姿勢を変えないまま、尻尾をぐらりと傾けて目障りな虫を払うかの様に振り払う…その先端が彼の小さな首をへし折ろうとしたその瞬間。

 

 ーーー界王拳…!!

 「!?」

 

 唐突に宇宙の帝王の身体が弾け飛ぶ。

 側頭部に走る強烈な衝撃に思わずバランスを崩し、衝撃を吸収しきれず遙か彼方へと吹き飛ばされた。

 何が、起きた…!?

 吹き飛ぶ最中、くるりと体を回転しながら地面を引っ叩き激突を免れて受け身を取る。

 自身を殴り飛ばした狼藉者の姿を確認しようと顔を上げたその時には…既にその姿は愚か…先ほどまで痛めつけていたサイヤ人の姿もそこにはなかったのだ。

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 死にかけの悟空と悟飯の首根っこを引っ掴んで強引に瞬間移動をした小籠包はセーフハウス前の地面にそのまま倒れ込んだ。

 

 「…小籠包!カカロット…!」

 

 誰よりも早くラディッツが倒れ伏す彼女へと駆け寄る。

 見たところ外傷はないと判断した彼は、すぐに死にかけの弟の手当へと移った。

 

 「…し、信じられん…フリーザさ…ふ、フリーザのや、野郎を相手に…生きて帰ってくるとはな…!」

 「お、おじさん…!早くお父さんに仙豆を!」

 「そ、そうだな。カカロット飲み込めるか…!?」

 

 辛うじて息のある悟空の中に小さな豆を流し込む。

 それを殆ど無意識に彼は喉の奥へと流し込んだ。

 それと同時に、

 

 「…!?」

 「お父さん!!よ、よかった…生きてて…!」

 「ご、悟飯…!に、兄ちゃん…!」

 

 先ほどまで自分はフリーザに殺されかけたはず…

 事情の説明をラディッツがしたところで、小籠包の異変に気がついた。

 うつ伏せに倒れ伏したままうごかないのだ。

 

 「おい、小籠包…!だ、大丈夫か…!」

 

 揺さぶったところで反応はない。

 ダメージを負った様子はない。

 その体は微かに震えていた。

 

 ーーー…ふ、震えている…あ、あの小籠包が、恐怖で…!

 

 無理もない、相手は逆立ちしても勝てない災害の様な敵。

 ソレを前に生きて帰ってきたのだ。

 

 元来、小籠包と言う戦士は勇敢で気高い戦士ではない。

 彼我の実力差を理解したからこそ、彼女は正しく怯えているのだ。

 むしろ、フリーザを前に戦闘高揚する悟空が異質といえよう。

 

 「立てるか?」

 「…ありがと、大丈夫。」

 

 ゆらりと立ち上がった彼女の顔色は悪い。

 震える己の拳をただただ見つめていた。

 先ほど殴りつけた異星人の感触が忘れられない…。

 

 なんとか、吹き飛ばし隙を作ることは出来た。…それだけだ。

 あれは完全な不意打ち。

 意識の外からの攻撃に加えて、相手が油断をしていたからこそ成立したいわば裏技の様な攻撃だ。

 

 だというのに、彼女の拳には攻撃した実感がまるでなかった。

 強固な絶壁を殴ったかのような感触、あれが吹き飛ばされたのは大地との深い繋がりがない一つのオブジェだったからだ。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だったのにだ…!

 

 文字通り、次元が違う。

 

 ーーー修行をして、何とかなるレベルじゃない…どうやったら、あんな強さを得られるの…?

 

 本人が聞けば高らかに嗤うであろう彼女の疑問。

 なにせ…フリーザのあの強さは()()()()()()()()()()()なのだから。

 

 ーーーさっさと願い事を叶えて退散するべきだ…と言いたいところだけど…。

 

 残念ながらそうはいかない。

 既にフリーザ軍に地球の存在は知られている。

 ここのボールが使えないとなれば、次は地球だ。

 

 ーーーマジュニアだけでも蘇生すれば…神様も蘇る。

 

 ダメだ。

 ラディッツはともかく、他の連中がフリーザ相手にハイそうですかとドラゴンボールを使わせるとは思えない。

 使わせない、と言うことは死である。

 そして、使わせたところで、死である。

 

 ーーーここで、奴を消すしかない…でもそんなこと…!

 ここで小籠包の思考は途絶える。

 強い3つの気配がここセーフハウスに向かって飛んできているのだ。

 

 「小籠包、感じたか?」

 「うん、強いね。フリーザほどじゃない。」

 

 チラリと、仙豆で回復した悟空を見る。

 彼もこの気配を感じ取っている様子、その力は先ほどとは別人レベルにあがっていた。

 

 大きく突き放された。

 たとえ気功法と界王拳を今できる最大のパワーにあげても、太刀打ちできないだろう。

 

 ーーーベジータの言ってたことはこう言うことね。…サイヤ人って、ずるい。

 

 戦闘民族と呼ばれる所以、術師としての側面が強い自分にはない力に少しばかりの嫉妬。

 それでもフリーザ(あの怪物)に太刀打ちできるとは到底思えない。

 

 「カカロット、お前はクリリン達の所へ行ってやれ、俺と小籠包がなんとかする。」

 「ああ、わかった。」

 「ぼ、僕もいきます!」

 

 ここにいる戦士の中ではナンバー3。

 パワーだけならラディッツをも上回る。

 しかし技術が足りていない。

 

 宇宙船にはフリーザが戻ってくるかもしれない。

 そんなところに子供を赴かせるほど、今のラディッツは非情にはなれない。

 しかも、彼は血のつながった甥っ子なのだ。

 

 「悟飯…気持ちはわかる…だがな。」

 「僕だって…さ、サイヤ人です…!戦えます!この時の為に修行したんです!」

 

 それを言われては弱い。

 日は短いが彼の面倒は自分も見ている。

 敬愛する師匠を失ってなお立ち上がってこんなところまでくる勇敢な戦士。

 戦闘民族の端くれとして、彼はそんな戦士の心意気を無碍にはできない。

 

 言葉を失ったラディッツの肩を叩いて、小籠包が前に出た。

 

 「悟飯くんは、ブルマさん達をお願い。」

 「で、でも…!」

 

 皆と一緒に戦えない。

 そんな不甲斐なさがギリ…!と音を立てる。

 それを優しげな眼差しで見つめる。

 彼は賢い、自分が同い年の頃にはもっと駄々を捏ねたに違いない。

 師に置いて行かれた時のことを思い出す。

 あの時、自分なら、どんな言葉でなら、納得したであろうか。

 1秒の思考の後に口を開いた。

 

 「大事な役目だよ。そこのネイルって人と一緒にここを守ってて、できる?」

 

 悟飯の表情が変わる。置いて行かれるのではない、ここを任されたのだと理解したからだ。

 敬愛する戦士に任された「大事な役目」と言う言葉で先の悔しさを漸く飲み込むことができたようだ。

 

 「わかりました!絶対に守ってみせます!」

 「うん、いい子だ。」

 

 その様子を見てネイルは開いた口が塞がらなかった。

 ヒトとはこうも二面性が出るものなのだろうかと。

 自分が相対したときは確かに、確かに明確な″悪″であった。

 

 今の彼女は演技をしている様には見えない。

 大切な人に対して優しく諭す、最長老と同じ優しさを感じたのだ。

 立ち上がり、その顔を保護者から戦士の顔に切り替える小籠包。

 彼女が戦場に行ってしまう前に、済ませねばならないことがある。

 

 ーーー先の無礼を詫びなければならないな。

 

 視線を最長老によこすと、緩やかに微笑み返された。

 

 「…待ってくれ、ヤードラットの娘よ。」

 「なに?時間がないから手短にね。」

 

 簡易なストレッチをしながら目線だけを向けられる。

 そこに対して深々と頭を下げると、黄色の瞳が丸く、驚きを示したようだった。

 動けない最長老も静かに首を傾ける様に下げる。

 ソレに続き、デンデも慌てて頭を下げた。

 

 「すまなかった、そして我々を救ってくれたこと、感謝する。君がいなければ我々は奴らの手に落ちていただろう。」

 「気にしないで、強引な形だったのは事実だから。私の方こそ投げ飛ばしてごめんなさい。…怪我はない様だけど。」

 「お前ほどではないが、これでも戦士なのでな。…武運を祈る。」

 「悟飯くんのこと、よろしくね。」

 「ああ、ここは任せてくれ。」

 

 ぎゅ…と拳を握るとその華奢な体から膨大な気が膨れ上がる。

 やはり彼女の気配はドス黒い。

 感じる気配は確かに悪そのものだ。

 

 だが…少なくとも、彼女は人の痛みを理解する人間だ。

 先ほどの少年にも、「足手纏いだ、ここにいろ」この一言で済ませていいはずなのだ。

 ソレを彼女は言葉を選んだ、時間のない中…役割を与えられた少年が全力で事に当たれるように。

 

 「行くぞ小籠包」

 「死なない様にね、蘇生する人数は極力減らしたいんだから。」

 「けっ…言ってくれるぜ、…確かに、俺の出番などないだろうがな。」

 

 二人の戦士がオーラを吹き出して戦地へと赴く。ソレをネイルは静かに見送った。

 





 戦闘力更新
 孫悟空
 基本最大:18万=>300万
 界王拳10倍:3000万
 界王拳20倍:6000万

 最終形態フリーザがちょっとその気になってボコったので当然瀕死。小籠包なら死んでた。
 後少し遅かったら確実に悟空はトドメを刺されて親子共々あの世行きだった。
 瀕死の傷もカリカリゴクンで元通り、やはり仙豆ってずるい。
 ヤケクソな強化に見えますが、これでも原作よりマシだったりするので許して欲しい。
 そして、この数値でお察しの方もいるでしょうが、これで悟空に必要なのはキッカケだけになりました。
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