ドラゴンボールAT 作:澄ましたガール大好きおじさん
サイヤの日ということで初投稿です。
「化け物め…!」
黄金の気を迸りながらラディッツは悪態を吐く。
今の自分は間違いなく歴代のサイヤ人の中で最も強い。
そんな自負すら抱くほどのパワー得たはずなのだ。
「どうした来ないのか?ならば俺から行かせてもらうぞ!」
「!!」
視界からクウラの巨体が消える。
その巨体に似つかわしくない恐ろしいスピードだ。
慌てて防御の構えを取ろうとしても遅い。
「ごぁ!?」
腹部に沈み込むボディブロー…先ほどまでの自分なら腹を貫かれていたかもしれない。
全身がバラバラに砕けるのではないか?
そんな激痛が腹部から全身に伝播していく。
「ふん…!」
腹部にめり込ませた拳がゆっくりと上がっていく。
くの字に折れ曲がった彼の体が地面から離れる。
ラディッツの体もかなり大きいのだがそれをまるで意に介さないと言わんばかりに軽々とその巨体を持ち上げていく。
そしてその腕を回転させながら彼の身体を地面へと叩きつけた。
ぐるん!と彼の視界は一回転しながら、背中と腹部に走る激痛に…口から空気と血液を迸らせる。
二人を中心に、地面に亀裂が走る先ほどラディッツが発生させた巨大地割れに対して垂直に、地割れが発生する。
二つの地割れが巨大な十字となり地面に刻み込まれる。
「ッ…舐めるな…!」
叩きつけられて意識が一瞬飛びかけたラディッツは再び敵を視界の中に収める。
ダメージに悲鳴をあげる体に喝を入れて片足を無防備な腹部目掛けて叩き込む。
しかしクウラの頑強な腹筋の前では意味をなさない。
まるで鉄板を殴った時の様に無意味な反動が逆にラディッツの脚にダメージを返した。
「ぐ…!」
「どうしたスーパーサイヤ人?この程度か?」
今度は逆にラディッツの足首を掴むと…ぐわん、とまるでタオルでも持ち上げるかの様に彼を振り上げる。
みし…!と彼の剛腕がうなりを挙げると共にラディッツの身体を地面目掛けて容赦なく叩きつけた。
「ぐぁぁぁ!」
金色の戦士が苦悶の声をあげる。
伝説のスーパーサイヤ人といえど、やはり手に入れたばかりの力ではその力を十全には発揮できないのか…?
悔しさにラディッツの奥歯から軋む音が聞こえる。
「はぁぁあ!!」
再び剛腕がラディッツの体を地面目掛けて振り下ろす。
迫る大地、しかしそう何度も同じ攻撃を甘受するほどラディッツも寝ぼけてはいない。
「ッ〜、離せ!」
0.1秒後の激突に抗うべく、渾身の気功波を無防備なクウラの顔面目掛けて放出する。
僅かな爆煙の向こう側には健在なクウラの顔面、ダメージがないのは想定通り、狙いは衝撃によりその動きが0.1秒でも止まること。
「!」
足首を掴む指先を振り払い、超高速で飛び出して着地する。
ぺっ、と口の中に滲んだ血痰を吐き出して口元を拭う。
かなりのダメージを受けたが、戦闘に支障はない。
「くく、予想以上だぞスーパーサイヤ人。この姿の俺にそこまで食い下がるとはな…!」
クウラの隠し持っていた真の力に奥歯を噛む。
たったこれだけのやり取りで理解した。
ーーーあれを使うしか…ないか…!
先ほどネイズを葬ったあの力、スーパーサイヤ人の状態で使えばどうなるかは想像もつかない。
そんなリスクを考えている場合ではない。
さもなくば、自分のために落とした彼女の命が本当に無駄になってしまう。
「へへ…これで終わりだと思うなよ、クウラさんよ!」
「そう来なくては面白くない、見せてみろスーパーサイヤ人。」
後悔しろ…!
深く深く腰を落とす。
裂帛の気合いが彼の喉奥から響き渡る。
スパークがけたたましく彼の周りを迸る。
自分の中の大猿の気を切り出していく。
二の腕が、太腿が一回り太く膨れ上がり彼の戦闘力が一気に高まって行く。
ーーーくく、いいぞこのクウラの相手に相応しい…!
その変わりようにクウラも目を細める。
彼への慢心を取っ払い防御の構えを取った。
漸くラディッツを「敵」と認識したのだ。
「ラディッツと言ったか…?来い。お前のその全力を受け止めてこの俺が宇宙一であることを教えてやろう…!」
「ほざけ…!この俺に時間を与えたことを後悔しろ…!」
既にラディッツのパワー何倍にも高まっている。
黄金の気の柱は天を貫かんとばかりに高く高く昇る。
その余りのパワーにナメック星が耐えきれないとばかりに激しく揺れる。
黄金の気を振り上げた片腕に全て集約する。
「死ねェ…!サタデェェェェ…クラァァァァァァァッシュ!!!」
そのパワーは間違いなくフリーザのフルパワーですら確実に消滅させられる。
マスクに覆われたクウラの口角が吊り上がり己の幸運に感謝する。
此処までの強敵を踏み躙れるその幸運を。
放たれた黄金の極光、クウラは己のパワーの全てをその全身に纏わせて迷うことなくその極光の中を
「な…なにぃ…!?」
今の自分が持つ最高のパワーをまるで意に介さないかのように突っ切る出鱈目なその力。
彼の極光は哀れにも左右に分断されながら、発射口であるラディッツへと迫り
「ふん!」
飛び出したクウラをただただ見ることしかできないラディッツの頭目掛けてダブルスレッジハンマーをお見舞いし再び彼を地面へと叩きつけた。
「がは…!?」
その倒れる彼の頭を引っ掴む。
敵と認識したからにはクウラは最早容赦はしない。
鷲掴みにした頭を持ち上げて何度も、何度もその腹部目掛けて拳を打ち込む。
「ぐ…が…!ぉぁぁぁぁあ!?」
正に一方的、問答無用とばかりに無言でラディッツを叩きのめす。
荒れ果てた平野の中、ただただラディッツの絶叫ばかりが響く。
声をあげられるということは、まだ息の根があるということ。
じっくり確実に彼を弱らせ確実に止めを刺すためにいたぶり続ける。
やがて、その頭を思いっきり絶壁目掛けて投げつける。
彼の体が無造作に飛び…絶壁に巨大なクレーターが出来上がると同時に自身も飛びながらその追い討ちにと強烈な膝蹴りを鳩尾目掛けて叩きつけた。
クレーターからずるり…と滑り落ちるラディッツの体。
それを冷たく見下ろすクウラはゆっくりと空から降下して行く。
弱った猿にトドメを刺すために。
ーーー終わったな、やはりこの俺が宇宙一なのだ。思わぬ相手についその気になってしまったな。
勝利を確信する。
その瞬間、クウラは確かに油断していた。
これまでに出会ったことのないほどの超強敵。
それを打ち倒したと確信できるこの瞬間、戦士に与えられる当然の権利、それを一足早く味わってしまった。
あまりにも甘美なその余韻に、散々部下たちに叱咤した言葉を己自身が忘れてしまったのだ。
今正に、その強敵が、起死回生の一手を掴み取っているとも知らずに
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「がは…!」
うつ伏せに倒れたまま、大量の血を吐き出す。
予想以上のパワー…スーパーサイヤ人の力に大猿の力を持ってしてもクウラには届かない。
詰みである。
ーーーすまん…小籠包…お前の思いを…無駄に…!
悔しさに拳を握る力すら出せない。
もう数秒もすればクウラが自身にトドメを刺しに来るだろう。
所詮自分はどこまで行っても下級戦士であったのだ。
これがベジータや弟であれば全く別の展開があったのかもしれない。
その時、彼の懐…アーマーの脇より何かが滑り落ちた。
何事かとなんとか動く片腕でそれを顔の前に持ってくる。
ーーー…!、こ、これは…!
神精樹の実。
倒したダイーズからこぼれ落ちたのを頂戴した代物だ。
食べればその力を何倍にも引き上げる、神のみ口にすることを許された禁断の果実。
数多の命を犠牲にして成り立った魔の果実。
しかし、今はそんなことを言っている場合ではない。
そして
ーーー行け…油断してるあの間抜けを…出し抜いてやれラディッツ。
聞こえるはずのない彼女の声、何度も幻聴を聴くほど自分は彼女の死が受け入れられてないらしい。
ーーー嗚呼、そうだな…お前なら…小籠包なら、そう言う。
今の自分はサイヤ人ではない、地球の戦士…鶴仙流皆伝、小籠包の一番弟子だ。*1
師である彼女が言うのだ、やれと。
もうラディッツに迷いはない。
どう見ても美味そうには見えないトゲトゲの外皮目掛けてかぶりつく。
中に弾ける果汁は…まるで己を呪うかのように口の中に広がる。
人の血肉が口の中でぶちまけられる様な悍ましい味だ。
一口、二口、そして、三口。
貪るように齧り、それを喉の奥に流し込んでいく。
「!!」
身体の底から力が湧き出るのを感じる。
相変わらず傷だらけの身体ではあるが…立つことができる…!
クウラが着地すると共にラディッツも万全の状態、いや…フルパワーを極めた極フルパワーを手に入れた…!
「…なんだそれは、貴様何を食った。」
「流石の宇宙の帝王の一族でもコイツは知らないようだな?」
最早芯まで齧り尽くした美味くもない果実の残りを放り投げる。
仙豆のような回復効果はないようだが、気を高めることで。痛みを忘れる程度の効能はあるらしい。
「死に損ないめ、今度こそ殺してやるぞ?」
その巨体から溢れ出る凶悪なオーラ。
フルパワーを初めて披露したことを示す。
これまでは単なるウォーミングアップ。
たかが猿一匹仕留めるのに本気になる愚かな弟とは違う。
そのプライドを傷つけられたことで今度こそフルパワーがその体に集約する。
「はぁ!!」
地面を超高速で滑空しながらクウラの巨体が迫る。
常人には知覚すらできない。瞬間移動でもしたのではないかという速度。
その生意気な猿の頬目掛けてクウラの渾身の右ストレートが突き刺さる。
突き刺さった筈の拳は…肉を潰す感触も、骨を砕く感触も与えなかった。
感じたのはただただ、拳から感じる痛みである。
「な…に…!?」
その硬直を見逃さない。
サイヤ人の指先が彼の手首を掴む。
すぐ様拳をひきぬこうにも、動かない。
まるでそこに固定でもされたかのようだ。
みし…!!その指先が手首を締め付けその拳を強引に解いてしまう。
「ぐぁぁぁ!!」
生涯で初めての悲鳴、痛みに対する絶叫。
先ほど小籠包から戯れにもらった一撃のような愉しむ感覚ではない。
真の激痛を彼は味わっていた。
ーーーこ、この俺が…この宇宙最強のクウラが…たかが…猿…ごとき、にぃ…!!
びき!!
こめかみに青筋が浮かぶ、血管がちぎれる程の怒り。
己の全パワーを乗せたエネルギを掌に集約させる。
「…はあぁぁぁあ!!」
帝王の腕を掴んで離さない無礼者を処刑するべく。
クウラのエネルギー波をゼロ距離で放ち、凶悪な光が無礼な猿の体を吹き飛ばす!
自身の腕を掴む指先も消滅したか…生々しい痣を手首に残しながら漸く腕の自由を取り戻す。
渾身のエネルギー波は大地を扇状に抉り取った。
地面は完全えぐれて何層もの岩盤が見えるほどに
「…ふふ…はははは!どうだ!猿野郎め!この俺が宇宙最強なのだ!」
今度こそ勝利を確信した彼は高らかに、勝利を宣言した。
「勝ったつもりか?馬鹿め…!」
「なに…!ぐぅあ!?」
背後から響く消した筈の猿の声。
彼の顔面は気付けば地面の中に陥没していた。
後頭部を掴まれ、叩きつけられたのだ。
「貴様ァ……!!ぐぁぁぁ!」
立ちあがろうとするところをサイヤ人の足がその頭を踏みつける。
「これは我が友、小籠包の分だ。よく味わえクウラ。」
ぐり…!サイヤ人の…猿の足が栄光の血を引く気高い存在である自分を踏みつけている…下等生物に足蹴にされる…!
こんな屈辱、あっていいはずがない。
自分は、全宇宙で最強の存在であるはずなのだ!
「貴様は、ここで死ぬ…!アイツの意思に、よってな!!」
べき…!クウラの頭が更に沈み込む。
踏みつけた彼の頭目掛けてエネルギーが収束していく。
一撃でクウラを仕留めるつもりだ。
こんな、こんな最期…あってはならない!!
「このクウラを…舐めるなぁ!!」
「な…!!」
宇宙最凶の一族のプライドが爆裂する。
強引な気の解放、予想だにしない帝王の抵抗にラディッツの脚が緩む。
その隙を突いて飛び出したクウラは…高く、高く、その身を上空へと上げていく。
ーーー許さん…!許さんぞ猿め…!!もうフリーザなど知ったことか!!この俺のプライドに賭けて…奴を殺す!!!
片腕を上げる、全身全霊、全エネルギーを片腕に集約。
掌から放出される人智を超えた極エネルギーは無尽蔵に拡大をしていく。
その火球…天空を覆い隠さんとばかりに膨れ上がったそれはクウラ最大の究極の技「スーパーノヴァ」だ。
「ちィ…!この星ごと消す気か!!」
「はははは!その通りだ!!油断したなスーパーサイヤ人!」
その余波は既に大地に甚大なダメージを与えている。
そんなものが惑星に沈み込めばこの惑星塵一つ残さず消滅するだろう。
そしてそれは…眠る彼女の遺体を蒸発させることにもなる。
「そうはさせんぞ…!かァァァァァァ!!」
気を高めるが、遅い…!
既にクウラは必殺の威力を確定させている。
「この星ごと…消えてなくなれぇぇぇぇ!!」
死が堕ちてくる。
高める気が充填するまでに間に合わない。
仕方なくラディッツは両手を突き出す。
ずん!!と全身にのしかかる絶大なG
彼の身体はあっさりと下半身まで地面に沈み込む。
既にスーパーノヴァは大地に完全に着弾した。あとはその火球が全て。吹き飛ばすのを眺めるだけでいい。
「はっはっはっ!!!どうだ…俺が宇宙最強ーーー」
ーーーおォォォォォォ!!!
!?
今度こそ、勝った…!
そんな勝利宣言をあっさりと裏切るサイヤの咆哮。
着弾した筈の必殺の一撃が、少しずつ、少しずつ地面から上がって言っているのだ。
「ば、バカな…!この俺の…最高の技だ…返せる筈が…ないんだぁぁぁ!!」
その狼狽は宇宙の帝王を自称するには余りにも見苦しい。
両腕で火球を操り地面へと押し込もうとするが、ビクリとも動かない。
それどころかその火球は完全に一人のサイヤ人によって持ち上げられていた。
「死ぬのは貴様だぁ…!」
巨大な火球を包み込む程の黄金の気。
その巨大なパワーは一介のサイヤ人が放つにはあまりにも強大だった。
「おォォォォォォ!!」
その雄叫びと共に無限に広がる金の光が小さく小さく集約し、
彼の放った巨大な火球を押し返す極光となってクウラに跳ね返され、
上空に居る宇宙最強を名乗る男を無慈悲にも飲み込んだ。
「ちィ…!小癪な…!この俺が…この程度に負けるかぁぁぁぁ!!」
どれだけパワーを上げても、自身を大気圏の外へと押し出していく巨大な奔流の向きは変わらない…。
それどころか彼を押し流す速度は加速度的に上がっていく!
「うァァァァァァ!!!」
宇宙空間には響きわたらない絶叫。
どれだけ咆哮を上げようともその声を聞き届けるものはいない。
そのままクウラを押し流す気の本流はナメック星を包み込む3つの太陽…その一角へと真っ直ぐ飛来する。
ーーーあの時……!あの女をさっさと殺せば…!!
全身を6000度の灼熱が焦がしていく中、遅すぎる省みが脳裏を過ぎる。
ーーーあの時…あの猿を…始末しておけば…!!
手向けへと、別れの時間を悠長に構えた己に届かぬ叱責を。
ーーー甘かったのは…フリーザだけでは…なかった…!あ、甘かったのは……!!!
既にアーマーのように膨れ上がった外皮は外れ…通常形態に堕ちている。
どれだけ後悔しようとも全ては手遅れ…。
「ギィィィあァァァァァァ!!!!」
誰にも聞こえぬ場所、誰にも看取られぬ孤独の中…宇宙の帝王を名乗る小悪党は太陽の中に溶けていった。
戦闘力更新
ラディッツ
基本最大:1500万
神精樹の実を食べたことにより究極パワーアップ。
ドーピング?卑怯者?
ウルセェ!勝ちゃぁ!いいんだよ!勝ちゃあ!
そんな偉大なる小籠包様のお教えによりインチキ強化!
皆様覚えてましたでしょうか、ダイーズからくすねていた神精樹の実。
クウラを倒してもらうべく、後発組にしたまであったり。
超1-1:7億5000万
名実共に宇宙最強になったラディッツ。
ギネが草葉の陰から泣いていると思う。
劇場版よろしく、クウラさんは遅すぎる反省会をしながらウチのオリ主とは真逆の末路を迎えました。