ドラゴンボールAT 作:澄ましたガール大好きおじさん
ギニュー隊長よりも早く決着がついててビビったので初投稿です。
目の前に現れた金色の戦士。
見たこともない変化をするサイヤ人にフリーザは困惑を隠しきれない。
ーーーなんだ…あの変化は…!?サイヤ人は…大猿にしか、変わらん筈…!
あまりにも想定外過ぎる展開に流石の宇宙の帝王も困惑を隠せない。
そして、致命的なのが…彼がスカウター無しでは相手の強さを測れないことにあった。
もし、もし仮に…彼がスカウターに頼らない男であったのなら…この先の顛末は違ったのかもしれない。
もっとも…彼にはその必要はなかったのだ、彼を責める事はできない。
なにより、フリーザは心の中で、目の前のサイヤ人を
この宇宙の帝王が、野蛮な猿風情に遅れを取ることなど、あり得ない。
頭では油断なくしているつもりでも…心根に根付いたその思想は、拭いきれない。
その微かな油断と慢心が悟空に与えてはならない隙を与えた。
金の光は陽炎のように消えて、一瞬でフリーザの眼前へと現れる。
「だりゃぁ!!」
「ぐぅぅおぉぉ!?」
そのままノータイムで放たれた右ストレートがフリーザの顔面を打ち貫く。
頬があり得ない形に陥没しながら、小柄な体躯が勢い良く吹き飛ばされていく。
岩壁を何枚も貫通しながら、何キロも先の海上を滑るところで漸く勢いは停止した。
口端から滴り落ちる体液を無意識に拭う。
手の甲に付着したそれを見て、震える。
出血を、したのだ。たかが、猿相手に。
「ば…バカな…この、フリーザ、様が…!」
反応すらできなかった。…いやそんなはずはない。
今のは少しばかり油断していたのだ。
宇宙の帝王であるはずの存在がたかが猿一匹に遅れをとるはずなどないのだ。
「お前ェは、謝っても許さねえぞ。」
はっ、と顔を上げれば、既にあのサイヤ人が目の前にまで接近していた。
同時に叩き落とされる怒りの超鉄拳…ならぬ鉄肘。
頭蓋が粉々になるのではとされる程の超威力。
そこは流石の宇宙の帝王、その体は海の底へと叩きつけられてもまだ健在であった。
そして海中の中を一直線に飛び交う一筋の光。
目を見開き、それが何かを視認すると同時にフリーザはその口から大量の泡を吐き出す
「はァァァァァァ!!」
「がぁ!?」
海底に大きな大きなクレーターが出来上がる。
超スピードからくるエネルギー、その全てが乗せられた膝蹴りがフリーザの体に食い込んだのだ。
更に陥没することでクレーターが拡大する。
ダメージに目を回しているところをまたも視界がぐるん!と一回転する。
尻尾を掴まれたまジャイアントスイングにより海上目掛けて投げ飛ばされる。
ーーー波ァァァァァァ!!!
ノータイムで放たれる追撃の超かめはめ波。
本能で察する、これはやばい。防ぎきれなければ…死だ。
海上へと押し出されながら必死に全パワーを放出して防御する。
「こんな…も、のぉぉぉぉぉぉ!!がぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
全身を超エネルギーによる熱で焼け焦がされながら宇宙の帝王は絶叫する。
彼の生涯初めての命懸け。
己の全存在をかけて放たれたかめはめ波をなんとか防ぎ切った。
しかし、その全身は見る影もなくボロボロ。
誰がどう見ても無事に済んだとは思えない。
長い長い深呼吸を繰り返す。
そんな彼を嘲笑うかのように金色の戦士はゆっくりと、彼の目線にまで上昇した。
「今のは、お前たちに殺されたナメック星人たちの分だ。」
瞳にゆらゆらと揺れる怒りの炎。
これまで何度も踏み躙ってきた弱者達とは違う、自身に明確に敵対する初めての存在。
フリーザは無意識に後ずさった。
「貴様…何者だ…!」
こうなったら、フルパワーを出すしかない。
時間稼ぎという宇宙の帝王とは思えないあまりにも姑息な手段を使いながら自身のパワーを少しずつ高めていく。
「…オレは地球から貴様を倒す為にやってきた。」
気を読むことができる悟空は、もちろんこの思惑に気がついている。
だが敢えて、そのフルパワーを正面切って叩きのめしてやる。
その気概から、その策略に乗せられることにした。
「穏やかな心を持ちながら、激しい怒りによって目覚めた伝説の戦士。」
フリーザのパワーが大きく大きく上がっていく。
来るなら来い、叩きのめしてやる、自身も己が秘めたる超サイヤ人の潜在パワーを全てひけらかした。
ーーースーパーサイヤ人!!!孫悟空だ!!!!
圧倒的だったパワーが更に膨れ上がる。
気を読むことができないフリーザもそのパワーの強大さを肌で理解した。
それでも帝王は己の勝利を疑わない。
フルパワーを出しさえすれば、こんな猿などあっさり殺してやれるのだ…!
しかし、未だ時間が足りない。これでは早々に決着をつけられてしまう。
「待ってやる、お前のフルパワーを見せてみろ。」
「…くくく、馬鹿な奴。ならば見せてやるこのフリーザ様の真のパワーをな…!」
超サイヤ人のエナジーを迸らせながらことの成り行きを見守る悟空に対して怒号が傾れ込む。
ーーー何やってんの!!さっさと倒しなさい!
ーーー…悪ィな、オレはコイツを完膚なきまでに叩き潰さないと気が済まねぇ。
頭の中に直接流れ込む小籠包の思念、目の前の敵を視界に収めながら悟空は至って冷静に返した。
ーーー今から貴方達を地球に送るんだから、さっさと倒して地球に帰るよ!
ーーーナメック星の神龍……ならその願い変えてくれ、オレはここに残る。
ーーーはぁ!?何馬鹿なこと言ってるの!
改めて彼女の気を探る…意識のあるうちは常に気を解放している彼女の気が感じ取れない。
そこで漸く今彼女がどこにいるのかを悟った。
兄も自分と同じように覚醒したのだ。
ならば、弟である自分も兄の背を追わないわけにはいかない。
ーーー兄ちゃんは勝ったんだろ?だったらオレも必ずコイツを倒す。そして地球に帰る。
一切の譲歩を認めない強い強い意志。
長い付き合いの彼女も漸く折れた様子。
ーーーッ……あァァもう!わかった!どうなっても知らないから!
ーーーサンキュー、小籠包。
いつも通りの小籠包、しかしこれが彼女との最期の会話だ。
彼女の死は、これで二度目。
神龍では生き返ることができない。
少しの間だったが、彼女も彼にとっては師匠の一人。
彼女のおかげでピッコロ大魔王を倒せたと言っても過言ではない。
そして共に戦った大事な友だ。
生前、多くの命を奪ったと彼女は言うが、今悪人でないのなら良い。
亀仙流…ひいては亀仙人から教わったのはそういう心だから。
ーーー…お前ェ死んじまったんだな。
そんな彼女への感傷が、スーパーサイヤ人の興奮を僅かに落ち着かせる。
ーーー…目の前のことに集中して、こっちに来たら、許さないから。
今自分は笑われてるのだろう、そんな風に感じるほど彼女の声は穏やかだった。
やはり、彼女は悪人ではない。
今いるところもいわゆる天国というところだろう。
そこに少しばかりの安心感を覚える。
ーーー嗚呼、任せとけ。
ーーーちゃんと見てるから、じゃあね。
一方的に声が途切れる。
今生の別れだというのに、あまりにもあっさりとした別れ。
全く彼女らしい。
そんな風に考えると悟空の口角はフッと緩んだ。
「くく…何がおかしい、このフリーザ様のパワーを前におかしくなってしまったか?」
未だフルパワーを引き出せてない仇敵に意識を集中する。
勝つ…!負けられない理由ができた。
あの世で見守る友人に情けない姿は見せられない。
「ああ、おかしいさ。
にぃ…!と吊り上げる口角は時折見せていた彼女の微笑みを真似ている。
しかし、どうあっても善人な彼には楽しげな微笑みにしかならない。
それがまたも、フリーザの神経を逆撫でする。
「ほざけサイヤ人…後悔させてやるぞ…!かァァァァァァ!!!」
フリーザの気配が一気に膨れ上がった。
同時に華奢だった両腕と両足は丸太のように太く逞しくなり、先ほどとは明らかに違う様相を示している。
「それが貴様のフルパワーか。」
「くくく、そうだ。殺してやるぞサイヤ人。」
しかし、それだけである。
気を読むことさえできれば、あるいはこの先にある惨めな敗北の前に撤退できたかもしれない。
対して悟空は、気を読む以前に…最早この状態のフリーザですら恐怖を感じなかった。
いつまで経っても澄ました顔で自分を見つめるサイヤ人にとうとう堪忍袋の緒がキレたフリーザはまっすぐ突撃する。
散々痛めつけられた、今度はこちらの番と言わんばかりにその剛腕、烈脚を余すことなく振るっていく。
しかしフリーザの攻撃を害する事は決してなかった。
その悉くを必要最低限の動きで、紙一重の回避を行う。
息ひとつ乱さない完璧な体捌きで、フリーザの渾身の攻撃、その悉くをいなしていく。
「何故…だ…!何故当たらないんだ…!」
余りに荒い深呼吸で肩を上下に揺らしながら呼吸を整える。
生涯で初めてとも言える同族以外へのフルパワー、ダメージを与えるどころかいい様に弄ばれていることが帝王のプライドを傷つける。
「そんな力任せの攻撃じゃ、オレには通じねぇぞ。」
超サイヤ人の口角が吊り上がる。
どこまでも自分を見下したその態度と発言。
「当たりさえ…すれば…!貴様なんかぁ!!」
「…なら、当ててみろよ。貴様の最高の一撃をな。」
「な、…なにぃ!?」
兄にすら見せた事のないフルパワー
所詮彼らの殺し合いは単なるお遊び、父の監視があるが故に本気で殺し合いなどしたことなどない。
なればこそ、この姿であれば兄すら超える…そんな自負すらあるのだ。
それを…よりによって「受けてやる」というのだ。
「ふ、ふざけやがってェ…!」
血管がちぎれるのではないかと思うほどの激しい憎悪。
ドス黒いオーラが彼の全身を包み込み…両手に集約させていく。
「ならば見せてやろう…このフリーザ様の最高の技をな…!」
「さっさとやろうぜ。貴様のフルパワーを完膚なきまでに叩きのめしてやる。」
黒い稲妻を迸らせながら彼の頭上に凶悪なエネルギーが溜め込まれていく。
そんなモノか…、落胆、失望、そして…油断。
スーパーサイヤ人特有の興奮状態が悟空に与えてはいけない感情をもたらしてしまった。*1
「ふん、バカめ…狙うのは貴様ではない。」
「なに…!?」
ーーーきェェェェェェェェ!!!
彼はまっすぐ…頭上に溜め込まれた破壊エネルギーを足元目掛けて投げつけた。
そう、彼が狙ったのは悟空ではなく、
「し、しまった!!」
時間にして数秒…彼の一撃「デスボール」はこの星の核に傷を付けてしまう。
…直後、海中から噴き出る巨大な焔の柱。
ーーーか、考えやがったな…ちくしょう!
「くくく、オレは宇宙空間でも生きられる、だがお前らは違う。星の爆発に耐えたとしても…宇宙空間で死ぬ、オレの勝ちだ。」
「なら…この星が爆発する前に…貴様を倒す。」
やる事は変わらない、この星の神龍はブルマ達に任せればいい、悟飯だっている。
神龍でこの星から移動するのなら、むしろ星へのダメージを気にすることなく戦える。
そして…彼の期待通り…この星の空から光が消えていった。
「な、なんだ…!?急に暗く…!」
神龍だ、ブルマ達がこの星のドラゴンボールから神龍を呼び出したらしい。
そして彼方には…地球のそれをはるかに上回る巨大な龍…いや魔人が現れていた。
「あれは…まさか、ドラゴンボール…!?」
即座にフリーザはその魔人目掛けて飛び出していく。
しかし、それを易々と許すほど、もう悟空は油断していなかった。
「どこに行く、貴様の相手はこのオレだ。」
「さ、猿野郎…!」
自身の目の前へ超スピードで回り込むサイヤ人に歯噛みする。
あのドラゴンボールは間違いなく自分たちからボールを掻っ攫った何者かが今まさに願いを叶えようとしている。
このフリーザの不老不死の夢を踏み躙ってまで…!
「どけぇぇぇぇ!」
力任せの攻撃、そんなモノは悟空には通用しない。
技能もなにもない、生まれながらの力に身を任せただけの攻撃。
それは相手が
数多の師匠から武を学び、貪欲に強さを求めた武道家に通じるものではない。
そんな攻撃など、あっさりと裏拳で捌きながら…無防備なら顎下目掛けて痛烈なアッパーカットを叩き込む。
「ぐぁぁぁぁあ!?」
情けなく宙返りをするフリーザを見下しながら、ぎり…!と拳を握る。
「まだまだこんなもんじゃねぇぞ!!オレの怒りは!!!」
悟空の全身から黄金の気が迸る。
真っ直ぐフリーザ目掛けて突進する、それを受けて…自身がやられたように…突き出される拳を受け長そうと裏拳を翳す。
直後、悟空の姿が残像となって消滅。
残像拳だ、さて…彼が気を読むことができればすぐにでも敵がどこにいるのかを察することができただろう。
「ぅおぉぉぉぉ!?」
側頭部目掛けて食い込むエルボー、フリーザの体は弾丸のように弾かれて大地を抉りながら無様に転がる。
目で追う限り、彼は永遠に悟空を捉えることはできない。
「これは…ヤムチャの分!!!」
慌てて背後を確認するも、遅い。
ダブルスレッジハンマーが容赦なくフリーザの脳天をかち割る。
うつ伏せにダウンをする彼の尻尾を掴んでそのまま天高く彼を投げ飛ばした。
明滅する視界の中、投げ飛ばされた慣性に従うしかなくフリーザは宙を舞う。
無防備な彼の体を悟空は金の閃光を閃かせながら追尾し、拳にエネルギーを溜め込む。
「そしてこれは…ーーー」
ぎゅるん…!と遅すぎる受け身を舞空術で取った無防備な腹目掛けて怒りの超鉄拳が沈み込む。
ーーークリリンの分だぁ!!!!
怒りの咆哮と共にその拳がぐしゃり…!と鋼鉄の様なフリーザの腹筋を引きちぎる。
全身全霊の力を込めて腹筋を完全に破壊しながら…彼の腹部を完全に拳が貫いた。
力なく、地面目掛けて落下するフリーザを見下ろし、悟空は勝利の美酒とは程遠い、復讐成就の虚しい感触を味わいながら、暗雲が晴れていくのをただただ見上げていた。
Q:こんなに早く決着つくなら急いでポルンガ使わず、悟空を待ってても良かったのでは?
A:急ぐ理由があったんじゃよ。
戦闘力更新
フリーザ(フルパワー)
基本最大:1億2000万
悟空にお情けで変身させてもらったのにピークパワーですら全く手も足も出なかった。
しかも長引くほどパワーダウンする欠陥形態なので、完全にフリーザ様はノーチャンスです。
Q:原作と違って苦戦しなさすぎでは?
A:原作は最終形態フリーザにボコられたうえに元気玉で精魂尽き果てた状態での覚醒でした。
だからそこそこ苦戦していたという絶妙な塩梅。
今回、ほぼ万全の状態で超化したのでワンサイドゲームになりました。