ドラゴンボールAT 作:澄ましたガール大好きおじさん
この作品で初めてちゃんと神龍を喋らせた気がするので初投稿です。
ラディッツがクウラを倒したその頃、ブルマはスカウターにて…敵を排除した事を確認し、涙ぐむ悟飯を慰めていた。
「大丈夫よ、きっとちょっと気絶してるだけだわ?」
「…そうですよね…、小籠包さんが、し、死ぬはず…ありません…!」
彼にとってはお姉さんのような存在、何かあればいつでも優しく諭してくれる父とは違う強さを持つ不思議なヒト。
その気が、消えたのだ。
それも、徐々に徐々に…まるで蝋燭の炎のような揺らぎをしながら。
ブルマも何となく察する。
スカウターの数値の動きは…気を消した、気絶した、そういう類の動きではなかった。
まるで心電図のように徐々に弱まった戦闘力。
これはどうみても気を消しているというよりは…
いくらブルマと言えどそれ以上口に出すほど直情的ではない。
「困ったわね…ラディッツの奴、多分ダウンしてるわ。」
勝者と思しき戦士の反応はラディッツの物。
しかしそこから一歩も動けないのがスカウターから見て取れる。
迎えを寄越したいが、悟飯はこの様子であるし自分が行くにはあまりにも遠い。
いくらドラゴンボールで地球へ移動するとはいえ、
放置するのは可哀想というもの。
「私が行こう。」
悩むブルマにとって渡りに舟…というよりかはチラチラとネイルのことを見ていたので彼が空気を読んだ形になるのだが…
「あらそう!?助かるわ!そうだ…これ。あの二人に渡してあげて。」
残り少ない仙豆。
渡されたのは2粒、本当は二人分用意する必要はないのだが…。
ネイルはそれを何も言わずに受け取った。
「承知した、あちらは終わったようだが…フリーザの方は未だ終わっていない…ポルンガを呼ぶのなら今だぞ。」
「そうね、さっさと願いを叶えてみんなでここから脱出しましょう。」
よろしくね!と背中をバシンと叩かれたネイルは彼女のテンションに半ばついていけず…う、うむ。とキレのない返事をし二人…いやラディッツのもとへと飛行した。
「さて、私達もやるわよ。デンデくん、お願いしていい?」
「はい…ではボールを外に持ち出しましょう。」
ここセーフハウスを構えた洞窟は確かに広いが…このサイズではポルンガが出てこれないという。
全員で力を合わせてボールを運ぶ中…ネイルにも手伝って貰えばよかったとブルマはため息をつく。
「叶える願いは、決まっていますか?」
「ええ、勿論…あ、こっちの神龍は死人を生き返らせない、なんて言わないわよね?」
「はい、
その言葉にブルマは言葉を失う。
何ということか、これではサイヤ人達によって犠牲になった二人を蘇らせた時点で願いを二つ消費してしまう。
「それに…。」
チラリと同じく絶句する少年を見下ろす。
小籠包を含めれば3つだ。
できることなら、犠牲になった
しかし、遠く離れたこの地で地球と連絡を取る手段は限られている。
「どうか、されましたか?」
何かまずい事を言ったのだろうか…。
そんな風に慌て始めるデンデに対してブルマは思考を回し続ける。
「…地震!?」
本日二度目の大地震…いうまでもない。
フリーザがこの惑星の核を傷つけた衝撃だ。
確実にこの星で何か良くないことが起きている。
まずいわね…となんとなく危機感を覚え、中断された思考を纏め直す。
さて、願いをどう使うか…そんな彼女の思考を掻き乱す声。
ーーーブルマさん、聞こえる?
唐突に響く聞き知った小籠包の声に彼女は跳ね飛ぶ。
「…え!?何!?」
死んだと思った友人が突然頭の中へ語りかけてくる。
こんなホラーな展開はない。
これがもし聞き知らぬおじさんの声だったら完全に無視をしていたところだ。
「ぶ、ブルマさん?どうかしたんですか?」
突然奇行に走った彼女に悟飯はまたも泣きそうな顔でこちらを見上げてくる。
ーーーブルマさんにだけ話しかけてるの、悟飯くんには…ね?
「…な、何でもないわ。ごめんね悟飯くん、ちょっと考え事をさせて。」
彼女の言葉の意味を理解して少し考え事をするフリをする。
ーーーやっぱり死んだのねアンタ。
どこから語りかけているのかはわからないが、あの世という所から語りかけているのだろう。
凶報と引き換えに彼女は朗報を引っ提げてきた。
ーーーうん、でも一番やばい奴はラディッツが倒してくれた。フリーザも、今のラディッツになら何とかできると思う。
その言葉に舞い上がる。
皆が散々やばいやばいと言っていた怪物。
それをナントカできるときた!
であれば、今は一旦地球に戻って体制を立て直して、地球に来たそいつをコテンパンにすればいいだけだ!
ーーーそっちのボールの事情も知ってる、だからまずはマジューーーピッコロを生き返らせよう。
そうすれば地球の神も蘇りボールも復活する。
あとは、地球のドラゴンボールで願うのだ。
「フリーザ軍に殺された者達を生き返らせて欲しい」
次はナメック星のドラゴンボールで、地球へと避難すればいいのだ。
残った願いで小籠包を蘇らせればいい、
ーーー私は後からで大丈夫だから、クリリンくんを蘇らせて。
ーーーちょっと、クリリンまでやられちゃった訳!?
ーーーヤムチャさんもだよ、彼は地球の神龍で生き返る、けど私達はきっと復活しない。
ーーー…あんた、最悪自分はいいとか思ってるんじゃないでしょうね?
ーーー…ソンナコトナイヨ
図星か。
もし目の前にいるのなら、ギクリとわかりやすい反応を示していたのだろう。
ーーーほんっと嘘が下手ね、いい?アンタが拒否っても生き返らせてやるから覚悟なさい。
ーーーは、はーい。…だったら、私からのお願いを聞いて欲しい
彼女の願いは…ターレスの仲間、ダイーズという男を生き返らせること。
彼女がナメック星に来れたのも、ターレスが協力をしたからだ。
借りを作りっぱなしというのも、彼女の義に反する。
ーーーわかったわ、でも先ずはここから出るのが先よ。
ーーーあ…そのことなんだけどね…悟空くんはここに残るって。
あまりにも予想外な言葉にブルマは言葉を失う。
ーーーはぁ!?何言ってんのよあのバカ!
ーーーフリーザを倒すんだってさ、目の前でクリリンくんをやられちゃったらね。
ぅ…、と言葉に詰まる。
今から約十年前…クリリンが殺され、あの温厚な悟空がキレたのを思い出す。
しかも、今度は目の前で殺されたのだ、悟空を止められないのも無理はない。
ーーー…勝てるんでしょうね。
ーーー油断しなければね。*1
大きなため息をついてなんとか納得する。
孫悟空という男は一度決めたらもう曲げることはない、そういう男だ。
ーーーフリーザを倒すまで待つ、なんてのはどう?
ーーー絶対じゃない、邪魔の入らない内に願いを叶えた方がいいと思う。…それに、最長老様はもう限界だと思う。
出会った時からスピリットが随分の不安定だと感じていた。
弱々しいのではない、風に揺らめく蝋燭のような不安定さ、
彼女の見立てではあまり時間は残されていないのだ。
ここのボールが石ころになれば、それこそ希望が潰えてしまう。
ーーー待ちなさい、だったらアンタが先よ!孫君を回収なさい!できるでしょ!瞬間移動なら簡単に。
ーーー…ブルマさん頭いいね。
ーーーアンタ時々抜けてるわよね。
この程度で褒められても何にも嬉しくはない。
むしろ、アホかお前と引っ叩きたくなるレベル。
ーーーわかったわ、孫くん以外のナメック星人、後は…地球から来た人間…こうすれば全員帰れるわよね?
ーーーうん、…ベジータとターレスたちも含まれちゃうけど…。
ーーーラディッツと孫くんの敵じゃないでしょ?いいじゃない、地球に連れて行きましょ。
ーーー…あ、そう。ブルマさんがそういうなら良いけど。
言いたいことは言えた、と話を終わろうとしたところで思い出したかのように切り出す。
ーーーラディッツに、ありがとうって伝えておいて。
ーーー嫌よ、自分で言いなさい。
ーーーちぇ、はーい。
ケチ、そんな捨て台詞もそこそこに、彼女は続けた。
ーーー地球の神龍はこっちでどうにかするから。
ーーーわかったわ、よろしくね。
それっきり声は頭の中に響かなくなった。
死人とここまで明瞭な会話をすることなんて金輪際ないだろう。
ため息を溢すと不安そうに見上げる二人の少年を宥める様に高笑いする。
「あの…ブルマさん…大丈夫ですか?」
「ごめんねー悟飯くん、ちょっと
「そうですか…?それで、願いはどうしましょう。」
「大丈夫、バッチリ決まったわ。」
余りにも強引な誤魔化しに流石に悟飯も何となく
やはり、彼女は死んだのだと深い悲しみが湧き上がってくるが、それも彼女からここを任されたという使命感が何とか堰き止めてくれた。
さて、彼らは願いの整理した。
①ピッコロを生き返らせる。
②地球の神龍により殺されたナメック星人、仲間達を生き返らせる。
③ナメック星の神龍に小籠包を生き返らせる。
④ナメック星の神龍に…ナメック星人と、地球から来た人間を地球に移動する。
ただし、孫悟空を除いて…という条件は伏せることにした。
悟飯に言えば間違いなく反対するとわかっているからだ。
「あの、ブルマさん。僕考えたんですけど…死んでいても、体だけは地球に移動してもらってはどうでしょう?…そしたら…地球の神龍を待つこともないと思うんです。」
悟飯の妙案、遺体を保存するのなら簡単だ。
なにせピッコロ大魔王の時は一年ほど武天老師たちを保存していたのだから。
「悟飯くんかしこい!…ねぇ、ここのドラゴンボールは願いを叶えてどれくらいで復活するの?」
「そうですね…一年くらいはかかると思います。」
「地球の神龍と同じなのね、いいわそうしましょう!」
この案のいいところは悟飯のいう通り、
一刻を争う以上ポルンガへの願いは早急に叶えたい。
問題は、こんな複雑な条件をポルンガが受け入れてくれるかだ。
「問題ないと思います。条件はありますが…願いそのものは一つですから。」
さて、願いは決まった。
①ピッコロを生き返らせる。
②小籠包を生き返らせる。
③この星の全てのナメック星人と地球からきた人間または亡骸を地球に転移させる。(ただし、孫悟空を除く)
やっと自分の出番が来たと張り切るデンデにブルマがデンデに耳打ちをする。
惑星に移動する対象を彼に訂正するためだ。
ーーー孫悟空さんて…悟飯さんのお父様、ですよね?…いいんでしょうか?
ーーー本人がそう言ってるのよ、でも悟飯くんには聞かせられなくて。
ーーー…そうですね、わかりました。任せてください。
ーーーうん、お願いね。
巨大なボール目掛けて彼はこの星の言葉にて声高に叫んだ。
ーーータッカラプト ポッポルンガ プピリットパロ!!
地球のモノより遥かに大きなボールが淡く発光する。
晴れ渡っていたナメックの空は暗雲立ち込めて光を失う。
ボールから呼び出されるポルンガ、夢の神を冠した巨大な存在。
それは龍、というよりは龍と人の亜人を想起させるような見た目をしていた。
【さぁ、願いを言え、どんな願いも3つ叶えてやろう。】
呼び出された龍の視線に応じて、デンデはブルマに聞かされていた願いをナメック語で伝える。
ーーーピッコロというナメック星人を生き返らせてもらえますか?
【容易いことだ。さぁ、次の願いを言うがいい。】
ポルンガの全身が光り輝く、ソレが願い成就を示す。
デンデは澱みなく、次の願いを伝える。
ーーー小籠包という…えと、人を生き返らせてもらえますか?
【いいだろう。…そのものの肉体は酷く損傷していたが、サービスで元に戻しておいた。さぁ、最後の願いを言うがいい。】
願いを叶えたと言わんばかりに大きな拳から突き出る親指はサムズアップのつもりか。
地球の神龍とはかなり雰囲気は違う。
勿論、どんな相手にもこんな対応をするわけではない。
彼らはナメック星を救った英雄なのだ、ポルンガもまた、思うところがあるのだろう。
そしてデンデは最後の願いをポルンガ目掛けて宣言した。
ーーーこの星にいる全てのナメック星人と、地球から来た者達をご遺体を含めて、地球と言う惑星へ送ってください。ただし、孫悟空という人物を除いて。
【要求が多いな…まあいいだろう、その者達を、地球へ送ってやる。】
その瞬間、その場にいる全員な体が真っ白に発光する。
ポルンガの力によって何光年と離れた遠くの星、地球へと転移されたのだ。
【願いは叶えた、ではさらばだ。】
最早誰に聞かせるでもなく、彼は定型文を羅列しながらボールの中へと消えていき…7つの球は彼ら…いや創造主である最長老を追って長い長い旅を開始するのだった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
地球、そのはるか上空にある神の神殿にて…一大事が起きていた。
「か、神様…い、生き返った…!」
「…ミスターポポ、喜ぶのは後だ、ドラゴンボールを用意してくれ。」
「こんなこともあろうかと、集めてある。神様が戻って、ボールも蘇った。」
ボールを早速並べて神は龍を召喚した。
現れた龍は創造主たる神に恭しく頭を下げた。
【復活、おめでとうございます。神よ。】
「挨拶はよい、願いを聞いてくれるか?」
急ぎの創造主の冷たい反応に少々しょぼくれる願い玉の化身。
すぐさま、調子を取り戻してこれに応えた。
【勿論でございます。どんな願いも叶えましょう。】
「遠い星、ナメック星にて、フリーザ軍によって殺された者を、生き返らせて欲しい。」
快諾、その力を願い成就に向けようとする龍の動きがピタリと止まった。
本来、言われたままの願いを叶えるだけなのだが…今回は創造主復活の記念すべき日、少しばかり神龍はサービス精神を振るった。
【…神よ、瀕死の者はどうされますか?】
「うむ…治してやれ。できるか?」
【勿論でございます。…願いは叶えました。では失礼します。】
最後に、恭しく一礼する龍にうむ、と頷いて見せる。
7つの球は天へと浮かび人々の希望となるべく7つの方向に飛び立った。
従者を見送った神は、空へ言葉を投げる。
「小籠包よ、願いは叶えた、向こうの様子はどうだ?」
天に目掛けて言葉を投げる。界王の力を通じて、言葉が返ってくる。
ーーー既にナメック星人たちと共にあちらの神龍で地球に移動したようです。
「随分と早いな。」
ーーー遺体ごと地球へ転移したようです。
想定と違ったようだが、ことはいい方向に転んでいる。
神の視点からも、この星に何人もの異邦者が現れているのを確認した。
「そうか、改めて礼を言わせてくれ、お前たちが居なければ地球の神は不在のままだった。」
ーーーまだ終わってません、悟空くんが向こうに残って居ます。
そう、まだ終わっていない。
神がもっとも懸念していた、巨悪フリーザはまだ倒されて居ないのだ。
彼を倒さぬ限り地球に平穏が訪れたとはいえない。
「そうだな、孫の奴を頼めるか?」
ーーー私、一応死人なんですけどね。
「ただの死人ではなかろう、界王様に認められた死人などそうはいまい。」
うぐ、と言葉を詰まらせながら小籠包は返す言葉がなかったのか、話題を逸らす。
ーーー現世に介入しすぎるのも良くないと思います。
「ふ、堅い奴め。」
ーーー神様はもうちょっとお堅く考えてください。
「肝に銘じておこう。」
かっかっかっ、と楽しそうに笑う神にため息をつきながらも最後まで神への礼節を忘れずにあの世との交信を終える。
「あいつ、やっぱり神様に失礼。」
「そういうな、奴の言うことはもっともだ。」
彼は自分相手に「未熟者」と断じた彼女に一目置いている。
そんな彼女がまたも命を落としたことは残念でならない。
地球の神龍ではやはり彼女は生き返らなかった。*2
「そろそろドラゴンボールもリニューアルしなければな。」
これからどんな悪人が現れるかわからない、
彼女の言う通り、この世の中にはどうしようもない悪党で満ちている。
最悪の事態に備えて地球の神龍にも進化が必要だ。
例えば、死者の復活に制限は…取っ払うべきなのかもしれない。
そう思ったが吉日、神は龍の模型をしまっている自身の部屋へお足を運んだ。神龍に新たな力をつけるために。
ドラゴンボールで転移させるのならラディッツ迎えに行く必要なくね?
とか思ったけど、流れ的にMVPを放置するのはあまりに可哀想なのでネイルを派遣しました。
さて、ヤードラットへのフラグが完全にへし折られました。どうなるんでしょうね。
補足
オリ主は界王星から各所に語りかけています。
肉体も実は界王様が回収しているため、実はクウラ撃破の時点ではもう既にナメック星にはない。
という感じです。後付けみたいで見苦しいですが申し訳ありません。
界王様の力を借りながら、思念を飛ばしてると言う形です。
最後の神様とのやりとり時点で既に生き返っていますが、前述通り肉体と魂はあの世にあるため、地球には転送されておらず、その後自力で帰ってくる感じです。
瞬間移動やっぱりずるい。