ドラゴンボールAT 作:澄ましたガール大好きおじさん
ナメック星編 完結です。ここまで来れるとは思わなかったので初投稿です。
フリーザとの死闘を終えた悟空は未だ生きてる彼を見下ろす。
うつ伏せに倒れ伏しながら夥しい量の体液を垂れ流す悪の帝王。
トドメを刺すべきか…しかしもう勝負は付いた…。
しかし、親友を殺したこの男を許すことはできない。
この姿はよほど無茶な変身だったのだろう。
加えてこのダメージだ。
フリーザの気はもはや見る影もないほどに縮んでいた。
その姿を悟空は「哀れ」だと感じた。
自分が手を下さずともこいつは死ぬ。
ならば…この時間を…せめてこれまで奪った命への反省の時間に充てさせてやる。
そう感じて背を向けた彼に…悲痛の言葉が投げつけられた。
「た、たす…け、て…。」
消えたはずの怒りの火種がふつ、ふつ、と湧き上がる。
ぎり…!と奥歯を噛み締める。
この期に及んで…今なんと言ったのか…!
こんな時にも…自分の利益しか考えていない。
こいつは、こいつは…どこまでも悪党だ。
「た…たの…むゥ…!たす、け…て…!」
無視しようと歩みを進めたが…流石に我慢の限界だ。
浅ましくと命乞いをする小悪党に怒号が響く。
「勝手なことを言いやがって…!貴様は…そうやって命乞いをしたものを…一体…!!」
そこまで言って、その言葉の無意味さを思い知る。
こいつは絶対に改心などしない。
小籠包のように、悪事を働いていたが、決して信念によるモノではないのだ。
そこに正義はない。
己の利益、それだけだ。
「たすけ、てぇ…!」
掠れた声での命乞い…仮に小籠包なら、ラディッツならなんの躊躇もなく彼にトドメを刺したのだろう。
だが…地球育ちの優しいサイヤ人、孫悟空には…亀仙流の孫悟空には、孫悟飯の息子である孫悟空には、目の前で「助けて」と願う存在を踏み躙ることは、どうしてもできなかった。
掌をむけて放つの気功波ではなく、彼の気。
与えられた気によって腹に風穴を開けながらも回復によって動けるようにはなるはずだ。
「そのまま、ひっそりと暮らしていろ。このオレに完敗した惨めなその姿でな…!」
もう、こいつの顔は見たくもない。
地震が激しくなる、早くこの星から脱出しなければならない。
背を向けてセーフハウスへ飛んでいく。
確か予備の宇宙船があったはずだ。
しかし、その背後から濃密で巨大な気が膨れ上がる。
ーーー貴様は…オレに…!
振り返ればフリーザが今まさに与えられた気を糧に己が力を膨れ上がらせて…気を昂らせている。
ああ、本当にどうしようもない奴だ…!
最期の機会すらこいつは利己的なことに浪費した。
そんな、そんな
全身から黄金の気を再び迸らせる!
バカヤロォォォォォォォォォ!!!!!
もう、容赦はしない。
フリーザが気功波を放つその直前、超全力のかめはめ波をぶっ放す。
なす術もなく、断末魔をあげることもできず、
宇宙の帝王は木っ端微塵に砕け散った。
「………。」
やるせなさに、拳を握る。
こんなことをしても、クリリンは帰ってこない。
タンバリンを倒した時にそれはわかっていたはずなのだ。
ーーーすまねぇ、じっちゃん達。
「帰るよ、悟空くん。」
地震が止まらないナメック星の中…肩を叩く聞き知った女の声。
胸元に小さな風穴の開いたドレスを着た…小籠包の姿がそこにあった。
「しょ、小籠包…お前ェ…!」
「説明は後。ほら、帰るよ。」
差し出された掌…金色の光を体の中に納め、スーパーサイヤ人を解除しながら悟空は静かにその手を握り返す。
「…すまねえ。」
その言葉と共に二人の戦士は一瞬で遠く離れた地から地球へと帰還した。
その後…残されたフリーザ兵士たちや、放置されたジースとバータ…彼らはなんとかナメック星から逃げ出すことに成功したのだが…
恐怖の象徴であったフリーザが消えて、彼らがどうなったのかは…語るまでもない。
「お父さん…!!」
小籠包によって、地球へと帰還した悟空、その足元に息子が泣きじゃくりながら抱きついた。
「悟飯…心配かけたな…。」
「ううん、いいんです!無事に帰ってきてくれて…!」
「悟飯くんー …!良かっーーー」
そんな甥っ子(ではない)の様子にもらい泣きしそうになった小籠包にも抱きつく男がいた。
「小籠包…!よく、よく帰ってきた…!!」
「ちょ…!ラディッツ…暑苦しいから離れて!」
「黙れ!貴様…!あんな死に方…今度は絶対にするなよ!」
「仕方ないでしょ…!あの時はーーー」
蘇る死の間際の記憶、仙豆を押し付けた瞬間を思い出す。
あの時は全くの考えなしだったとはいえ、自分がやったのは紛れもなく口付けである。
ーーーあの時は指先の感覚もなかったし…取り落とす可能性もあった…!不可抗力だ…!断じてそういうのじゃ…!
あれや、これや、しなくてもいい言い訳が羅列する。
何の為に?何に困惑しているのか?
その意味がわからない、頭の中がぐちゃぐちゃになってフリーズしているところに視界にラディッツがなだれ込む。
「どうした!まさかクウラにやられた傷が痛むのか!」
「あぁ…もう!離れろって言ってるでしょ!!!」
「ぉぐ!?」
界王拳10倍!何の躊躇もなくその腹目掛けて拳を突き立てる。
崩れ落ちるラディッツを突き飛ばして肩で息をする。
何だ?これは?どういう感情だ?
「兄ちゃん大丈夫か?」
「あ、ぁ…すまんなカカロット。」
「くくく、スーパーサイヤ人様にも弱点があるようで安心したぜ。」
突き刺さるターレスのニヤついた視線に腹が立つ。
ああ、決めた。今すぐにでもアイツを殺そう、そうしよう。
「ターレス、決着をつけてあげる。殺してやるわ。」
「そう怒り立つな、可愛い顔が台無したぜ?」
「お前にそんなこと言われても何もかんじないから。」
「そいつは残念…クックッ…!」
何かを察したようで今にも腹を抱えて笑い出しそうな様子。
今すぐにでも界王拳を20倍…いや40倍にでも引き上げてこいつを始末したい…!
しかしダメだ、目の前には悟飯がいる。
彼の前でそんな野蛮な真似はできない。
今度こそチチに殺されてしまう…!
「次会ったらタダじゃおかないから…!」
「怖い怖い。それまでに俺もスーパーサイヤ人にでもなっておかんとな。」
自分も散々耳にしてきた小悪党の捨て台詞。
まさか自分がこんなに情けないことを言う日が来ようとは…!
高笑いをしながらターレスは背を向けて仲間達の元にもどっていく。
その途中で振り返り、忘れてたように付け加えた。
「ダイーズの復活は無しだ。貴様らにこれ以上借りを作りたくはないんでな。」
「そう、安心なさい、ちゃぁんと蘇らせてあげるから。」
「全く…!本当に佳い女だぜ…!お前は…!」
さて、そんな二人の様子を心穏やかにしていない男がいる。
ラディッツだ。
どう見てもこの二人のやり取りはウザ絡みする男とガチ嫌悪する女の様相なのだが、彼の目にはそうは映らない。
なぜなら、彼女はラディッツにあんな風には絡んでこないからである。
小籠包のこれはいわば威嚇のポーズなのだが…たった今、界王拳20倍パンチを受けた彼はガチ拒絶されたと勘違いしている。
ーーーや、やはり…あれはただの不可抗力か…!
彼女にとって自分はただの同僚、地球にいる時はほとんどピラフルームの居住スペースでほぼ寝食をともにしているので、嫌われてはいないとは思っていたが、それとこれとは話が別か…!*1
などと考えているところに悟空が割り込む。
「なぁ、どうして小籠包は生き返ったんだ?」
「…あ、あぁ。ナメック星のドラゴンボールは…人数は一人までだが復活に制約はないそうだ。地球のドラゴンボールと違ってな。」
「本当か!?じゃあクリリンも生き返ェるんか!?」
「おそらくな。」
やったー!やったぞー!
手放しに飛び跳ねて喜ぶ弟にすっかり毒気を抜かれてしまった。
これで誰一人欠けることなく、ナメック星から帰還したことになる。
あとは天津飯を蘇らせれば全て解決だ。
「おい、カカロット、ラディッツ。」
そんな兄弟にベジータが挑発的な目線で見上げる。
明らかに剥き出しにされた敵意…。
しかしそれは憎悪というよりは挑戦者のそれだ。
「頭に来るが…貴様らが俺を超えたことは認めてやるぜ…!だが勘違いするなよ…!最後にナンバーワンになるのは…このベジータ様だ!」
「あぁ、お互い頑張ろうぜ。」
「ちッ…!」
もう既に彼の頭から不老不死の願いはとっくに消えていた。
下級戦士と侮り見下していた二人の戦士に超えられてしまったのだ。
それこそ、不老不死などという下らない希望に時間を割くより1秒でも早く強くなる方が彼にとっては最優先事項にすげかわった。
「しかし…兄ちゃんはほんとすげえな!オラも負けてらんねえぞ。」
「お、俺の方こそ負けてられん…!簡単に抜かせると思うなよ…!」
弟のあまりに真っ直ぐな瞳に耐えきれず思わず視線を逸らす。
いつの間にか隣にいた小籠包がニンマリと楽しそうに笑う。
「神精樹の実でインチキしたなんていえないよね〜」
「しんせーじゅって。なんだ?食いもんか?」
まあね、…と答える彼女の頭をコツンとこづいて強制的に会話を終える。
「だ、黙れ小籠包…!帰るぞ!!ピラフのやつに報告しなければな!」
「はいはい。…悟飯くん、またね。」
「はい…!小籠包さんもお気をつけて!」
強引に話を切り上げられて飛び去る彼を尻目に…悟飯の頭を優しく撫でた後に後に続いて飛び去っていく。
その後、転移したナメック星人達による最長老継承の儀やら、彼らの処遇やら、ベジータの居候やら…ブルマによって諸々取り仕切られた。
後にブルマに丸投げされたことをピラフの居城にまで乗り込んで文句を言いに来たブルマだったが、それはまた別の話である。
人造人間編の前にちょっとだけ休憩させていただきます。
始まりは考えてますが…着地点が未だ決まっておらず…。
少し考える時間ください…申し訳ない…!
行き当たりばったりで行ってナメック星でエタりかけたので…。
いくつか間章を挟んでお茶を濁そうとおもいます。