魔法少女おじさんに未来はない   作:Mckee ItoIto

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 未来でもし逢えたら。素敵なことだね。


6日目:邂逅

・・・

 

 

 

 おじさんだよ!

 そろそろ全部終わるRTA、はぁじまぁるよぉ!

 

 

 

 そういうわけでさっそく魔物さんたちをボコボコのボコにしてる最中なのだけど。

 ここまでくると慣れてきて、やってる最中ぶっちゃけ暇になってきちゃったね。

 

 えーっと、そうそう。昨日は『伝達』ちゃんに会いに行って、最後に話したところで終わったんだっけ。

 この子とのフラグ立てはチャート上、割とハイリスクで、できることなら会わずに済ませたかったんだけど……。

 でもね、どっかの勘のいいガキ(暴言)がおじさんを、どうあがいても探し当てちゃうからね。

 未来をいっぱいみたけど、あの探索クソチートを回避できそうになかったから、もうそれはタイミングを調整して受け入れるしかなかったんだ。

 そんでそん時、万が一にでもこの子のヘイト稼いで敵認定されちゃうとその時点で詰むのよ。

 敵対が決定的になった時点で二択の未来しか観測できない。

 

 つまり、やるかやられるか(意味深)

 油断ならぬ相手。実際コワイ!

 

 いやいや、おじさんが戦いたくない相手って、実はめっちゃめちゃすごいからね?

 普通の魔法少女じゃはっきりいって戦いになった時点で、そもそも勝負にもならないよ。

 低消費、距離の制約もない、障害物も無視、瞬時に防御力無視のダイレクトアタックを仕掛けられる。

 こんなイカレたチート魔法を使う条件が、対面するだけでいいってまじやばだよね。

 正直、魔物には効きにくいから存在を許されてる感ある。

 

 この子とは最後の最後に会ってその場で説得するより、予め会っておく方が費用対効果的にお得だった。

 だから結構なリソースを消費して一応成功する前提で会いにいったものの。

 実際対面するときは内心結構ドキドキしてたりしたんだ。

 

 

 これが……恋? (吊り橋効果)

 

 

 ほいで、『伝達』ちゃんに会うと決めた時点でこの子に隠し事は出来なくなっちゃうし。

 伝える意味もあるから聞かれなくてもある程度は打ち明けるつもりだった、のだけど……。

 どうやらおじさんのギャップにクラクラ来てるみたいだ。罪作りだね。

 

 ……まぁおじさんは馬鹿だけど鈍感ではないので何を思われたかくらい本当は分からんでもない。

 

 でもそれは君に関係ないことだろう?

 やるべきことをやる。それだけの話なのだから。

 君は君のやるべきことをやっている。だから分かってもらえるはずだ。

 

 観測で彼女の様子を確認しようとも思ったけど、まあまだ問題ないことは知ってるので放置中。

 

 

 

 さて、気を取り直して予定を確認しようか。

 色々ラストイベントがある最終日のウェーブ数はできれば20~30ウェーブ……100体以下まで抑えたいところ。

 というわけで、ここ3日間連続で1500体、30秒殲滅だと足りないので目標20秒殲滅で頑張ってきた。

 なので今日の予定は1000体だね。これも半分くらい終わって、消化試合みたいなもんだ。

 もう魔物も残り少ない。だいぶ終わりが見えてきた感じ。

 

 あ、そういえばだけど、以前話題に上がった仲間になる魔物はすでにお亡くなりになってるよ。

 魔王様(仮)の研究仲間で、数少ない頭かしこな猫っぽい可愛い魔物だ。

 魔物だからくそでかいけど。

 

(……魔物が仲間?)

 

 あ、やっと復活した。

 そうだね。この時間軸の君らはまだ魔界のことも知らないけど、そんな未来もあったんだ。

 

 もしもこの世界が魔法少女ものな物語なのだとしたら。

 正史とも言える未来では、この魔物が最終的に特異点を閉じてくれる。

 

 こいつにも、「なんか異世界の生き物が仲間のせいでいっぱい死んでる。可哀想」って思うくらいの倫理観があるみたいで。

 そっからずっと特異点を閉じる研究をしてたそうだ。

 そしてついに完成したから向こう側の処理をして、こっち側の処理をするためにやってきたって流れで登場する。

 で、いろいろあって、特異点が閉じられるのだけど、もちろん特異点が閉じられたら魔力の流入が止まる。

 なのでこちら側に閉じ込められた魔力生命体な猫さんは、そのまま衰弱して死んでしまうってことになる。

 

 みんなに看取られて、満足げにね。

 

 本来ならこいつが来るのが、大体2、3年後くらいかな?

 そんで、その物語の主人公ポジションは『察知』ちゃんだ。

 特異点は猫さんでも見えないから、この猫さんは『察知』ちゃんの相棒みたいになる。

 そして『察知』の魔法はこれから成長していくと、ほぼ未来を見れるのと変わらなくなっていくんだけど。

 それはおいといて、色んなイベントがあって見どころさんはたくさんあったよ。

 いやあ、弱っちい『察知』ちゃんが魔力暴走でボロボロになりながら戦う姿には、おじさん涙を禁じ得なかったねぇ。

 

 ま、観客として見る分には面白かったかな。

 でもプレイヤーとしては流石にちょっと悠長すぎるね。

 そもそもおじさんこのエンディングには納得いってないし。

 

(私たちの敵が、どの面下げて)

 

 そうだね。おじさんも同意。

 だからこいつはおじさんの経験値になってもらった。

 割と高位の魔物だったからうまあじです。

 

(……そもそも、どうして、一週間なんですか)

 

 お、そこ聞いちゃうかー。

 そりゃおじさんの至高のチャートのこと、気になっちゃうよねー。

 こないだは時間なかったから端折ったけど、別に隠すことでもないからね。

 もう最後の最後だから、今日は解説回ってやつだ。

 じっくりねっとり教えちゃうよー。

 

 とりあえず、おじさんの『未来選別』には時間的制約が無いんだけどさ。

 

 あ、これは別に好きな時間にアクセスできるって意味じゃないからね。

 念の為断っておくけど。

 

 ともかく、未来を見ている間は時間が経たないんだ。

 だから、おじさんの頑張り次第で限りなくゼロに近い可能性を100%にできる。

 

 だけどそうだなぁ、確率論ってわかる?

 厳密な数学的確率論では、どれだけ確率を掛け合わせても元の発生確率がゼロでない限りゼロにはならない。

 だけど、現実の確率って色んな要因が複雑に絡まっているから、そうとも限らないんだよね。

 特に物質的な制約があると上手くいかない。

 

 おじさんは魔力変換の代償を無限の観測と決定で乗り切ってるんだけど。

 魔力核が無限に魔力変換できるかっていったらそうでもないんだ。

 

 いずれ、確率の丸めが起こる。臨界点といった方がわかりやすいかな?

 うーん……例えば、鉄砲で一発撃たれたとする。ちょっと物騒だけど。

 死ぬかもしれないけど、多分死なない確率のが高いかな?

 死ななかったけどもう一発撃たれる。多分まだ死なない確率の方が高い。

 じゃあもう一発。死ななかったらさらにもう一発。

 生きている確率はどんどん下がる。さて、どこまで生き残れる?

 

 生身の生物である以上、最終的には、どう足掻いてもゼロだ。

 

 さて、本題。

 未来の選別には無限乗積が通用するものと、それ以外があるのだけど、違いはなんだと思う?

 レッツ、シンキングターイム!

 

(無限? 乗積?)

 

 ……あれ、高校で習わなかったっけ。

 えっとね、おじさんも高等数学はそんな得意ではないんだけどね、簡単に言うと。

 コイントスを無限に繰り返して一回も表が出ない確率っていくつ? って話。

 もしくはその逆。確率は繰り返すことでゼロか1に収束していく。

 そして本来、その確率がゼロになることは決してない。

 そもそも可能性がゼロなことを含めない限り、ね。

 でも現実的にはこれが通用しないことがある。何故だろうねってこと。

 

(確率にゼロが混じる?)

 

 それは前提として省こう。それぞれの一回一回は不可能ではないということで。

 

(世界に、コンピュータみたいな計算限界がある?)

 

 それも、まあいずれあるかもしれないけど今のところ関係ない。

 

(……何か別の損耗がある?)

 

 近いね。正確ではないけど正解でいいか。

 さっきの例えでいうなら、撃たれたことによる即死の状態異常を回避している。

 でも撃たれたことによって、ヒットポイントは削られていく。

 だから続けていけばいずれ必ず死ぬ。そういうこと。当たれば必ず傷つくという前提条件の元、その結末からは逃れられない。

 死にたくないなら、撃たれても一発も当たらないことを選択し続けなければならないんだ。

 

 魔力変換でいうなら、代償を絶対に発生させない最善は使わないこと。君みたいにね。

 つまり、そういうことだ。削れるものがある以上、それを補えなくなった瞬間、必ず破綻する。

 

 あー、魔力変換については君たちはどこまで知っていたっけ?

 ちょっとおじさん未来を視すぎててさ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()たまに混乱するんだよね。

 

 まあいいや。続けるけど、魔力核には属性の許容量ってのが存在する。代償の許容量って言ったほうがいいかな。

 魔力核は属性を材料に魔力を作る。そのサイクルの変換効率は非常に高いけど完全ではない。

 そして少しずつ代償による欠損が蓄積されていく。普通だと自然に回復して無視できてしまうくらいのそれが、いずれ限界を迎える。

 普通にしてればそこまでいくことなんかまず無いけどね。

 

 ここで、代償発生に伴う魔力核の破損、コアブレイクについても教えてあげるよ。

 

 代償発生が変換量に対しての確率ってのは伝えたっけ?

 同じく、代償発生量に対しての確率で魔力核が壊れる。

 すると、魔力核が常時やっている極々小規模の魔力変換がバグって大規模になる。

 本来は壊れるというより暴走と言った方が近いね。壊れても、魔力核自体は死んでなくて生きているから。

 壊れた魔力核により、そのまま属性の変換が止まらなくなり、代償が発生し続ける。

 属性の自然回復量を常に変換量が超えてしまって、結果として属性が消えてしまうってことだ。

 

 おじさんの場合、魔力変換のし過ぎで代償発生が回避できなくなる。この限界が今回のチャートでの一週間。

 その間に溜めに溜め込まれた桁違いの代償量により、これまた許容量を超えて回避しようもなく確実に一発でコアブレイクを引き起こす。

 

 

 

 ()()()()()()()()()()()

 

 

 

(……)

 

 

 

 まぁおじさんは過去を見れないから、直接知っているわけじゃないけどね。

 多分、そういうことなんじゃないかな。

 

 おじさんたちみたいな万能チート系は意識的無意識的問わず、自分の魔力核に干渉してそういうことができるから。

 

 『幸運』ちゃんとおじさんの違いは、その瞬間を知っているか否か。

 いやまぁ他にも『幸運』ちゃんとおじさんの違いはいっぱいあるんだけどね。人格的にとか。

 おじさんはただのエゴでやってるから彼女みたいな聖人君子にはなれないよ。

 

 

 

(……あなたの……場合は)

 

 

 

 いや、なんか死ぬとか思われてるみたいだけど、別に死なないよ?

 人は別に未来がなくなっても死にはしない。

 

 大丈夫だって安心しろよー。ヘーキヘーキ、ヘーキだから!

 

 

 

(……)

 

 

 

 信じてもらえないって辛いね……悲しいなぁ……(諸行無常)

 

 じゃあ()()()()()()『伝達』ちゃんには特別に、ネタ晴らしをしよう。

 

 

 

 

 

 ()()()()()()()()()()について。

 

 

 

 

 何をやるかってのは、前あったときも言ったけど。

 それをどうやるかまでは言ってなかったもんね。教えてあげるよ。

 

 とりあえず、魔物の殲滅は過程であって目的じゃないんだよね。

 

 そもそも、おじさんの『未来』の魔法ってどういうことだと思う?

 この魔法の本質はね、観測と決定。すなわち選別。

 じゃあ観測できる『未来』って厳密には何なんだろうか。

 

 これは単純に、これから先に起こりうるものすべて。

 

 ここでいったん、代償の話に戻る。『未来』の代償とは何かという話。

 代償とは属性を失うことと、属性によって起きた結果を失うこと。

 結果を失うのは『比重』だと分かりやすいね。変化させた物の重さが元に戻る。

 

 じゃあ『未来』は?

 

 

 

 そう、()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 当然、魔力現象と現実世界は齟齬があるから上手く元通りとはいかないところはある。

 どうなるかわからない部分も多くて、そのままではきっと歪な形で世界が書き換わるんだろうね。

 

 ところで。

 魔力現象にはタイムラグがあるって話をしたか覚えてないけどさ。

 それって同時には起こらないわけなのよね。

 順番的には、結果の消失、属性の消失の順に起きる。

 

 何が言いたいかというと、代償発生による属性の消失と、結果の消失は同時には起きてない。

 ほとんど同時だから普通は気づかないほどだけど。

 

 だからつまり、そのほんの僅かな時間だけは、()()()使()()()

 

 

 

 これから起こる、()()()()()()()()()()()()()を選択できる。

 

 

 

 どういうことか分かる?

 この一瞬に限り、『未来』の力で過去を改変できるんだ。

 

 もちろん、ただの代償ではそこまで大したことはできない。

 

 だから、魔物を殲滅する。4万体分の経験値で魔力核を成長させ『未来』を育てる。

 同時に魔法と魔力を使いまくって、魔力変換で代償を溜め込めるだけ溜め込む。

 

 魔物という一つの種族のすべてを犠牲にして。

 最後の最後、現実世界に、どかんと一発、思いっきり叩きつけてやるんだ。

 

 さっきも言ったように、魔力と現実は本来相容れないシステム。

 そんな異常なレベルの魔力現象をいっぺんに許容することなんかできっこない。

 オーバーフローのバグのようなものが発生して、本来選択していなかったことまでうっかり書き換わってしまう。

 それを無理やり、起こった出来事に現実を合わせようと世界が変化する。

 

 どういうことが起こるかというと、起こってもいないことが起こり得るわけだ。

 逆もまた然りで、起きたことが起こっていないことにもなったりする。

 

 特異点の魔力過剰流入とおんなじで、下手したら世界が滅ぶね。

 でもまぁそれはちゃんと選別して大丈夫だから安心していいよ。

 

 

 おじさんがやろうとしてるのはね。

 過去を、魔物がいない世界にすること。

 

 

 魔物が絶滅したという記録を残したまま、過去の書き換えが行われるように上手く選別する。

 そして魔物がいないという結果に基づいて、また世界が書き換わっていくのも上手く選別する。

 

 魔物がいないということは。

 魔力がばら撒かれないということだから魔法少女も生まれない。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 更に過代償で思いっきりオーバーフローさせて、おじさんが魔法に目覚める前の過去にも干渉してくよ。

 大体、年齢分くらいまでは遡れるかな。15年前までいけるね。

 本当は特異点誕生まで干渉して消し去りたかったけど、これだけやっても足りなかったからね。仕方ないね。

 まあでも君との約束はこれで果たせるんじゃないかな。

 おじさんは嘘はつかないよ。

 

 

 

(それは……、質問に……答えてません!!)

 

 

 

 有耶無耶に出来るかと思ったけど出来なかった件。

 うーん、これも選別しとけばよかったかな。なんてね。

 

 えー、おじさんのその後、言わなきゃだめかな。

 まぁいいか。どうせ最後だし。

 

 そのあと『未来』を失ったおじさんは、生きてる。

 ただ、何もできなくなるだけ。

 

 『未来』は観測と決定って言ったよね?

 つまりそれは、魔力を使って何かに干渉した結果を視て、選別するというわけなんだけど。

 『未来』を失うとあらゆる干渉ができなくなる。何も未来に残せなくなる。

 そして、干渉した結果も消えるということは、()()()()()()()()()()

 

 

 触れられない。話しかけられない。忘れられて消え去った存在。

 

 そういう、幽霊みたいなものに、おじさんはなるんだよ。

 

 

 まあ魔法少女は魔力の影響も多少残ってるからしばらくの間は覚えててくれてるかもだけど。

 出来れば忘れてくれた方が綺麗な終わりになるけど、『未来』が消えたあとの未来はほとんど視えないし選別もできないからね。

 もしも結構長く覚えたままだったりしたら、ごめんね。

 

 それでもおじさんは生きてる。

 草葉の陰から、みんなの幸せを覗けたら、それで満足なんだ。

 

 

 

(……っ)

 

 

 

 あ……、通信切れた。というかようやくキャパオーバーかな。

 最近忙しくさせてごめんねぇ。まあおじさんのせいなんだけどね。

 おじさん、年だからうっかり情報の痕跡をポロポロ落としちゃってるんよー。

 ()()()()()()。そして情報が()()()()一斉に集中しちゃったんだろうな。不思議だね。

 

 まあこの子がちゃんと無事なのは知っている。

 君は頑張りすぎだからね、ゆっくり眠ってるといいよ。

 起きた時には()()()()()()()()()()。おやすみなさい。

 

 さて、さて、今日の残りを何とか今日中に終わらすぞ!

 

 

 

 イクゾー! (例のBGM)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・

 

 

 

 

 

 

 

「やっと、見つけた」

 

 やあ、ようやくだね『察知』ちゃん。

 

 

 

 

 

 

 

・・・




 子供は傷付きながら成長し、大人は傷を隠して仮面を被る。
 次回『終幕』

 この少女に未来はない。

『幸運』の番外編、要る?

  • イラネ
  • 要るけど先に完結させろ(完結後更新)
  • 要るからはよ寄越せ(7日目前に出来たら)
  • チェンジ(他の番外編を所望)
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