キョウセイプログラム 作:獄華
美咲は有り得ない場所で目を覚ます……。
「お姉ちゃん……」
「うん〜……あと15分……」
「お姉ちゃん!」
「わっ!」
美咲は自身に呼びかけられた声で目を覚ました。
見たことない少年が自分を呼んでいただけでも驚愕するところだがすぐ別の異変に気づく。
家で寝ていた筈なのに……自分の学校の校舎にいたのである。
ご丁寧に服装も寝間着ではなく制服になっていた。
「どうなってんの……?。って言うか君は誰?」
「僕。長谷川一樹。気がついたらここにいたんだ……」
「そうなんだ……あ、私は篠原美咲。宜しくね一樹君」
「うん!。宜しく美咲お姉ちゃん」
―――――何か、歯痒いな……。
ポリポリと頭をかく。
「でも本当にこの世界はなんなんだろうね。夢かと思ったけど。このコンクリートに立つ感覚は本物だし……夢にしては風当たりとかがリアル過ぎるよ」
「うん……。ぼく……お父さんとお母さんと寝てたのに……なんでこんな場所に………うぅ……ひっぐ……」
「一樹君。男なら泣かないの!。そんなんじゃ可愛い女の子寄って来ないよ!」
美咲は一樹の頭を優しく撫でた。
サラサラだ……きっと彼のお母さんが入念に手入れしてくれているのだろう。
「ご…めんなさい………」
「よしよし」
暫く美咲は抱き締めながら一樹をあやしてあげると彼は落ち着いたのか、泣き止んだ。
「美咲お姉ちゃん。ありがとう。もう大丈夫」
「よし良かった。それじゃとりあえず……この異世界(?)から抜け出す方法を考えようか」
「うん……」
美咲と一樹が屋上の扉を開け、校内に入ろうとすると
『アッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!』
と言う甲高い女の声が扉の向こうから聞こえた……。
「なに今の声……?」
「お、女の人の笑い声みたいだね……」
幼い一樹は言わずもがな、16年生きた美咲もこんなとち狂ったような笑い声は初めて聞いた。
恐怖が二人の進みを止めるが校内に入らなければ先に進めない。
他に道はないのだ。
音の聞こえ方からして扉のすぐ近くにいるわけではなさそうである。
「一樹君……怖いかも知れないけど他に道はない。私の後ろについてきて」
「う、うん…」
美咲は恐る恐る扉を開けると……見慣れた自分の高校の廊下が広がっていた……。
「大丈夫そうね……行くよ」
怖いのか声を出さずコクリと一樹は首を動かした。
また開いた扉を恐る恐る美咲は閉め、ある場所を目指す。
家庭科室だ。
あそこなら簡易的な武器が手に入る。
このまま出口を目指しても良いが……何も武器がない状態で狂ってる人間と出くわしたら危険なのは言うまでもない……。
『あはは!。ざまあみなさい健治!』
……先程より女性の声が近くなっている。
なるべく音を出さず二人は校内を静かに歩く。
聞こえるのは気でも違えたかのような女性の叫び声だけだった。
『ぁはははは!ここは地獄かしら!それとも天国!?。あいつを殺したのは私だけどあんな奴死んで当然なのよぉ!』
「やば……完全なヒスじゃん……」
「こ、怖いよ…」
「大丈夫。私がついてる。もう少しで家庭科室だからそこまで頑張ろう」
「うん……!」
『良いわ!この世界が私の為に与えられたなら私は私の成すべき事をしてやる!ハハハハハハハハッ!』
「ヒス女め……!」
忌々しく言いながら家庭科室へと二人は辿り着いた。
まだこの高校もとい世界からの脱出は終わっていない……。