彼岸花の妖精と天使は死神のそばに。 作:美女り鯛
それでは第2話もよろしくお願い致します!
【キャラ紹介】
名前:黒戸雪音 身長:190cm
容姿:白銀長髪 赤眼 中性的で非常に綺麗な美系
得意な事:特に。(本人曰く、大体のことができるため)
苦手:辛い食べ物、朝
チュンチュンチュン…
鳥のさえずりが朝を知らせる。
そんな気持ちの良い朝を拒絶するように布団を頭に被る一つの影。
絶対に起きないという意思を感じさせるその影に、地獄へと誘うモーニングコールが鳴り響く。
♪〜♪〜♪〜♪〜
枕元に置いてあるスマホからは誰かからの着信を示す音楽が鳴っている。
それを無視すると決めたのか一切動かない丸い布団の塊。
♪〜♪〜♪〜♪〜
無視…
♪〜♪〜♪〜♪〜
む…し…
♪〜♪〜♪〜♪〜
………
♪〜♪〜♪〜♪〜
「…あ"?」
『…おはよう。あー、寝起きのところ悪いんだが、今から出れるか?緊急なんだが。』
「…コーヒー、パフェ、おはぎ」
『フッ、分かった。この任務が終わったらお店に来なさい。詳細は今送るぞ』
「…わか…た。す…まん」
『なあに、付き合いが長いんだ。気にするな』
整いすぎている容姿でも隠しきれていないぐらいに、顔を顰めている雪音。
彼は低血圧なせいもあって、昔から朝は頗る苦手であり寝起きがくそ悪い。
のそのそとベッドから起き上がり、洗面台へと向かう。
歯を磨いて顔を洗い、軽くシャワーを浴び仕事着であるオーダーメイドの黒スーツへと着替える。
壁に立てかけてある日本刀とアタッシュケースを持ち、ミカから送られてきた情報を頭に入れていく。
(…千束が向かっているなら俺はいらない気がするが。この時間でこの場所なら、歩いて行った方が早いか)
雪音は玄関にある靴をベランダに持っていき、周囲を確認する。
(まだ早朝で人は少ないな。…行くか)
荷物を手にとってベランダから飛び降りる雪音。屋根へ屋根へと飛び移りながら、凄まじい速さで目的地へと向かう。
隣に住む天使がその光景を目撃し、固まっているとも知らずに。
目的地の廃ビル前に到着すると、外の非常口階段を見知った人物が駆け上り始めていた。
歩きながらスマホを取りだし、とりあえずミカに連絡する。
「こちら雪音、目的地に着いた。状況は?」
『随分と早かったな。またベランダから来たな?』
「周囲の確認はした。それで、どうだ?」
『そうか、足挫かない様に気をつけるんだぞ。今はリコリスが1人人質に取られている。膠着状態だが、このままだとやばいな』
「相変わらず司令部は無能の集まりだな」
『そう言ってやるな。みんな頑張っている…はずだ。…見えてるだろうが、今千束が非常口階段から6階へ向かっている。合流して待機してもらえるか?』
「フッ、ミカは優しいな。6階だな、千束を回収して行く」
通話を切ると雪音は階段に向かって走っていく。普通に階段を使うのはめんどくさいのか手摺を足場に上へと上がっていく。
「あれ!?ユキがいる!なんで!?」
「よお、千束。おはよ」
「おはよう、ユキ!って、なんでユキもいるの?これもしかして結構やばい状況!?」
「朝から元気だな。とりあえず遅いから来い」
「うぇぇ!?ちょちょちょっとっ!?」
質問攻めする千束を無視し、その手を取って抱き寄せる。
一気に身体に熱を帯びる千束、それに対して、こいつ体温赤ちゃん並だ、と見当違いなことを思う雪音。
急に静かになる千束を横抱きし、颯爽と6階へ向かった。
「こちら雪音。千束と一緒に6階へ到着。現在の状況は変わらずか?」
『流石に早いな。…ああ、だから3カウント後に突入、制圧してくれ』
「生死は?」
『商人は確実に捕えたいらしい。まぁ隣に千束がいれば殺す事はないだろう。
…そう言えばさっきから千束が静かだが、何かあったのか?』
ミカに言われて、今の今まで密着していた事を忘れていた雪音。そっと胸元にいるやかましさの権化たる千束の顔を覗き込む。
「……」
「…ちさt「ひゃイッ…」…いつも通りのおかしさだな。ミカ、こっちは問題ない」
『…私は知らないぞ。今から5秒後、カウント開始だ』
「雪音、了解。…千束、5秒後カウント開始だ。早く終わらせてミカのコーヒー飲むぞ」
「ひゃ、ひゃい!」
「…流行ってんのかそれ」
流行りに疎い雪音は、先ほどからの千束のおかしな返事に、割と真剣に自分自身で流行を学ぼうと決意する。今までは、何かと世間の流行などに敏感な千束から学んでいたのだが、等々成長する時がきたらしい。基本めんどくさがりな性格の雪音からしたら、これは大きな成長である。ミカが聞いたらお赤飯を炊いてご馳走を用意するぐらいには。
今は仕事中だと言うことを思い出した千束。なんとか冷静を取り戻し突入の準備を整えていた。
「カウント開始…3」
『2』
「1…とっつn「ちっ!千束伏せろ!」わきゃっ!」
カウントを終え2人がいざ突入する瞬間、雪音の耳にカチリッと弾が装填される音が聞こえた。明らかに重量感を感じさせるその後に雪音の頭に一つの武器が思い浮かぶ。
(相手が優勢になっている状況でリコリス自身の武器は制圧に向かない。となると相手の所有物か。リコリスが状況を逆転できると踏んだ武器、…まさかな)
雪音は突入しようとする千束の手を掴むと、すぐさま抱き寄せ頭に手を添えながらその場に押し倒す。
その瞬間、突如中から機銃掃射が始まる。次々と窓ガラスが割れ、廃ビルだからか銃弾がいくつも壁を貫通する。
雪音はすぐさまそのまま千束の上に密着するように覆い被さる。身長が190ある雪音が覆い被されば160ちょいある千束の全身をすっぽり隠せる。
「随分とヤンチャなリコリスがいたもんだな」
「○¥€〒〆〜!?」
先ほどから続く雪音との接触、せっかく冷静を取り戻したのにそれを全て無に返すほどの超至近距離の密着。そして抱き寄せられる瞬間、自分でも出したことのないぐらいに女の「きゃっ!」という声が出てしまい、恥ずかしさで茹で上がりそうになっていた。もはや千束のライフはゼロだ。
その証拠に、千束は現在行われている機銃掃射の音なんかは聞こえず、聞こえるのは己の声にならぬ声だけだ。もはやプチパニック状態になっている千束は完全に思考能力を失い、意味もわからず無意識のうちに雪音の背に手を回していた。
「おいバカ!抱きついても良いが手を出すな!弾が当たったらどうすんだ」
「わわわわごめん!」
こんなやりとりを繰り返しながら約10秒の機銃掃射を耐えた。
(千束はいつからこんなビビりになったんだ…)と悩む雪音を他所に、千束は顔を真っ赤にしながらもどこか幸せそうな顔で「にへへ」っとにやけ顔を晒していた。
『2人とも無事か!?』
「千束は壊れたが問題ない。中はどうなった?」
『…そうか、よかった。リコリスは全員無事だ。戦闘も起きてない事からもう終わったらしい。そっちにミズキが向かっている。3人でそのままお店に来なさい』
「了解した。俺は昼から学校に行く。秋奈が来い来いとしつこいからな」
『ああ、わかった。秋奈に今度でいいからお店に顔を出しなさい、と伝えてくれ』
「了解。…なあミカ」
『うん?どうした』
「千束がビビりになってるぞ。いつものイカれっぷりがまるでない」
『…あーそれはだな、お前と一緒にいる時だけだ』
「…なら一緒の仕事は極力やめた方が良いんじゃないか?」
『ま、待て!早まるな!とりあえず店に来なさい、いいな?!』
「わ、わかった」
『よし、直ぐ来い、今直ぐ来なさい。待ってるぞ』
初めて聞くキャラ崩壊したミカに驚いて声も出ない雪音。何か自分の発言に問題点があったか振り返るも、自分ではよくわからなかった。
目の前で自分の恩師と想い人が含みのある話をまあまあな声量でしても、千束の耳には入ってこなかった。
ミカとの通話が終わるとすぐさま次の連絡が雪音のスマホに届いた。
誰からなのか確認すると、ミカから自分たちを回収しに来てくれるミズキからだった。
「もしもし、雪音d『遅いっ!』…すまん」
『…あ"?よく聞こえなかったわね』
「…ごめん、なさい」
『…ったくもう、乳繰り合ってないでさっさと来なさいよぉ〜?下にいるからね』
「…ああ、ありがとうございます」
どうやらミカとの連絡中には下に着いていたらしい。これ以上待たせるとさらに怒りを買うと雪音の脳内が警告を鳴らしている。そう判断した雪音は、さっきから壊れている千束を横抱きにすると、すぐさま非常階段から飛び降りる。一応2人がいたのは6階なのだが、雪音は特に気にする事はなかった。飛び降り中にミズキの車である赤色のスーパーカーを見つけ、着地と同時に勢いを殺さずそのまま走る。
一連の流れを常人のミズキ視点から見ると、雪音が千束を姫抱きにしたまま6階から飛び降り、着地する瞬間には目の前にいた、という感じだ。相変わらず人間じゃねえな、と冷静に突っ込むミズキ。言葉にしないだけ偉い。
「おはようございますミズキさんお待たせしてすみません運転よろしくお願いします」
「お、おう、分かればいいのよ分かれば。‥てかなんで早口?」
「なんでもないです」
「そ!なんかイケメンを従わせてるみたいで気分良いし、いつものお転婆娘もなんかよくわからんけど黙ってるし、さっさと行くわよガキンチョ共ー!」
ミズキの容姿は緩やかウェーブの長いブラウンヘアと、赤縁ハーフリムの眼鏡が目を引く、理知的な印象を漂わせた美人である。
黙っていればいくらでも彼氏ができそうなのだが、その時折見せる残念な部分が全て台無しにしてしまっている。現在、絶賛相手募集中。
ミズキの運転で目的地である喫茶店【リコリコ】へと向かう3人。
飛び降りる際の姫抱きから嬉しさのあまり気絶していた千束は道中で意識が回復し、店に着くまで終始うるさかった。もちろん他2名はうんざりしていた。
店に着いた後、暫くミカのコーヒーや手作りパフェ、おはぎを満喫しながら休憩する雪音。一応営業中であるため、千束とミズキは店の和装制服に着替えているが、平日の昼間というだけあって現在の客は0人。そのため、雪音の隣で絶賛サボり中だ。
「いいなぁ〜私も学校行きたいぃ〜」
「あんたが行ったら1日で色々問題起こして即退学ね」
「ミズキにとって私ってどんなイメージなのよ!?」
「1秒でも動きを止めたら死ぬ」
「私はマグロか!」
「…寿司か、いいな」
「ちょおい先生!私を見て寿司を連想すんな!」
隣でやかましいトリオ漫才が行われてる中、スマホの通知を確認する雪音。
メッセージ欄に、腐れ縁である人物からたくさんのメッセージが飛ばされていた。
うざ、と思いつつも、もうそろそろ時間かと身支度を整える。
「ミカ、ご馳走様。もうそろそろ行く」
「お粗末さま。ああ、いってらっしゃい。気をつけてな」
「がっこぉぉ〜…」
「お前はしつこい。今年の学祭にでも来れば良いだろ」
「えっ!いいの!?」
「去年は仕事が被って行けなくてうるさかったからな。今年は楠木の方に当日仕事を送るなって言っておく。いつもの依頼も事前に話を通しておく。それでいいだろ」
「やったあぁぁぁー!行く!絶対絶対ぜ〜ったい行く!」
「ふっ、はいはい」
千束の百面相がどこかおかしくて、つい笑ってしまった雪音。普段からあまり笑わない雪音のそれはリコリコにいる人間からしたらとても貴重だ。故に、今回の笑った雪音の顔を見ようと、3人の反射神経はいつもの5倍は早かった。3人のジーッと見る視線を感じた雪音。恐る恐る3人の顔を見るとそこには…とんでもなく元の顔から崩れている、にやけ顔の3人がいた。
その瞬間、ブワッと恥ずかしさで顔が真っ赤になった。
「い、いちいち見るなっ!俺だって笑う時は笑う」
「あんたってほんと照れると可愛いわね。思わず押し倒しそうになったわ」
「お前は綺麗な容姿をしているんだ。たくさん笑いなさい」
「ユキぃ〜!ダメだ、今すごいユキを食べたい衝動にかられた!」
「もう黙れ!俺はもう行く、こっちに着くのは16時、いってくる!」
「「「いってらっしゃ〜い!」」」
恥ずかしさのあまり、飛び出すように店を出た雪音。
真っ赤に染まる頬とその整いすぎている容姿もあって、すれ違う人間たちは(スッゴイスタイルの良い美女が照れて頬を真っ赤にしてる!萌えだ!)と高鳴る胸を抑えながら悶えていた。
一応確認しておくが、雪音は見た目こそ容姿端麗の美女に見えるがしっかりと男性である。
学校の制服に着替えるため家に向かう道中、すれ違う人間全員が勘違いしていたこともあって、『超絶美女の甘い恋愛が見れるかもしれない』としばらく噂になったとか。
ここまで読んでいただいてありがとうございます!
お気づきかもしれませんが、この作品、台詞多め、駄文多めで構成されているため読みづらいかと思いますが、暖かい目で見ていただけるとありがたいです!
余裕が生まれたらコメントなどにも返信していきたいと思いますので、今後ともよろしくお願い致します!