神様転生という言葉をご存知だろうか。転生ものの一つで神様のミスによって死亡または、車やトラックに轢かれそうになった子供を庇って死ぬといった善行によって特典を貰い別世界、アニメ世界に転生するものだ。
これは古くから一次創作や二次創作の題材となり、多くの素晴らしい作品を生み出した。
何故このような話をするかというと……俺が神様転生させられたからだ。
何言ってんだこいつと思っている人もいるだろう。大丈夫、俺も意味がわかっていない。
転生してあの作品のキャラとお近づきになれたらいいな~。と空想したことある筈だ、俺だってある。しかし、本当に起きるとは思うはずないじゃん……
しかも気がついたらお決まり? の白い空間で目の前には神を名乗る男にあなたは死んだ。これから異世界に転生させると突然言われ、有無を言わさずに特典だけ告げられて気がつけば赤ん坊だ。
な? あまりにも唐突過ぎて理解ができない。
それでも少しずつ現実を受け止めてきた俺のテンションは上がった。だって転生、異世界だぜ。空想上の産物だった剣や魔法などファンタジー系や痛いけど熱いバトル系または、宇宙まで世界が広がり列車に乗って星々を旅するSF系の世界に行けると思ったらワクワクするだろう?
ウキウキ気分でどんな世界かなと期待していた。与えられた特典と共にどんなことをことをするのか、何処へ行くのか。この時の俺はまだ希望を持っていた。
両親と弟の名前を知るまでは……
俺が転生した世界は剣と魔法の世界でもなければバトル系の世界でもない。俺が転生した世界、それは……名探偵コナンの世界だった。
嘘だと思いたかった。だが、現実はあまりのも非情で俺の両親の名前は工藤優作と工藤有希子、弟の名前は工藤新一。あの死神工藤新一なのである。
いや、ふざけんなよ! 神の馬鹿野郎! 絶対に許さねぇ!!!
馬鹿、馬鹿なのか!? 魔法のない現実世界で、バトル系以上に血と死が蔓延したミステリー! こんな世界でどうやって生きて行けって言うねん!!
時間はループして毎日犯罪が起きて人が死ぬ世界だぞ! そこら辺にいるモブならともかく新一の兄とかバリバリ原作関わらせる気満々だろあの神ぃ!!
そりゃあコナンは好きだよ、青山先生凄いなって思うよ。映画だって毎年見に行ってるし……
コナン達がサラッとやってる犯罪も現実じゃないから気にせず楽しんでいたけどさぁ、現実だとただの異常者だぞ!
何なんだよこの世界、この家族。ピクニック感覚で殺人現場に子供連れて行ってさ、ただの小説家が事件に首を突っ込むなよ。何弟の幼馴染に服を買ってあげたり、旅行に連れて行ってんだよ。何で事件現場に連れて行ってもらったり、事件と聞くと真っ先現場に行って目を輝かせてんだよ。
もうやめてくれ、頼むから
何度も何度もやめろと拒否、注意してきた。だが、俺の努力と願いは虚しく父と弟に殺人現場に連れて行かれ母は他の家族の娘に構う毎日。
そんな家族に嫌気がさして、できる限り原作から離れようとして高校は帝丹高校とは別の学校に入学し家を出ることにした。これに対しあっさり許可した両親、放任主義だった事に感謝したのはこれが最初で最後だろう。
しかし、俺の高校入学と同時に両親はアメリカに行った。原作よりも早いアメリカ行きに母は「真君や蘭ちゃんが居るから大丈夫よ~」と何の根拠のない言葉を残して去って行った。
高校生ならまだしも中学三年生の弟を広い家にただ一人にするわけにもいかず、高校入学と同時に移り住むはずだった新居は一緒に住むはずだった同居人達に任せて俺は実家に残った。
学校が終われば急いで家に帰って掃除に洗濯、料理をして何度注意しても辞めない探偵ごっこで夜遅くまで帰ってこない弟の帰りを待つ。
いつしか弟のことを名前で呼ばず愚弟と呼ぶようになったのはこの頃からだ。
弟が中学を卒業して高校に入学、高校生探偵として名を馳せメディアへの露出が激しくなりだす頃には、俺は今度こそ実家を去り新居に移り住んだ。
さて、ここまで長々と俺の身の上話を話したがいよいよ神から与えれた俺の特典について話そう。
神から与えられた特典、それは超電磁砲や発火能力の超能力でもなければ特撮のベルトや運命の英雄宝具などの道具でもない。
俺、工藤
「真夜。どうかしたの?」
目の前で思い思いに寛ぎ過ごしている四人の男女と一匹の猫……崩壊:スターレイルに登場する謎多き組織、星核ハンター達だ。
先ずはクッションの上で丸くなっている黒猫、エリオだ。星核ハンターのリーダーであり「運命の奴隷」。未来が見える能力を持ち、この能力で物語の”脚本”を創り上げる。彼の目的が何なのかは誰も知らない。
続いて実家よりも広いリビングの真ん中で優雅にヴァイオリンを弾く暗い赤紫色の髪色の麗人、スターレイルの顔とも言えるカフカ。
三人目は、ソファに行儀よく座り目を閉じている黒髪長髪の男性、刃。他を圧倒する超絶剣技を繰り出す剣士であり、黒の組織や世界中の研究機関が喉から手が出る程の自己治癒力を持つ人物である。その治癒力は何度殺しても死ぬことのない不死身に等しく、また軽く七百年以上生き容姿が変わらぬ不老長寿というこの死神世界においてかなりやばい男である。
四人目はその刃の隣でチューインガムを膨らませながらゲームに没頭している銀髪ポニーテールの少女、銀狼。ハッキングの腕は世界、否宇宙において右に出る者はいないスーパーハッカーで
最後に俺のことを心配そうに顔を覗き込んでくる銀髪長髪の少女、ホタル。多くの開拓者達の脳を焼き、トラウマを残した罪作りな少女だ。一見か弱そうな少女に見えるが機械の装甲「サム」を身に纏えば辺りを一瞬で焦土に変えてしまう。
スターレイルではロストエントロピー症候群という病を患っており、医療カプセルから出られなかったが今世では病など患っておらず俺と共に学校に通い青春を謳歌している。
以上の四人と一匹が俺の特典である。
……いや、王の財宝とかの下手な特典よりも面倒なモノを貰ってしまったが星核ハンター達との仲はかなり良好だ。
エリオは小学生の入学時に俺の前に姿を表した。
俺の願いと意思を汲み取って事件に巻き込まれないように未来を見て脚本を渡してくれた時は、もう嬉しさのあまり泣いた。そしてその脚本を
そしてカフカ達は、俺が中学校入学時に姿を現した。
いくら神からの転生特典とはいえど彼女達も生きる有機生命体、時間の流れには抗えず年をとり老いてしまう。そういう事情もあってかエリオよりも登場が遅かった。刃の姿は変わっていないがカフカや銀狼、ホタルはゲームの姿よりもかなり若かったり幼かったりした。
原作開始直前の今では、かなり馴染み深い姿になっている。
「ねぇ真夜? 本当に大丈夫?」
「あぁ、悪い。少し考え事していた。もう直ぐで原作開始だからな」
「あー、そうだね。大変だけど一緒に頑張ろ」
笑顔で励ましてくれるホタルに心が洗われる。さすが誰よりもヒロインムーブをかまして開拓者の脳を焼いた女だ。
「ねぇ真夜、お腹空いた。ポテチ取ってきて~」
「こら銀狼、自分で取ってきなさい」
「お母さん?」
「もう夕飯になるからやめろ」
「えぇ~、まぁいいや。夕飯何?」
ゲームから目を離さず俺をパシらせようとする銀狼にホタルが母親のような発言、夕飯前だからお菓子禁止の会話。どこの家庭にもあるごく普通の光景だが、俺にとっては残酷な現実から癒してくれる最高の光景だ。
転生特典が彼女達で本当に良かったと思える瞬間である。
「からあげだ……ってそう言えば油切らしてたな。刃、悪いけど車出してくんない?」
「……」
俺の願いに無言で立ち上がろうとした刃だが、肩に手を置かれ制止されてしまう。
手を置いたのは先ほどまで演奏していたカフカだ。「ごめんね、刃ちゃん」と一言謝るとポケットから車の鍵を取り出して俺に見せてくる。
「私が運転するわ、いいでしょう」
「俺はいいが」
「……俺も構わん」
「なら決定ね。行きましょう真夜」
妖しく微笑み先を行くカフカの後を俺も財布とエコバッグを持つと急いでついて行く。ガレージから何台かある高級車の一つに乗り込みカフカの運転の下、スーパーに向かって走り出す。のだが……
「おい、カフカ。この道、いつものスーパーの道とは逆だぞ」
「いいじゃない。今日はいつもより遠いスーパーで買い物ついでにドライブしましょ」
「だろうと思ったよ。でないと刃の代わりに運転するとか言わないしな」
「あら、それは心外ね。今日以外にも運転してあげてるでしょう?」
「冗談だよ。それで、どうしたんだよ?」
ハンドルを握るカフカと両腕を組む俺達は、顔を合わせることなく正面を見据える。一瞬沈黙が車内を支配するとカフカはゆっくりと楽しげに口を開いた。
「ただ気になったの、あなたは本当に私達と共に行くのかをね」
「何を今更、覚悟ならできてるよ。そのために色々準備して来たんだから」
「ふふ、その内の一つがアレね」
フロントガラスの向こうには他のビルよりも頭一つ大きなビル、スターピースカンパニーの本社ピアポイントが見える。そう、スターピースカンパニーだ。崩壊:スターレイルに登場する存護のクリフォトを信仰する集団であり、宇宙各地で通用する通貨を発行する程の超巨大企業だ。
そして星核ハンターに多額の懸賞金を掛けている組織でもある。
だが、この世界のカンパニーは俺が資金調達やコネや伝手の入手。父と弟、怠惰な警察によって人生を滅茶苦茶にされてしまった被疑者被害者家族を少しでも救おうとして作った会社だ。
エリオに頼み込み当選する宝くじを教えてもらい、貯まった資金を元に中学入学と同時起業してカンパニーを立ち上げた。
銀狼に協力してもらってスマートフォンを作り出し、ガラケーが主流だった時代を一気に変え一大ブームを巻き起こした。
それ以外にも世界中の先進国に支部を持ち医療・電子工学・農水産・美術・エンタメ・建築などなど幅広く携わり、多くの人々が日常で使われているペンや食器などの殆どがカンパニー産であるほど世界に浸透している。
会社が成長するにつれて建物や土地も大成長を遂げるのは必然、あまりの広さにどこぞの自動車製造メーカート○タの未来都市の様に町を新しく作ってしまうほどだ。
本社を中心にそれぞれの部署に適した巨大施設に職員とその家族の為の社宅がエリアごとに建設され、仕事で疲れた体と心を癒すレジャーと娯楽施設に体を鍛えるトレーニングジム。社員の奥様の強い味方、違法物以外は何でも揃っているとんでもないショッピングモールが存在している。
これらの施設は福利厚生でお得な無料チケットが定期的に貰えたりする。もちろん町の住人以外の一般客も利用できる。
「こんなにデカくするつもりはなかったよ」
「そうね。でもエリオの脚本には書かれていたでしょう」
「その時の脚本はあまりにもアバウトだったんだよ。何だよ類を見ないほどでかくなるって」
「でも大きくなったおかげで家や車、趣味の収集だってできるようになったんだから」
カフカの言う通りだ。今住んでいる実家同等の大きな家も何台もある高級車だって買うことができた。
しかし、アレの収集が趣味なのは少し違う気がする。
「刀剣収集はこれから起こる脚本のため、そしてカフカ達と共に生きていくために必要だから集めてるに過ぎない」
刀剣収集、コナン世界では意外と格闘戦を強いられる。武装している黒の組織や逆上して襲ってくる犯人、特に顕著なのが劇場版だ。行きたくはないが脚本で戦うことが決まっている義経狂信者に元軍人、暴力団や海賊などなど。
それらに対抗するために集めているに過ぎない。刃に頼んで格闘術の稽古を付けてもらっているがそれでも手札は多い方がいい。
何より刀剣所持は法律に引っかからない。使用目的には引っ掛かってしまうが……
刀剣所持には銃砲刀剣類登録証があれば問題ない。しかも親への同意の必要はなく未成年者でも登録証があれば所持は許される。
カフカはそう、と相槌を打つと運転に集中したのか微笑を浮かべたまま無言となる。だが、その目はどこか悲しそうに見える。
ゲームでもそうだが、カフカはポーカーフェイスがあまり上手ではない。それに感情を顔に、特に目に出やすい。噓か真かゲームでもわかりやすかったし……
そんなことを考えていると、再びカフカが口を開いた。だけどその声音はいつもの飄々としたものではなくかなり真剣だった。
「ねぇ、真夜。本当に覚悟はあるのかしら? 私達と共に行くということは星核ハンターになるという事。この世界に星核がなくとも私達は自分の願いを叶えるため、エリオの脚本に従って動く。脚本の中には人殺しなどの犯罪を犯すことだってあるの」
「…………」
「あなたは犯罪に巻き込まれたくなくて、遠ざかりたくて家を出たのでしょう。それなのに私達と一緒に居るためだけにこれから犯罪に手を染めようとしている。これって矛盾じゃないかしら?」
……そうだ、その通りだ。俺は星核ハンターになり犯罪に手を染める。事件に関わりたくなくて家を出たと言うのに酷い矛盾だ。
自分でも思わず笑ってしまう。
「原作が始まればエリオの脚本も本腰を入れるわ。そうなれば今までの様に一緒に住み長い時間を共有することはできなくなる。でも会えない訳じゃないわ、たまには顔を出して会話や一緒に食事をすることだってできる」
「それは……」
「その代わりにあなたは、犯罪に手を染めずに済むし平穏を享受することができる」
俺の願いのためにカフカは厳しい言葉を投げてくれている。
確かに永遠の別れをするわけではない。カフカの言う通り時々顔を見せてくれるかもしれない。カフカと刃は言葉通り時々で銀狼はゲーム越しに、ホタルは時間を何とか開けて会いに来てくれるかもしれない。
でも、それは嫌なんだよ。
「カフカ、この世界に俺の求める平穏があると思うか? 俺が求めていたのは前世の時の様な日常とまで言わないが、事件に犯罪に巻き込まれずお前達と過ごすことだ。だけど、この世界はそれを許してくれない」
瞳を閉じ、「今日俺の身に何が起こったか知ってるか」と呟き今日の出来事を思い出し、話していく。
早朝、日課のジョギング中に爪楊枝咥えた男性と共にトラックに轢かれそうになる。銀狼にパシられコンビニでお菓子を買っていたら強盗に巻き込まれ、バスで帰ろうとすれば運転手の持病が突然悪化して意識を失いアクセル全開暴走バスに三途の川手前まで運ばれそうになる。
これが午前中の出来事だ。午後からホタルと昼食ついでに買い物をしようとショッピングモールに行けばレストランで毒殺事件が起き、最終的にはモール内に爆弾を仕掛けたと拳銃を持ったテロリスト共から言われ拘束された。
さすが日本のヨハネスブルク、犯罪都市の名は伊達ではない。テロリストは警察によって鎮圧されたが警察が来るまでの間、目が据わったホタルが大勢の前でサムを起動させようとして止めるのに一苦労したけど。
今日一日でこれだ。このような出来事が俺が生まれてからほぼ毎日のように起きている。
この話を聞いてカフカはどう感じてるのだろうか、銀狼に話したら「何それおもろ(笑)」と爆笑しそうだけど……
「愚弟が傍に居ようが居まいがこの世界は関係なく俺を事件に巻き込ませる」
視線を反対車線へと向ける。するとサイレンを鳴らし現場に急行しているパトカーが何台も通り過ぎていく。家を出てからこれで三回目だ。
「だから、俺が求める願いはもう平穏じゃない」
「じゃあ、何を願っているのかしら?」
「それは……」
「それは?」
「……カ、カフカ達とこの命が尽きるその瞬間まで一緒にいる事! それが今の俺の願いだ!」
俺の願いに一瞬黙るカフカだが、すぐに「ふふっ、そう」と笑い出す。
羞恥心で物凄く顔が熱い。窓を開けて涼もうとするも「もう目的地に着くからダメよ」と涼むことも許されず両手で顔を覆い顔を隠すことしかできない。
カフカ達と一緒に居るためだけに星核ハンターになり、この手を犯罪という黒と人間の赤い血で赤黒く染め漬ける。
きっと多くの人々から非難され軽蔑されるだろう。だけど事件に巻き込まれ、死体を見せられて気分が悪くなり、吐いてしまう俺を助けてくれるのは家族ではなくいつだってカフカ達だ。気分を紛らわせ落ち着かせるためにゲームに誘ってくれる銀狼と膝の上で丸くなるエリオ。吐く俺の背を優しく摩り傍にいてくれる刃とカフカ。震える手を優しく握ってくれるホタル。
特典の持ち主だから優しく接してくれているだけなのかもしれない。例えそうだったとしても俺は彼女達と一緒に居たいのだ。そのために犯罪を犯せと言うのであれば喜んでこの手を汚そう。
「……これでいいか? いくら反対しても俺は願いのために星核ハンターになるよ」
「えぇ、わかったわ。ならあなたと仕事ができることを楽しみにしているわ」
微笑むカフカの顔は微かに悲しみが帯びていたが、俺は見て見ぬふりをする。
長い運転を経てようやく辿り着いたスーパー、立体駐車場に車を停めて車を出ると同じく車から出たカフカと目が合う。
「聞いて真夜。選択の機会がある時に、自分が後悔するようなことはしちゃだめよ」
「……大丈夫だよ。俺は星核ハンターになったことを後悔する日は一生来ないよ。それよりも速く買い物を終わらせよう、銀狼達がお腹を空かせてる」
「えぇ、そうね」
その後、スーパーで買い物をしていたら殺人事件に合い警察の捜査で長時間拘束され帰り着いたのは十時を過ぎで銀狼には遅いと怒られ、ホタルには心配をされた。
ほんま許さんからな死神世界ぃぃ!!!
真夜くんが 特殊能力を使うのはありなし?
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星核ハンターなんだし使ってイイよ!!
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コナン世界で生まれたからなしで実力でいけ