星核ハンターと共に行く   作:セフィム

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遅くなって申し訳ない


日常と暗躍

 あの夜、カフカに自分の願いを告げた俺はエリオと取引をして星核ハンターになった。

 ホタル達は俺が星核ハンターになった事に何処か悲しそうな顔をしていたが、快く迎え入れてくれた。

 

 しかし、星核ハンターになったとは言ってもすぐ何か特別な事や犯罪を犯すこともなく。与えられたエリオの脚本に沿いながらホタルと共に高校生活を謳歌している。

 

「ほら、早くしないと部活に遅れるよ」

「バイク通学なんだから大丈夫だって……バイク持ってくるからヘルメット被って待ってろ」

 

 そして今日も俺はホタルと共に学校に行く。

 ヘルメットを投げ渡してガレージから愛車の特撮仮面ヒーロー疾風切り札のモデル車、ホ〇ダ・CBR1000RRを押して来る。

 フルフェイスのヘルメットを被り、ホタルを後部座席に乗せて落ちないようにしっかり捕まったことを確認するとエンジン音を響かせ早朝の町を疾走する。

 

 スターピースカンパニーの本社、ピアポイントを中心に作られた原作に存在しない町、星穹町。

 国や自治体ではなく会社が主導で町を作っているため、星穹町内にある様々な施設や機関に世界トップの技術を持つカンパニーの最新技術がふんだんに使われている。言わば星穹町はカンパニーの実験都市なのだ。

 

 そして、それは俺とホタルが通っている星穹学園も例外ではない。

 紙が媒体のノートや教科書が主流である他校とは違いタブレット端末や大型パネルモニターを使っての授業。冷暖房を完備した教室に体育館、コンビニ並みに品揃えの良い売店にほぼワンコインでお腹いっぱい食事ができる食堂などなど充実した設備。四年前に建てられた新築校舎なだけあって内外装は一切損傷がない。

 また、卒業後はエスカレーター式に星穹大学へと進学できカンパニーの作った学校ということもあって本人の頑張り様によってはカンパニーの入社も有利になる。

 

 そのため入試倍率はかなり高く全国から多くの中学生が受験に来る。俺だって前世の知識があったとしても落ちていたかもしれないほどで、ホタルと共に必死に勉強したのはいい思い出だ。

 

 建ち並ぶビル群を駆け抜け、バイクを走らせること数十分で星穹学園に到着する。

 校門前でバイクを停めて駐輪場まで運ぼうとした時、目の前にここ一年で見慣れた白いリムジンが停まった。

 

「おはようございます。真夜さん……それとホタル先輩」

 

 リムジンのドアが開き現れたのは、緩くウェーブのかかった明るい色のショートヘアと派手めのネイルが特徴の美女、大岡紅葉。

 そう、あの大岡紅葉である。劇場版「から紅の恋歌」で初登場し、せやかて工藤にご執心で遠山和葉のライバル登場というまさかの存在にSNSが一時騒然となった関西一の財閥令嬢で競技カルタの女王である。

 

 原作なら京都にある京都泉心高校に通っているはずなのだが、目の前の居る彼女は俺やホタルと同じ星穹学園の白を基調としたブレザータイプの制服を身に纏っている。

 

「おはよう、紅葉」

「おはよう、紅葉さん。さっきの間は何かな? あと真夜も先輩だからさん付けじゃなくてアタシと同じ先輩呼びでいいと思うな」

「あら、それはすいませんホタル先輩。でも真夜さんはウチの命を二度も救ってくれた恩人で未来の旦那さんです。先輩なんてよそよそしい呼び方はあきまへん」

「っ! 真夜はあなたの旦那さんじゃないでしょ!!」

 

 バチバチにやり合うホタルと紅葉。

 だが、紅葉がクスリと笑うとバイクを押す俺の横を陣取る。それを見てホタルも急いで俺の横に移動しようとするが、残念ながら紅葉の反対にはバイクがあり渋々紅葉の隣を歩く。

 

 どうして紅葉が京都ではなく東都に居るのか。何故俺と同じ星穹学園に通っているのかと聞かれたら先ほどの紅葉の言葉通り俺が彼女の命を二度救ったからである。

 話すと長くなるのである程度説明を省くが、一度目はもろたで工藤が出場した小学生のカルタ大会で誘拐されそうになっていたのを救い。二度目は中学生の修学旅行時に爆弾犯が俺と近くに居た紅葉に向かって爆弾を投げ、それを避けるため二人で清水寺の舞台から紐無しジャンプで救った。

 

 あの時は本当に生きた心地がしなかった……

 一応エリオの脚本には”清水寺の舞台から飛び降りる”って書いてあったから覚悟はしてたけど、本当に飛び降りるはめになるとは……清水寺の舞台って高さ約13メートルで四階建てのビルに相当する高さだぞ。大怪我もしくは最悪死ぬって、一応軽傷で済んだけど……

 

 殺意が高すぎる死神世界を恨んでいると紅葉の家、大岡家から声がかかった。

 二度も娘の命を救ってくれたから是非ともお礼をさせてくれと言われ、当時カンパニーの経営に困っていたのでそれを手伝って欲しいと頼んだら優秀過ぎる人材を紹介してくれてスマホの発売も相まってあれよあれよと今の大企業になっていた。

 

 そして紅葉は俺と結婚すると言い出して東都に来て高い倍率を突破して星穹学園にやってきた。

 その恋心は危ない所を助けてもらってドキドキする吊り橋効果だから俺に構うなとか言ったけど聞いてもらえず、むしろ「この恋の始まりが吊り橋だったとしてもウチは真夜さんのことが好きで愛してます。助けてくれただけやない真夜さんのカッコイイ所や可愛い所、困った所や失敗して落ち込んでしまってる所を見てこの胸がいつもドキドキしてるんです。やからそんなこと言わんでください!」と説教と熱烈な告白を受けた。

 そこからは学年が違うから授業にまでアプローチを掛けては来ないがそれ以外の昼食や放課後、休日などは殆ど一緒に過ごしている。

 

 しかしそんな紅葉が気に食わないのかホタルは、今まで以上に俺の傍に居るようになり今のように場所時間を選ばずバチバチにやり合う。この修羅場に男子からは殺意と嫉妬の視線を、女子からは好奇の視線を頂いている。

 でも伊織さんから聞いたが俺の居ないところでは普通に仲良しらしい。じゃないとホタルが紅葉が立ち上げた競技カルタ部に入るわけ無いし。

 

「ほら、いつまでもやり合ってないで部室行ってこい。来週杯戸高校のカルタ部と練習試合があるんだろ?」

「う~、じゃあ真夜。また教室でね」

「なら真夜さん、昼休憩にお伺いします」

 

 バイクを駐輪場に止め、ホタルと紅葉は並んで校舎の方へと歩いて行く。その時の二人は先ほどまでのバチバチではなく楽しそうに談笑していた。いや、切り替え早。

 俺はというと校舎とは反対の位置にある体育館に向かって竹刀袋と剣道着などが入った鞄を持って歩き出す。

 

 そう、俺が入部している部活は剣道部だ。

 刃から剣術や格闘術を教えてもらってはいるが、刀剣を武器にする以上基礎はしっかりやっておくべきということで中学校から始めた剣道を高校になってからも続けて日々研鑽を積んでいる。

 

 体育館までの道を歩いていると、突然後ろから衝撃が襲い次に肩に腕を回される。

 

「よぉ~真夜。また朝から紅葉さんとホタルさんとイチャイチャ登校して来たのかよ」

「アキラか。いつも言ってるがイチャイチャはしてない」

「シらっばくれるなよ! 星穹学園で一、二を争う美女二人を連れて登校とか羨まし過ぎて死ね! てか毎日毎日あんなん見せられてる俺たちの身にもなってみろ! 今からボコボコにしてやる」

 

 そう言って好戦的に笑うのは明るいオレンジ色に染めた短髪のイケメン、クラスメイトであり俺と同じ剣道部に所属する如月アキラだ。

 剣道の腕はかなりのもので三年生が部活を引退した今では、剣道部部長を務め部員やクラスメイト、先生からの信頼も厚い俺の友人である。

 

「やれるものならやってみろ。逆にボコボコにしてやる」

「おうおう言うじゃん。なら負けた方は放課後、マグドナルド奢りな。もちろん紅葉さんホタルさんの分も入ってるからな」

「それ、お前がただ紅葉とホタルに近づきたいだけだろ」

「黙らっしゃい! こうでもしないとあの二人と話せないんだよ!」

「それはお前がヘタレなだけだろ」

 

 「何だと!!」と俺の言葉に余計やる気になったアキラを連れて体育館に向かう。

 勝負については、わざわざ明記するほどでもないだろう。美女二人と放課後を過ごすための執念と気迫に引いてしまい俺の負けである。

 

 刃が家に帰ってきたらもっと稽古を付けて貰おうと心の中で誓った。

 

 ただ刃もそうだが、カフカや銀狼もカンパニー以外の仕事で家を空けることが多くなっている。

 それでも俺の願いのために必ず家に帰って食事を共にしてくれているし、たまに旅行やドライブに連れて行ってくれたりするのだが、今は何処に行っているのだろうか?

 

 

◆◇◆

 

 

 アメリカ、自由の女神やセントラルパークが有名な大都市の一つニューヨーク。

 昼夜問わず車と人が絶えず行き来し数多くの店舗が軒を連ねる活気あふれ夜はネオンが輝き一層華やかになる世界有数のショッピングストリート、タイムズ スクエア。

 そんな場所を一望できる高層ビルのエレベーターに一人の女性が乗っていた。

 

 女性以外に人は誰も乗っておらず、ただ一人だけの空間の中で彼女は瞳を閉じてヴァイオリンの演奏をしていた。

 しかし、彼女の手にヴァイオリンはない。俗に言うエアヴァイオリンである。

 

 優雅にエアヴァイオリンを弾く女性、カフカは響くビル内から聞こえる叫び声(・・・)悲鳴(・・)銃撃音(・・・)爆発音(・・・)、階表示版に流れるWARNINGの文字など気にせず演奏を続ける。

 そしてビル全体を大きく揺らす爆発音と振動によってエレベーターの電気が変わり近くの階に緊急停止したことでようやくカフカは演奏をやめた。

 

「私の出番じゃなさそうね」

「いや、ちょうどいいところに来た」

 

 誰もいないエレベーターの中でカフカの言葉に返事が返ってきた。

 声の聞こえた方には銀色の狼の横顔が写っている。しかし、ディスプレイ機器は存在せず空中に表示されているそれは、現在の最新技術を持つカンパニーの力を持っても再現できない未来の技術空間ウィンドウである。

 空間ウィンドウの先にいるのはカフカと同じ星核ハンター、銀狼である。

 

『アメリカ/NY(ニューヨーク)時間23時47分15秒。時間通りだ、カフカ』

「エリオの見る未来に間違いはないわ。さっきの爆発は何かしら、あれも彼の”脚本”に含まれてるの?」

『うん。”アメリカ/NY時間23時44分59秒、地下にある電気室が爆破されメイン制御システムの大部分がダウン”と書いてある』

「君がやったの?」

『”黒ずくめの組織”がやった。やつらはアメリカ/NYにおける30分前に侵入した』

 

 犯人の正体に思わず口笛を吹くカフカが浮かべる微笑みは心なしか嬉しそうである。

 

「私たちは黒ずくめの組織と交戦するかしら」

『わからない。エリオは何も言ってない、重要なことではないみたい。でも彼らはこのビルを襲撃することを掴んだFBIとの交戦で忙しいみたい』

「了解。じゃあ、ここからの行動は私が引き継ぐわ」

『了解。今度こそ私を楽しませてくれる? ここまでの行動は本当に退屈だった』

「ごめんね、今日の任務は退屈なの。ただ目標を”手に入れる”だけだから。でも、楽しみを見出したいなら、邪魔はしないわ。だって……」

 

 エレベーターの扉が開きとある階層に足を踏み入れるカフカ、その目の前には黒を基調としたスーツなどを身に纏った人物達とスーツの上にFBIと書かれた防弾チョッキを着た男女が拳銃を手に慌ただしく銃撃戦を繰り出していた。

 カフカの登場に「Why are there ordinary peple here(何でここに一般人がいる)!?」「 don't know(知るかよ)!」「Fuck(クソ)!」「What is that woman(何だあの女)!?」「No way,this guy is FBI too(まさか、こいつもFBI)!!」「Black coat!!(黒いコート) She's one of them(彼女も奴らの仲間)!!」その場に居た全員が銃をカフカに向けるも優雅にFBIと組織に歩み寄る。

 

 銃撃戦。一瞬でも気を抜いたら死ぬ戦場にもかかわらず恐怖を微塵も感じさせず笑みを浮かべるカフカに各々が困惑していると、突如カフカの両手の近くに紫色の粒子が現れた。

 粒子はカフカの手の中で徐々に形を形成していき黒と白の機関銃へと姿を変えた。

 丸腰だったはずの女がどこからともなく銃を出したことに驚く一同だが、それが彼らの最期であった。

 

「―――だって、彼の願いとエリオの脚本以外どうでもいいもの!」

 

 その言葉を皮切りにカフカは、引き金を躊躇いなく引いて銃弾の雨を黒ずくめの組織とFBIに向かって容赦なく降らせる。

 

 次々と絶命していく彼らだが、ただの的になる筈もなくカフカに向けて銃を発砲する。

 しかし、それよりも先に軽い身のこなしで銃の射線上から消えたカフカは距離を詰めて行きつつ機関銃を発砲して敵を確実に葬っていく。

 数分もしない内にフロアには黒ずくめの組織とFBIの死体が転がった。

 

 死体など見向きもせずフロアを進んで行くカフカ、途中黒ずくめの組織とFBIに何度も遭遇するも機関銃で蜂の巣に変え銃を取り出したのと同じように紫色の刀身をした刀を出して切り裂くなど彼女の行く手を阻むものを殺していく。

 

 そして一通りの黒ずくめの組織とFBIを始末したカフカは、手に持っていた刀を粒子にして消すと少し乱れた服装を直していく。

 床一帯を赤く血で染め上げ絶命した死体が転がるまさに地獄の場所に動く陰があった。

 運よく急所が外れ生き延びていた黒ずくめの組織の下っ端だ。彼は風穴が空きとめどなく溢れだす血と痛みを押さえ懐に忍ばせていたナイフを取り出す。

 

 完全に油断しているカフカに一矢報いようとナイフを構え走り出した。アドレナリンが出て痛みを忘れた体は覚束ない足取りではなくしっかりと床を踏みしめカフカに肉薄する。

 

Dieeeeeeeee(死ねぇぇぇぇぇぇぇ)!!!!」

 

 だが、ナイフは寸前のところで止まった。いや、届いてはいたのだろう。ナイフの切っ先から男の腕がまるでコンピューターのバグのようなモザイク状のポリゴンにさえならなければ―――

 何が起こったのか理解できず無くなった腕に叫び声を上げる暇さえなく腕から体へと一瞬でポリゴンへと変わりその場から居なくなった。

 

「他人の後始末は私の仕事じゃない。そうでしょ? カフカ」

 

 テーブルの上に座り空間ウィンドウを一瞬で操作して死体が転がる地獄の中でも顔色一つ変えずむしろチューインガムを膨らませる銀髪の少女、銀狼が居た。

 銀狼の登場に驚くこともなくカフカは楽しげに彼女に歩み寄る。

 

「もういいじゃない。で、さっきのはどこへやったの、銀狼?」

「座標は適当に決めた、こだわりはない。あの黒ずくめの組織の下っ端の行く先が気になるの?」

「全然気にしてないわ。ただ何回見ても、君のやり方って不思議だなって思っただけよ」

「現実データを修正しているだけ、言及する価値はない」

 

 そう言って空間ウィンドウに映っているものに集中する銀狼にカフカの興味を誘った。

 

「さっきから何を見てるの? そんなに面白いのかしら? 私にも見せてちょうだい」

「このビルのオーナーが所有してる美術品、そのリスト。でも全部が盗品だけどね、それでも興味深いものがたくさんある」

「例えば?」

「この刀は、紅桜。切れ味もさることながら月の光に照らすと紅色に刀身が妖しく光るんだって。真夜と刃がかなり気に入ってオークションで手に入れようとしたんだけど会場で火事が起きて品々が全部燃えたんだって」

「何でそんなものがここにあるの?」

「う~ん、どうやらこのビルのオーナーはオークション主催者でもあって裏で人を雇って会場を燃やさせてその間に品を盗んだみたい」

「そう。じゃあ、道中見つけたら真夜のお土産にしましょう。目標地点はどこかしら?」

 

 カフカの言葉に銀狼は空間ウィンドウを操作しながらとある扉を指さした。

 

「左の扉の奥の通路を進むと、オーナーが所有している美術品が飾られている展示室がある」

「”星核(・・)”はそこにあるの?」

「そうみたい」

 

 そう、とカフカは返事をすると銀狼と共に展示室へと続く部屋へと歩いて行く。

 道中別の階から聞こえてくる怒鳴り声や悲鳴、銃撃音が聞こえてくるも二人は気にすることなく足を進めつつ、たまに出くわす黒ずくめの組織の下っ端やFBI捜査官を蹴散らし二人は雑談に興じる。

 

「それにしても驚きね、この世界に星核があるなんて」

「真夜の見立てでは、この世界に本来存在しない真夜と私達が原因だと考えてるみたい」

「ふ~ん。詳しく教えて、真夜の考えを」

 

 コナンの世界には存在しない”万界の癌”とも呼ばれ、接触した環境や生物に超常的な変異を引き起こして極めて深刻な空間汚染も発生させる超危険な存在である。

 何故そんなものがこの世界にあるのか、真夜の考えはこうである。

 真夜を転生させた神、もしくは世界そのものが整合性を取ろうとして星核が現れているのではないかと考えている。星核がないのに星核ハンターとは名乗れない、事件や謎がなければ探偵である江戸川コナンの存在は必要ない。

 自分達星核ハンターを輝かせるために星核が現れている。

 

「なるほどね、じゃあ星核があるこのビルで組織とFBIがいるのは? 彼らと私たちを会わせるのも神、世界の意思かしら?」

「たぶんね、このビルのオーナーは組織とも繋がってたんだけどお金をネコババしてその報復として彼らが来てるみたい」

「だからってわざわざ襲撃までするかしら、しかもFBIに情報を掴まれてまで」

「さぁ? それこそ何かの意思かもね」

 

 興味なさそうに会話を切り上げようとした時、通路の奥の方から叫び声が聞こえた。

 

「止まって、前に何かいるわ」

 

 カフカの言葉に足を止める銀狼、空間ウィンドウから視線を上げるとその先には星核と同じこの世界には存在しないモノが居た。

 それは 黒を基調とした人型の怪物、その名を――――

 

「……反物質レギオン、ヴォイドレンジャー」

 

 ヴォイドレンジャー。彼らは壊滅の星神(アイオーン)、ナヌーク。その自我を持たない兵隊で宇宙のすべての生命を征服、壊滅させることを目的としている。

 両腕に鋭利な刃物を付けたヴォイドレンジャー。その周りには組織の下っ端やFBI捜査官の斬り刻まれた死体が転がっていた。

 するとカフカ達の後ろの空間が歪み、二体のヴォイドレンジャーが現れ二人を襲おうと構える。

 

「どうやら、待ち伏せされていたのは私たちみたい」

「でも、残念なことに囲まれたのは彼らね」

 

 そう言って二人は動いた。

 機関銃と刀を呼び出して目の前のヴォイドレンジャーに斬りかかるカフカ、右手に大型の近未来型の武装を取り出した銀狼は銃モードで二体のヴォイドレンジャーに量子の弾丸を浴びさせる。

 二人の攻撃を受け、一体は消滅。残りの二体は反撃しようと得物である刃を振るう。しかし、軽々と交わされてしまい追撃を受け最初の一体と同じように消滅した。

 

 組織の下っ端とFBI捜査官が成すすべなくやられたヴォイドレンジャーを軽々と倒したカフカと銀狼、その実力は一切衰えていないことを示した。

 武器を消してヴォイドレンジャーが門番をしていた奥の部屋へと足を踏み入れる。

 

「誰もいないわ、ちゃんと避難したのね。オーナーの指示かしら?」

「監視カメラ映像を見るとオーナーは組織を恐れて一週間前にとっくに逃げてる。避難作業はFBI捜査官―――ジェイムズ・ブラックという人が指揮したみたい」

「聞いたことない名前ね……あ、確かエリオは、私たちがオーナーに会うことはないって言っていたわ。ということは、本当にここにはいないみたいね」

 

 部屋は銀狼が言っていた通り多くの美術品が飾られ、その傍にはモニターで美術品の歴史や詳細について書かれていた。

 部屋を軽く見渡すとカフカは銀狼に顔を向けた。

 

「星核と……紅桜はどこ?」

「エリオの脚本に”星核”の場所の近くと書かれてた。けれどこの場所にはない紅桜もね……」

「―――つまり、星核と紅桜はこの部屋の隠し部屋(・・・・)にあるということね」

「盗品を堂々と見せるわけにもいかないからね、それに盗品と美術品を別々の所でセキュリティを強化して守るよりも同じ場所で守った方がいいからね」

「美術品で美術品を隠す。なかなかイイ性格してるわね、そのオーナー……で、ずっとリストを見てるけど手がかりは見つけたのよね」

「必要な手がかりはすべて揃ってる。あとはちょっとしたテクニックを駆使するだけ、部屋にある美術品とモニターを調べて。そこに隠し部屋への入り口があるはず」

「わかったわ、君のパフォーマンスを見せてもらうわね」

 

 そう言ってカフカは展示されている美術品とモニターを見ていく。

 どれもこれも数千万もする美術品ばかりだが、カフカは興味なさそうに歩き回る。絵画に壺、刀や宝石など様々あるが……ふと、一つの美術品を前に足を止める。

 

「ちょっと来て、銀狼」

「うん、当たりだカフカ」

 

 その展示物は他の数千万する美術品とは明らかに見劣りし、歴史や詳細がびっしり書かれているモニターには他と比べて圧倒的に少ない。

 

「で、見つけたけどどうするつもり? 君の案を聞かせてもらおうかしら」

「このビルのセキュリティすべてをハッキングする。美術品の説明書に最新のモニターを使用してるんだ、隠し部屋への入り口も……」

「ふ~ん、なるほどね。オーナーは最新技術に頼りっきり、だからシステムもしっかり影響するという考えね」

 

 銀狼が再び空間ウィンドウを操作すると説明書のモニターが次々と銀狼のエンブレムへと変わっていった。

 そして次の瞬間、目の前の展示品の土台が動きだした。横にずれた土台の先には扉が隠されていた。

 

「ほら、見つけた」

 

 二人は顔を見合わせると、扉に向かって歩き出す。

 扉を開けたその先には先ほどまで居た展示室とは比べ物にならないほど高価な美術品が飾られていた。そして部屋の隅のほうに光り輝く四角いキューブ、星核があった。

 

「星核確保」

「こっちも見つけたわ」

 

 銀狼がカフカの方へと振り向くと一本の刀、紅桜を持っていた。

 

「それじゃあ、真夜のもとへ帰りましょう」

「そうだね、アメリカの本場ハンバーガーもいいけど真夜の料理が恋しいしね」

 

 その言葉と共にカフカと銀狼は部屋を出ていく。それと同時に二人の体がポリゴンへと変わりその場から消えていく。

 数分もしないうちに二人の星核ハンターはビルから、アメリカから姿を消した。




 戦闘シーン薄いのは許して、カフカや銀狼のPV何度も見直して書いたけどもっと他の場所でガッツリ書きたいと思ったからまた今度で……

 最後の二人の脱出方法はオリジナルです。たぶん宇宙ステーションヘルタも同じように脱出してるはず……
 因みにビルのオーナーはジンに処刑されてます

 次回、原作ついに始まります。

真夜くんが 特殊能力を使うのはありなし?

  • 星核ハンターなんだし使ってイイよ!!
  • コナン世界で生まれたからなしで実力でいけ
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