新生【テスカトリポカ・ファミリア】、始動。
さて、そんなこんな我がファミリアにアーディ・ヴァルマが加わったわけだが……
加わってしまった、わけだが……
「何故だテスカトリポカ。何故彼女の入団を許可した?」
簡易テントの中で行われる歓迎のトウモロコシパーティの最中。
タイミングを見計らい、テスカトリポカに問いかける。
正直な話、俺には彼女をこの派閥に入れる理由が見当たらないのだ。
この派閥はあくまでも探索特化の派閥だ。
命を顧みず、冒険を成し遂げ、目的のためにより強くなるための派閥……もっと言えば、俺のためだけに立ち上げられた派閥であるとすら言える。
少なくとも俺はそう認識しているし、きっとテスカトリポカにとってもそうだろう。
この派閥の根底にあるものは、徹底的なまでの
であるのならば。
世界中のすべての人間の幸福を願う彼女にとって、この派閥は致命的に
彼女が所属すべきは、【ガネーシャ・ファミリア】であるはずなのだ。
「あァ? ……ああ、そう言うことかよ。勘違いすんじゃねェぞ。アイツが入りたいッて言ッたんじゃねェ。オレが入れッつッたんだ」
「……何だと?」
馬鹿な。
テスカトリポカが自ら
「うん、テスカトリポカ様がウチに来いって」
アーディに視線で問いかけてみれば、返ってくるのは肯定の声。
「……彼女は、戦士ではないはずだが」
「まァ……そうだな。どっちかって言えば戦士じゃねェよ。コイツは」
「であるのならば何故だ」
「わかんねェか? オマエのためだ」
「…………何?」
俺のため?
俺のために……?
「オマエはもうLv5になった。
「……そう、だろうな」
むしろそうでなかったとしても、無理矢理そうするつもりですらあった。
「ってなりゃァ、派閥の等級は上がるし、行く階層はその分下になる。その分迷宮に潜る時間は増えるだろうが、それに比例してギルドのクソからの無茶振りは増えるだろうし……迷宮に潜るのに必要な準備は滅茶苦茶増えるだろうなァ。要は今まで考えナシに出来てた事が出来なくなってくるっつう話だ」
「…………それは、そうだな」
俺はもうLv5であり、アルフィアを討伐した英雄でもある。
つまるところその
そんな派閥を、ギルドが見過ごすわけもない。
派閥等級はまず確実にA、向こうの会議の方向性によってはSもあり得るだろう。
となれば遠征義務が与えられるのは……まぁ、全く苦ではないのでいいとして、面倒なのは高等級派閥には社会貢献が求められるし、ギルドからの
これが【ロキ・ファミリア】や【ガネーシャ・ファミリア】のような大手派閥であれば全く苦にはならないだろうし、【フレイヤ・ファミリア】のようなギルドの命令全無視で罰金だけ払う事も、まぁ出来なくはない。
だが、それを可能にしているのは圧倒的な人手だ。
それぞれ都市最大級派閥であり、団員はそれぞれ百名以上。
それだけの人手があるからこそ、社会貢献にも人員を割けるし、罰金も容易く払える。
では従来の【テスカトリポカ・ファミリア】はどうだろうか。
うん、確かに俺ならば
だが、ここで問題になるのが俺が一人であると言う点だ。
一人であると言うことは持てる荷物に限りがあると言うこと。
いくら俺が飛行による高速移動が可能で【
支出の増加に、収入が追いつかない可能性があるのだ。
更に、そこへ
この人手であるし、流石に最初から【ロキ・ファミリア】並に求められるわけではないだろうが、しかしそれでも派閥等級がAかSになれば相応の数が要求される。
社会貢献の方はまぁ努力義務のようなので無視しても問題は無さそうだが、
探索と金策で首が回らないところに
であるのならばどうすればよいか?
それは人手を増やせばいい。
荷物持ちが……稼ぎ扶持が増えればそれだけ金は入ってくる。
では、どうやって人手を増やすか?
新入団員を
幸運な事に俺はLv5にして『大抗争』の英雄。有力派閥に入りたいと言う輩は出てくるだろう。
テスカトリポカの眼鏡に適う人間も何人かは出てくるだろう。
……ここまではいい。
だが、問題なのは『俺の深層探索について来られる程度の実力』が求められる事だ。
勿論、オラリオ外から来たばかりの新人にそんなものが務まるわけがない。教育が必要だ。
しかし教育を施そうにもギルドはそんなものを待ってくれない。
となれば────
「ある程度の実力を持った人間を引き抜く以外無い……か」
思った以上に差し迫った危機であった。
強くなりたいと願うあまり、この辺の問題をすっかり失念していたらしい。
ええいクソギルドめ。
強さには相応の責任が伴うという言葉は何度か聞いた事があるが、相応の経済的負担も追加でくっついてくるなど聞いていないぞ。
そんなだから優秀な冒険者が育たんのだ間抜けが。
いっそのことフィンとオッタル引き連れて反乱でも起こしてやろうか。
……いや、オッタルはともかくフィンが良しとしないな。やめておこう。
「……しかしアーディ。仮に義手義足を用意するとして、戦えるのか?」
「まだわからないけど、多分戦えると思うよ?」
「……大丈夫なのか?」
「オマエは忘れてるかもしれんがオレも義足だぞ?」
テスカトリポカがズボンの裾を捲る。
その瞬間は色白な肌色がのぞいていたが、しかしすぐにその表面が煙に包まれ、その中から黒光りする黒曜石製の義足が現れた。
「……なら、戦えるか……」
そう見せられてしまえば納得するしかなかった。
まぁ、うん。何なら別に戦えなかったとしても最低限サポーターとしての役割さえ果たしてくれれば構わないだろう。
「……しかし、まだ色々と考えるべきことは山積みだな。新入団員のこと、義手義足の注文先のこと、
「義手義足はもう頼んだから大丈夫だぞ」
「もっと先に言え」
何だって二人とも重要な事が事後報告なのだ。
「何処にだ。って言うか誰にだ」
「エルマーとアミッド」
「…………はぁぁあああぁぁぁ……………………」
何をまた勝手に……いやまぁ腕は確かだが!
絶対に最高の義手と義足が出来上がることはもう確定したが!
だが! それ以上に! 重要な事がある!!
「金は一体何処から出た!?」
「
「…………………………………………」
絶句である。
もはや言葉も出ない。
「……………ウッソだろお前…………」
がくり、と。膝を着く。
そう言うことか……そう言うことだったのか……
やけに……やけにすんなり
俺と……多分、
「…………完成は?」
「明日くらいじゃねェの?」
「楽しみだね!」
「…………アー、ウン。ソウダナ。タノシミダナ」
もう何もツッコむまい。
既に俺は悟りの境地に、或いは無我の境地に到達した。
もう何を言われても驚かないぞ。
「クソジジイからの話を聞くに
「うーん……5億ヴァリスくらいじゃないかな?」
「…………………………………ソウナノカ。スゴイナ」
派閥を離れる餞別、なんてレベルじゃねぇぞオイ。
あー……これで【ガネーシャ・ファミリア】にもとんでもないデカさの借りができてしまった。
それも俺の与り知らないところで。
「……えぇい、もういい! そっちの方はもう何だっていい! 今後の目標はまず新
「ああ。新入団員はLv3以上が最低でもあと二人は欲しいところだなァ。
「それはナシだ!」
「まァ、仕方ねェな」
俺が征くのはあくまで英雄街道だ。
あまり邪道には走りたくない。
「何はともあれ、これより新生【テスカトリポカ・ファミリア】、始動だぁ!」
「「おー!!」」
幸先は不安でしか無いがな!!
クソギルドめ!!
Topic:実は原作キャラに一人入団候補がいる(と言うかほぼ内定している)。もう一人はどうしようか考え中。最悪オリキャラになる。モデルはFateかFEを予定。