さて、そんなこんなで学区よりやってきた三人が、正式にウチの派閥入りしたわけであるが。
彼らのステイタスはというと、どいつもこいつも一癖二癖あるものばかりであった。
救いであったのはそれらが全て良い方向に傾いている点であるが、とにかくとんでもないステイタスであったことに間違いはない。
というわけで、まず一番まともだったレザーから紹介する。
『レザー・ラウンドエッジ
Lv3
力:I32
耐久:I11
器用: G238
敏捷:H123
魔力:I0
【狩人】:H
【耐異常】:I
魔法
スキル
【
・休憩時発動
・覚醒状態を保持したまま睡眠可能。』
「まるで迷宮攻略のために作られたようなスキルだな」
「そうだねぇ」
思わず漏れ出た俺の言葉に肯定を示したのはアーディであった。
迷宮の中において、休憩は非常に大事な要素の一つである。
しかし当然ながら、休憩には怪物の出現など相応のリスクが伴うものである。
だからこそ、冒険者は基本的にパーティ単位で行動し、他のメンバーが休憩している間に一人が警戒を保つ、という事を交代で行っているわけで、実際に俺とアーディもそうしていた。
だが、コイツのスキルはそんな休憩の常識を覆す。
コイツに見張り番をさせておけば、交代の必要もなくなるわけだから、より質のいい休憩がより安全に出来るというわけだ。
「怪物は、いつ襲ってくるか分からん。だから、用心をすることにした」
とは本人の談である。
どうにも学区に所属する前は、野良で怪物どもを狩る仕事をしていたらしい。
それも恩恵無しにだ。
だからこのような工夫が数多く必要だったらしい。
まぁ発現経緯が何であれ、このスキルは非常に有用なものだった。
是非とも有効利用させてもらおう。
さて、そんな感じでレザーの次に紹介するのは、グレイだ。
レザーは単純に『超使えるスキル』というだけだったが、コイツのスキルは常軌を逸しているとしか言えなかった。
『グレイ・ジェラルト
Lv3
力:E472
耐久:E451
器用:E409
敏捷:E406
魔力:I0
【耐異常】:I
魔法
【】
【】
スキル
【
・
・
・与えた損傷に応じて自身に治癒効果
【
・俯瞰的視点
・認識した相手のステイタス情報を取得』
一目見ただけでコイツのスキルはヤバいとわかった。
何て言うか、邪悪なオーラを放っている。
俯瞰的視点はいい。『学区』での鬼ごっこでそんな能力があることは把握していた。
だがステイタス情報を取得ってなんだステイタス情報を取得って。
「おおまかなステイタスと、持っている武器。他には残りの生命力とか、次の一手で動ける行動範囲とか……そのくらい? 怪物相手にも、一応は使える」
「フィンが聞けば卒倒しそうな能力だな」
というかフィンのみならず、この世界にいる大抵の存在……何なら神までもが大絶叫をかましたのち卒倒しそうなトンデモ能力であった。
コイツがその場にいるというたったそれだけで、秘匿情報であるはずのステイタスが丸裸にされるどころか、後どれくらいで死ぬか、次にどう行動するのかまで読まれるわけである。
指揮の出来る連中はよく戦況をチェスだの何だのと言った盤戯に例えるが、コイツはそのまんま戦況を盤戯のように把握できてしまうのだ。
相手の持ち駒から相手の盤面の駒がどう動くかまで、はっきりと。
正直俺にも意味が分からん。
まぁ使える以上は有効利用させてもらうが。
で、最後がタキオンであるが……コイツが俺的には一番ヤバかった。
『タキオン・アルヴェスタ
Lv2
力:H113
耐久:I11
器用:B732
敏捷:SSS2101
魔力:I0
【神秘】:H
魔法
【】
スキル
【
・疾走時、敏捷に高補正
・疾走時、五感強化
【
・一定時間以上疾走時、持久力回復
【
・敏捷が成長する
・執着の丈により効果上昇』
「………………………………………………ハァッ!!!?」
オラリオに来てから一番大きい声を出したかも知れない。
それくらいヤバいのがコイツのステイタスであった。
SSS? SSSだと? 一体何がどうなっている?
俺は、更に上を目指すことが出来たのか?
そして、それをむざむざ投げ捨てたとでも?
「詳しく説明してくれテスカトリポカ。俺は今、冷静さを欠こうとしている」
「詳しくッて言われてもなァ。ンー……下界の神秘だなこりゃァ。
「ぬぅ……」
そう言われてしまえば俺としても引き下がらざるを得ない。
下界の可能性は無限大であり、神々からしても未知、予想外としか言えないモノを生み出す。
そして暇を持て余した神々にとって、それらは大好物である。
多少なりと神々と関わり合いを持っているならば、こんなことは常識である。
そんな神の一柱であるテスカトリポカが、大好物と表現した。
であるなら、SSSなる表記は神からしても意味不明な代物、ということなのだろう。
「おい、タキオン。何か知ってるか?」
「えぇ……? 何だいこの表記……怖……」
「どういうことだよ」
当の本人であるタキオンまでもが困惑の表情でどうする。
「いや、本当に知らないよ、こんなの。私の知る限り、私の敏捷はS999だったし……こんなスキルも発現していなかった」
「ふむ?」
スキルの欄を見る。
【
・敏捷が成長する
・執着の丈により効果上昇
と、成程成程……
「まず間違いなく絶対にこのスキルが原因だな」
「しかもレアスキルの類だぜェこりゃァ。一応言っておくが、今発現したわけじゃねェぞ。元々発現してたモンだ」
「ふゥン……つまり、意図的に隠されていたという事になるのかな?」
「まぁ、そうなるだろうな」
しかしまぁ、そうとなると。
隠された理由は、ある程度ではあるが見当はつく。
「こんなスキルがあると分かったら、絶対に無茶をするとか、他の神に見つかったら面倒だとか、そんなところか」
「だろォな。つまらん連中だぜ」
テスカトリポカはそんな風に吐き捨てるが、俺は正しい判断だと思う。
コイツの性格を理解できているのなら、特に。
「ククククク……ハーッハッハッハッハ! これは、これは素晴らしいことを知ってしまったねぇ! つまり私の脚は、幾らでも速くなれるという事か! それも執着の丈に応じて! 興味深い! 実に、実に興味深い!!」
ほら、こうなるから。
元々狂気に染まっていた瞳を更に濁らせ、タキオンは哄笑を上げる。
その口角は限界まで吊り上がり、怖気のするような壮絶な笑みを作り出していた。
「だがまぁ、それでもランクアップは必須になるだろうな。速さは分かりやすい武器になる。戦えるように鍛えては貰うぞ」
「ああ、そのくらいは構わないとも! 未だ見えぬ光速の向こう側、私は既に、その切符を手にしていた……! あとはこれを活用するのみ、そうだろう!?」
「…………そうだろうな」
なんかコイツを上手く使いこなせるか不安になって来た。
まぁ、俺の手伝いをしてくれるなら文句は無いのだが……はぁ、もういい。
「とりあえず、3人のステイタスはそれぞれ確認できた。早速相手をしてやるから、準備を整えて庭に出ろ」
急造になるが。
深層でも動けるように、仕上げてやる。
Topic:原作のファイアーエムブレムは敵にカーソルを合わせるだけで能力値から行動可能範囲、スキル、必殺技、持ち物まで、何もかも看破できる。敵からすればふざけんなとしか言えない。
skeb開きました。
POTROTに書いて欲しい作品がある人は是非どうぞ。
https://skeb.jp/@POTROT185078