解釈に相違があれば是非ご指摘下さい。
本編は、時系列に沿って話が進めたいです。
Prologue.1
以下、実験のメモから抜粋
●被験者名:柳カオル
・身長:152cm
・所属:アビドス高等学校 元アビドス生徒会
実験開始1日目
バイタル:異常なし
神秘:異常なし
「黒服さん」
「はい、いかがしましたか?」
「本当に、ユメ先輩は無事なの?」
「・・・ええ、梔子ユメのことであれば、しっかりと生きていますよ・・・
どうやら、小鳥遊ホシノに介抱されながらも無事に学校に復帰されたそうです」
「そっか。なら、よかった」
「では、始めましょうか」
『キヴォトス最高の神秘』でないことは少し残念ではあるものの、彼女の『神秘』にはなかなか期待している。
しかし、失敗しても問題はない。
今回の実験は、所謂本番前の予行練習だと思えばいい。
逆に、失敗した時にどうなるかを観測できることに意義がある。そう言う意味では、失敗も成功と言える。
無論、成功すればなお良い。
実験については、一気に行うよりも毎日少しずつ経過観察をするのが得策であると考える。
まずは、様子見から始めたい。
実験5日目
バイタル:異常なし
神秘:異常なし
「カオルさん、調子はどうですか」
「拘束具がつらいこと以外は概ね問題ないよ。
そういえばさ、甘いもの食べたいんだけど、クレープ買ってきてよ〜」
「しょうがないですね、これも実験のためですかね」
実験から5日経過したが、変化があまり見られない。
原因は不明であるため、明日からもう少し
実験25日目
バイタル:異常なし
神秘:異常なし
「カオルさん、調子はどうですか」
「ユメ先輩とホシノちゃんは・・・」
「ええ・・・どうやらあなたを探しているようですね。
とは言っても、見つけられることはないでしょうが」
「・・・そっか。そういえば、
「お申し付けのとおり、まだ入金はしていませんよ。
にしても、本当に良かったのですか?」
「・・・うん、だってそうしないと、ホシノちゃんに気を遣わせちゃうし・・・ユメ先輩とホシノちゃんなら大丈夫だって信じてるから。」
もう時期、実験開始から一ヶ月が経過する。
実験開始当初は、甘味や暇潰しなどに興味を示していたが、
心理的状況に変化が生じている可能性がある。
また、バイタルに異常はないものの、返答にほんの少しの遅れが見られる。
脳波もチェックする必要がある。
明日よりチェック項目に追加する。
実験63日目
バイタル:呼吸・脈拍に異常あり
脳波:異常なし
神秘:異常なし
「・・・ユメ先輩とホシノちゃんは・・・?」
「どうやら学校にはいないようで、今日は観測できておりませんね。」
「なんで・・・うぐっ、はぁ・・・」
動機、咳などの症状が見られるようになった。
発熱はなく、『神秘』にも大した以上は見られない。
実験121日目
バイタル:呼吸・脈拍に異常あり 意識レベルに異常あり
脳波:やや異常あり
神秘:減少傾向あり
「・・・今日は、二人とも元気にしてた?」
「ええ、特に問題もなく。」
「そっかあ・・・うん」
被験者の目が、霞がかかったようにぼやけ始めた。
それと並行して、被験者の薄く淡い黄緑だったヘイローが、黒ずみ始めた。
事象としてヘイローに変化が生じた事例を聞いたことがない。
『恐怖』の影響と考えるべきか。
実験174日目
バイタル:呼吸・脈拍・体温に異常あり 意識レベルに異常あり
脳波:異常あり
神秘:減少傾向あり
「ユメ・・・先輩・・・ホシノ・・・ちゃ・・・ん」
「・・・今日は、ゲヘナ自治区周辺に出向いていたようですね。それといった問題は生じていなかったかと。」
「うぅ・・・ん」
梔子ユメおよび小鳥遊ホシノの名前をひたすら呟くようになり、意識の混濁状態が見られるようになった。
また、目は霞がかり、ヘイローはいよいよ色を失ってしまった。
バイタル・脳波共に異常値であり、『神秘』にも傾向に変化が見られない。
『恐怖』への適応とは言えない結果であるが、原因が何かを明確にしなければならない。
個体が悪いのか、実験方法が悪いのか、そもそもどの条件でも『恐怖』への適応は不可能なのか。
実験は失敗に終わりそうだが、最後に少しでも収穫を得たい。
実験245日目
バイタル:異常なし
脳波:異常なし
神秘:異常あり
「おや、ここ数ヶ月、ほぼ意識のなかったカオルさんが起き上がっている・・
中々珍しいではないですか、久しぶりにアビドスのお二方の近況報告ができそうですね。」
「・・・」
「・・・カオルさん?」
「・・・」
「・・・混濁していた意識が急に覚醒したかと思えば、これはまた・・・意識はあるようですが、もう少し詳しく調べてみましょうか」
突如として、バイタル・脳波の異常値が収まり、覚醒したかと思えば、無反応の状態がしばらく続いた。
調べてみると、どうやら記憶が無くなったようだ。
もっと正確に言えば、記憶が
ストレスや外傷的な要因である記憶障害は、あくまでも頭の引き出しに記憶をしまい込んでおり、それが見つからなかったりする場合が多い。
そのため、馴染みのある単語を聞かせると、一瞬は脳波や仕草に影響が出るものであったりする。
しかし、今回の場合は、まるでゲームのセーブデータで削除したかのように、記憶が頭から完全になくなっていた。
またそれと同時に、神秘の総量が以前と比べ物にならないほどに増加しているようであった。
『恐怖』への適応したといった訳ではないものの、実験の結果としては大成功だったといえる。