・・・今回も、感じ取ってください。
「おはようございま〜す。うへ〜、今日も髪の毛が砂でゴワゴワだよ〜・・・あれ?」
其処彼処に砂の舞うアビドスでは、ただの外出ですらすぐに砂まみれになる。
普段外に出る時は、スタンドカラーのナイロンジャケットで首元まで砂をガードしているものの、髪の毛だけはそうはいかない。だからといって、乙女の大切な髪の毛を切るわけにはいかないのである。
初めてホシノちゃんに出会ってから1週間程度経った頃。
生徒会の扉を開けて生徒会室に入ると、そこにはいつものユメ先輩だけでなく、若干無愛想な顔をしたホシノちゃんもいた。目を丸くしてぱちくりとしていると、
「カオルちゃんおはよう〜!
ねね、見て見て!じゃーん!!ホシノちゃんが生徒会に入ってくれることになりました〜!」
と、じゃーんと言いながら本当にじゃーんとサウンドエフェクトが聞こえてくる勢いでホシノちゃんを紹介してきた。
紹介されたホシノちゃんはというと、そっぽを向きながら小さい声で、「あ、危なっかしくてみてられなかっただけです・・・」とごちっていた。
生徒会への勧誘は難しそうと思っていた矢先にこれは・・・
全く、人たらしな先輩だ。
ただ、ユメ先輩の猛烈アプローチがあったのだろうと思う。
「とにかく!これで生徒会も3人になったね!よかった〜!!」
「それは本当に、よかった、です、く、苦しい・・・」
ユメ先輩にムギューっと抱きしめられ、絶え絶えにそう返事をした。
「じゃあ、折角だし、歓迎パーティでもしましょうか〜。私、クレープ買ってきたんですよ」
「おお!クレープ!パーティーにはもってこいだね!」
「いや、歓迎パーティーとかは・・・」
クレープを机に並べると、ユメ先輩は目を輝かせながらクレープを選び、ホシノちゃんは一歩引いてそれを見ていて・・
なんだか、一人増えるだけでも、狭い生徒会室の景色はこうも変わるものなんだなと、少し嬉しくなった。
・・・テンション上がってきた。
「よぉ〜し!ユメ先輩!今日は花火とかあげちゃいましょう!どうせ砂漠ですから火事の心配もありません!」
「よ〜し、やっちゃおう〜!」
「いや要らないです・・・あと、砂漠とは関係ないのでは・・?」
「その前に!記念に写真撮ろうよ!」
「いいですね!!ほら〜ホシノちゃん中に入って〜!」
「うわっちょっと・・・く、苦しい・・・」
パーティの前に、ユメ先輩の発案で記念写真を撮る。
生徒会室の中で、ニコニコとピースする2人と、その間にしかめっ面をしているホシノちゃん。
ユメ先輩の暴力的なまでのスタイルに押し潰されかけていて、なかなか面白かった。
ユメ先輩と比べると、私の方がまだ圧を感じないのか、完全に顔が私の方に逃げていた。
その日は、まともに何もせず食べて遊んでを繰り返した。
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ユメ先輩に生徒会への入会届を渡してから、数日。
アビドス生徒会に入ってから、少し経って、生徒会の2人の人となりが何となく分かってきた。
梔子ユメ、現アビドス生徒会会長。
無鉄砲で、お人好しで、夢見がち。正直、あまり頼りなくて危なっかしくて見ていられない。
ただ、温かい人なんだろうと思う。
柳カオル、現アビドス生徒会副会長。
基本的にはユメ先輩と同様に、お人好しで、夢見がちで、割と適当。
でも、しっかりする時はしっかりしている・・・気がする。
きっと、ユメ先輩を支えているのだろうと、思った。
──そう思ったが・・・
「ホシノちゃ〜ん見て見て〜!これ、ウェーブキャットっていうんだって!この顔絶妙に可愛いよね〜!」
「ホシノちゃん、この前じっと見てたクジラさんのノート、やっぱ一緒に買いに行こうよ〜!」
「ちょ、ちょっともう、五月蝿いです!1人ずつ来てください!!!」
・・・2人とも、やっぱり馬鹿なのかもしれない。
「そういえば、ホシノちゃんは役職的には書紀になるんですか?」
「そうだねえ・・・書記でいいんじゃないかな!」
「ユメ先輩が言うなら書紀で決まり!今日からホシノちゃんは書紀に任命します!」
「・・・書記って何をすればいいんですか?」
「「・・・」」
(やっぱりこの先輩達、ダメかもしれない・・・)