さて。せめてもの殺し合いを終えて。霊王に立ち向かいます。が。私は我々が降り立って零番隊と戦ったここに残ると宣言しました。恐らく、にはなるけど、志波家の砲台があればここに上がるのも苦ではない。そして黒崎一護はその志波の人間。夜一は顔見知り。来ないと思う方がおかしい。
「なるほどな!ならば我々は先に行く!数時間経ったら来るが良い!!」
「ジェラルドさん…声が大きいです」
「おお、すまないな!!」
反省してるけど行動に移さないタイプだな、こいつ。なんて思いながら、零番隊の住処を見下ろす。でけ…でもま、それも今日まで。霊王を守る零番隊はいない。このまま霊王が死ぬまで私はここに居座り、能力でしぶとく争う。殺せるものなら殺してみろ。最終形態と完聖体の複合、決して弱くはないぞ。
「…来たね」
オレンジ色の髪二人、黒髪一人。素早いやつが一人。素早い奴の足止めて、黒崎一護達が来たことを教えるか。と言うわけで、でっかい矢をどーん!
「危ないのう」
「避けるねえ」
「夜一さん!」
「ム…」
「退け!!」
黒崎一護の刀が迫る…が。こいつの弱点を突けば避けるまでもない。どうぞ斬ってくださいといったような立ち方をするとその直前で刀が遅くなる。そこで、刀を掴み、鳩尾に拳を叩き込み、更にもう一発…と、言ったところで、違和感を感じた。何かおかしい。何か…
「儂を忘れるとはのう?」
後ろからの強烈な一撃、流石に痛い。でも…痛みだけならなんとかなる。すぐさま体制を立て直して、このまま夜一の方を狙うべきかな。いや、まあそっちの方がリーダーは消せるんだけど…
「縛道の六十二!
「危なっ!?」
「縛道の七十九!
「うおっ!?」
捕まった…でも残念。私には効かない。霊子を一気に奪えばこの鬼道も消えるし、それを可能とする力が私にはある。滅却師最終形態、なることができたのなら一番強いね、まあ、出来ない奴の方が圧倒的に多いから消えたんだろうけども。それは今の私にはどうでも良いことですね。
「─無駄だよ」
「だろうな」
「!?」
いつのまにかデカいやつしかいない!黒崎一護と夜一は分かるけど、あの女は!?あの女はさほど早くなかったはず!まさか黒崎一護が担いで行ったか!?だとしたら私、今放置されてる感じ?ふーん?良いや、この大男、黒崎一護のところまで投げつけよ。雨竜の友達だから少し手加減はするけど。
「そーれっ!」
「ぬうっ」
あれ、なんかあんま飛ばない。しかも何かおかしな歩法してる?おかしいっていうのは、こう、死神の瞬歩でも、虚の…なんだっけ?まあ良いや、勿論滅却師のソレでもない。どこの歩法だ?
「…考えるだけ無駄だね!」
飛び上がったのは変わってないのさ!全力で霊力をおでこの前に集め、圧縮し、一部に穴をあけるイメージで放出する。虚閃であるが、所詮牽制にしかならないような技。本命はその次の蹴り。どうやら願い通りに飛んでくれた。霊王宮まで。まあ黒崎一護がいるかは知らないけど。
「…次のお客さんは、誰かな?」
振り返る。誰もいない。流石に陛下のところに行くか…。と、重い腰をあげて歩き始めたら。ハッシュさんに呼び止められ、今の状況説明。陛下が霊王食ってんの?まじで?んん??それって…陛下が霊王になる認識でいいの?よくわかんないんだけど…それとも、霊王が陛下の力になるの?後者の方が合ってる?ありがと。
「ハッシュさん…どーせさっさとついても何もしないんだから、歩いて行こうよ」
「随分と悠長だな」
「いーじゃん、昔みたいに二人の歩幅揃えたりしてさ」
「あれを拒んだのはリーベ、君だろう」
「…バンビ達は大丈夫かな」
少しの不満を告げた途端、会話は消えた。さて、霊王宮の中まで来て、ジェラルドさんやらアスキンさんやらペルニダさん、リジェさん。そして雨竜が揃っている。今陛下は霊王を喰らっているらしい。よくわからんが、まあよくわからなくても良いかな。結局理解出来ないし。
「さて。しりとりでもする?」
「断る」
「フハハハ!事の顛末を知って驚かないとはな!」
「リジェさんでも驚いてたのにな」
「喋りすぎだ」
この人たちも人なんだな、って再認識をして。ハッシュさんが霊王の不在、陛下が霊王の全てを奪ったことを告げたので陛下のもとへ。そこにはよくわからない黒い物があって、そんでもって陛下は目がおかしくて…あれ、なんか全般的に変だな?とか思って。私がおかしいのかな、って思ったらアスキンさんなんかは怯えてて。
「力が、有り余るな」
一瞬で全てが瓦解したように崩れた。空に立ち、落下を凌ぐも他のみんなは割とやばい様子。ハッシュさんは平然としてたけど。あの人覚悟とかキマりすぎてて反応がほぼゼロになってない?そんな中、アスキンさんの必死の訴えを聞いたハッシュさんが陛下に進言。導いてと言って、陛下の反応は城つくろうぜ、であった。
「…は?」
その時、私は落ちた。なんとかジェラルドさんにしがみつくも、その時に下を見て違和感に気づく。なんか、上に来てない?人じゃない…物だ。あれ、もしかしてこれ…
「なんか怖いんだけど」
「何も怖がることはないぞリーベ・クラングよ!」
「なんでフルネームで覚えられてんの?」
ジェラルドさん、ツールドフランスに出たら笑いながら自転車使わずに並走してそう。奇跡だとか言って。