イレギュラーな名探偵   作:挨拶マン

1 / 1




守りたいもの

 

 俺はいわゆる転生者なのだろう。大学時代に記憶を取り戻した時に、自覚した。そして同時に思い出した。この世界が、ある物語を舞台としたものであると。それはーー

 

「次のニュースです。昨年、先端医療創薬センター元所長、木戸博士が発表したアドデック9を巡った陰謀が世間を揺るがす大騒動に発展しています」

 

「怖いわね、人体実験なんて…。異人町(・・・)じゃないのが救いかしら」

 

 八神隆之が主人公である、ジャッジシリーズ第二部作。ロストジャッジメントだ。そして彼女は俺の愛する女性である、佐々木(・・・)陽子。旧姓だと、澤陽子。彼女と結婚した時、改めて誓った。何に変えても、彼女を守ることを。

 

「そうだねぇ。厚労省は大揺れだろうし、円安は止まらなそうだね。今年は海外旅行やめとこっか!」

 

「本当に円安だけが理由かしら?朝陽くん、最近お金使いすぎよ。今月のお小遣いは、期待しないことね」

 

「ス、スミマセンデシタ…」

 

「まったく…朝陽くん、もう時間だけど、のんびりしてていいの?」

 

「やっべ!もう行かなきゃ!あ、これ陽子ちゃんの分のお弁当ね!」

 

「もう…。さっきから何か考え事してるみたいだけど、何かあったらちゃんと私にも言ってね?こんどは私が朝陽くんを助ける番なんだから」

 

「うん…!陽子ちゃん、本当にありがとう。愛してる」

 

 正直、マジで涙が出そうだ。だからこそ相馬の野郎は絶対に許さねぇ。

 

「フフ、私もよ朝陽くん。お弁当ありがとう。いってらっしゃい!」

 

「いってきまーす!」

 

 

 

 

 

 

 さて、俺がこれまでにやったことを少し振り返ろうと思う。江原さんと誠稜高校の裁判で、彼女は江原さんの味方に付いた。でも判決は原作と変わらず、江原さんは敗訴。でも江原さんや桑名に殺されても文句ないだの、脛に傷があるだの言われないだろう。これで御子柴の教育実習の担当を外れるだろうから、巻き込まれる可能性は少なくなっただろう。

 

 八神さんが陽子ちゃんのことを嗅ぎつけるのは時間の問題だろう。だから俺が彼の推理を後押しして、相馬が気づくより前に、アイツらを終わらせる…!っと、その前に今日の分の仕事だなぁ…

 

 1年後______________________

 

 

 

「次のニュースです。現役の警察官が、痴漢で逮捕されました」

 

 とうとうきやがったか!この1年が勝負だ…!運命でもなんでも、かかってきやがれ…!!

 

「え!これ、江原さん!?そんな、なんで…?」

 

「陽子ちゃん、これお弁当。俺今日早いから、先に行くね」

 

「う、うん。もう新しい職場(・・・・・)は慣れた?」

 

「うん!…陽子ちゃん」

 

「なあに朝陽くん?」

 

「俺、何があっても陽子ちゃんを守るから。愛してるよ!いってきます!」

 

「あ、え?わ、私も愛してる!いってらっしゃい!…どうしちゃったのかしら、朝陽くん」

 

 

 

 

 

「おはようございまーす!」

 

「おはよう朝陽さん」

 

「おはようございますぞ、朝陽氏」

 

 そう。俺は前の会社を辞めて、ある探偵社に入社した。横浜九十九課。それが俺の新しい職場だ。

 

______________________

 

 

「じゃあ、誠稜の案件は二人の知り合いと合同ってこと?」

 

 まぁわかりきってるけどね。

 

「ええ、まだ正式に了解は取れてませんが、二人は神室町の名探偵ですぞ~!」

 

「そうそう。八神さんと海藤さん。詳しくは会ったときにでも聞いてみてよ」

 

「うん、そうするよ。それにしても、誠稜高校かぁ~」

 

「そういえば、朝陽氏の奥さんが誠稜高校の先生だったと記憶していますが?」

 

「あちゃ~、僕らの前でイチャイチャしないでよ?」

 

「気を付けマス…っと、それより、神室町の名探偵たちに連絡いれてみてよ!ダメだったら桑名さんに頼まなきゃいけないのかもしれないんだから!」

 

 桑名は正直、嫌いになり切れないんだよね。やり方は褒められたもんじゃないけど…

 

「そうですな。では杉浦氏、お願いできますかな?」

 

「もちろん!」

 

 

 

八神side______________________

 

『僕、横浜で九十九くんと探偵始めたの。今は3人だけどね。』

 

「ちょっと待った。九十九ってあの九十九か?」

 

『そう。なーんか気が合うんだよねぇ。それにハッカーの技術もあるし、探偵にピッタリでしょ?』

 

「まぁ、そうか。で、もう1人も俺らの知り合い?」

 

『ううん、佐々木朝陽さんっていう横浜であった人だよ。朝陽さんは捜査と体を張る仕事の両方ができる、優秀な人でさ。良い人だから2人もきっと仲良くなれるよ』

 

「わり、俺らこれからカチコミだからさ。また掛けなおすよ」

 

 俺らの知らない3人目、佐々木朝陽か…っと、今はカチコミだな。恵子さんの金は、取り戻す!

 

______________________

 

 

「さっきはなんかカチコミかけてるみたいだったけど、明日来るってさ。じゃ、僕らも今日は解散にしよっか」

 

「そうですな。それにしても、さっきは焦りましたぞ。何か失礼があったんじゃないかとばかり」

 

「ハハハ!九十九くんは心配しすぎだよ!そんな器量の狭い人じゃないんでしょう?」

 

「確かに、それもそうですな。では解散にしましょう。ではまた明日」

 

「うん。じゃ、お先~」

 

「じゃあ俺施錠するよ。九十九くんは先行っていいよ」

 

「お、ではお言葉に甘えて。では」

 

 

 明日とうとう会えるのか、八神さんに…。頼むぜ名探偵。力を貸してくれ…!

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。