TS不幸少女のゼムリア大陸災難記   作:黒岩

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ノーザンブリアを滅ぼそうとする不幸

 ──私はこの国を守るために戦う。ただそれだけ。

 

 だから私は故郷を飛び出して《北の猟兵》に入ったし、新兵の教官を勤めろって命令も、帝国への内偵調査を行えって命令もちゃんと従った。

 タラオやイセリア、マーティンと一緒に行動することにもなったけど別にいい。私たちの故郷であるノーザンブリア。そのために戦えるのなら、守れるなら団体行動も苦手だけど我慢する。

 私たちの目的は《帝国の英雄》についての情報を得るためだった。

 そのために私たちは民間人として身分を偽って帝国に潜入し、各地を回った。

 そこでは色々あった。……正直なところ悪くはないこともあった。

 だけど私たちは帝国人じゃない。ノーザンブリアの人間で《北の猟兵》の人間だ。

 私たちがいる場所は敵国で私たちもまた敵国の人間だ。だからただの民間人は助けることは出来ても結局は相容れない。

 大陸横断鉄道の線路の崩落の件であの“帝国の英雄”。《灰色の騎士》リィン・シュバルツァーと偶然にも遭遇し、言葉を交わしたけれどそれに気づいた私の思いは1つ。どうにかして仕留めることは出来ないかということだけ。

 人格はお人好しっぽかったけどあの剣術の腕と何より《騎神》っていうらしいあの兵器は侮れない。

 情報だとクロスベル戦役でも共和国軍をあっという間に退けてしまったらしいし、どうにかしてあの兵器から引き摺り下ろせば十分に仕留められる。……そう思ったけど小隊長だったマーティンに止められた。

 だけどその後そのマーティンも帝国軍情報局に捕まってしまった。

 私たちはマーティンが生きていることを信じて3人だけでノーザンブリアに帰国。それから私たちに内偵調査を命じた《北の猟兵》の幹部ジェイナ・ストームから内偵調査の終了と新兵教官を命じられた。

 マーティンを救出することもなく、私たちの内偵調査は終わりを告げた。

 それには私自身も納得している。タラちゃんは納得してないみたいだったけど納得するしかない。

 それに私もやりたいことのために腹を括るというマーティンの別れ際の言葉について考えていた。私が《北の猟兵》の創始者の1人、ヴラド・ウィンスレット……ノーザンブリアの英雄の孫だという事実。

 その逃げることの出来ない現実を改めて考えてもそれを利用はしたくない。そう思っている自分を自覚しながらも疑問してる。本当にそれでいいのかって。

 そう考えながらしばらくは新兵の教育を頑張っていた。そんな時だった。

 

「近頃魔獣が妙に殺気立ってるよなぁ」

 

「確かにここ最近は多すぎるぜ。北の森辺りから何故か人里から降りてくるんだよなぁ」

 

「大型の魔獣でも現れて縄張りに変化でもあったんじゃないか?」

 

「あ、それだ! なんか大型の魔獣の雄叫びが聞こえたって報告なかったか!?」

 

「ああ……輸送部隊からそういやそんな報告もあったな。つっても討伐しろって命令は出てないしなぁ」

 

「どこも忙しくて余裕ないんじゃね? ──ま、俺なら命じられりゃ速攻で討伐しちまうけどな!」

 

「まず命じられないだろ」

 

「んなのわかんねーだろうが!」

 

「まあそれはともかく、魔獣の掃討はそろそろ必要な時期かもな」

 

「……だな。上もやるなら被害が出る前にさっさと動いてほしいもんだぜ」

 

 新兵の教導を行っている駐屯地でいつも馬鹿なことを話してるイヴァーノとタックの2人が近隣の魔獣の目撃例が増えていることについて話していたため、私はそれを聞いて少し考えてから動き出す。

 今日はもう私の仕事はない。新兵から訓練の相談とかそういう予定もないし、北の森に行って魔獣を討伐して帰ってくるくらいの時間はある。

 そう思ったから装備を整えていたら。

 

「ラヴィ~ちゃん! どこ行くの?」

 

 イセリアがいつものように馴れ馴れしく声を掛けてきた。

 内偵調査にも一緒に向かったこともあって以前よりも距離が近い気がするけど別に気にならないため普通に接する。

 

「北の森。暇だから魔獣を狩ってくる」

 

「え~……? 命じられてもないのに魔獣退治に行くの~? めんどくさ~い……」

 

「別に付いてきてって言ってない」

 

「いやいや、1人じゃさすがに危ないから駄目! あたしもついていくね! ──あ、タラオ! あんたも暇でしょ? ちょっと魔獣退治に行くからついてきて!」

 

「……いえ、せっかくですが自分は……」

 

「いいからいいから! 魔獣を放置すると民間人にも被害が出るかもしれないでしょ? それを拒否なんて真面目なタラオはしないよね~?」

 

「……それは……」

 

 そしてもう1人。イセリアが近くにいたタラちゃんにも声をかける。

 あの内偵調査の結末に納得していないタラちゃんとはあれから全然話してない。だからかイセリアが余計な気を回しているのを感じた。

 だけどそう言われると多分断らない。そのイセリアの狙い通りになった。

 

「……分かりました。行きましょう」

 

「そうこなくっちゃ! ──あ、それとあんたたちも一応来る?」

 

「一応ってなんだ一応って! 行かないけども!」

 

「行かねぇのかよ。……まあ仕事あるから遠慮しとくわ」

 

「意気地がないわねぇ……ま、いいや! それじゃレッツゴー!」

 

「…………」

 

「…………」

 

 そうして私たちは3人で駐屯地を出て北の森へと向かった。

 今の時期はノーザンブリアにとっても夏で比較的温かいとはいえ、それでも首都よりも北部にもなると夏でも雪が降ることは珍しくはない。

 それどころか北の山中にある森は雪がまだまだ降り積もっている場所。気温もさっきまでいた駐屯地よりも低くマイナス以下になる。

 といってもノーザンブリアにとっては珍しいことじゃないし、雪原を歩くのもその上で戦闘を行うのもノーザンブリアの人にとっては、それも《北の猟兵》にとっては難しいことじゃない。私たちは片っ端から魔獣を狩りながら北へ北へ進んでいく。

 

「うわ~夏なのにこっちの方は結構冷えるわねぇ」

 

「だらしないですよ。これくらいの気温珍しくはないでしょう」

 

「夏にしては寒いってのが重要なの! それになんかいつもより寒い気がするし!」

 

「……まあ例年よりは確かに気温は低いですがね」

 

「そのせいで魔獣が増えてる可能性もある。まだ気を抜かないで」

 

「……はい」

 

「はーい。でもあらかたやったんじゃない? そろそろ魔獣も少なくなってきたし……」

 

 2人の会話を聞いて心の中だけで頷く。確かに夏にしては結構冷えるけど、それでも魔獣は結構仕留めたし、特に問題はない。

 だけど大型の魔獣は倒せていない。もしかしたらいないのかもしれないけど、やれるだけやってから帰るつもりでいた。

 だから私は目を凝らして魔獣を探した。見つけたら倒しておかないと民間人に被害が出る可能性もある。それは見過ごせない。

 そう思っていた時だった。木々の隙間。遠くに、見慣れない色を見つけたのは。

 

「!?」

 

「今のは……」

 

「え? 何? なんか見つけた?」

 

「……多分、人がいた。だけど……」

 

「こんな場所に人? 見間違いじゃなくて?」

 

「見間違いじゃない。けど……」

 

 そう。見間違いじゃない。確かに人がいた。

 だけど人だけど、ここではあんまり見ない色だったから、私は一瞬自分の見たものに自信が持てなくなる。

 だけどすぐに判断した。やっぱりあれは人だったと。

 

「……自分も薄っすらと見えました。ですがあれは……」

 

「……褐色の肌の女。銀髪で目の色は金」

 

「え? それって……《北の猟兵襲撃事件》の犯人の特徴だっていう……」

 

 そう。それは《北の猟兵》にとって忘れられない事件だ。

 10年前、たった1人の暗殺者によって《北の猟兵》に多くの被害をもたらした。

 その話を私は幼い頃に噂として聞いた。《北の猟兵》に入団してからも、既に指名手配は解かれたその犯人の噂を耳にした。

 何でも相手は褐色の肌をしていて銀色の髪。瞳の色は黄金で、身の丈を超えるほどの巨大な鋏のような得物を持っていたと。

 しかも子供だったことから《北の猟兵》の間でも当時を知らない者からはちょっとした眉唾として受け止められている。反対にベテランにその話を聞くと苦い顔をして語ることを拒否される。

 だけどマーティンは言っていた。

 

「っ……!」

 

「ちょっ、ラヴィちゃん!?」

 

「まさか……追いかけるつもりですか!?」

 

 私はすぐに走り出す。その人影を追いかけて。

 そして雪の上を駆けながら思い出すのは帝国の内偵調査を行っていた時のマーティンの言葉だ。

 

『お前ら、あんまりはしゃぐなよ。帝国は大国なだけあって油断ならない人員が多い』

 

 最初はそんな風にぼかしていた。帝国の内情に妙に詳しいこともベテランだから気にならなかった。

 だけどマーティンは言っていた。あの“焼き討ち”を実行した部隊の1人だってことを明かした時に。

 

『ああ、そうだ。ついでだからもう1つ、隠しておいたことについて忠告しておくぞ』

 

『……まだ何かあるんですか?』

 

『ああ……お前らも噂に聞いたことくらいあんだろ? 《北の猟兵襲撃事件》について』

 

『!』

 

『それって……』

 

『確か、10年前に起きたという《北の猟兵》にとって最悪の暗殺事件……!』

 

『そうだ。つっても暗殺対象は1人。当時いた穏健派の幹部だったが、当然やられた以上は黙っちゃいられない。上の命令で暗殺を行った犯人を追討するわけだが……それが良くなかった。死傷者は98人。重傷者を含めば200人近く。追撃を行った500人以上の当時の《北の猟兵》が尽く返り討ちにあって無駄に血を流した』

 

『っ……甚大な被害ですね……』

 

『ああ。甚大だったな。そして俺は、2回その犯人を見てる』

 

『!? 犯人と……遭遇して生き残ったということですか!?』

 

『偶然だ。そんなすごいもんじゃない。むしろ……自分の()()()()()を呪ったな』

 

『不運と幸運……』

 

 そう、マーティンはそのことをそう評していた。

 私でも噂くらいは聞いたことある《北の猟兵襲撃事件》。その当時に追撃を行った兵士の1人だったというマーティンはその暗殺者のことを、静かに恐怖していた。

 

『1度目は目の前で同僚が挟み切られた。何か見えない糸のようなもので引っ張られて、気づけば真っ二つ。俺は偶然、頼れる上司の近くにいたから助かっただけだ』

 

 1回目は10年前。なら2回目はいつなのか。それをマーティンは答える。つい最近のことだと。

 

『2度目は焼き討ちの時だった。俺たちは命令通りケルディックの街を焼き討ちにして……その最中にあいつを見た。褐色の肌と銀色の髪。黄金の瞳。10年前に見たガキが、成長した姿で同僚を切り殺していた。ケルディックの街の住民を守るためにな。俺はその部隊とは離れていたから。ちょうど撤退するタイミングだったから。その偶然で助かっただけだ』

 

『そ、それは……』

 

『街の住民を守るためって……どういうこと? 暗殺者じゃないの?』

 

『話には聞いてたんだ。そいつが同じ雇い主に、貴族連合に雇われたって話は。だけど後から聞いた話じゃ、そいつは帝国政府にも雇われていたらしい』

 

『なら帝国政府の依頼で焼き討ちを防ぐために……?』

 

『…………さあな。それよりも重要なのはそこじゃない。俺たちにとってはな』

 

『……どういうこと?』

 

『強すぎるんだよ。そいつはな』

 

 マーティンは静かにそう言っていた。思い出すように。暗殺してきた相手のことを私たちに伝えて、思い留まらせるために。

 

『最初に遭遇してから10年。さすがに少しは差が縮まってるかとも思ったが、そんなわけはなかった。むしろより化け物度が増してやがった。仮に俺たち《北の猟兵》が束になって襲いかかったところで全員屍になる。そのイメージが10年前よりも容易に想像できたぜ』

 

『それほどに……? ……いえ、そんな馬鹿な……そんなの信じられません。《北の猟兵》が束になってかかっても敵わないなんて……』

 

『そ、そうですよ~。さすがにそれは大袈裟なんじゃ……』

 

『お前たちはまだ世界を知らなすぎる。世の中にゃそういう化け物も少なからずいるんだよ。俺のような凡人じゃ敵わない……それこそ本物の“英雄”じゃなきゃ太刀打ち出来ないような本物の化け物がな』

 

 そういう人間をマーティンは何人も見てきたと語っていた。

 帝国の内戦じゃそういう化け物が何人もいたと。そしてだからこそ私たちに忠告したかったと。

 

『いいか。最初に言ったようにこれは忠告だ。もし、万が一遭遇するようなことがあってもお前ら絶対に手を出すなよ。もし戦場で見かけたら逃げろ。一目散にな』

 

『それはまあ……私は当然逃げますけどね~……』

 

『……まあイセリアは心配ないかもしれないが、ラヴィ。それとタリオン。お前たち2人は特に注意しろ。お前たちは熱くなって向かっていくかもしれないが、それは絶対にやめろ。いいな?』

 

『……っ……はい……』

 

『…………』

 

 そしてこの時、私が感じた感情は悔しさだ。

《北の猟兵》を、ノーザンブリアを苦しめた相手に、どうして尻尾を巻いて逃げなければいけないのか。

 それもたった1人相手に。あの帝国の英雄のような兵器に乗り込んでいるわけでもない相手に。

 仮にどんなに強くても方法はある。見つけたらどうにかして仕留めればいいだけ。

 少なくとも最初から諦めるなんておかしい。私はそう思った。

 

「どこに行った……!?」

 

 だから私は今、その相手を追いかけていた。

 私は確かに見た。特徴は全部見えていた。

 銀色の髪だけど一部をピンクっぽい色で染めていたし、ノーザンブリアの、それも雪が降り積もってる地域を歩くには不自然なほどに薄着だった。お腹が出ていたし、足元も頼りない。

 何よりここいらでは見ない肌の色を見過ごす筈がない。雪で染まった白の中じゃ特に目立つ。

 

「……! いた……!」

 

 そして私は辛うじてそれを見つけた。

 森の奥。どうやら凍った池の近くにテントを張ってキャンプをしていたらしい。焚き火の跡がある。森の中にある開けた場所だ。木々を抜けて私はそこに辿り着き、《北の猟兵》にとって憎き相手の姿を見た。

 

「見つけた……! 《血染の裁縫師》──」

 

『決めました! アーヤ選手! トリプルアクセル成功──!!』

 

「いえ──い!! やっとできたー!!」

 

「………………………………」

 

 ──それなのにその相手は何故か凍った池の上でスケートで遊んでいた。近くに見慣れない人形に謎に実況させながら。

 

「待ってよラヴィちゃん……! ……って、あれ……もしかして……」

 

「……! あの見た目……やはり……!」

 

「…………いや、それよりもなんかスケートで遊んでるんだけど……本当にあれが?」

 

「……………………多分。そうだと思いますが……」

 

 そして妙にくるくる飛んだりしていて無駄に上手い。私もスケートはやったことあるけどそこまで上手には滑れない。おかげで追いついてきたイセリアやタラちゃんまで疑っていた。

 だから少し驚いてしまったが、それ以上に何をしてるのかという疑問が湧き上がる。

 私たちの国であんなに暴れておいて、何を呑気に遊んでいるんだと。

 

「ノーザンブリアを……《北の猟兵》を襲撃した悪魔……! この手で討ち取ってやる!!」

 

「え?」

 

 私はそこで銃を構えた。そして氷上にいる褐色の女。年齢は多分、私と同じくらいかちょっと上。今は丸腰。今なら仕留められる。

 

「えーっと……《北の猟兵》かな? ちょっと今はスケートしてる最中なんで銃は向けないで貰えると──うわっ!?」

 

「ちっ……外した……!」

 

『まずはダブルトウループから入りました! 綺麗に銃弾を避けています!』

 

「うわーん! 目指せメダリストー!」

 

「それにあっちの……に、人形? なんか実況してるんだけど……しかもあの可愛い女の子も叫んでるし……」

 

「と、とにかくここで仕留められるならば仕留めるべきかもしれません……!」

 

 その通りだ。仕留められるなら仕留めた方が良いに決まってる。

 特に相手は暗殺者で帝国政府に雇われていたという情報もある。だったらここにいるのはノーザンブリアの、《北の猟兵》の情報を集めるためかもしれない。ノーザンブリアのためにも最低でも拘束。ここで倒すのが最善の行動だ。私はそれを信じて引き金を引き続ける。

 

「……ここ!」

 

「危ないっ!?」

 

『ダブルルッツ! ダブルループ! そしてダブルフリップ成功! でもアーヤならトリプルが飛べたはず! 何をやってるんですかアーヤ・サイード!』

 

「はいマキナコーチ! 頑張ります! さっきまで解説だったのに急にコーチになりましたね! でも撃たれながらはやっぱキツいかもだけど!」

 

『言い訳しない! ほら、足を高く上げて! お母さんも見てますよ!』

 

「とっくの昔に死んでるからいないけどね! よっと! って、足元に銃弾来たー!? 危なー!」

 

『3回転サルコウ成功! 続けて4回転もやってみましょう! そしてその後にバックフリップで銃弾を躱しましょう!』

 

「銃で撃たれてる最中なのに練習指示出してるの頭おかしいー! ジャーンプ!」

 

『銃で撃たれてる最中なのに呑気にスケートしてるマスターの方が頭おかしいですけどね』

 

 っ……なんで当たらない……! あんなふざけてるのに……! 氷の上であんなに巧みに移動するなんて……! 

 

「あ、一旦落ち着いた? それじゃちょっと話をしようか。あなたたちって見たところ《北の猟兵》みたいだけど目的は何?」

 

 こちらが銃弾が当たらないことに歯噛みしてると向こうは急にさっきまでのアホっぽい大騒ぎをやめて問いかけてきた。

 その急な空気の転換を怪しく思う。むしろ聞きたいのはこっちの方だ。

 

「それはこっちの台詞。あんたの目的は何? なんでこんな場所に1人でいる?」

 

「ちょっと……家族旅行? いや、社員旅行で来ててね。連れがちょっと別の場所に行ってて暇だからここでソロキャンプを楽しんでるんだよ」

 

「真面目に答える気がないならここで仕留めさせてもらう」

 

「真面目なんだけどなぁ……ま、いいや。それよりも一緒にスケートで遊ばない? ノーザンブリアに来てスケートにハマってさー。やっとトリプルアクセルが出来たんで次は4回転ジャンプに挑戦してみようと思うんだけど出来るんなら教えてくれない? あ、出来なくても私が逆に教えてあげるよ!」

 

「ふざけるな!!」

 

「わっ」

 

 相手が笑顔でふざけたことを言ってくるから私はつい大声を出してしまう。

 だけどそれくらいふざけてると思った。ノーザンブリアにやって来て、あまつさえ私たちにスケートで一緒に遊ぼうなんて。

 

「あらら……もしかしてスケート嫌いだった? うーん、ノーザンブリアの人ってウインタースポーツ好きだし得意って聞いてたんだけどなぁ……私的にはせっかくだし共和国でもスケートリンクでも作って文化として流行らせたら結構面白そうだなーって思うんだけど……なんだったら子供たちの新たな夢や就職先に──」

 

「もういい。あんたはここで殺す。タラちゃん、イセリアも手伝って」

 

「……了解!」

 

「う、うん!」

 

 もう話を聞くのも億劫だった。だからタラちゃんとイセリアにそう言えば2人とも大剣とライフルを構える。噂が本当ならかなりの手練れ。だから1人じゃなくて3人でやる。そう思っての指示だった。

 だけど。

 

「……はぁ~~~……なるほどなるほど。要するに私のやったことに恨みを持ってるタイプか。まあそれなら仕方ないかな──マキナー。そこのダガー取ってー」

 

『はい、マスター。どうぞ』

 

 深いため息を吐いた相手は納得したように頷くと軽い調子で近くのあの人形に指示を出してテント近くに置かれていた赤いダガーを女に手渡した。狩猟か何かで使っていたのだろうけどおかしい。情報では得物は大きな鋏のようなものだったと聞いた。靴をスケート靴から普通のものに履き替えながら相手は指を2本立てる。

 

()()()

 

「……は?」

 

「2回だけ見逃すよ。そっちは私を殺す気みたいで殺気びんびんだけど私は出来るだけ殺したくないし。かといって殺す気で何度も襲われたらたまらないから2回までは襲ってきても殺さずにあしらってあげる。だからこのまま何もせずに帰ってくれるならそれが1番良いんだけど……どうかな?」

 

「っ……どこまでもふざけて──!?」

 

 だけど、だけどだ。私は言葉を口にしようとして、その先を言えなかった。

 なぜなら視界からいつの間にか消えた相手が、私たちの間に立っていたから。

 

「なっ……!?」

 

「……え……?」

 

「……っ!?」

 

「──はい、これで1アウトね」

 

「っ! 2人とも下がって!」

 

 ダガーを持った《血染の裁縫師》がいたずらっぽい笑みで2人の肩を叩いてその上で私の背後にいる。私は即座に2人に距離を取るように告げると双剣を引き抜いて背後に振るった。

 だけどそれは簡単に躱されて。女は再びテントのある池の方へと戻った。

 

「どうする? まだやる?」

 

「動きが、見えなかった……!」

 

「な、何が起こったのよ今……」

 

「……不意打ち……奇襲が上手すぎる……!」

 

 余裕そうにしている相手から今度こそ目を離さないようにしながら私は分析する。確かに動きは速かったけど、それよりもタイミングが絶妙だった。

 おまけに攻撃の気配や殺気もなかった。正面にいたのに次の瞬間には私たちの間に立っていた。そのからくりが理解出来ればなんとか対応出来る。そう思ったから今度はこっちから仕掛けた。

 

「ラヴィちゃん!?」

 

「っ、援護します……!」

 

 私が双剣を構えて肉薄すればタラちゃんも合わせてくれる。イセリアも驚いてたけど多分銃を構えてくれてるはず。幾ら速くても相手は暗殺者。得物はどういうわけか分からないけどダガーが1つ。他にも得物を隠している可能性が高い。糸を使うという報告も聞いた。それにも注意して斬りかかる。

 

「2回戦かー……それじゃ次は攻撃するよ。痛いだろうから気を付けてね」

 

「はあああああっ!」

 

 タラちゃんが大剣を振り下ろす。私の攻撃を相手は軽い調子で躱していた。こっちを普通の笑みで、その黄金の瞳で見ながら。

 

「ぐっ!?」

 

「嘘……!?」

 

「はい。そっちの人はこれで2アウトね」

 

 そしてありえないことに、女はタラちゃんの大剣をダガー1本で難なく受け止めた。しかも片手で。スピードだけじゃない。パワーの方も桁違いなのだと理解する。

 ダガーを使って大剣を弾いてガードを開けさせるとそのまま横腹を蹴りつける。タラちゃんは近くにあった木まで吹き飛ばされた。

 2アウトと言っていたが間違いじゃない。この女がやる気ならダガーを使ってあっさりとやられていた。

 そしてそれは私やイセリアも同じだった。

 

「当たらない……!?」

 

「そっちのお姉さんもこれで2アウトかな」

 

「っ!? きゃあっ!」

 

 いつの間にか糸を張っていたのか。イセリアの腕に巻き付いていた糸によってイセリアは地面に引き倒される。

 そしてそれは進もうとした私の首元にもあった。すんでのところで止まる。このまま進めば同じように巻き取られていた。ギリギリで気づいて巻き取られずに済んだ。

 

「おー糸に気づいたんだ。えらいえらい。でもこれであなたも2アウトだね」

 

「っ……!」

 

 糸はなんとか回避出来たけどその隙に近くまで肉薄していた女がこちらの喉元にダガーを突きつけていた。先ほどのように、いつの間にか背後まで移動していた。

 私は苦々しい気持ちを抑えながら足元を見る。雪に足跡がない。痕跡を残さないようにしながら移動している。特殊な歩法でも使っているのか。木々をも利用している。少しでも目を離せば視界から消えてしまう。

 つまり何が起ころうとどれだけ気配が希薄でも視界に捉え続けること。それさえ出来るなら刃を打ち合うこと自体は可能だ。速くとも反応が出来ないほどじゃない。

 初見と2度目。理解するには十分だ。

 

「はい。これで実力差は分かったでしょ? 無駄死にするのは良くないし、諦めて帰って欲しいな~。恨みも分かるけどさ。私が言うのもなんだけど忘れて生きた方が絶対楽だよ。裏稼業で殺し殺されたことを忘れないようにするのって()()()()()()()()()()()

 

「……どの口が……」

 

「ラヴィちゃん……! 今は……」

 

「ラヴィ教官……! 自分は、まだやれます……! やるなら指示をください……!」

 

「ちょっとタラオ! 正気!? あの娘の化け物っぷりは見たでしょ! 見逃してくれるって言ってるんだからせめて今は……!」

 

「逃げたいなら逃げていい。私は残る。今ので、大体動きは分かった」

 

 相手の物言いにもイセリアの言葉にも応じない。私は再び双剣を構える。今度は捉えてみせる。タラちゃんのように無駄に力みもしない。相手の動きに対応することに意識を集中させた。再び距離を取った相手は、こっちのやる気を見て今度は笑みを消して真顔でこっちを見ていた。

 

「……なるほど。それでも駄目かー。ならしょうがないかな」

 

「!?」

 

 ──だけどその瞬間だった。女から、背筋が凍るような殺気が初めてぶつけられたのは。

 

 私はそれを受けて一瞬、致命的な隙を、動揺を晒す。多分タラちゃんにイセリアも同じだと思う。

 でもその殺気は本当に一瞬だった。次の瞬間には()()()()()()()()

 だけど嫌な感じは残ってる。殺気は消えてもその殺気があったことは確か。周囲に、私たちの周りに漂う霧のような嫌な感じ。相変わらず攻撃の気配や殺気は、おそらく次の攻撃でもないのだろう。暗殺者としてそれは見せない。気づかせない。たとえ正面からの戦闘であっても。

 しかもその上で相手は新たな得物を地面から──いや、空間から取り出した。

 

「っ……その得物は……!」

 

「《ゾルフシャマール》って言うんだけど覚えにくいだろうし覚えなくてもいいよ」

 

 それは確かに聞いた通り、鋏だった。大きく鋭い。大剣のようで女の身の丈以上に大きい。

 それを自然体で持ちながら、女はこちらにまたしても言葉を投げてくる。

 

「さて、もう1度聞くけど本当にやる? 次は手加減しないよ?」

 

「っ……」

 

「……そっかー。残念。私としてもやりたくないんだけどなぁ。でも2回も返り討ちにされたのに襲いかかってくるような相手を残してたら私じゃなくて()()()()()()()()()()()()()()()()()──ごめんだけどやっちゃうね?

 

「……!」

 

 ──そして相手は苦笑いしながらも先ほどよりも更に速くその鋏のような得物を振るってきた。

 私はそれを見てなんとか回避を行う。

 

「お?」

 

「っ……!」

 

「わ、また躱された。え、結構やるじゃん。モブなのに強くない? ──あ、モブとか言っちゃった。ごめんね? でも本当に反応いいね?」

 

 うるさい。喋ってる余裕はこっちにはない。この女が言うところの1アウトめと2アウトめで動きは見たとはいえほんのちょっとだった。なのでこの癖のある動きに対応するのはかなりキツい。

 ただ理由はわかった。純粋な身体能力の差。殺気の薄さ。攻撃の気配の読みにくさ。殺しの技の巧さ。《北の猟兵》が今までやられ続けていた理由。この暗殺者の強さが。

 多分だけど、この暗殺者はこっちの知覚を注意深く観察してる。

 視界が右を向いたなら右を向いたことを見て別の場所に。こっちの意識が薄い場所を読み取ってそこを突いてくる。

 つまりかなり目が良い。戦闘の時に相手から目を離すなってのは基本だけどその基本が徹底されてるように感じる。こっちの虚を突くために常に見張られてるのに、見られてる気配も攻撃の気配も感じない。

 ただ気配はなくても視界に収め続けてれば分かる。黄金の瞳がずっとこっちを見てる。視線が合えばどんな動きだとしても初動が捉えられる。それに反応していけば対応は出来る。後はフェイントや陽動に引っかからないこと。

 

「……やっぱ《北の猟兵》って平均的にレベルが高いんだなー……最近鍛えてるうちの強化猟兵よりも全然動きがいいや」

 

「舐めるな! このくらい……全然大したことない……!」

 

「そっか。でもあんまり長引かせるのは可哀想だからもう終わらせるね?」

 

「何を──」

 

 ──だけどそれでも、仕留められると思った。

 

 そう錯覚した次の瞬間には、()()()()()()()

 

「っ、どこに……!?」

 

「──真後ろだよ」

 

 そして私が周囲を警戒しようと振り返ったその動きに合わせて、真後ろから声が聞こえた。

 相変わらず気配も見られてる感覚もないのに、こっちを見られている。そこにいる。その確信で強い危機感を感じた。

 

「つ……!」

 

「3アウトだね」

 

「──ラヴィちゃん!?」

 

 だけどそれを感じる頃にはもう遅かった。

 私がそこから退避する。対応の動きを行うよりも先に打撃を受けて転がされる。

 私はすぐに立ち上がろうとするも私の上にはその鋏を開いて構える暗殺者がいた。私の首を目掛けて今にもその刃を閉じようとしている。

 

「残念。ここまでだね?」

 

「っ……!」

 

 私はその暗殺者の言葉とその対応に悔しさを覚える。

 私の分析では全く計りきれていなかった。この暗殺者は全く本気じゃない。片手間で適当にやっても仕留められると思われていた。そしてそうじゃなくともほんの少し力を出されるだけでこんな風に仕留められると思われていた。

 さっき考えた私の対処法なんて相手の強さの、数ある技術の一端に過ぎない。戦力分析は向こうが正しかった。私じゃ正面からじゃ敵わない。

 腹立たしいけどそれは認めるしかない。

 

「でも見たところまだ成人もしてない子供みたいだし、特別サービスで見逃してあげようかな。もう二度と襲わないって約束してくれるなら1度だけコンテニューしていいけどどうする?」

 

「……わかった。次からは襲わない」

 

「あ、そう? 思ったより素直だね。それじゃこの辺りで──」

 

「──()()()()()()()()()

 

「え? ──うわっ!?」

 

 私は目を瞑りながら告げる。そして最初の時点で木の陰に隠していた閃光手榴弾を即座に爆発させる。

 ただし爆発させたのは私じゃなく、イセリアの狙撃だ。直接狙うものじゃないなら反応しないんじゃないかと思ったけどどうやら運良く乗っかってくれた。

 強烈な閃光によって僅かな隙が出来る。その瞬間に、私は双剣から銃へ持ち替えて引き金を引く。相手のお腹の中心。ノーザンブリアではあんまり着られないお腹が丸出しの服。その素肌に向かって。

 見たところ防弾防刃の装備を着ているようには見えないし、他の服や装備がそうだとしても素肌の場所なら間違いなく風穴が開く。そう思ったからそこを狙った。

 そして間違いなく当たった。だから仕留めたと思った。相手は血を流して苦しむかと思った。そう──思っただけだった。

 

()っ!?」

 

「──は?」

 

 ──それなのに、相手の反応はありえないくらい軽かった。銃弾が当たったお腹の部分を抑えて少し飛び跳ねる。

 まるで足の小指をどこかにぶつけた時みたいに。あるいはそれよりももっと軽く。軽く仰け反って痛がっただけで。その肌には穴はおろか、傷1つついていなかった。

 

「いたた……ちょっとびっくりして油断しちゃった……丈夫だからって無駄に攻撃食らうなっていつも言われてて最近は気をつけてる方なんだけどなぁ」

 

「い、今のは……」

 

「なんで傷1つないの……!?」

 

「っ……」

 

 普通はありえない現象を目の当たりにして驚く。タラちゃんもイセリアも。私も驚いた。

 だけどそれよりも地面から起き上がって距離を取る。そして再び双剣を構えて強く警戒した。原因は分からない。だけど何故か銃は効かなかった。だから自然と剣の方を構えた。

 

「まあでも今のはあなたたちが頑張ったというかすごかったかな? 私の教え子なら今のだけで加点してるね」

 

「化け物め……!」

 

「こらこら、人を化け物扱いしないでくれる? どっからどう見ても普通の人間もとい可愛い褐色美少女でしょ」

 

 あの距離での銃撃でダメージがないなら今度はどうにかして斬りつけるか、別の部位を狙うしかない。

 だけど同じ手は通用しないだろう。再びどうにかして隙を作る必要があるけど、そう簡単にはいかない。騙し討ちもした。今度は猶予もなく殺されるかもしれない。

 だからここは逃げるのが正しい判断。

 だけど出来れば逃げたくないし、そもそも逃げられる可能性は低い。

 ならやっぱり少しでも痛手を負わせてから逃げるしかないと思った。私は小声でタラちゃんとイセリアに指示を送ろうとする。

 だけどその前に。

 

『マスター。撤収作業終わりました』

 

「あ、もう終わったんだ。ありがとー」

 

『はい。それでどうします? スケートごっこを再開しますか? それとも私もお手伝いした方がいいでしょうか?』

 

「撤収作業……?」

 

「あ! いつの間にかテントが片付けられてる!?」

 

 相手の背後。池の方から人形が報告を行っていた。

 撤収作業と聞いて視線を少し向けてみると、確かにいつの間にかにテントやそこにあった焚き火の跡。人工物や痕跡は殆ど消されていた。

 

「んー、それじゃ場所を移そっか」

 

「……! 待て! どこに行くつもり!?」

 

「それは秘密。だけど私はどっか別の場所に行くからそっちも帰っていいよ」

 

「そう言って後ろから襲いかかるつもりかもしれません……」

 

「聞こえてるよー。そんなことしないって。元々子供は殺す気はなかったし、適当に実力差見せて怖がらせたら帰ってくれるかなーって思っただけなんだよね」

 

 そう言って頬を掻く暗殺者の表情を見る限りは嘘には見えないけど、かといって信用も出来ない。

 私たちは未だに警戒を解かないままに言葉を返す。

 

「なら最初の質問に戻るだけ。何のためにここにいる? 返答によっては容赦しない」

 

「守秘義務があるから言えないかな。でも一応正規に入国許可は得てるとだけは言っておくよ」

 

「そんなわけ……! あんたは《北の猟兵》を襲撃した悪魔だ! それなのに正規に入国許可を得てるわけがない!」

 

「あー……ちょっと説明出来ないし、あんまり喋ると良くなさそうだからそろそろ行くね?」

 

「っ、待て……! ノーザンブリアから、出ていけ……! ここは、あんたが来ていい場所じゃない……!」

 

「……それについては、()()()()()()()()。そのうち帰るから安心していいよ。──それじゃばいばーい。出来ればもう会わないようにしようねー」

 

 そう言ってその暗殺者は、《血染の裁縫師》はその場から人形と一緒に消えていってしまう。

 導力魔法じゃない。何か特殊な術なのか。どこかに転移してしまい、追いかける術はなかった。

 

 ──だからせめてその報告を行った。首都ハリアスクで私たちの上司に。ノーザンブリアにあの《血染の裁縫師》が入国していると。

 だけど()()()()()()()()()()()()()()()()()()、私はもやもやする気持ちを抱えながらも引き下がった──《北の猟兵》の上層部や古参兵があの暗殺者を追いかけないそれぞれの理由を、この時の私はまだ知らなかった。

 

 

 

 

 

 ──今日も元気にこんにちは! アーヤ・サイードです! 毎度の如く色々ありすぎる日々を送ってるけどすこぶる元気です! 

 

 というのも私は久し振りにノーザンブリアにやって来たのだ。

 まあたまに私用で訪れることもあったけど仕事で、しかも正面……正面? まあ招かれてるから正面かな。そう、正式に招かれてやって来るのは初めてだった。

 なんたって今回は結社の一員としてやって来てるし、結社の執行者としてやってこれた理由がノーザンブリア自治州を現在実質的に統治、支配してる《北の猟兵》の上層部に依頼されたから。

 なので初めて《北の猟兵》の上層部に会ったけどそのイカれたメンバーを紹介するぜ! ぶっちゃけ全然知らないけど! 原作に出てこないし! 

 

「協力感謝する。結社《身喰らう蛇》よ」

 

 まずは北の猟兵の首領! 《北の雷帝》の異名を持つグラーク・グロマッシュ! 通称《マスターグラーク》とも言われてる白髪のお爺ちゃん! 

 だけどぶっちゃけそんなに強くなさそうだけどどうなんだろう。でも《北の猟兵》の創始者の1人らしいし、きっと頭が良いんだろうなぁ。人格は微妙そうだけど。だって秘密裏に結社と契約してなんか碌でもないこと考えてるっぽいし。というかオジサンも言ってた。

 

「ネタバラシすると10年前に結社に《北の猟兵》の穏健派の幹部の暗殺を依頼してきたのは《マスターグラーク》だぜ」

 

「え、そうなの?」

 

「ああ。ちょうどお前が執行者になった時だったか。お前に何か刺激的な仕事を任せようと思ってた時に依頼が来てな。ある程度犠牲が出ても構わねぇからそいつを殺してほしいと。クク、どうやら雷帝殿は自分の影響力の邪魔になるような輩は同じ穏健派であっても許さねぇほど権力にご執心らしい。会ったことはねぇが多分、今も変わってねぇだろうなぁ」

 

「うわ~……」

 

 私はそれを聞いて真顔になった。……え? じゃあ同じ穏健派の幹部の暗殺を依頼してあれだけの被害を出させたのは……いやまあやったのは私だし受けさせたのはオジサンだから私たちが悪いのはそうなんだけどね。それでもちょっとびっくりした。じゃあ黒幕みたいなもんじゃんって。

 依頼主が誰かとかは聞いてなかったからさすがにうーんってなった。実行犯の私が言えたことじゃないんだけど……味方の暗殺を頼んでおきながら追討命令を出して何人も死なせるって碌な人じゃなさそう……。

 

「もっと……もっと私を楽しませて……!」

 

 ま、まあそれはそれとして次は《北の猟兵》のNo.2! ジェイナ・ストーム! 真っ白い髪に赤いメッシュを入れた綺麗なお姉さんだ! ちょっとお洒落だね! でもなんかちょっとサイコパスっぽい! カンパネルラが持ってきた商材用の人形兵器を見てなんかウットリしてる! 怖い! 何がそんなにウットリするようなことがあるのか分からない! 

 

「あれはおそらく停滞を嫌い、場が波立つことに悦楽を感じているのだろう」

 

「つまりその心は?」

 

「我々が提供した人形兵器を通してその先の戦乱、混乱を想像して愉しんでいたのだろうな。フフ、まあ理解出来ない趣味ではないが……祖国の支援を謳う組織のNo.2としては中々に度し難い人物であることは確かだろう」

 

「はえ~……」

 

 私はなんとも言えない声を出す。ブルブランがそう教えてくれた。人を見る目は私よりも全然あるからブルブランの評は間違ってないんだろう。つまりは自分の趣味、私欲のために戦乱や混沌を望んでる。ノーザンブリアの未来とかはどうでもいいって感じの悪女らしい。え~……確かにそれはちょっとドン引きかも……まあこれも悪の秘密結社が言えたことじゃないんだけどさ……。それと変な魔術にも傾倒してるらしい。怖~……近寄らんとこ。せっかく綺麗な人なのにもったいないなぁ……。

 

「ふん……蛇共め……。だが精々利用させてもらうぞ……帝国を叩き潰すためにな……!」

 

 ってことでお次は多分No.3! 急進派って言われる過激派のトップ! ローガン・ムガート! 《極光のフェノメノン》って異名を持ってるらしい! 左目に傷がある如何にもな人! 厳つくてちょっと怖い! 人形兵器工場でチラッと会ったけど普通にめっちゃ睨まれた! 怖い! でも強さ的には私の方が強いと思う! デュバリィちゃんに聞いてみた! 

 

「はぁ、何を言ってますの貴方は。わたくしたちが負けるはずがないでしょう?」

 

「ですよねー」

 

「ふん……あれは井の中の蛙ですわ。どうやら本気で帝国を正面から打倒出来ると盲信しているようですし、仮に急進派が実権を握ったとしても《北の猟兵》の消滅は時間の問題でしょう。わたくしたちが何かするまでもありませんわ」

 

「へえー。それじゃ暇だし久し振りに《ポムっと!》でもやる?」

 

「今度こそは負けませんわよ……!」

 

 って、デュバリィちゃんは私と《ポムっと!》で遊ぶ前にそう言ってた。なんだ、ちょっとガッカリ……いや、強い人とはあんまり会いたくないんだけどさ。だけど《北の猟兵》くらい大規模な高位猟兵団ならもっと馬鹿強い猟兵が1人くらいいるんじゃないかって原作ファンとしては期待してたんだけど別にそんなことはないらしい。

 しかも急進派は本気で帝国と開戦して勝つつもりらしいから大分頭に血が昇ったヤバい派閥だ。いや、無理でしょ。知識の上でもそうだけど一応は帝国軍情報局に所属して色々見てきたから分かるけど帝国の軍事力って控えめに言って頭おかしいよ? 仮に機甲兵とか騎神抜きでもやばいよ? 何個機甲師団あると思ってるんだろう。ウチから人形兵器大量購入したところで無理だって……役割とか用途に依るとはいえ真正面から戦ったら最新の戦車の方が普通に装甲も火力も厚くて強いし……それに帝国軍は武術の達人とか多すぎて白兵戦でも強いんだよね。しかも来るのがオーレリア将軍でしょ? 無理無理かたつむり。私なら即逃げる。あの人強すぎだし初見で見抜かれまくって超怖かった……。

 なので《北の猟兵》が幾ら猟兵としては大規模と言っても戦力的には桁が違う。つまり負け確ってことだ。

 

「なんだったら君1人でも潰せるんじゃない?」

 

「いやそれは……まあ、上層部は確かに隙だらけだったけどね。というかやったら駄目でしょ? やる気もないけど」

 

「今はまだお客様だからそうだね。ただオジサンの意向次第じゃどうなるか分からないけど」

 

「ええ~……まさか乗っ取るつもりじゃないよね?」

 

「ボクは知らないしオジサンに直接聞いてみたら? 教えてくれるかどうかはさておきね」

 

 なんてカンパネルラと話してて不穏な感じになったけど、多分《北の猟兵》を乗っ取るなんて単純な企みはオジサンはしないと思う。いや、分かんないけどね。オジサンの考えなんて。でももうちょっとフィクサーっぽいヤバそうなこと考えてる気がするんだよねー……カンパネルラの言う通り、教えてはくれなさそうだけど聞くのもそもそも怖い。聞かない方がマシまである。何故か《北の猟兵》の幹部とは誰とも会ってないし、そもそもノーザンブリアにいることすら伝えてない。完全に隠れてるし。

 

「別に《北の猟兵》に興味はねえからなぁ。ただ企みには利用出来そうだし、商談に関しちゃカンパネルラだけでも十分だろ。事が起こるまでは大人しく、それこそ観光でも愉しむとするか」

 

「やっぱ企んでるんだ……」

 

「そりゃあオジサンだぜ? 企んでないわけねぇだろ?」

 

「はいはいそうですねー。──あ、レティ姉さん! 一緒にロウリュ入りましょう!」

 

「あらまあ、またそんなに甘えてからに。アーヤはいつまで経っても子供みたいやねぇ」

 

 なので私も考えないことにした。何故かレティ姉さんまで呼ばれてることは気になるけど、久し振りに会えて嬉しいので何も考えず甘えることにした。レティ姉さんはいつも優しいからね! 

 

 ──ただ私もこうやって遊んでばっかりじゃいられない。一応結社の仕事だけじゃなくて鉄血おじさんの方から頼まれた仕事もあるからね。

 

 だから私はちょいちょい首都ハリアスクに侵入して情報を定期的に帝国に送ることにした。ノーザンブリアでも北の方のまだ雪が積もってる辺りでテントを張ってソロキャンしながらね。

 そして滞在が数ヶ月にも及ぶし、暇なので凍った池でスケートを楽しんだ。そしてスケートにハマった

 マキナをコーチ兼審査員兼観客にして滑りまくってたね。そしてノーザンブリアの自然を見ながらデザインを描いて服を仕立ててそれをマキナに送らせてまた滑って楽しみまくりの日々。たまに仕事もあるけど《北の猟兵》の警備はガバガバだったんで楽。ご飯は凍った池に穴を開けて釣りをした魚を手に入れた。それとちょっと離れた場所に()()()()()()()()()それを使って魚を塩焼きにして食べた。たまに近くの村で野菜とか購入しつつね。それがしばらく続いた。

 

 ちなみにウィンタースポーツは大陸北方じゃそれなりに浸透してるというか発展してるみたいだね。帝国でもリィンくんの故郷のユミルじゃスノーボードが出来たし。ノーザンブリアにレミフェリア。オレド自治州にレマン自治州に自由都市圏に辺境でも冬になれば山でスキーをしたり凍った池でスケートで遊んだりは普通にあるらしい。

 ただ大規模なスキー場やスケートリンクはないのでそこは残念。……私作ろうかな? お金ならそこそこあるし。大陸北方や共和国辺りでスケートリンク建設して遊べるようにしたら楽しそうだし、なんだったら国際的に競技大会とか開かれて面白そうじゃない? ノーザンブリアの人もウインタースポーツは得意で、特に《塩の杭》で色々ある前は盛んだったみたいだし、今でも子供がたまに遊んでるから将来的に食い扶持になるかもしれないし。なんだったらスケートリンクの職員として雇おうかな。服飾の道に進ませるよりは最初っから割と得意ってことで向いてるかもしれないしね。

 

 なんて感じで色々考えながらスケートを楽しみながら数ヶ月が経った。途中、なんかモブ猟兵に見つかって襲われたけど相手も成人してない子供だったし適当に追い返した。新兵にしては筋は良かったけどね。珍しくヘルメット被ってなくて可愛かったけど、モブではあると思う。見た目ってなんの参考にもならないんだよね。ほら、ゲームだとモブのデザインって使いまわしが多くてモブとそうじゃない人の見分けはすぐについたけど現実だと街の人も当然1人1人見た目が違うわけで髪の色や見た目が個性的なのも珍しくはない。1人1人が生きてる人間。なので原作名有りキャラかそうじゃないかは判別出来ないわけだ。

 まあ原作ではモブだからといって躊躇なく殺したりはしない。一応《北の猟兵》はまだ依頼主だし、サラちゃんのこともあるし、相手も1人は子供だったからね。これがただの猟兵で戦場で子供でもなかったらやるしかないけど今回は別にやる必要はない。

 なのでキャンプ地を変えて再び潜伏を続けた。そしてスケートも続けた。大体5ヶ月くらいそんな生活を続けたかな。ふふん、私ってやっぱり天才かもしれない。マキナのコーチングの良さと私のセンスと身体能力のゴリ押しでクアドラプルアクセルも成功したぜ! 将来的にはフィギュアスケートの第一人者になってもいいかもしれない。フィギュアスケートの衣装とかスケートやってる間に沢山思い浮かんだからめちゃくちゃ仕立ててみたいし、そのためにも近くの村の子供たちにも教えて広めよう。目指せ創始者! 目指せ金メダル!

 

 あ、良いこと思いついた! どうせなら今年のコレクションは()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()! そこでフィギュアスケートの衣装もちゃっかり仕立ててお披露目すれば皆めちゃくちゃ驚くだろうしめちゃくちゃ可愛いし綺麗だからバズるはず! よーし、そうと決まれば早速セラちゃんに電話しよっと。──あ、セラちゃん? 今年のコレクションなんだけどさ。今ある衣装に追加してスケートしながら披露しようと思うから手配してくれる? え? 意味が分からない? それに時間もない? いやいやいけるって。スケートリンク建てて運営に話をするだけでいいんだからさ。ん? 無理? そもそもどんな建造物か分からないし技術も意味不明だしそんなの受けてくれるモデルがいない? んー……わかった。そういえばセラちゃんってレミフェリア出身だよね? スケート滑れる? 結構得意? よし、それじゃセラちゃんモデルやってね。帰ってから色々と私も教えるし、最悪私も仮面でも付けて一緒に滑るから練習しといてね! 運営にも触りだけでも伝えといて! それじゃあまたねー! ……よし、それじゃ次は──あ、もしもし博士? スケートリンク共和国に作って! ……意味が分からない? そんなことしてる暇などない? いやいや、これまで私が何百回実験に付き合ってきたと思ってるの? 貸しあるじゃん。それ使わせてよ。……あ、それともまさか作れないの~? 十三工房の統括者ともあろう博士なのに? そっかーそれならしょうがないかー。一年中氷が張られてる室内施設を作るだけのことだと思ったけど本当は難しい博士でもできないような夢物語だったんだね。でも無理ならしょうがない。諦め──え、できる? できないわけがない? そっか! それじゃよろしく! 建設予定地とか具体的な要望も後で送るね! 多分共和国だけじゃなくてゆくゆくは北方諸国の色んなところに作ろうと思ってるから今後ともよろしくー! ありがとー! ばいばーい! ……よし! これでオッケー! 後は私が衣装を間に合わせれば実現できちゃう! 楽しみ~。

 

 ──と、そんなこんなで11月。5ヶ月ほど遊んでる内に遂に始まった《北方戦役》。エレボニア帝国のラマール州領邦軍とサザーラント州の領邦軍。2つの連合軍がノーザンブリア内に侵攻。つまりオーレリア将軍とウォレス准将の軍だね。

 

 そもそもエレボニアからの賠償請求を突っぱねた上に、議会をどういうわけかあのローマン? 名前忘れた。急進派が牛耳ったので外交的な解決も何も考えずに「戦争! 戦争! 戦争!」って感じで戦争を求めたので帝国も「よろしい。ならば戦争だ」と侵攻した。いやまあ鉄血おじさんの事だからどうなろうと結局侵攻はするんだろうけどさ……それでももうちょっとこう、なんとかならなかったのかな。苦しむのは結局領民だと思うんだけどなぁ。戦争なんてしても民間人にとっては良いことなんて全然ないのにさ。

 

 でも正直帝国に併合された方が安心安全に暮らせるって意味じゃ悪いことばかりじゃない。だからせめて民間人に被害がいかないように、犠牲は《北の猟兵》に引き受けてもらう感じで頑張ろう。

 あ、それとなんか知らない間に《マスターグラーク》は死んでた。なんか毒殺されたみたい。しかも調べたらあのジェイナって人がやったみたいだった。そしてその間にあのモーガン? ローガン? 急進派の人が革命を成功させてた。なんというか……内輪揉めばっかりで《北の猟兵》って本当に大変だね? ノーザンブリアの人には本当に同情する。

 やっぱ支援してあげないとね。()()()()()()()()()()()()()。セラちゃんに連絡しとこーっと。

 

 さて、それじゃ後は高みの見物をして終わりかな。……でも結局オジサンは何がしたかったんだろう? それに帝国側も一々私を呼ばなくて良かったんじゃないかな。

 そう思いながらも私は首都近郊までやって来ていた帝国軍と《北の猟兵》の戦闘を見物しに行くと……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃ始めるとするか」

 

 ──オジサンが指を鳴らして。

 《北の猟兵》は一斉に、その全兵が白い気を立ち昇らせた。

 そして彼らは一斉に帝国軍へと襲いかかる。

 

「──グガアアアアアッ!!」

 

「くっ……なんだこいつらは……!?」

 

「機甲兵にも躊躇せずに突っ込んでくる……!」

 

「まるで死兵だ……!」

 

 ……………………ん? 

 私は《北の猟兵》の想定以上に凄まじい……というか獣みたいな戦いっぷりに疑問符を浮かべる。なんか()()()()()()()()()()()()()。力とタフネスがすごくて正気を失ってる。

 そしてこれを起こしたのは……間違いなくオジサンだった。

 

「えーっと……オジサン?」

 

「なんだ?」

 

「これ何?」

 

「ああ。なんつーか、ノーザンブリアが見てて可哀想になってきたからなぁ。オジサンも、微力ながら手助けしてやることにしたんだ。ちょっとした実験も兼ねてな」

 

「いやそうじゃなくて」

 

「《北の猟兵》の方ならただの薬物強化だ。言っとくが、グノーシスではないぜ?」

 

「それ、いつの間に仕込んだの?」

 

「つい最近だな」

 

「じゃあ材料は? まさか私の血だったり……?」

 

「……クク、さすがに長い付き合いなだけはあるな。お前みたいな勘の良い相手はオジサン、大好きだぜ♪」

 

 ……あー……それじゃこれってASシリーズの一種ってこと? 

 いや、使うのは良いんだけどさ……いや、良くないけどね? でもオジサンだから仕方ないんで百歩譲ってそれは良いとして……問題なのはこれがどういう効果を発揮するのかってことで……。

 

「──それじゃお前の方も()()()()()()()()()()()()

 

「──は? え? どういうこと?」

 

「お前は今回、()()()()。お前の教え子も参加してるみたいだし、ノーザンブリアの人間も助けたいだろ? オジサン、悪者になってやるから好きに手助けしていいぜ。──数時間もすればお前と関わりのないノーザンブリアの人間は全員死ぬようになってるからな

 

「……え? い……いやいやいや……ちょ、それは……」

 

「クク、面白ぇだろ? 《AS-BAIO(バイオ) Type-Curse(カース)》。ポピュラーな接触感染とは真反対かつ異質。()()()()()()()()()()()()()()。条件付けを行い、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()呪い染みたオジサンの“新作”だ。条件を満たさない者には絶対に感染しない安心安全な作りでな。効果は肉体の強化と治癒。精神面での狂暴化。数時間後には死に至る。なお副作用として()()()が全身から立ち昇るのでご注意を──ってな」

 

「しかもBAIOの方の新作使ったの!? というか効果やばすぎるんですけど!?」

 

「ま、とはいえ心配しなくともお前と《灰色の騎士》。それと《紫電》に、何名か懐かしい顔も来てるみたいだし、全員で協力すればなんとか解決出来んだろ。解除に必要な抗体はオジサンが持ってるから後で受け取りに来な」

 

 は!? いや、だから意味不明──

 

「それじゃ例のアジトで待ってるぜ。アーヤちゃん♡ お前が培ってきた成長って奴を見せてみな」

 

「だから、待っ──」

 

 ──そうしていつも通り余裕そうにオジサンは転移で消えてしまった。

 

 雪原で1人になった私は数秒、思考をまとめる。そしてそれから、内心で叫んで走り出した。

 

 ──オジサンのアホ────!! 何してんのー!? いやいやいや! ノーザンブリアの人間皆死ぬって意味不明だしやりすぎだから! 悪者になってやるとかいうけどそもそも元から悪者だし! 何名か懐かしい顔って誰!? 誰が来てるの!? 怖い怖い! 展開が意味不明すぎて物騒すぎて怖いって! 助けて良いって言うだけマシだしオジサンにしては気は使ってるのは読み取れたけど間に合わなかったら本当に死ぬだろうし時間がない! 

 

「うわああああああああん!! とりあえずリィン君とサラちゃん助けてー! このままじゃノーザンブリアの人間が全員死んじゃうよー!!」

 

 じっとしてる暇なんてない。私は急いで首都ハリアスクに向かい、そこにいるリィン君やサラちゃん。何故かいた()()()()()()()()()()()()()()()声をかけて事態の収拾に全力で動くことになった……。




遂に100話。ってことで今回はここまで。大変なことになってるけど普通に次回かその次くらいでノーザンブリア編は終わります。そろそろ閃の軌跡Ⅲも近づいてます。最初の予定だと100話までに閃の軌跡Ⅳが始まるか終わるくらいにはなるかなーって思ってたけどね。やっぱり長引きました。
ですがこれからもアーヤちゃんの不幸な軌跡を書いていくのでこれからも応援よろしくお願いします。

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