TS不幸少女のゼムリア大陸災難記   作:黒岩

102 / 138
トールズ第Ⅱ分校にやってくる不幸

 ──碧の大樹が消滅してキーアの中から“至宝”の力が失われてから1年。

 

 それからクロスベルでは、キーアの周りでは色々なことがあった。

 帝国がクロスベルに攻め込んできてクロスベルが帝国領になって、ロイドたちもクロスベルのためにそれぞれ動いてた。

 キーアも帝国から捕まえるように指示が出てるみたいでロイドと一緒に追いかけられるようになったけどアリオスとかツァイトのおかげもあってなんとか捕まらずにいれてる。最近は殆どシズクちゃんと一緒にいて一緒に遊んでる。

 キーアもキーアを受け入れてくれたロイドやクロスベルの人たちのためにできることがしたい。力はなくなったけどちょっとした感覚みたいなものは残ってるから、たまに異変の兆候みたいなのを伝えた。少しでもロイドたちが動くための手助けになればいいなと思って。

 

 そして──七耀暦1206年。その年明け。

 

「なんとか衛士隊は振り切れたみたいだ……!」

 

「ああ……だが気づいているかロイド」

 

「はい、アリオスさん。まだ他に追手がいるみたいですね……!」

 

 キーアたちはジオフロントで頑張って逃げていた。

 去年からロイドやアリオスがクロスベルの総督府に指名手配されるようになってキーアたちは常に隠れて行動するようになってた。

 幾つかの隠れ家に隠れて、協力してくれる人たちに匿ってもらったり見逃してもらったりしながら。ロイドたちはクロスベルの人たちに愛されてるから本当に色んな人に協力してもらってる。

 だけどそれでも追いかけてくる帝国の軍人さん。特にクロスベル総督府の衛士隊や情報局の人たちがよくキーアたちを見つけては追いかけてくる。その度にキーアたちは頑張って逃げてるんだけど、今日はクロスベルの地下に広がるジオフロントを使って追手から逃げようとしてた。ロイドやアリオスだけじゃなくてシズクにツァイトも一緒に。

 他の人たち──エリィは別行動しててリーシャもそっち。ランディは帝国軍に入ったし、ティオは財団に所属してるから大丈夫。ノエルは警備隊で、ワジは教会に1度戻って、ダドリーおじさんは警察。だから他の人はこの場にいないし、いても協力は出来なかったりする。

 だけどキーアは大丈夫だって安心してた。離れていても特務支援課の人たちや他の人も仲間だし、何よりロイドにアリオスにツァイトだっている。だからこの場もきっと乗り越えられるはず。

 

 ──ただ今日のその日はなんか嫌な予感がした。

 

「……! この気配……」

 

「……キーア?」

 

 キーアはずっと昔にベルの祖先のクロイス家に作られた人間で、《零の御子》だった。

 教団の揺籠でずっと眠っていて、ベルたちに起こされて《零の至宝》の力を持っていた。

 だからちょっとした予感や気配みたいなのはなんとなく分かる。特に、不思議な力に関してはキーアも力になれる。

 だからその時は背後から気配を感じた。よく知ってる気配。キーアが《零の御子》でいる間、関わって感じてきた相手。キーアの力が、少なくとも因果の操作に関しては殆ど効かなかった相手の気配。

 

「気を付けて! 後ろからアーヤが来たよ!」

 

 それが近づいてきたのを感じてキーアは注意をロイドたちに呼びかけた。その直後、キーアたちを追いかけて駆けてきたのは名前に出したそのすごい暗殺者の──

 

「──カツ丼5人前! お届けに参りましたー!」

 

 ──違った。カツ丼屋さんだった。

 

 でもアーヤだった。アーヤ・サイード。キーアが《零の御子》としてベルの元にいる間、ずっと優しくしてくれたどこか親近感を感じる人。

 そしてなんでか分からないけどキーアがちょっと苦手に思ってた人だ。その理由はアーヤにキーアが何度も何度もやり直させられていた気がすることだと思ってたけど……それを思い出した後で考えればそれが理由じゃないような気がする人。そのアーヤが白い東方風の料理人みたいな格好と岡持ちって言うらしい多分中にカツ丼が入ってる箱を手にすごい速さで追いかけてきてた。だからちょっと良い匂いがしてたんだ。

 

「やっぱりアーヤだー!」

 

「キーアちゃん久し振りー! 元気だった? そしてロイド・バニングスとその一味はやっと見つけたぞー! こらー! 指名手配犯観念しろー! カツ丼持ってきたぞー!」

 

「アーヤさん……!? 一体何を……!?」

 

「……俺たちを捕らえに来た……にしては格好が珍妙だな……」

 

「普通に捕らえに来たけど上から命じられた時ちょうど新しくやろうとしてた飲食店のメニュー作りの最中でちょうどカツ丼が出来上がったところだったから全員分持って来たんだよ! だからカツ丼食べて観念しろー! そしてできれば戦うのはやめてくださいお願いします」

 

 それを聞いてロイドにアリオスもなんとも言えない顔になってた。キーアはカツ丼をくれるって聞いて嫌な感じもしなかったし普通に嬉しかったし受け取ってシズクと一緒に食べたけど、()()()()()()()()()()()()を思い出すとちょっと変な気分だった。でもそれでも今は全然苦手じゃない。苦手じゃないんだけど……やっぱりアーヤに近づくと変な感じがするのはどうしてだろう? 

 前にロイドたちにも「アーヤの力はキーアもよく分からない」ってその感じた感覚と一緒に伝えたし、ツァイトも最初にアーヤを見た時から何かを感じ取ってたみたいで「…………仔細は未だ、私にも分からぬが……いや、だが……」って何か言いたそうだけど言わないようにしてるみたい感じだった。ロイドたちは不思議がってたけど……でもその感覚はキーアにはなんとなく分かる。アーヤを見ると()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、教団の被害者の知識や人格をキーアが吸収してたからか、親近感みたいなのも感じる。アーヤもキーアが《零の御子》と呼ばれてたのとは別で《奇蹟の御子》とか呼ばれてたみたいだし、それくらいアーヤの持ってる力は不思議なものだと思う。正体は全然分からない。

 

「カツ丼食べ終わった? なら観念しろー。お前たちは包囲されているー。お袋さんが悲しむよー」

 

「立てこもり犯じゃないんだが……」

 

 ──だけど今は一応敵……だよね? そんな感じは全然しないけど。いつの間にか導力拡声機を持って立てこもり? の人にするみたいな呼びかけをこっちにしてた。とりあえずごちそうさまってしてからロイドたちと一緒に逃げた。アリオスが食い止めるって言ってその場に残ったけどアーヤは「うわーん!? 《風の剣聖》と戦うのなんて無理だよー! また服切られちゃうー! いやー!?」って遠くで叫んでた。でもその後戻ってきたアリオスが「追い払うのに中々苦労した」って言ってたからやっぱアーヤはかなり強いみたい。数日後にはすぐにまたアーヤに見つかったしね。

 

「懸賞金1億ベリーのロイド・バニングスー! 私は帝国軍情報局のアーヤ・サイード特務大尉だぞー! 早くお縄につけー!」

 

「ベリーってなにー?」

 

「……分からないが、おそらく仮想通貨だろう。アーヤの頭の中のな」

 

 ってエルム湖でボートで移動してる最中にアーヤもボートで現れてそんなことを言ってきて、アリオスが斬撃を飛ばしてボートを真っ二つにして(アーヤも直撃してたけどアーヤは叫ぶだけで切れてなかった)アーヤから逃げたり──

 

「こらーそこの暴走車止まりなさーい! ──って、あれ……? 急にハンドルが効かな……うわーん!?」

 

 ──街道を車で移動中、アーヤも車で追いかけてきたと思ったらいきなり事故って横転して街灯を破壊して偶然その場に駆けつけた警察に捕まってた。「そっちが捕まるのか……」ってロイドは呆れながら呟いてた。

 

 でも結局すぐ解放されたみたいで、それから何度も現れては帰ってを繰り返したけど、それからしばらくしてアーヤは帝国に戻ったみたい。キーアたちをミシュラムに追い込んだからもうアーヤが動く必要はなくなったんじゃないかってロイドたちは言ってた。やっぱりアーヤはすごいよね。ロイドたちがこんなに疲れた感じになるなんて……多分アーヤ以外にはできないんじゃないかなー? 

 

 あ、それと帰り際にこっそりキーアのところにやってきて「暇にならないように友達と一緒に作った最新の導力ゲーム置いとくね。良かったら感想聞かせてね!」って内容の手紙と導力ゲームを置いていった。やっぱりアーヤは優しいよね。そうしてキーアはシズクと一緒にしばらく導力ゲームで遊ぶことにした。

 

 

 

 

 

 ──どうもー。アーヤ・サイードでーす。最近飲食店の出前サービスを始めました。これで忙しい現代の人々もいつでもどこでも外食が楽しめるね! 

 

 さてさて、ノーザンブリアでの長期の仕事を終えて少し。色々あって七耀暦1206年を迎えました! なので私も22歳になった! もう良い大人だね。その大人のアーヤちゃんの最近の活動はと言うと……まあまずノーザンブリアから出る時にラヴィちゃんって子と知り合って仲良くなった。なんか故郷を出て旅に出るらしい。ラヴィ! って言いたくなる。なんとなくちょっとだけ一緒にいたけどゲストキャラみたいな感じですぐに別れた。旅の間に服が欲しくなったらぜひサイードショップへ! 店内BGMで天国と地獄流しとくからね! ラヴィ! 

 

 そして年末は言っていた通りスケートリンクを共和国に1つ建てて、ファッションショーの会場として運営に持ちかけて使ってみた。その評判はかなり良かったみたいで満足満足! セラちゃんもモデルを請け負ってくれたし、なんとか練習してフィギュアスケートの動きも様になった。私も仮面を付けて滑ったのも良かったかもしれない。衣装の売れ行きも更に順調だ! 

 更にショーの後はスケートリンクを一般解放してみたのでちょっとした流行りの遊びになった。──まあ皆最初は全然滑れないのは御愛嬌だけどね! でも数ヶ月は流行らせるために無料でやるつもりだからね。それで流行ってくれればいいね! 

 

 あと事業の話で言うと友達と一緒に作った導力ゲームの売れ行きも順調だ。導力端末を持ってる人がまだ少ないからまだオタク向けではあるけどね。それならハードとして家庭用導力端末も売り出そうってことでハード開発に乗り出す計画を考えた。問題は据え置き型にするにはそもそもテレビというか液晶端末がないので携帯型にせざるを得ないというか、これだけ技術が発展して巨大ロボットまで出来てるのに未だにラジオってのが若干の違和感を感じないでもない。まあ街頭に液晶端末を設置したりはしてるんだけどね。なぜテレビだけないのか……映画はあるのに……テレビがあったら家でも映画が見れたりして便利だと思うんだけどなぁ……ってことで! ゲームハードと思わせて据え置きの導力端末を売ることにした! テレビじゃないけど結局端末の方がどっちにも使えていいからね! まずは導力端末を一家に一台置いてもらわないと流行らないだろうし! 携帯型の導力オーブメントはまだ仕事で使う人しか持ってないのがネックだし! 

 

 そんなことを友人に言ったら「財団や三大導力器メーカーが独占してる業界に参入するってこと……?」って不安そうにしてたけどそこはポジティブに励ました。大丈夫いけるいける! 私たちなら夢を叶えられるよ! 頼れる外部顧問というか助っ人もいるしね! 

 ソフト面は友達もなんとか出来ても導力端末開発はノウハウがない。そこを不安視しているみたいだったけど問題ない。私は前々から博士にも相談していた! ゲーム開発の相談には乗ってもらってたけど、せっかくだから導力端末も売り出そう! 博士お願い! 一般向けの端末作って売るのに協力して! そう頼んだけどなんか最初だけ渋ってた。「大衆向けの導力端末などそんな低レベルなものを作る気はない」とかなんとかブツブツ言ってた。私も最初は納得して「そっかー……博士が無理なら知り合いのシュミット博士か財団辺りの誰かに頼むしか……ムーブメントを起こすチャンスを逃すわけにはいかないし……」って言ったらなんか急に反応して協力してくれることになった。なんか妙だったけど「私ならその程度、片手間でできる上に研究資金を得ることも出来そうだからねぇ」と理由を口にしてたけどあの一瞬の妙な反応はなんだったんだろう。でも協力してくれるならいっか! 細かいことは気にしない。友達と相談して友達の会社から新しい導力端末を売り出すことに! 開発頑張るぞー! 私はアイデア出しくらいしかやることないけど! 

 

 ──と、それがここ最近の表の仕事事情だ。メインは衣装制作でそっちはもう支店を出してない地域が殆どないくらいには繁盛してるし、私もほぼ毎日稼働して服を仕立ててる。この間セラちゃんに売上を久し振りに教えてもらったけどとんでもないことになってた。私大金持ち! ふっふー! テンションあっがるぅー! 

 

 そしてここからは裏の仕事だけど……いや、正確に言うなら裏だけど表って言うべきかな? 帝国軍情報局に籍を置いてますアーヤ・サイード特務大尉であります! 大尉なので結構偉い! そろそろ部下とか貰ってもいいんじゃないかな!? ってレクター少佐に聞いたら「お前さんは部下なんていらねぇだろ。つーか持たせらんねぇ」って言われた。解せぬ。まあいいけどね。軍人としてもちゃんと仕事しよう! 大変だけどこれも一応必要な表の仕事だしね! 前向き前向き! 

 

 ……ただその仕事内容が指名手配犯ロイド・バニングスを捕まえろって内容だったのがかなりキツかった……というかいつの間にか指名手配されてるし……そもそも捕まえていいの? ただでさえクロスベルの人たちは帝国のこと良く思ってないし……ロイドくんを捕まえたら暴動……は起きないにしてもデモ活動でもされるんじゃない? 割と真面目に。

 ただロイドくんも警察に出頭しないでレジスタンス活動に熱心だから手配されるのは若干しょうがない感がしなくもない。他の特務支援課の人たちはそれぞれ表向きには帝国に逆らわずに動いてるし。真っ向から帝国の統治の邪魔をしてるのはロイドくんとそれに協力してるアリオスとリーシャちゃんくらいだ。後は協力者が地味にいるけどそっちは捨て置いていいらしい。捕まえようと思えばのらりくらりとしてる《黒月》とか相変わらずジオフロントで引きこもってるヨナくんとか捕まえられるんだけど別にそこまで徹底する必要はないってクロスベル総督府のルーファス総統閣下は考えてるみたいだねー。じゃあロイドくんも放っておいていいんじゃ……と思うけどそこはそれ。真っ向からレジスタンスしてるロイドくんを完全に放置するのもよろしくないみたいなので私を向かわせることにしたとよく分かんない理由で使われた。……一応私の上司というか契約相手は鉄血のおじさんだけでルーファスの命令を聞く気はあんまりないんだけどなー。でもこれくらいなら頼まれてもいいかと思って一応牽制に向かった。最近クロスベルにも東方料理屋を出店しようとしてカツ丼を作ってたところなんでついでにロイドくんたちに味を見てもらうことにした。美味しかったみたいで良かった。でもアリオスと戦うことになったのは最悪だった……《風の剣聖》の相手なんて私には荷が重すぎる……なので程々にやって撤退して、ほとぼりが冷めた頃にもう一回捕捉して警告した。本気で捕らえるのは個人的にも嫌だし、注意するだけで茶を濁すことにした。なので形だけでも追跡して忠告しまくった。こらー投降しなさーい。でもアリオスとかリーシャちゃんと戦うのは嫌だから程々にお願いしまーす! 私も程々で逃げるからー! また後で追いかけるけどー! 

 

 そうして年明けから大体1か月くらいロイドくんを追いかけ続けたけどルーファスの方からもう追いかけなくていいって言われたんで任務完了。はー……疲れた。何回アリオスと戦う羽目になったことやら……これでようやく帰れる。とりあえず最後にキーアちゃんやシズクちゃんに発売したばかりの導力ゲームと端末をプレゼントしておいた。後は飲食店の連絡先も。お腹空いたら出前取ってね! 後でゲームの感想も聞かせてね! それと趣味で作った服も置いておくから良かったら着てね! ふぅ……これでヨシ。ロイドくんとかアリオスみたいな大人はともかく子供が軟禁されるのは可哀想だからね。これくらいしか出来ないけど気を使っておいた。

 

 そんなこんなで再び帝国に戻った私は(クロスベルも今は帝国だけど)次の仕事へ向かうことにした。今度はまた裏の仕事と表の仕事がある。裏の仕事は結社からの頼み。なんでも使徒たちの間で方針が別れて第二柱《蒼の深淵》のヴィータ姉さんが結社から出奔したんで見つけて戻って来るように伝えてほしいらしい。できるなら捕らえてもほしいって第一柱から言われた。でも捕らえたくないんだよねー……というかこの後の動きというか誰についてるかも分かってるし。ミルディーヌちゃんもとい、アストライアを辞めたミュゼちゃんの《ヴァイスラント決起軍》につくことはわかってる。私も一応そっちにも所属してるけどこれは結社には伝えてないんだよね……はぁ。なんでこうなったんだろ? 別にいいけど私って所属勢力多すぎじゃない? いいんだけどさぁ……。

 なのでヴィータ姉さんを探す……一応探しつつも連絡しないと見つかるわけもないし、程々にしつつ表の仕事。鉄血オジサンに頼まれたトールズ士官学院の教官になる準備をすることにした。

 

 でもトールズと言っても本校じゃない。言った通り、分校の教官だ! その名もトールズ士官学院第Ⅱ分校! 帝都西側にある近郊都市リーヴスに今年度から新設される学校だ! まあ捨て駒なんですけどね! 帝国内での不穏な動きに対応するためのもので教育機関というよりは新設の部隊みたいな感じだ。加えて所属する生徒はちょっと訳アリの子ばかりという中々にアレな学校。

 だけどそれはあくまで学校設立の経緯でしかないし、訳アリって言うけどただ訳アリってだけだ。子供が学ぶために、将来のためにやってくる学び舎であることには変わりないし、私も教官を頼まれた時は忙しすぎて内心で悲鳴をあげたけど子供たちの将来の手伝いをする仕事なんて裏の仕事に比べたら全然やりたいやりたい! 本校の教官もなんだかんだ楽しかったしね! しかも今回は実戦技術じゃなくて芸術科の教官だ! 実戦技術を教えるのもなんだかんだ楽しかったけど私は芸術の方が得意だし本職でもある! 

 なので今の内にカリキュラムを考えておかないとね! 芸術科目はある程度自由にやってもいいっぽいけど何を教えるかはちゃんと調整しないと。本校で実戦技術の教官をやってた時はサラちゃんが意外と大雑把で大変だった。そのことを煽ったら「じ、実戦は対応力や柔軟性が求められるからいいのよ!」って言ってた。まあ授業内容はちゃんとしてるからサラちゃんのやり方でもいいんだけど教える内容は予めまとめておいた方がいいってレーヴェが私に教えてくれたんで私は人に教える時は予め内容を考えるようにしてる。特に複数人に教える時は絶対その方がいいってさ。私もそう思う。そういうことなので予め考えて私も練習しておこう。内容は音楽に絵画に裁縫ってところかな。裁縫は調理と一緒で家庭科の範囲だと思うけど一応ね。服飾だって立派な芸術の一種だし、私が教官ならそういうことも期待してくれるかなーって思った。軍人だと軍服のほつれなんかは自分で直せた方が良いだろうしね。

 ただ裁縫はともかくそれ以外は別にプロってわけじゃないから改めて私も復習しないと。アラミスに通ってた時は芸術科目は全部最高得点だったし先生からも褒められてたけどプロと比べたら全然だし、とりあえず暇な時に楽器弾いたり絵を描いたりすることにした。共和国でプロやってる友達とかに聞いてみてもいいけど忙しそうだしなー。まあ授業で教える範囲くらいなら大丈夫でしょ! 

 

 ──そして来たる春。新年度が始まる4月1日に私はやってきた! 近郊都市リーヴス! トールズ士官学院第Ⅱ分校! 確かカプア男爵家の元領地! 私もカプア宅急便には服の郵送にお世話になってます! というわけで教師陣に挨拶だ! 

 

「おはようございまーす! アーヤ・サイードでーす!」

 

「む……」

 

「あ、アーヤ教官!?」

 

「おいおい……嘘だろ?」

 

 最初に本校舎の軍略会議室に向かうと既に他の教師陣が1人以外皆揃ってた! だから挨拶挨拶! 挨拶は大事! 

 

「《不死身(ダイハード)》……アーヤ・サイード特務大尉か」

 

「……? 《不死身(ダイハード)》? ランディ兄のことかな?」

 

「俺じゃねぇよ! つーかだから兄って呼ぶなっての」

 

「ごめんごめん。最近できた可愛い後輩とよく話してたからさ。癖になっちゃった」

 

「っ……そいつは……」

 

「……とにかく《不死身》とは君のことだ。アーヤ特務大尉。……自分がなんて呼ばれているのか知らないのか。内戦時にあれだけ暴れて有名になったというのに」

 

 え、なにそれ? その二つ名知らない……ブ◯ース・ウィ◯ス主演のハリ◯ッド映画かと思った……まあいいけどさ。もう知らない間に付けられてる二つ名が多すぎて最近はもう慣れてきた。

 

「まあなんでもいいや。それでそっちはミハイル・アーヴィング少佐にランディ兄、それにトワちゃんだね! よろしくお願いしまーす!」

 

「適当な……大体その服はなんだ? 幾ら芸術科の教官だからといって少々派手すぎでは……」

 

「? あはは、やだなー少佐。これくらい今どき普通ですよ普通ー。情報局でも何も言われなかったですしー」

 

くっ……情報局め……なぜこれを黙認している……? いや、そもそもなぜ結社の執行者などを……これを監視しろと言うのか……!?

 

「あ、あはは……よろしくお願いしますアーヤ教官」

 

「あー……まあよろしくな」

 

「よろしくよろしくー! ──それじゃシュミットおじいちゃんと分校長にも私挨拶してくるねー!」

 

 そう言って私はすぐさまその場を移動する。移動した理由はもう1人の教官を驚かせるためだ。

 なので先に格納庫にいたシュミットおじいちゃんと校長室の分校長に挨拶しておいた。シュミットおじいちゃんとの会話は──

 

「よもやまたしても貴様と同じ場所で雇われることになろうとはな。言っておくが、機甲兵や私の研究物を破壊せぬよう心しておけ」

 

「え? 壊したことあったっけ?」

 

「忘れたとでも言うつもりか……! あれだけ試作の機甲兵で無茶な動きを繰り返しおって……! データとしては役立ったものの、貴様のせいでどれだけの機甲兵を修理する羽目になったことか……」

 

「あー……そうだったっけ? とにかくよろしくお願いしまーす! ──あ、こんなところに導力機あるじゃーん!」

 

「ええい! だから私の研究物に触れるな!」

 

 ──と、こんな感じ。三高弟のシュミットおじいちゃんとは仲良しだからね! パーフェクトコミュニケーションだ! 

 そして分校長の方との会話は……。

 

「お、おはようございまーす」

 

「ふっ……来たか。久しいな、アーヤ・サイード。貴族連合の一員として、そして北方戦役において表と裏とはいえ轡を並べて戦った以来か」

 

「そ、そうですねー。それじゃ私は先に戻って……」

 

「ほう。相変わらずこの私を避けるとは。さすがに肝が据わっているな。まあよい。これからは同じ職場で好きなだけ顔を合わせることができる。気が向いたらまた鍛錬に付き合ってもらうとしよう。そなたの隠密と暗殺の技には一目置いているからな」

 

「あはは……機会があれば、はいよろこんでー……」

 

 ……と、こんな感じ。はぁ……そうなんだよね。トールズ第Ⅱの分校長はあの帝国最強の武人。《黄金の羅刹》オーレリア・ルグィン将軍なんだよねー……はぁ……また鍛錬に突き合わされそうで嫌だ……リアンヌママとは違ってこの人の鍛錬は自分の楽しみのためにやってる感があって容赦ないから怖いんだよね……別に殺されそうとかじゃないんだけどそれでも怖い。

 

 まあでも新しい職場に新しい同僚。新しい環境で早々に後ろ向きになってもしょうがない。オズボーンから言い渡された時から予め覚悟はしていたし、気を取り直して軍略会議室で最後の1人を出迎えよう! ついでにさっき挨拶した教官陣も改めて紹介するぜ! 

 

「──よく来たな。リィン・シュバルツァー君。鉄道憲兵隊所属、ミハイル・アーヴィングだ。出向という形ではあるが、本分校の主任教官を務める予定だ」

 

 まずは主任教官! ミハイル・アーヴィング少佐! 担当科目は主に数学と自然科学! その他諸々! クレア少佐の親戚! 生真面目で堅物っぽい! 二つ名は確か《不撓》! つまりどんな困難に遭っても怯まないし屈しないってことだ! 精神力強そう! 

 

「ランドルフ・オルランド。帝国軍・クロスベル方面隊からの出向だ。あんたの名前はあちこちで聞いてるよ。せいぜいお手柔らかに頼むぜ」

 

 次にⅧ組戦術家の担当教官! ランドルフ・オルランド! 特務支援課の1人だ! 元《赤い星座》の《闘神の息子》! 《赤い死神》! 強くて頼りになる兄貴分だ! 担当科目は主に軍事学! その他戦術関連! こんなトップクラスの元猟兵かつトップクラスの捜査官が教官だなんてすごいぞトールズ第Ⅱ分校! 

 

「そして私が来た!!」

 

「え……? うわっ!?」

 

「久し振りー! リィンくん! 背伸びたねー! 卒業おめでとー! 大人になったね! 今度誕生日で二十歳でしょ? その時は一緒に飲みに行こうね! 私は酔わないけど!」

 

「あ……アーヤ教官!?」

 

「そう、私がアーヤ教官! 本校じゃなくて分校の教官! 帝国正規軍情報局からの出向だね! ──ま、そっちもある意味出向なんだけどね! あはは!」

 

「いや、笑えねぇよ!」

 

「まさかアーヤ教官もこちらに出向して来ていたなんて……」

 

「経緯とかは上からの命令ってだけであんまり話せないけどこれからは同僚としてよろしくね!」

 

 そして私も元教え子に背後から奇襲を仕掛ける! そんな私はアーヤ・サイード! 担当クラスは特にないけど、一応各クラスや科目の補佐をやるように言われた! 担当科目は芸術科全般! 実戦技術や機甲兵教練は教えないよ! 多分手伝う羽目にはなるけど! でもメインはあくまでこの人! 

 

「えっと……はい。色々と気になりますが……アーヤ教官がいてくれるのは心強いです。こちらこそよろしくお願いします」

 

 そうして改めて私に。続いてランディ兄やミハイル少佐に挨拶するのは我らが英雄にして主人公! この春にトールズ本校を卒業して分校に就職を決めたリィン・シュバルツァー! 帝国民に大人気の《灰色の騎士》! 八葉一刀流の使い手! 担当科目は実戦技術に機甲兵教練に歴史学だ! しかも担当クラスはⅦ組特務科! Ⅶ組の担任だ! 本校にはⅦ組はなくなったからね! すごいぞ成長したぞー! なんかランディ兄と顔を合わせて気まずそうだけど! 私が和ませないと! 元恩師として! 

 

「大丈夫大丈夫! 気まずさで言うなら私がこの場にいる方が1番ヤバいし!」

 

「自分で言う事じゃねぇだろ!?」

 

「はは……アーヤ教官は変わりませんね」

 

「あはは……こちらでも頼りになりそうだよね。色んな意味で」

 

「って、そういやさっきチラッと聞いたが本校でも教官をやってたんだったか……お前さんが妙に慣れてるのはそういうことか……」

 

「ランディ兄もすぐに慣れるよ! 仲良くなろうね!」

 

「別に嫌ってるつもりもねぇがなんか慣れたいような慣れたくねぇような……今から頭が痛くなってきたぜ……」

 

「……同感だ」

 

「頭痛薬いる? ──あ、違った。これAS薬だった

 

「危ねぇ!? 急に劇物渡そうとしてんじゃねぇよ!?」

 

「頼むから帝国から出ていってくれないか!?」

 

「よし、これで皆打ち解けたね! 安心安心!」

 

「打ち解けていない!」

 

「むしろ不安が増したっつーの!」

 

「はは……やっぱりいつも通りですね。少し安心しました」

 

「これがいつも通りだと……!? くっ……私はこれを監視し続けなければならないのか……!?」

 

「お前らどんな学生生活を過ごしたんだよ……」

 

 ──よし! 上手く話せたな! あ、1人紹介忘れてた。もう1人の教官はトワ・ハーシェル! 担当クラスはⅨ組主計科! 担当科目は主に政治経済! その他諸々! 今は私の1つ下の21歳(ロリ)! 私も幼く見られるけどトワちゃんは顔が童顔なだけじゃなくて背丈もちっちゃいから正真正銘の合法ロリだ! でもめちゃくちゃ優秀だぞ! 可愛いぞ! 見た目がロリなのにちゃんときっちり教官服着てるのがギャップがあって可愛いね! 私も教官服仕立ててみようかなー? でも今の衣装も仕立てたばかりで気に入ってるし……うーん、迷いどころだけど迷うくらいなら作っておこう! 服は何着あってもいいからね! 

 

 そして私たちが楽しく世間話をしてるとシュミットおじいちゃんとオーレリア分校長がやってきた。ちなみにシュミットおじいちゃんは導力端末などが一応担当だ! まあ肩書は特別顧問で実験とかのために来てる感マシマシだけど! 

 

 以上、7名が今のところトールズ士官学院第Ⅱ分校の教官だ! いやーそれにしても豪華な教官陣だよね。帝国最強の武人に三高弟の1人。帝国の若き英雄《灰色の騎士》に特務支援課の1人。本校で生徒会長を務めた卒業生に鉄道憲兵隊の若き少佐殿。ついでにアーヤちゃん。なんてこった。この中だと私が霞む! でも私だってファッション界じゃカリスマとして崇められてるんだからね! 

 

「それじゃ入学式はどうしますか? 私としては皆で楽器を演奏しながら新宝島ステップで登場するってのが丸いと思うんですけど……」

 

「大真面目に意味不明な提案をしないでくれるか……! アーヤ教官……!」

 

「まさかこのノリが延々と続くわけじゃねぇよな……?」

 

「あはは……なんだかんだやる時はやる人ですし、真面目な時は真面目ですから大丈夫かと……多分……」

 

「えー。じゃあマーチングバンドでもします? 分け身を使ってかさ増しするからインパクトありますよ! それに第Ⅱ分校の校歌も作ってきたし、皆でこれを歌うってのも……」

 

「──ほう。中々に愉快そうだな。採用してみるか」

 

「ぶ、分校長! 正気ですか!?」

 

「無論、冗談だ。サイードの案は型に囚われないものばかりで面白いことは確かだが、雛鳥たちに付き合わせるには少々荷が重かろう」

 

「そ、そうですか……いや、面白いというのは同意できませんが、それは良かった……」

 

「駄目かぁ……他にも案いっぱい考えてきたのに……全員機甲兵に乗った状態で組体操をするとか……もちろんピラミッドの一番上はヴァリマールくんで……」

 

「機甲兵を妙なことに使おうとするでないっ!」

 

「ヴァリマールくんはいいよって言ってたよ。『よく分からぬが楽しそうだな。うむ、リィンが許すならその頂点とやらの大任を請け負わせてもらおう』って」

 

「騎神案外ノリいいな!?」

 

「いつの間にヴァリマールと話してたんですか……」

 

「さっき格納庫に行った時に挨拶してきたよ。──あ、そろそろ時間じゃない? 生徒たちを待たせるのは良くないし、分校とはいえトールズの名を冠してるんだからその名前を汚さないようにしっかりしないとね。教官として襟元を正して生徒たちと向き合わないと」

 

「くっ……確かにその通りだが、急にまともになるな……!」

 

「マジで頭が痛くなってきたぜ……」

 

「頭痛薬いる? ──あ、これ0.1mgでクジラとか動けなくする毒だった」

 

「だから劇物を渡そうとするんじゃねぇよ!?」

 

「普通の頭痛薬もあるよ。私が調合したすっごい効くやつ! いる?」

 

「いるか! そうだとしても怖くて服用できねぇよ!」

 

「あ、あはは……とにかく、そろそろ準備をしましょうか」

 

「うむ。ハーシェル。雛鳥たちをグラウンドに」

 

「は、はい。それじゃリィン君、後でね」

 

「雛鳥だってさリィンくん。そういえばさっき巣から落ちた雛鳥拾ったんだけどこの子も連れて行っていいかな?」

 

「巣に戻してきた方がいいかと……」

 

「オッケー。怪我も治したし、先に行って戻してくるからまた後でねー」

 

 ──ってことで教官陣との顔合わせを終えた私は一旦巣に雛鳥を返してから教官たちと合流してグラウンドに向かうことにする。良い顔合わせになったね。皆良い人ばかりだし居心地の良い職場になりそうだ。

 

 でも教官の私たちが真に向き合うべきは生徒。第Ⅱ分校はかなり癖の強い生徒ばかりだからね。生徒数は少ないけどそれだけにやりがいがありそうだ。私もうろ覚えな部分もあるけど確か個性豊かな面子だったはず。

 なので私も他の教官と混ざってグラウンドに。既に生徒たちは整列してる。入学式は殆ど省略されちゃう。どうせならもっとちゃんとしたかったけどしょうがないね。その分、卒業式は盛大にやるように提案しておこっと。

 

「略式のため式辞・答辞は省略! クラス分けを発表する! まずは《Ⅷ組・戦術科》! 担当教官はランドルフ・オルランド!」

 

「ウッス。呼ばれたヤツは前に来てくれ──ゼシカ、ウェイン、シドニー、マヤ。それにアッシュ、フレディ、グスタフ、レオノーラの8名だ」

 

 そうして早速クラス分け発表だ。ランディ兄が生徒の名前を呼ぶ。注目はやっぱりアッシュくんだね! この子はこの子でちょっといろいろあって可哀想だから親身になってあげたい。いやほんと。レーヴェに伝えるべきかすっごく悩むけどアッシュくんの方が望んでなさそうなんだよね……というか道筋をずらしていいものか……すごい悩みどころだ。まあそれは今は置いとくとしても影のあるギザギザハートのやんちゃな不良くんなのでよく見ておかないと。後は他の子たちも色々いる。私の注目はやっぱりフレディくんかな。ゲテモノ料理を作るのが趣味のワイルドな子。個性的でいいよね。後はマヤちゃんとか東方ハーフだった気がするし話しやすそう。

 

「次、《Ⅸ組・主計科》! 担当教官はトワ・ハーシェル!」

 

「えっと、名前だけ呼ぶね? サンディちゃん、カイリ君、ティータちゃん。ルイゼちゃん、タチアナちゃん、ヴァレリーちゃん、ミュゼちゃん、()()()()()、パブロ君、スターク君の10名かな」

 

 そして次はトワちゃんのクラス! Ⅷ組が戦闘に特化した部隊ならこっちは情報処理とか後方支援が主な部隊だ! 注目はやっぱりミュゼちゃんで相変わらずの小悪魔っぷりを立ち姿でも醸し出してる。次期カイエン公爵でヴァイスラント決起軍の主宰だからね。レーヴェも今はミュゼちゃんに雇われた私兵として帝国内で色々と動いている最中だ。それとティータちゃんも懐かしい! 久し振り! まさかのリベール組。ラッセル博士の孫娘で技術的には生徒たちの中でもずば抜けてる子がまさかのトールズ入学だ。久し振りに見たけど可愛く成長してていいね! 美幼女から完全に美少女になってる! そういえばロリコンダイブアガットも来てるんだっけ? 後で挨拶しよっと。それと他の注目はサンディちゃんかスタークくんかなー…………。

 

 ………………………………ん? あれ? なんか今、ミュゼちゃんの後に聞き覚えのある名前が聞こえたような……気の所為だよね? あれ? なんかすごい見覚えのあるすみれ色の髪の美少女が異物混入してるような気がするんだけど……あ、あの子誰? え、知らないんだけど……ちょっと名簿見ていい? 

 

 私は事前に貰ってたトールズ士官学院第Ⅱ分校の今年度の入学者の名前が載ったリストを取り出して確認する。そこにはこう書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──レン・()()()()

 

「……………………えっ

 

 れ、レン・サイード? え? なにそれ? 私知らない。なにこれ? もしかして幻覚見てる? 幻? 目の前にレンちゃんがいる気がするんだけど……あ、こっち見た。しかもウィンクしてアイコンタクトしてきた。目を細めて。

 

「……………………(もう逃さないから覚悟してくれる? ──アーヤ()()()()()?)

 

 ──あっ。やばい。目がキマってる。据わってる。ジト目だけどその瞳がちょっと怖い。微笑を浮かべてるけど睨まれてる気がする。

 で、でもなんでそんなに怒ってるの? そんなに怒られる理由なんて…………あっ。

 

 そういえばクロスベルでロイドくんたちからの言伝で話したいとか言われてたっけ……そういえばあれからもう1年半くらい経ってるなぁ……結構長い間放置して、思い出した頃に手紙を1回はだしたっけ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……。

 

 私は入学式が進む中、内心で気づく──私のせいじゃん、と。そしてさすがに邪魔をするわけにはいかないため、内心だけで思い切り叫んだ。

 

 ──うわあああああああああ!!? レンちゃんがトールズ第Ⅱ分校にやってきちゃったー!!? ジェニス王立学院に入学するはずじゃー!? しかもサイード!!? いつの間にうちの子に!? なんのために!? というか原作崩壊だー!! 今更だけどー!! それはどうでもいいけどブライト家に入らないの!? なんで!? というか今から何言われるか怖いよー!! うわああああああん!! 

 

 それからⅧ組とⅨ組の生徒がそれぞれの担当教官に連れて行かれてⅦ組の担当教官(リィンくん)と生徒の発表(ユウナちゃん、クルトくん、アルティナちゃん)があったけど私の心はここにあらずだった──って、なんかティータちゃんだけじゃなくてレンちゃんも残ってるー!? なんで! 特別扱いよくない! ティータちゃんはこの後のアインヘル小要塞を使ったⅦ組の実力テストがあるからそのサポートで弟子入りするシュミット博士に付くのはわかるけどレンちゃんはⅨ組と合流しなって! いきなり急展開な閃の軌跡Ⅲは落ち着かない! と、とりあえずOPの『行き着く先』でも歌って心を落ち着けよう……! だ、誰かを愛したくって♪ 誰かに愛されたくて──

 

「……久し振りね。アーヤ」

 

「あー……レン、久し振りー」

 

 ──震えながら~……夜明けを~待っている……くっ、やっぱり落ち着けない! とにかくなんとか乗り切ろう! 乗り切ってレンちゃんには分かって貰わないと! ということで閃の軌跡Ⅲの始まりだー!




今回はこんなところで。というわけで閃の軌跡Ⅲ編です。いつも通りテンポ良くいきます。次回は早速第一章でセントアークに行ったりハーメルに近づいたりします。お楽しみに。

感想、評価、良ければよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。