──私と血を分けた家族は双子のイクスだけ。
……なんだけど血の繋がってない家族ならまあいなくもない。教団の中で生まれ、実の父親はさっさと蒸発した私たちにとっては幼い頃に引き取られた家というかその個人が一応私たちの居場所ってことになる。
その唯一の保護者の背中を、私たちはずっと見てきた。
引き取られたのは私たちが物心ついたちょうどその頃だったと思う。子供ながらに、最初は変で明るくて鬱陶しい人だと思ったことを憶えてる。
私たちは初めから、それこそ生まれた時から周りにいる人間がとにかく鬱陶しくてしょうがなかった。おぼろげに憶えている父親も周りにいた教団の人間も、とにかくみんなおかしかったから。
だからその教団がなくなって《破戒》っていう危ないオジサンに拾われ、その後に預けられた家でもどうせ同じような人種だと思っていた。
だけどそうじゃなかった。その相手からは、私たちに近い気配がしたから。
その時は言語化できなかったけど今なら言える。あれは多分、幼い頃から裏に浸かりきった人間特有の気配。
一見お気楽そうに見えるし、何の苦労もしていない表の人間に見えた。なのに、表の気配を出しながら心を動かさずに暗殺を行える。
つまりその生活が日常になってるし、その人もそのことをなんとも思ってない。当たり前の事だって受け入れてる。だから私たちみたいに周りに排他的じゃないし、むしろあんな馴れ馴れしく周りに絡んでいけるんだって後から気付いた。
……ただそれはその人特有のもので普通はそうじゃないってのは何となく当時から分かってた。心の強度が並外れてる……って言えばいいかな。どう言ったらいいか分からないけどとにかく、どんなに苦しいことがあっても心が傷つかない人ってこと。多分だけどね。私には実際のところどうなのかはわからない。過去のことは後から知ったけどそれを聞いても異常だとしてもおかしいとは思わなかった。
何しろ私たちもそれに近いから。幼い時から裏に浸かってると、それを好まないにしても心は動かなくなるってのは何となくわからなくもない。私やイクスの周りにいた子供はよく実験されて殺されてたみたいだし、私たちはそこまで酷い目には遭わなかったとはいえそれが最初は普通のことだと思ってたから。人の死体を見ても臭いし気持ち悪いしグロいし嫌な気持ちにはなっても悲しくて泣くとかそこまでの感情移入はできない。
だから別に普通のこと。私たち以上に心が強いだけなんだと思った。
そしてそんな裏と表の日常を全力で過ごすその人みたいに、私とイクスも暗殺者として育てられながら表で生活することにもなった。
別にそれは教育方針ってわけでもなかったみたいだけど。どちらかと言えばそれは《破戒》のオジサンや私たちが所属する《庭園》の方針だったみたいだし。むしろあの人はやんわりと反対してたというかおすすめしてなかった。
でもまあ私たちには便利な異能もあったし、殺しがしたいわけじゃないけどそうしないと逆に面倒になるくらいならやる。嫌だって言ったら困りそうだし。
ただそもそも暗殺者の訓練を受けてもそれを発揮する機会は少なかった。私たちが暗殺を命じるくらいならその人がやった方が早いからだ。何しろ私たちの保護者は──
「うーん……もうちょっと、かな。こっちの材料を加えて、と……」
──世間では有名な伝説の暗殺者《切り裂き魔》アーヤ・サイードだから。
私はその一面を《庭園》が管理する隠れ家の1つで目撃する。正確にはアーヤがオジサンと共同で使ってる秘密の地下室みたいな場所だ。
そこは戸棚に幾つものラベルが貼られたビンが詰められた実験室のような様相で、その部屋の使用用途もまさしくそれ──オジサンやアーヤが使うような毒。化学兵器を調合するために使われる秘密のラボだった。
BC兵器って呼ばれるその毒はオジサンの十八番だけどアーヤも昔から作り方なんかをある程度は教えられたらしい。だからある程度は自分で作れるみたいだけど、普段はオジサンのものを分けてもらうだけであまり作らない。
それでも自分で作っているのはアーヤがどうしても殺したい相手──《アルマータ》がいるからそのためだと思う。
アーヤの実力、暗殺技術はぶっちゃけ異常だからやろうと思えば誰でも殺せそうに思えるけどそんなアーヤでもすぐには終わらせられないくらいに《アルマータ》は手強いっぽいね。オジサンに協力を頼んだり、私たちすら動かすくらいだし。
ただそうなったからには《アルマータ》が殲滅されるのも時間の問題だね。管理人も全員動いてるって話だし、アーヤやオジサンに《庭園》にまで狙われていつまでも生きてられるとは思えない。表でも遊撃士やら警察とかCIDも動いてるみたいだし、どんなに運が良くても捕まると思う。まあ十中八九、アーヤによって殺され──
「──よーし! 出来た!! 私でも酔えるお酒!! アルコール300%の特別酒!! 名付けて《アーヤスペシャル1208》!! これで私も前みたいにお酒を楽しめるぞー! うおー!」
──と思ったけどやっぱり時間がかかるかもしれない。いや……何やってんの? ツッコミとか面倒くさいからやりたくないんだけど思い浮かぶことはいっぱいある。アルコール300%って何? とか、そもそも密造酒って犯罪なんじゃ……とか。
でもBC兵器を作ることに比べたらマシだし、そもそもアーヤもオジサンと一緒で遵法精神とかありそうでないっぽいから気にしても無駄なんだけどさ。私たちへの注意も基本は真っ当なんだけど地味にズレてたりもするし、そもそもアーヤが……って言うと「そうだった……人に言えるほど立派な人間じゃなかった……息をするように犯罪しててすみません……」って一瞬だけどウザい落ち込み方するから言わないけど。
というか道理で酒臭いと思った……薬品の匂いかと思ってたけどただのアルコールの匂いじゃん……。
「あっ、ヨルダ! ほら見てみて! 私用のお酒が完成した! これでお誕生日会とかパーティで酔っぱらえる! これでイクスとヨルダの誕生日でも酔っ払ってもっと盛り上げてあげるね!」
「いやフツーに迷惑なんだけど……そもそも元から酔っ払ってるみたいなテンションじゃん……」
「あー……でも子供のいる場ではよくないよね。こういうのは大人の飲み会とかで飲むのがいいかも」
「……何でもいいけど、とりあえず頼まれてた仕事は終わったよ」
「報告に来てくれたんだ? ありがとー! ご褒美に何欲しい?」
「別に。夜に外出するからその許可だけでいいかな」
「うーん、本当はあんまり良くないんだけど……ま、しょうがないね。わかった、いいよ。その代わりあんまり目立たないようにね?」
「イクスじゃあるまいし……私は友達と遊ぶだけ」
「そっかそっか。じゃ、あんまり遅くならないようにねー。いってらっしゃーい!」
「夜出歩くって行ってるんだけど……」
……とりあえず仕事の報告を終えていつも通り明るすぎる笑顔で送り出すアーヤを尻目に私はラボを後にする。
こういう1つ1つのやり取りからして明るいしお気楽だし変人なのがすぐにわかる。それがアーヤだ。私たちには慣れたものだけどさ。これで表裏問わず友達がめちゃくちゃ多いのが不思議なようでむしろ納得できる。誰にでもこの感じだろうし。なんだっけ。前にどれくらい友人がいるのかって聞いたら5分くらい黙って「多分1000人くらいかな!」って言ってたし、《
……そういうわけだから私には真似できないしする気もない。正直、表の何の裏も知らない気の抜けた人間とは基本合わないんだよね。イクスみたいに一々突っかかったりはしないけど接するのは面倒。人に合わせて愛想よくとか出来ないわけじゃないけど演技は疲れる。
だから私に友達と呼べる人間は1人しかいない。その娘とはいつも大体私たちの住んでる三区のトリオンタワー近くの駅前とかで待ち合わせする。
「ヨルダ、もう来てたんだ」
「ん……今来たとこ」
「そっか。はぁ……」
「? どうしたの?」
「いや、最近また親がウザくて……」
「ああ、またなんだ」
「マジで一々口出ししてくんなってね……おまけに親同士で喧嘩してるし。ほんとウザすぎ……」
「ふーん……で、今日はどこ行く?」
「今日はチルしたい気分かも」
「じゃあ適当にタイレル地区の方?」
「まーそれでいっかなー……ヨルダの方は行きたいとこないの?」
「別にどこでもいい。私もチルい気分だから。ライブハウスとか人が多すぎないところなら別にいいかな」
「そっか。じゃあ適当に服見てから適当な店でチルしよっか」
「それでいいよ。私も今日は朝まで付き合えるし」
「ヨルダんとこは理解あっていいよねー……っと、ごめん」
「別にいい。確かにそういう面では恵まれてると思うしね」
……と、そんな感じで適当で緩いやり取りをして取り繕うこともなく地下鉄に乗り込む。その友人の名前はネリーと言って私と同い年の13歳。日曜学校に馴染めなくて、更にお金持ちだけど家庭的に問題があるとかでこんな風によく夜中に出歩いてたりする。無愛想だし言動に遠慮がないから表の同年代とは馴染めないってのも納得。
でも私も似たようなものだから私とは不思議と馬が合った。家庭に問題があるってのを聞いても別に同情とかしない私に興味を持ったとかでそこからつるむようになったかな。私としても表の人間なのにこういう暗い思考を持ってる人は嫌いじゃないし話も合う。向こうも私の家のことでどうこう言っては来ないし。人混みとかキラキラしたものとかも好きじゃないところも割と一緒だし。服装もストリートゴシック系でイカしてる。薄い水色の長い髪に黒いメッシュ入れてハーフサイドアップにしててピアスとかチョーカーとかもセンスがいい。
……ああ、でも待ち合わせは毎回ちゃんと人が多いところにしてる。じゃないと首都の夜はたまに半グレとか裏の人間がいて巻き込まれたりするのがウザいし。私は何とか出来るけどこういう表の人間だけどいつでも裏に滑り落ちそうな娘は狙われやすそうだから。
──といっても結局こうして夜中に出歩くんだけど。ただ私が一緒だから別にいい。イクスの長銃と違って私の影は街中でもはっきりと見られなければ騒ぎになったりしない。仮に半グレが声をかけてきてもすぐに叩きのめせる。
まあでもそんなことはあまりない。首都は人が多い分、一応治安はそこまで悪くない。十三区とかに行けば別だけど友達を連れてそんなとこ行かないし。今日もタイレル地区で服を見たり気が向いたら映画を見たりライブハウスに行ったりカラオケに入ったり適当に過ごすだけだ。
「あなたたち、ちょっといいかしら?」
「!」
……ただ治安が行き届いてるからこういう面倒があったりもするけど。
22時を超えて出歩いてるとたまに警官とか今みたいに遊撃士が声をかけてくる。用件はいつも一緒だ。
「あなたたち、見たところまだ日曜学校に通うような歳のようだけれど……保護者の方は? 何でこんな時間に出歩いているのか聞かせてもらっていいかしら」
「…………今はお手洗いに行ってていない」
「そう。なら戻って来るまで待たせてもらっていいかしら。保護者がいたとしてもこんな時間に子供を連れて出歩くのはあまり褒められた行為ではないから。一言注意させてもらうわ」
「チッ……」
ネリーが小さく舌打ちを零す。それを見ても遊撃士の人は表情を変えない。言い訳なのは向こうも分かってるだろうし。私としても面倒だ。今回はどうやって言い繕うか、あるいは逃げるかだけど──
「そっちのあなたも……って、あなた……」
「……何?」
「どこかで見たような……もしかして……」
……チッ、と今度は私が相手に聞こえないように舌打ちを零す。向こうもうろ覚えだけど私のことを憶えてたみたいだね。
今私の目の前にいる相手と私は以前に出会ったことがある。小さい頃に一回だけだし私の知り合いってよりはアーヤの知り合いだけど。
ただそれでも憶えてるのはさすがはA級遊撃士ってところかな。確か……《剣の乙女》エレイン・オークレールだっけ。カルバードの遊撃士の若きエースって雑誌とかにも載ってたりする表の有名人だ。
そしてアーヤとは学生時代の同級生で友人。アラミスの学藝祭に私たちが小さい頃に遊びに行った時にちょっとだけ顔を合わせたことがある。家に来るようなアーヤの友人はそれなりにいるけどこの人は遊撃士って立場上、アーヤとは距離を置くようにしてるみたいだから。
そう、だから面倒くさい。私のことを色々と詮索されるのは個人的にもウザいし都合が悪い。
なら、と私は一芝居打つことにした。表の人間が浮かべるような子供らしい明るい笑顔を浮かべて《剣の乙女》の背後に向かって手を振る。
「あっ、お父さーん! こっちこっちー! 遊撃士のお姉さんがお父さんに話があるんだって!」
「──え?」
まさかお父さんが本当に一緒にいるとは思わなかったんだろうね。純粋に驚いた声を漏らして《剣の乙女》は背後に振り返る。人がまばらに行き来するだけで誰もいない背後に向かって。
「……? ちょっと誰も──」
「じゃあね」
「!? ──待ちなさい!」
私はその隙を狙ってネリーを連れて路地裏に向かって走った。すぐに気付いた《剣の乙女》が追いかけてくるけど問題ない。隠れるところを見られさえしなければね。
「ヨルダ……!」
「静かにして」
路地裏に入って《剣の乙女》から見えなくなったところで私は異能の影でネリーと一緒に適当なところに転移する。──これで問題ない。次に会った時にすごい怪しまれそうだけど会わなければいいだけだし。
「今のは……?」
「…………まあ私だけが使える手品かな」
「…………」
ただ問題があるとすれば表の友人にそれ以上に怪しまれることだけど……それで離れるならそれはそれで別にいい。それでも私は全く困らない──
「……ふーん……手品、ね」
「……そう、手品。だから……」
「……まあまあすごいんじゃん? おかげで遊撃士の人に補導されなかったし。どうせならこのまま移動してカラオケとか行っちゃおうよ」
「!」
──と、そう思ってたんだけどね。意外にも私の下手な誤魔化しをそのまま受け入れて普通にやり取りを続けたネリーに私はちょっとだけ驚く。そして少しだけ……そう、ほんの少しだけ悪くない気分だった。
「……ま、そうだね。隠してたけど私って結構すごいからさ。お望み通り連れてってあげるよ」
「へぇー……ほんとに行けるんだ。それじゃたまにはオールで歌い倒してみる?」
「……歌うのそんなに好きじゃないけどたまにはいいかもね」
「じゃあ行こうよ」
「わかった。ならそのままでいて」
そうして私は唯一の友達と一緒に影の異能を使ってカラオケに移動して……そして何となく思う。
別に表の人間がどうなろうがどうでもいいけど……一応、遊び相手がいなくなるのは少し困るしウザい。
だから共和国で何かをやらかそうとしてる《アルマータ》の殲滅ってのはアーヤに言われた通り真面目にやろうかな。アーヤの言う通り、被害が周りに出たら困るから。
──皆さんおはようございます。私はサイードグループ会長にしてファッションデザイナー。アーヤ・サイードです。今は七耀暦1208年の8月。そろそろ企業の会計的な上半期が終わるということなので私は忙しいです。いつも忙しいけど。具体的にはこんな感じで──。
「アーヤちゃん。今週分のオートクチュールの納品だけど、進捗はどうなってる?」
「ああ、うん。2週間分は仕立て終わってるから全部持ってちゃってー! ──あ、そこ0.01ミリリジュズレてるよー。ちゃんと始めから縫い直してねー」
「ご、ごめんなさい! すぐ直します!」
「焦んなくていいからねー。ちゃんとやってくれればそれでいいから」
「それじゃ全部送っておくよ。それとそろそろ年末のコレクション用の衣装も──」
「デザインはもう10着くらいは出来てるから全然大丈夫かなー」
「わかった。それと午後には新しく吸収合併した企業の経営方針に関する会議をしようと思ってるんだけど──」
「んーそういうのはいつも通り良きに計らえって感じでいい感じに進めてくれれば何でもいいよ」
「わかった。それじゃいい感じに進めておくね。それとこの後はゴッチ監督との今度の撮影に関する打ち合わせがあるんだけどそっちは出てくれるよね?」
「それはちゃんと行くよー。差し入れのお弁当も持ってね!」
「手配はしてあるからいつでも大丈夫だよ。それとレノ社のZ1レースチームの──」
「ユニフォームならもう出来てるから先方に改めて確認してもらってOKならそのまま全員分仕立てて納品かなー。仮縫い段階でもう一回見せてるから多分大丈夫だと思うけどねー」
「了解。それとまた手紙が届いてるよ。主に支援した地域の子供たちや孤児院からの感謝の手紙やファンからの手紙だね」
「オッケー。後で読むから置いといてー」
「連絡事項は一旦ここまでかな。それじゃ僕は会議に出てくるね」
「はいはーい。お願ーい」
場所はイーディス二区のサイデン地区にあるサイード社の本社ビル。高層ビルの最上階にある会長室で私はお仕事をしていた。デザイナーとしての仕事以外の報告とかやることもあったんで珍しくアトリエ以外で服も仕立ててる。スタッフも一緒にね。
というか私って殆ど本社ビルには立ち寄らないし会長室に入ったのもまだ数回くらいしかなかったりする。出張多いし、別に報告だけならどこでもできるしね。なのでこの会長室は私よりも秘書のセラちゃんがよく使ってる。
それにしても本当に私の会社大きくなったなぁ……最初は学生時代にバザールで手売りしたり、友達とかアナ先輩──今でも私のブランドのモデルとしてショーに出てくれる人に頼んでその知り合いとかからの依頼を受けてちょっと売ってただけだったんだけどね。裏の仕事であれこれやってる内に表でもすごいことになってる。いつの間にか服だけじゃなくて色んな事業に手を伸ばすことになったしね。まあ殆どはセラちゃんとかスーニャちゃんとかアデーレちゃんとか私の学生時代の友達のおかげで私は服飾関係とかアイデア出しとかくらいしかやってないけど……あっ、それと営業もちょっとだけかな。なんだかんだ裏の仕事で知り合った人脈が使えたし。クロスベルじゃディーターさんに、帝国じゃオズボーンさんやカイエン公に便宜を図ってもらったりした感じでね。各地域の有力者と関われたのも運が良かったね。
それと共和国内でも私の表の友人とか裏で知り合った人の存在もデカい。グラムハート先生とかね。なんだかんだ共和国を中心に活動してたので一番知り合いが多いんだよねー。
……と、そう考えると周りのおかげではあるとはいえ私自身も結構敏腕経営者であることには変わりないかもしれない。ふふん。昔ルシオラ姉さんに将来的な金運は最高って言われたこともあるし、それが当たった形だね。
なので表の仕事は今のところ全く問題ないね。服の売上は当然絶好調。導力ゲームも流行りに流行って、飲食店も流行って新規展開しまくり。アミューズメント施設もいっぱいできて楽しい。リゾート事業も2年くらい前から始めたけどすごいいい感じだ。
つまるところ問題があるとすれば……それは表じゃなくて裏の方だ。私はまた一着を仕立て終わって一息ついたところで机の上に積まれた大量の布切れをどかしてその下に埋まってたとあるオーブメントを見下ろす。思わずゲン◯ウポーズになりながら。
「
──そうして私は改めて机の上に置かれた4つの《オクト=ゲネシス》を見て気分を落とした。
改めて私はそのマズさを再確認する。ちょっと前にメルキオルとアリオッチが回収してきた2つに情報屋のジャコモが手に入れた1つ。そして私が何年か前にオジサンから渡された1つ。なので私の手には今、8つある内の半分を手に入れてしまったわけだ。どうしてこうなった……。
いやまあ確かに私がゲネシスの情報が欲しいとは言ったよ? 言ったけど欲しいのは情報だけで手に入れてこいなんて言ってない。ぶっちゃけいらない。今すぐ捨てたかった。ジャコモとかそこら辺の奴に押し付けたいと思ってる。
……だけどせっかく苦労して手に入れてきただろうに私がそれをすぐに手放すのはなぁ……それに適当に捨てちゃって見つからなくなったり《アルマータ》の手に渡るのも嫌だし……一先ずはみんなにお礼を言って保持しておくことにした。
そしてそれからしばらく経って私はその間、これをどういう風に使えばいいかを考えた。最初はオジサンに相談しようかとも思ったけどなんか怖いし、レンとかに教えようものならアニエスちゃんに伝わってしまう。グラムハート先生に伝えるのも何が起こるかわからなくて怖い。
なので周りの頭の良い人は頼れない。私がこれをどうするかを考えないといけないわけだ。荷が重すぎる……いっそのことオズボーンさんとか呼び出して上手いやり方を考えてもらいたいけど平和な生活を謳歌してるオズボーンさんを関わらせるのも忍びないのでやっぱり私が考えるしかない。
そもそもだ。私は《アルマータ》を殲滅したい。なのでゲネシスについても取り扱いは考えた方が良いに決まってる。下手をすれば《アルマータ》に利用されてヤバいことになりかねないし。
──じゃあどうするのか。まず思いついたのはこれを利用して《アルマータ》を誘き寄せることだよね。連中は《オクト=ゲネシス》を狙ってるわけだし、情報を流せば必ず誰かしらが手に入れようと近づいてくる。そこを私とか他の管理人がやっちゃえばいい。なんだったらセラちゃんたちでも……あ、そういえばセラちゃんとか私の周りにいる《庭園》の構成員についてもちゃんと聞いた。まさかスタッフの中に構成員が紛れ込んでるなんて思わなかったし、普通にショックではあったけど……まあまあ。よくよく考えてみれば別にいい。ただ暗殺者をやってたってだけだし。私と似たようなものだ。なんだったら私の方が100悪いし。
ただこうなってくると《庭園》はなぁ……ちょっと思うところもあるし、よし! 意を決してここはオジサンに《庭園》を穏便に解散できないか聞いてみよう! あるいはもっとホワイトな組織にできないかみんなに相談してみよう! 《アルマータ》の殲滅が終わってからね! いうてもオジサンももう《庭園》なんて利用してないし、アリオッチとかオランピアちゃんは私の言う事聞いてくれるし、メルキオルもまあ……不安だけど私が言えばもしかしたら意外と素直に聞いてくれるかもしれない。エンペラーも不安だけど説得すればいけないかなぁ……なんてことを最近は考えてる。どうなるかすっごい怖いけど……何とかなればいいなぁ……はぁ……。
と、そんな最近の悩みの1つから話を戻すとだ。ゲネシスは第一に《アルマータ》の殲滅。連中を誘き寄せるために使う。
そして第二に《アルマータ》の被害を防ぐために使う。第三にヴァンたちがいい感じになるように使う。……3つ目は適当すぎかな?
なので私は考えた。第8のゲネシスはともかく、他の3つについては使い所を見極める。柄じゃないけどやるしかない。大丈夫いけるいける! 不本意だけどこれでも私は裏社会にいて長いし、これまで沢山の黒幕側の人と付き合ってきたから何となくやり方はちょっとは学んでる! オジサンとかレンとか他の使徒程とは言わずともちょっとならできる! 《庭園》もあるしね! いい感じに仕掛ければ何とかなるなる! ……多分!
そうして私は自分を勇気付けながら動くことにした。とりあえず、ゲネシスの内の2つはオランピアちゃんとメルキオルに渡してそれぞれ《
……ま、でも仕方ない。割り切っていこう。ということなので実は裏で色々と動いててそれは結果待ちというか時期待ち。私が持ってないゲネシスについてもどこで事件が起きるかは分かってるからその都度私が直接行くか管理人に任せるかのどっちかで対処かな。
なので直近で重要なのはこれ。首都の古物商からチリメンジャコモが手に入れた第1のゲネシス(多分)。これを如何にしてヴァンたちに手に入れさせるかだ。
というのもこれを《
ヴァンは馬鹿だから別にある程度苦労する分にはいいんだけどさすがに《グレンデル》くらいは手に入れてくれた方が私としてもやりやすいだろうし、何より正当な持ち主であるアニエスちゃんが困ると思う。
なので私は考えた。とりあえず、イクスとヨルダとエースくんに頼んで首都の導力ネット上にゲネシスの情報を流してもらう。
するとまあ、細かい時系列は忘れたけどそのうちアニエスちゃんがそのゲネシスを探し求めて頼れる相手としてレンから《裏解決屋》のヴァンを紹介される。そのヴァンに依頼してゲネシスを探し求める。情報屋なんかを頼ってね。それが確か《黎の軌跡》シリーズの物語の始まりなわけだ。
だからそれを私が再現する! 私の目的も考えてちょっとだけアレンジしてね!
「ゲネシスを求めてくる人の中には必ず《アルマータ》の構成員も入ってくる筈……つまりゲネシスを求めてきた人をやってしまえば……」
「…………おい、何ぶつぶつ言ってんだよ」
「あ、ごめんごめん。イクスにヨルダも来たんだ」
「暇だったから仕事に出ようってイクスが提案したからね」
「ハァ!? ボクじゃねーし! 元はと言えばヨルダ、お前が《アルマータ》は邪魔だからって……!」
「それでも提案してきたのはイクスの方でしょ。私は……」
「はいはい。喧嘩しない。また手伝いに来てくれてありがとねー。ならイクスとヨルダには──」
なので私はイクスとかヨルダにも手伝ってもらって8月も準備を行った。
──そして……七耀暦1208年。8月27日。
その日はちょっと前にレンから相談されてたこともあってしばらく張っていた。ヴァンは匂いに敏感だから他の人に任せずこっそりと私自身が休暇を取って直接ね。
なので朝からアンパンと牛乳を持って旧市街で張り込みをしていると──
「……住所は……ええっと、この辺りですね」
──キター!! アニエス・クローデル! アニエス・クローデルちゃんです! 出走は2番! 黎の軌跡シリーズのヒロインレースに出走するヒロインの1人! 1番人気です! 素晴らしい追い込みを見せる差し適正のヒロインです! アラミスの学生で巨乳の年下清楚おませ美少女! C・エプスタイン博士の曾孫でロイ・グラムハート大統領の娘さんというのもいいですねー。物語の主軸となるところがヒロイン力が高いです。2番人気のエレインちゃんは逃げ切ることができるのか。その争いが見どころですねー。 ちなみに私はエレインちゃんを友達として推したいけど予想はなんだかんだアニエスちゃんが勝ち取るんじゃないかと思ってます。全く、ヴァンにはどちらにももったいないヒロインだねー。
と、そんな訳で私は建物の屋上から気配とか姿を消しながらアニエスちゃんがアークライド解決事務所を訪ねるところを確認する。よかったー。細かい日数は憶えてないし何も起こらなかったらどうしようかと思ったよ。つまりは私が導力ネットにゲネシスの写真を載せたこととかそういうのも全部レンにはバレてないってことだね! まあヴァンを紹介した時点でわかってたけどさ!
そして私はあえてまだ接触しない! なんか接触したらややこしそうだし! 本当はモンマルトでモーニングセット頼みたいし、ついでにヴァンに絡みに行きたいけどアニエスちゃんの探し物の邪魔をするのは悪いしね! ……って、そもそもゲネシス隠し持ってるのがめちゃくちゃ邪魔なんで悪いんだけど……その節は申し訳ない……。
──まあでもやると決めたからには割り切って行こう! 最終的には全部ちゃんと返すつもりだから許してほしい。
「でもどうしよっかなぁ……」
さて、そう決めたのはいいけどじゃあどうしようか。アニエスちゃんがアークライド解決事務所に入るのは見届けたし、こっからずっと尾行してグレンデル化するのまで見届ける? うーん……それはいいんだけど結構長くなりそうだなぁ……別に楽しそうだからいいんだけど私も忙しくて合間に仕事したい気持ちもなくはないんだよね。誰かに頼んで代わりに見てもらうのもヴァンが相手だと正確な場所は気づかれないにしろ誰かに尾行されてることに気づかれるというか、なんか匂われちゃいそうなのが面倒だし……。
ま、でもいっか。今日は休んでも。今日は色んな知り合いとか友達と遊ぶ日にしよーっと。ヴァンとかエレインちゃんとかルネっち先輩にだけ会わないようにすればいいしね。私が流したゲネシスの場所は常に掴んでるから最終的な目的地はわかるし。
よーしそうと決まれば色んな人に会いに行くぞー。普段は額に上げてるハート型サングラスをちゃんとかけてと。街中じゃ私はおしゃれ過ぎて目立つからね。レッツゴー!
まず旧市街と言えばやっぱりサウナ《ラグーナ》でしょ! 北方系の人がやってる本格的なロウリュで汗を流し、あがった後はミルクジェラートを食べながら常連さんと麻雀──じゃなくて龍雀で勝負! 看板娘のアーニャちゃんもしっかりもので良い子! とりあえず軽く挨拶しつつ一局だけ遊んだ。常連のお爺ちゃんはなんかどっかの企業のお偉いさん? 経済に詳しい人っぽくてたまに経済の話を振られるんだけどよくわかんないから適当に答えてる。私経済のことよく分かんないんだよね──あ、それロン! 嶺上開花! 龍雀って楽しいよね!
と、サウナを堪能した後はヴァンたちにちょっと遅れて第6区リバーサイド地区へ。ここはレーヴル川が綺麗で長閑で過ごしやすいイーディスでも結構おしゃれで人気の地区だね。風情があってジョギングコースにも最適! ライブハウスもあるし美味しい屋台も並んでて中東系の寺院もあるから私も結構好きだ。以前はここに私のアトリエもあって今ではそこは育成してる子供たちの寮に使ってたりする。
そして情報屋をやってるベルモッティのバーは……あらら、朝だからまだ開いてないや。残念。たまにはカクテルでもしばこうと思ってたのに。私は全く酔わないけど。でもベルモッティは会う度に若干笑顔が引き攣るんだよねー。なんでだろ。やっぱり私って共和国じゃファッションデザイナーとして結構有名人だから緊張しちゃってるのかな。親しみを感じてもらう度に今度サインでも書いて店に置いてあげよっかな。
で、ベルモッティのバーが開いてないなら整備屋で車のパーツを見るかシノちゃんのバーは……まだ来てないね。ならタコスでも食べながら中東系の寺院にお邪魔して子供たちにお裁縫でも教えて──あ、そうだ。そういえばチリメンジャコモのおじさんをヴァンが訪ねに来るんだったね。原作だと。
まあチリメンジャコモはアルマータ絡みの仕事からは手を引いたっぽいからどうなるか分かんないけどさ。ヴァンならチリメンジャコモ以外にも情報屋の伝手はあるし、最終的にはたどり着きそうだから本当にどっちでもいい。でも一応どんな反応するか隠れて様子でも見てみようかな。よいしょっと。物陰に隠れてと……お、ちょうどチリメンジャコモのおじさんも来てヴァンとアニエスちゃんも来た。どれどれ……?
「──彼女は俺の依頼人でな。ちょっとした捜し物をしてるんだよ」
「捜し物……?」
アーヤちゃんイヤーは地獄耳! なので物陰からでもちゃんと声を拾うぞ! ちょうどヴァンがジャコモに
「っ!!? そ、それは……」
「……? 2ヶ月程前に某古物商から買い取られ、今は裏に流れてるって噂の骨董品めいた導力器らしい。元々盗品だったらしいから届け出はナシ。今は表じゃないどこかで売られてるって話だが……何か知らねぇか?」
「…………な、なるほどな。だがあいにくと心当たりはねぇな」
「……本当か?」
「本当だ。俺は……何も知らねぇ。悪いが他を当たってくれ」
「おい……」
おっと。さすがに怪しすぎたかな? ジャコモのおじさんが若干動揺してるところを見逃さなかったヴァンがそれとなく再確認。するとジャコモのおじさんもこれ以上突っ込まれたくないのか素っ気なくそそくさとヴァンたちに背を向けて去っていく。うーん、普段ならアニエスちゃんにも目をつけそうなのに非常に怪しいことになってる。ヴァンもそれには気付いただろうね。なんだったらアニエスちゃんすら訝しんでいた。
「その……ヴァンさん」
「お前さんも気付いたか──多分、心当たりがあるな」
「やっぱり……そうなんですか?」
「ああ。画像を見せた途端、明らかに動揺してたしあのがめついジャコモのオッサンにしては話もろくに聞かずとっとと退散。隠そうとしちゃいたが……まるで何かに怯えてるようだった」
「怯えて……? 一体何に怯えてるんでしょうか?」
「さあな。それを確かめるためにも追いかけるぞ」
おお……さすがヴァン。そういうとこほんと鋭いよねー。ジャコモのおじさんがチキってるのまで見抜いた。何にビビってるのかまではわかってないけどすぐに追いかけていったし、これはジャコモのおじさんも絞られちゃうね。
おっと、そうなるとこの先の地下かな。地下鉄の整備なんかで使う区画でお決まりの如く魔獣が徘徊してる危険な場所。せっかくなので私も先回りしよう。ヴァンがどんな風にジャコモのおじさんから話を聞き出そうとするのか気になるし、私のことは絶対に話さないにしてもゲネシスについてはむしろ喋ってほしい。第1のゲネシスの場所は強制的にジャコモのおじさんに情報として与えておいたからね。ジャコモのおじさんのアジトにいっぱい手紙を送りつけたから。
なので私はさっさと先行してジャコモのおじさんを追いかける。ちゃんと隠密してるから魔獣も全無視。なので問題なくヤサに辿り着け──ん?
「ま、待ってくれ! 俺はもう持ってねぇんだ! ブツなら、べ、別のヤツに渡した!」
「フン、白々しい。お前が連中と繋がっていることはもう調べがついている」
「我らを出し抜いたその手腕は中々のものだがな。だがそうなった以上、“恐怖”を味わってもらうぞ──死という恐怖をな」
「ひいいいっ……!?」
──あー……なんか《アルマータ》に襲われてるや。へーやっぱりジャコモのおじさんのところにも辿り着いちゃうかー。ちょうどいいね。とりあえずこの2人は殺しておこうかな。
「ヒアアアアアアッ……!!」
「はいはい。そこまでそこまで」
「!? 何──」
私はすっと2人の内の1人をさっさと首を切って終わらせるともう1人もすっと心臓にダガーを投げて女神の下に送ってあげた。ふぅ……これでよし、と。次はジャコモのおじさんに──
「ジャコモのおじさーん」
「ひいいっ!? ゆ、許してくれ!
「? 何言ってるの?」
「こ、こっちに来るなぁアアアア!!」
うわ、急に懐から火薬式の拳銃撃ってきた! 危なっ! 急にどうした? もしかして私にビビってる? いやいや、別にちょっと口止めを頼もうと思っただけで別に殺そうとはしてないんだけど……とりあえず弾はひょいっと躱して誤解を──うわっ危なっ! 跳弾したんですけど! 室内で火薬式の拳銃撃ったら危ないって! せめて導力式にして──
「あ……あ……」
「……あれ?」
……………………ん? あれ? なんかジャコモのおじさんの胸と口から血が出てる……それでゆっくりと倒れていって……。
「切り……裂、き……魔…………」
「……………………へ?」
──そしてジャコモのおじさんは血の海に沈んだ。
…………え、えーっと……跳弾が心臓に当たって死んだっぽい? ……うん、そうっぽいね……なるほど……これは運がなかったね……私もちょっと気をつければよかったね? ご、ごめんね? でも勘違いしなければ死なずに──
「この部屋だ! ついて来い!」
──って、うおおおおおおおお!!? 危なーい!! 姿消す! 気配消す! 得物を回収して全力で隠密して離脱!! やばあああい!! ヴァンとアニエスちゃんが部屋に飛び込んできたー!!? 危うく衝撃的な出会いをかますところだった危なーい!! いつも以上に息を殺して……ば、バレてないよね? ドキドキ……う、うん、バレてないっぽい……かな……ふぅ……よかったー。《アルマータ》を殺したのは私でもその場面を見られるのはさすがにね……ジャコモのおじさんは可哀想だけどしょうがない。本当に運が悪かった。
「ゔぁ、ヴァンさん……! ジャコモさんが……そ、それにこの人たちも……!」
「手遅れだ、もう事切れてる」
「っ……そ、そんな……」
「…………(だがこの姿勢は……ジャコモのオッサンは胸に一発。火薬式の拳銃で撃たれたか。こっちの2人は1人は喉を切られ、もう1人は心臓を刃物か何かで刺されてる。一体どういうことだ……? 持っている得物と死因が合致しねぇ。ジャコモのオッサンが持ってるのは火薬式拳銃だ。互いにやり合ったなら死因は正反対……ジャコモのオッサンは刃物でこっちの怪しい2人は拳銃にならなきゃおかしい。ここで一体何が起こった?)」
──あっ、ヤッバイ。なんかヴァンが死体とか現場調べてる。ちょ、ちょっとそれやめない? 何考えてるのヴァン? あ、怪しんでる? …………そ、そういうのはよくないんだよ! 警察でもないのに現場を勝手に調べるなんて法律違反だ! そーだそーだ! いけないんだぞー! アホー! 警察に言ってやるー!
「こ、これは……」
「うわわっ、血ぃッ!? そ、それに3人も……!」
「……情報屋ジャコモに……こっちの2人はもしや…………」
──あっ、やっべ。警察も来た。確かこの人は……ダスワニ警部だっけ? もう1人はえーっと……忘れた。見覚えはあるんだけどね。……ま、まあでも私の痕跡は残してないからバレる心配はないね! そういう問題でもないけどさ!!
「──どうやら一通りの事情を聞かせてもらう必要がありそうだな?」
──アニエスちゃんごめ──ん!! ついでにヴァンも!! 事情聴取で連れて行かれちゃったー!!? うわーん!! いやまあ《アルマータ》が悪いんだけど2人をやったのは私だからなんか巻き込んだみたいな形になっちゃったー! 2人が罪に問われることはないと思うけど今度スイーツごちそうするね! だから私は逃げます! お疲れ様でしたー!!
──数時間後。
ふぅ……落ち着いた。私はアーヤ・サイード。共和国きってのファッションデザイナーでサイードグループの会長です。決して《切り裂き魔》じゃないよ。結社の執行者No.ⅩⅢでもないし《庭園の主》でもない。なので私は落ち着いてる。なんか首都で不可解な殺人事件があったみたいだけど多分《アルマータ》の自業自得だしもう1人は勘違いで事故で死んだんじゃないかな? 今日もイーディスは平和だなぁ……。
とまあそんな訳でお昼を過ぎた頃。私はイーディス2区サイデン地区にいます。一応ね、警察が私の情報を掴んでないか気になったので警察本部に忍び込んで情報を得てきました。そして現場にはジャコモと《アルマータ》の二人組以外の痕跡は残っていないらしい。あっぶな~……時間がなかったからギリギリだったけどさすが私。最近は頻繁に暗殺してるから鈍ってるどころか研ぎ澄まされてる。ふぅ……とりあえず安心かな。
ただみんな「この鮮やかな切り口」とか「相当な手練れの仕事だ」とか「おそらく殺しを生業とするプロの仕業だろう」とか「これもまさか《切り裂き魔》か……?」とかそんなことを言ってたのはヤバいけど……で、でも証拠がなければどれだけ怪しくても白だからね! 最近はもう未解決事件とか痕跡が少ない事件は何でもかんでも《切り裂き魔》とか言われちゃうし! 全く失礼しちゃうよね! 冤罪はよくないよ冤罪は! 警察の皆様におかれましてはいつもご迷惑をおかけしてごめんなさい!
ただ《アルマータ》がゲネシスの情報を追って現れたのは狙い通りだし、また2人やれたからそれは良かったんだけどね。昼間遊ぶ余裕がなくなったのは遺憾だけどそれはしょうがない。今日はもうこのままヴァンたちがゲネシスをしっかり手に入れるところまで見届けようかな。
ちなみにゲネシスの場所は駅前通りの地下にあるジャコモのおじさんのアジトだ。多分原作通りなのかな? わかんないけどそこにポンって置いておいた。で、《アルマータ》の構成員だけが死ぬ仕掛けを施しておいたのでヴァンたちがそこに行く分には何の障害もない。あっさりと第1のゲネシスを手に入れて序章は終了って感じだね。
なので後は楽々だ。私としても後ははしゃげる。とりあえず警察署から出てきたヴァンとルネっち先輩の会話を聞いて懐かしみつつ改めて痕跡がないことを確認して頷き、私の友達でもある《タイレル通信》の新人記者のマリエルちゃんがヴァンに騙されてさっきの若手捜査官に突撃取材をしに行ったので私も陰ながら応援して、その後またリバーサイドに戻ったヴァンたちがベルモッティを訪ねたからその話も聞いた。「古物商からジャコモのオジサンが何かを買い取り、その情報を警察に流して保護してもらおうとしていたらしいわ」って情報をヴァンたちが聞いてたので私もついでに耳にした。へー……そうだったんだ。ん? ってことは《アルマータ》の情報を警察に流そうとしてたってこと? もしくは……私のことだったりする? あれ? もしかして私を売ろうとしてたってそういう……?
…………ま、でもいっか。もういないし。警察じゃなくてアルマータ側につこうとしてた可能性もあるけど真相は結局闇の中だしもういいかなって。
ちなみにジャコモのおじさんはLAMDAを持ってたけど現場にそのままだし、犯人はどうやってその場から離脱したのかっていう問題があるらしいけど……今は
そしてその後は! ヴァンとエレインちゃんが再会! 共和国の遊撃士協会の若きエース! 《
だけど再会しても言葉数は少なく、エレインちゃんはジャコモのおじさんと一緒にいた二人組が《A》であることを教えてどこかに行った。
そしてヴァンの方はジャコモのオジサンが最後に持っていた私からの手紙、ゲネシスの手がかりが示されたそれを頼りに推察し、駅前通りに向かっていった。よしよし、これで無事にゲネシスを手に入れてくれそうだね。
駅前の街頭ビジョンではグラムハート先生が映ってたり、レンが近くにいたんでちょっとドキッとした。最近のレンは鋭いからねぇ……また首都の殺人事件のことをそれとなく聞いてきそうで怖い。アラミスでも生徒会長やってるし身長も伸びてきてすっかり大人のレディだ。
とまあレンのことは置いといて、今度はまたヴァンたちについて行ってさっきは見れなかったヴァンたちの戦いっぷりを見た。ふむふむ……アニエスちゃん、やっぱり学生にしてはちゃんと動けてるね! 士官学院生でもないのにさ。結構才能を感じる。これでも元教官だから学生が戦ってるのを見ると応援したくなるし教えたくなる。ヴァンは割と見慣れてるから別にだけど。あーでもシャード戦術が上手かもしんない。
なんでそういう便利な最新機能を用いた連携でどんどん先に進むヴァンとアニエスちゃん。途中で《アルマータ》の説明なんかもしてたね。まあこの先に《アルマータ》はいないだろうし、章ボスは適当な魔獣になりそうだなぁ……あ、最奥に辿り着いたね。そして石像が魔獣になった。そこそこは強いだろうけどヴァンとアニエスちゃんでも問題ないレベルなのでこれで終わりかなー。序章クリアおめでとう! 《グレンデル》の変身がないのは残念だけどそれはしょうがないし次章以降におあずけだね。ゲームシナリオ的にはどうかと思うけどこれは残念ながら現実なんでそんなことは考慮しません! はい終了!
……って、あれ? なんか別の気配がある。え、また新しいアルマータの構成員? それにしては気配隠すの上手なんだけど……もしかして下っ端じゃなくて幹部? ──だったら私が隙を見てやるんだけど……誰だろう。ヴィオーラかアレクサンドルかオーギュストか。あるいはジェラールだったらいいんだけど──だとしたら無事にここに辿り着けてることがそもそもおかしいし、本当に誰?
「きゃっ!?」
「っ……てめえら……」
「へえ? やるじゃん。何も使ってないとはいえボクの銃弾を躱すなんてさ」
──あれ? 見間違いかな……なんか毎日見てるレベルで見覚えのある子どもの顔が2つ並んでるんだけど……幻覚?
「で、あんたら何者なわけ? なんか《アルマータ》っぽくねーけどなんでそれ欲しがってんだよ」
「っ…………」
「子ども……だと……!?」
「1人はアラミスの学生みたいだね。もう1人は……まあ雇われって線もなくはないかな。ちょっとアウトロー感あるし」
「ま、学生だとしてもボクらみたいに何かあんのかもしんねーけど。とりあえず──オラ、さっさと目的を答えろよ、オッサン。じゃねーと次は手か足を確実に撃ち抜くぜ」
「ぐ……オッサン言うんじゃねえ。そういうお前らこそ何者だ? ただのガキじゃねえみたいだが」
「おいおい、質問してんのはこっちなんだけど? ま、名前くらいならいいけどさ──ボクの名前はイクス」
「私はヨルダ。悪いけど答えられるのはここまで。ここからはそっちが全部答える番だから」
──い……イクスとヨルダ──!!? えー!? なんでー!? なんでここにいるのー!? しかもなんでヴァンとアニエスちゃん襲ってんのー!? 意味不明意味不明!! え!? 私そんなお願いしてないよね!? メルキオルとか管理人に命令された!? いや、でも2人の管轄は私だからそんなことしないよね!? マジでなんで立ち塞がってんの!? 意味わかんないんですけど!?
私は隠れながら内心だけで絶叫し、激しく動揺する。いや、ほんとにどういうこと……? 2人は《アルマータ》を潰す手伝いをするってことにはなったけど別にヴァンとアニエスちゃんを襲えとは言ってないし……だとしたら独断? 何のために? 私のため? だとしても──
『ゲネシスを求めてくる人の中には必ず《アルマータ》の構成員も入ってくる筈……つまりゲネシスを求めてきた人をやってしまえば……』
──あ。そういえばそんな独り言を前にイクスとヨルダの前で呟いたっけ。えーっと……じゃあそれを聞いて……ゲネシスを求めてここにやってくる人間がいればそれは《アルマータ》と繋がりのある人間かもしれないってことで自主的に……? い、いやいやそんなバカな……で、でも実際に《アルマータ》の事ヴァンたちに聞いてるし、やっぱり……。
「……俺たちはこの装置を取り返しに来ただけだ」
「取り返すぅ? はぁ? 意味わかんねーっての。それじゃまるでそれがオッサンらの物みたいじゃん」
「嘘を言ってるようには聞こえないけど……だとしたら説明してくれないとね」
「悪いが守秘義務でな。それは答えられねえ。加えてこの装置を渡すわけにもいかねえ。察するにこれをここに置いたのはお前らみたいだが……だとしたらお前らの目的はその装置を狙ってる存在……《アルマータ》──」
「へえ、結構いいカンしてんじゃん。ま、だとしても──オッサンに答える義理はねーんだよ!!」
──ぎゃああああ!? やめてイクスー!! ヴァンたちに攻撃しないでー!? 特にアニエスちゃんにはやめてー!! ヴァンはちょっとくらいならいいけど殺すのはNGだよ!? わかってるとは思うけど!! ってかどうしよー!? ここで出ていくと色々とややこしいことになるから出ていけないじゃん!! ヴァン躱してー!
「ヴァンさん!!」
「っ……大丈夫だ。何とかガードした。だが今の軌道は……」
「今度は弾いたかよ! ハハ! どうやらオッサン、マジでそこそこはやるみてーだな!」
「何かの拳法でも習ってるんじゃない? 《月華》とか《泰斗》とか。東方三大流派だっけ」
「だとしたら《
おお! さすがはヴァン! 攻撃を回避できないと見て受け止めた! 正解! イクスの銃弾は異能で自在に曲がるからね! 殆ど百発百中だから躱すよりは受け止めた方がいいよ! 躱すこともできないわけじゃないけどヴァンには無理だろうし! そしてアニエスちゃんは下がって! アニエスちゃんじゃ受け止めるのも難しいだろうから!
「……で、そっちのお姉さんは何しに来たの?」
「! わ、私は……」
「……まあなんでもいいけど。面倒だし、その装置を諦めるんなら見逃してあげてもいいよ。見たところ表の人間、それも素人みたいだし」
(おお! ナイスヨルダ! 見逃してあげて! その娘は本当に素人だから!)
「……出来ません。これは……私にとって大切な物なんです」
「……へえ?」
(あ、アニエスちゃーん!! そんな芯の強いこと言わないで! さすがだけど! さすがはヒロインだけど今は違う! 2人と戦っちゃうのはマズいから! 今は一旦引き下がって! 後でイクスとヨルダは私が叱りつけて速達でゲネシス送るから!)
「そっか。じゃあしょうがないね。気は進まないけど……こっちもそれなりの理由があるから」
「ああ。こうなったら力付くで喋ってもらうぜ!」
「!? 影……!? ぐっ……!」
ああっ!? マズい! イクスだけじゃなくてヨルダもやる気になった! さすがに今のヴァンとアニエスちゃんだけじゃ勝てないよ! どうしよう!? やっぱり私が出ていって……うう……最悪の場合そうするしか……色々と想定外だけどアニエスちゃんに怪我とかさせたくないし……!
「ハッハー! 隙ありだぜオッサン!!」
「くっ……(シャード防御を──いや、間に合わねえ……!)」
「だめええええっ!!」
だめえええええ!! どっちもやめてー! 色んな意味でヤバいよー! イクスもさすがに殺す気はないだろうけどそんな割って入ったりしたら危ないよ! 事故で死んじゃったらどうするの!? くっ……こうなったらやっぱり私が陰ながら2人を止めて……適当な姿を隠す衣装でも身につけて2人を──
「こいつ、は……」
──その瞬間、アニエスちゃんの身体が光り……時が止まった。
「この光……ひいお祖父ちゃんの……!?」
(え!? 何これ!? 私まで動けないんですけど!? 止まった時の中は認識してるけど動けない! なんで!?)
そう……そしてなぜか私は動けなかった。初体験だからかもしれないけどなんかヤバい! 時の世界に入門出来てるようでギリギリできてない! 認識出来てるのは不思議だけどいつものことだから割り切ろう! それよりも重要なことがあるし!
「──それでどうするの、“ヴァン”? ──悪夢を纏う、纏わない?」
うわああああ!? キタ──!! ヴァンの
「──その質問、お前自身の意志でしてんのか?」
「? そんなの当たり前じゃない。言っとくけどピンチだろうとアタシの知ったことじゃないわよ? アタシは選択を提示するだけ──悪夢を纏う、纏わないの?」
「……クク……トンデモ装置にトンデモ現象と来たか──いいだろう、悪夢なんざ十何年も前から見続けてる……」
おお、ヴァンが不敵な笑みを浮かべたー! そしてその後の発言が地味に重いぞー! 確かに教団時代なんて悪夢みたいなものだよね! わかるわかる! まあ私はもう割り切ってるから悪夢を見続けてはいないけど! そして今頃ヴァンの脳内で選択される気のない選択肢が出てることだろう。
「とっととやれ──!」
「りょーかい、アタシに任せて!」
おお、来るぞ! 今作のお決まりの展開というか変身が! 私頭の中でOP流すね! 悪夢を纏え!
「シャード解放──
「グオオッ!?」
そして刻は動き出す! 私も動けるようになった! イクスとヨルダも急に衝撃が発生して吹き飛ばされてびっくりしてる!
「何だってんだよ……!?」
「私たちみたいな異能……!? ううん、多分違う……!」
そしてヴァンはメアの力を借りて変身した──黎を纏いし魔装鬼《グレンデル》に。
うおおおおおおお!! かっこいい────!! 特撮モノみたいな鎧に変身したー!! どういう原理なのかさっぱりわからーん!! 解説したくても何がどうしてそうなってるのかわかんないから説明不要! とにかく強い! 身体能力爆上がり! 以上!
「チッ……なんだか知らねーけどそんなもん使ったところでボクたちには敵わねーよ!」
「手加減してる余裕はなさそうなのが面倒だけど……それを除けば対処できない程じゃない」
「ヲヲヲヲヲヲヲンンンッ!!!」
──そしてグレンデルと化したヴァンは立ち塞がるイクスとヨルダに向かって……って、こらこらこらこらー!! それはそれでダメー!! どんくらい強いか分かんないけど危ないでしょうがー! イクスもヨルダも下がって! もしかしたら勝てるかもだけどなんか攻撃痛そうだし!! 思ったより戦えてるけどさ!! なんだったら私の想定よりは何とかなりそうな感じがして自分の感覚にちょっと引いてるけど!! シズナちゃんの方が相手するにはキツそうだなって!!
「チッ……何だよその力は……!」
「っ……イクス……」
「ああ……わかってんよ。こっからが本番だ……!」
「あ……まだ立ち上がって……!」
しかもイクスとヨルダも化け物染みた力を発揮するヴァンのグレンデルに対して膝を突いたけどそれでもまだ倒れはしない。余力は残ってるみたいで更にやる気を見せてる。な、なんかスタミナ勝ちできそう! そこまでやる必要ないけど! お願いだから止まってー! うわああああああん!!
「──そこまでにしとくんだ。イクス、ヨルダ」
「!?」
「っ……てめえ……エース! 何しに来やがった!?」
うわぁ!? また人の気配がしたと思ったら今度はエースくんが割って入ってきた!? 真っ白い髪で眼帯をしてる厨二系なエースくんだ! 2人を止めに来てくれたの!? ナイスナイス! そのまま家に連れ帰っちゃって!!
「2人を止めに来たんだ。その装置に関しては上の判断を仰いだほうがいい」
「……みすみす渡すってこと?」
「取り返そうと思えばいつでも取り返せる。そもそもその装置は俺たちにとってはただの餌に過ぎない。居所さえわかってれば同じことだろ」
「餌……?」
おお……しかもなんか意味深な会話してる……エースくん的には至極真っ当な、2人を止めるために正論を言ってるだけなんだけど何も知らないヴァンとかプレイヤーから見たら黒幕というか敵っぽい感じだ……いや敵じゃないんだけどね。私は敵じゃないです! ただアルマータを殺したいだけの味方です!
「……チッ……仕方ねーな」
「……ま、確かにそれはそうだね」
「ぐっ……」
「ヴァンさん!」
「っ……お前たちは……一体何者だ? ジャコモのオッサンや《アルマータ》の構成員を殺したのも……お前らなのか?」
「……悪いがその質問には答えられない。その装置を探すならまたもしかしたら遭遇することもあるかもしれないが」
そしてこちらも守秘義務発動だ! さすがはエースくん! でもその黒幕っぽいムーブやめてくれない? なんか後から私がすっごい悪者みたいになりそうじゃん。3人を動かしてた上司みたいな感じでさ。そういうのはオジサンだけで十分だよ。
「じゃあなー、オッサン! その装置を持つんならせいぜい気をつけな! それを求めてんのはボクたちじゃねーからよ!」
「私はどっちでもいいけど危ないから手を引いた方がいいんじゃない?」
「それでは失礼させてもらう、《
グレンデルが解けてちょっと疲れ気味のヴァンたちにイクスもヨルダもエースくんも別れを告げて転移する。あれ、エースくんは《裏解決屋》のこと知ってるんだ。話したことあったっけ? なんで知ってるんだろう。自分で調べたのかな。
……ま、いっか。とりあえず──なんとか無事に終わったぞ! ふー……いや、ほんと焦った。イクスとヨルダが介入してきたこともビビったし、グレンデル化して戦い始めたのも驚いたし、最後に地味にエースくんまで来たのもちょっとびっくりした。
さ、私ももう帰ろっと。とりあえずイクスとヨルダに連絡の行き違いというか、ちゃんとヴァンたちには手を出さないように改めて説明しよう。お叱りはなしでね。連絡をちゃんと出来てなかった私も悪いし、結果だけ見るといい感じに第1のゲネシスを渡せてグレンデル化まで引き起こしたんだから万々歳とも言えるし。アルマータの幹部はやれなかったけど構成員は2人殺せたしね。もしかしたら策略の才能もちょっとはあるのかもしれない。あんまり嬉しくないけどね。でも順調だ。よーし! 次も頑張ってヴァンをサポートしつつアルマータを殺しにいくぞー! おー!
──約1週間後。
「──オッ◯イのペラペラソース!!」
「ヨコヤマだ!!」
「でも野菜ばっかりよ!!」
「ポーゥ!!」
「うおー!! 悪霊退散悪霊退散! ゾンビは蕎麦でも食ってろー!!」
「何イカれた戦い方してんだテメーはよ!!?」
──共和国北西部のクレイユ村の外れで私は村を守るために大量の空耳を口にしたり踊ったりするゾンビを相手にヴァルターと一緒にクレイユ村産の蕎麦をぶつけて戦っていた。こ、これは絶対に私のせいじゃない! 全部アン◯レラとなんちゃらウイルス……じゃなかった、《アルマータ》とゲネシスが悪いんだ!
今回はここまで。そんなわけで今回から黎の軌跡編の始まりです。空の軌跡リメイクも今月に出るしまだまだ軌跡は熱い。裏解決屋とアルマータと庭園が大暴れするハチャメチャな話をお楽しみください。
次回はバイ◯ハザード……ではなく1章。蕎麦美味しいねの回です。主にフェリちゃんやジンさんやヴァルターやメルキオルやアルマータが出てきます。お楽しみに。
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